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第199話
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目的地であるレトゥーンに到着する。
イディオームとは途中で寄った町で降りて、ナングウを追うため行き先を変更したため、途中から乗客はリゼ一人だった。
道中、話し相手になってくれたミノアとも別れる。
リゼがイディオームから貰った通行石は、本当に特別な物だということや、ドヴォルク国が特殊な国だと教えてくれた。
状況を知らなかったタミンは、ミノア以上にドヴォルク国への通行石を羨ましがった。
「これもなにかの縁だ。顔でも見たら挨拶してくれ」
「……お前、考えていることがバレバレだぞ」
タミンが別れの挨拶をするが、ミノアに下心を見抜かれてバツが悪そうな顔をしていた。
「こちらこそ、有難う御座いました」
タミンとミノアは仕事とはいえ、レトゥーンを無事に送ってくれたことにリゼは礼を言う。
「じゃぁな」
「いい旅を!」
二人はすぐに王都へ戻るため、商人と準備に入るようで笑顔でリゼを送り出した。
情勢が悪いと聞いてはいたが、町の雰囲気は悪くなく、行き交う人々の表情は穏やかだった。
次の目的地でもあるラバンニアル共和国への馬車の日時を確認する。
次の馬車は早くて五日後だったので、リゼはその場で予約してから、報収集するため冒険者ギルド会館へと移動する。
もちろん、簡単にラスティアに会えるとは思っていない。
ただ……銀翼に起きたことを会って、ラスティアの口から直接聞きたかった。
レトゥーンの冒険者ギルドは宿屋と併設しているようで、思っていたよりも小さかった。
受付が違うので同じ建物というだけのようだ。
まず、宿屋に向かい宿を確保するが、空き室が多いのか簡単に宿の確保が出来た。
宿屋の主人も嬉しそうだったのが印象的だった。
そのまま、冒険者ギルドの受付に移動をする。
まず、身分証明でもある冒険者のプレートを提示する。
クエストボードも見ずに受付に来たということで、この町についての情報を知りたいのだと応対した受付嬢も感づいていた。
リゼはまず、情勢が不安定だということでクエストへの影響を聞いてみた。
領主が変わったことでクエストに影響はないと、受付嬢は答える。
そして、比較的に安全な地域なこともあり、クエスト数自体は多くなく、主なクエストは採取クエストになると教えてくれた。
「その……噂の領主の屋敷は何処になりますか?」
「はい、この建物を出て右手に見える大きな屋敷になります」
会話の流れから自然に情報を引き出すことに成功する。
受付嬢に礼を言って、すぐにラスティアに会うため領主の屋敷へと足早に向かった。
領主の屋敷の門前に着くと、警護の男二人に睨まれる。
情勢が不安定なので、怪しい輩には同じ対応をしているのだろう。
当然、リゼが領主に会いたいと言うが相手にされない。
だが、諦めが悪いリゼは門の前で屋敷を見ながら佇む。
通行の邪魔にならない場所で立っているだけなので、警護の男たちは睨むだけで文句を言うこともなかった。
しかし、それが何時間も続き日が暮れて辺りが暗くなると警護の男たちの仕事終える。
リゼを横目で見ながら、警護の男たちは屋敷の中へと入って行った。
「なんなんだ。あの冒険者は?」
「領主様に会いたいって……」
「まぁ、領主様も元冒険者だから知り合いなのかも知れないな」
「知り合いでも会うのは無理だろう」
護衛の男たちはリゼについて話をしていた。
「報告は必要だろうな」
「あぁ……それが俺たちの仕事でもあるからな」
護衛の男たちは、執事にリゼのことを報告すると、窓から覗いた。
まだ、佇んでいるリゼが月の明かりで薄っすらと確認出来た。
「御苦労様です」
執事は護衛の男たちに労いの言葉を掛けた。
護衛の男たちが退室すると、執事は領主であるエルダの元へと向かった。
エルダの部屋の扉を叩いて、入室の許可を得る。
「なにか問題でもあったのかしら?」
窓際に座りながら月を眺めて、手に持ったグラスを揺らしていた。
グラスの中身はレトゥーン特産である果実酒のようだ。
「お嬢様。飲み過ぎはお体に悪いですよ」
「じいや。もう子供じゃないのよ。それに今は領主なのよ」
「失礼いたしました領主様。で、あれば私のこともノーマンとお呼び下さい」
「たしかに、そうね」
幼少期から知っている間だからの冗談っぽい会話だった。
「それで?」
「門番から報告がありまして――」
ノーマンからの報告を聞いたエルダは窓から外を覗く。……が、エルダの部屋からは、庭の樹に遮られてリゼの姿は確認出来なかった。
エルダは安堵感を感じていたことに気付く。
心のどこかで、罪悪感を感じていることを再認識する。
「そう……アンジュやジェイドじゃなくて、リゼさんが来るとは……ね」
寂しそうに月を見ながら、グラスに残った果実酒を一気に喉へ流し込む。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌日も朝から門の前でラスティアに会いたいことを護衛に伝えるが、返事は昨日と同じだった。
一人は昨日と違う護衛の男だったため、リゼのことを怪訝な表情で見る。
小声で昨日のことを説明するが、表情に変化は無かった。
昨日と同じ場所に佇み、
窓から人影が見えると、ラスティアではないかと期待してしまう。
昼になると、護衛が一人交代する。
交代した護衛は昨日の護衛だった。
リゼがいたことに驚いていたが、無言で定位置に立つ。
護衛からリゼに話し掛けることはしない。
リゼも今日一度断られているので、仕事の妨げになると思い黙って屋敷を見ていた。
心の何処かでラスティアではないと信じたい自分も……何かの間違いであって欲しいと思っている。
違う角度から窓を覗くため、門から離れている場所へと移動する。
「あっ!」
窓から見覚えのある姿が目に入り、思わず声をあげる。
リゼの声に驚き護衛の二人がリゼに顔を向ける。
ラスティアが窓から自分の姿を見つけてくれることに期待して、姿を見せた窓を見続けていた――。
日も沈み昨日同様に、護衛の男たちが屋敷の中へと戻って行った。
リゼは視線を外すことなく、ラスティアの姿が見えた度を見続けていたが、ラスティアが姿を見せることは無かった。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:三十六』
『魔力:三十』
『力:二十二』
『防御:二十』
『魔法力:二十一』
『魔力耐性:十六』
『敏捷:八十四』
『回避:四十三』
『魅力:二十一』
『運:四十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・ラバンニアル共和国に入国。期限:九十日
・報酬:敏捷(二増加)
■サブクエスト
・レトゥーンで三泊。期限:三年
・報酬:魅力(三増加)
■シークレットクエスト
・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
・報酬:万能能力値(五増加)
イディオームとは途中で寄った町で降りて、ナングウを追うため行き先を変更したため、途中から乗客はリゼ一人だった。
道中、話し相手になってくれたミノアとも別れる。
リゼがイディオームから貰った通行石は、本当に特別な物だということや、ドヴォルク国が特殊な国だと教えてくれた。
状況を知らなかったタミンは、ミノア以上にドヴォルク国への通行石を羨ましがった。
「これもなにかの縁だ。顔でも見たら挨拶してくれ」
「……お前、考えていることがバレバレだぞ」
タミンが別れの挨拶をするが、ミノアに下心を見抜かれてバツが悪そうな顔をしていた。
「こちらこそ、有難う御座いました」
タミンとミノアは仕事とはいえ、レトゥーンを無事に送ってくれたことにリゼは礼を言う。
「じゃぁな」
「いい旅を!」
二人はすぐに王都へ戻るため、商人と準備に入るようで笑顔でリゼを送り出した。
情勢が悪いと聞いてはいたが、町の雰囲気は悪くなく、行き交う人々の表情は穏やかだった。
次の目的地でもあるラバンニアル共和国への馬車の日時を確認する。
次の馬車は早くて五日後だったので、リゼはその場で予約してから、報収集するため冒険者ギルド会館へと移動する。
もちろん、簡単にラスティアに会えるとは思っていない。
ただ……銀翼に起きたことを会って、ラスティアの口から直接聞きたかった。
レトゥーンの冒険者ギルドは宿屋と併設しているようで、思っていたよりも小さかった。
受付が違うので同じ建物というだけのようだ。
まず、宿屋に向かい宿を確保するが、空き室が多いのか簡単に宿の確保が出来た。
宿屋の主人も嬉しそうだったのが印象的だった。
そのまま、冒険者ギルドの受付に移動をする。
まず、身分証明でもある冒険者のプレートを提示する。
クエストボードも見ずに受付に来たということで、この町についての情報を知りたいのだと応対した受付嬢も感づいていた。
リゼはまず、情勢が不安定だということでクエストへの影響を聞いてみた。
領主が変わったことでクエストに影響はないと、受付嬢は答える。
そして、比較的に安全な地域なこともあり、クエスト数自体は多くなく、主なクエストは採取クエストになると教えてくれた。
「その……噂の領主の屋敷は何処になりますか?」
「はい、この建物を出て右手に見える大きな屋敷になります」
会話の流れから自然に情報を引き出すことに成功する。
受付嬢に礼を言って、すぐにラスティアに会うため領主の屋敷へと足早に向かった。
領主の屋敷の門前に着くと、警護の男二人に睨まれる。
情勢が不安定なので、怪しい輩には同じ対応をしているのだろう。
当然、リゼが領主に会いたいと言うが相手にされない。
だが、諦めが悪いリゼは門の前で屋敷を見ながら佇む。
通行の邪魔にならない場所で立っているだけなので、警護の男たちは睨むだけで文句を言うこともなかった。
しかし、それが何時間も続き日が暮れて辺りが暗くなると警護の男たちの仕事終える。
リゼを横目で見ながら、警護の男たちは屋敷の中へと入って行った。
「なんなんだ。あの冒険者は?」
「領主様に会いたいって……」
「まぁ、領主様も元冒険者だから知り合いなのかも知れないな」
「知り合いでも会うのは無理だろう」
護衛の男たちはリゼについて話をしていた。
「報告は必要だろうな」
「あぁ……それが俺たちの仕事でもあるからな」
護衛の男たちは、執事にリゼのことを報告すると、窓から覗いた。
まだ、佇んでいるリゼが月の明かりで薄っすらと確認出来た。
「御苦労様です」
執事は護衛の男たちに労いの言葉を掛けた。
護衛の男たちが退室すると、執事は領主であるエルダの元へと向かった。
エルダの部屋の扉を叩いて、入室の許可を得る。
「なにか問題でもあったのかしら?」
窓際に座りながら月を眺めて、手に持ったグラスを揺らしていた。
グラスの中身はレトゥーン特産である果実酒のようだ。
「お嬢様。飲み過ぎはお体に悪いですよ」
「じいや。もう子供じゃないのよ。それに今は領主なのよ」
「失礼いたしました領主様。で、あれば私のこともノーマンとお呼び下さい」
「たしかに、そうね」
幼少期から知っている間だからの冗談っぽい会話だった。
「それで?」
「門番から報告がありまして――」
ノーマンからの報告を聞いたエルダは窓から外を覗く。……が、エルダの部屋からは、庭の樹に遮られてリゼの姿は確認出来なかった。
エルダは安堵感を感じていたことに気付く。
心のどこかで、罪悪感を感じていることを再認識する。
「そう……アンジュやジェイドじゃなくて、リゼさんが来るとは……ね」
寂しそうに月を見ながら、グラスに残った果実酒を一気に喉へ流し込む。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌日も朝から門の前でラスティアに会いたいことを護衛に伝えるが、返事は昨日と同じだった。
一人は昨日と違う護衛の男だったため、リゼのことを怪訝な表情で見る。
小声で昨日のことを説明するが、表情に変化は無かった。
昨日と同じ場所に佇み、
窓から人影が見えると、ラスティアではないかと期待してしまう。
昼になると、護衛が一人交代する。
交代した護衛は昨日の護衛だった。
リゼがいたことに驚いていたが、無言で定位置に立つ。
護衛からリゼに話し掛けることはしない。
リゼも今日一度断られているので、仕事の妨げになると思い黙って屋敷を見ていた。
心の何処かでラスティアではないと信じたい自分も……何かの間違いであって欲しいと思っている。
違う角度から窓を覗くため、門から離れている場所へと移動する。
「あっ!」
窓から見覚えのある姿が目に入り、思わず声をあげる。
リゼの声に驚き護衛の二人がリゼに顔を向ける。
ラスティアが窓から自分の姿を見つけてくれることに期待して、姿を見せた窓を見続けていた――。
日も沈み昨日同様に、護衛の男たちが屋敷の中へと戻って行った。
リゼは視線を外すことなく、ラスティアの姿が見えた度を見続けていたが、ラスティアが姿を見せることは無かった。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:三十六』
『魔力:三十』
『力:二十二』
『防御:二十』
『魔法力:二十一』
『魔力耐性:十六』
『敏捷:八十四』
『回避:四十三』
『魅力:二十一』
『運:四十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・ラバンニアル共和国に入国。期限:九十日
・報酬:敏捷(二増加)
■サブクエスト
・レトゥーンで三泊。期限:三年
・報酬:魅力(三増加)
■シークレットクエスト
・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
・報酬:万能能力値(五増加)
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