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小話まとめ・短編・番外編
短編 甘やかしたい ☆
しおりを挟む今日は、ジェイと庭に出てバーベキューをしている。
俺がバーベキューをしようと言ったら、ジェイは色んな食材を取り寄せてくれた。
高級な牛肉や鶏肉、ロブスターや赤海老、白身魚にとうもろこしや各種野菜。
俺はジンジャーエールやコーラ、アイスティーを飲んで、ジェイはビールやワインを飲んでいた。
ジェイに、“バーベキューをした事があるのか”と聞いたら、“一人でやった事はあるけど、つまらなかった”と答えた。
俺は、年に何度か家族の皆でバーベキューをして、ワイワイと賑やかに楽しんでいたので、それを聞いて胸がキュッ…っと切なくなった。
二人だけだけど、ジェイが楽しめたらいいなと思ってやる事にした。
外国では、庭でホームパーティーをしたりするからバーベキュー用のガゼボも、一応、建ててあるんだって。
俺が此処に住むようになってからは、ホームキーパーさん達も姿を見せるようになっていた。俺が来る前までは、ジェイの側に近付けなかったから、して欲しい事はスマホで頼んだりして準備して貰っていたらしい……。
そういう話を聞くと……何だかとても切なくなって、ジェイを一杯、甘やかしたくなる。
ラジオを付けて、音楽を流しながらバーベキューをする。
「ジェイ、上手に焼いてね」
「任せろ」
ジェイはビールを飲みながら、張り切って肉を焼いてくれた。
ジェイが焼いてくれた肉を切り分けて、焼いているジェイにフォークに刺して食べさせてあげながら、俺も食べる。
「ん! サイコーの焼き加減だよ! ジェイ!」
俺が賛辞を贈ると、ジェイは満足そうに微笑んだ。
「ロブスターって、どうやって焼くんだ? このまま焼いても良いのか?」
ジェイが軍手を嵌めた手で、大きなロブスターを両手に一尾ずつ掴んで首を傾げる。
ジェイが可愛かったので、パシャリと写真を撮った。
「えっと……家では、そのまま焼いてた気がするけど……ちょっと待って。今、調べるから」
デジカメを置いて、スマホで調べる。
近寄ってきたジェイと身を寄せて、二人でスマホを覗き込む。
「お腹を下にして十分位焼いて、ひっくり返して十分だって。……結構、時間が掛かるんだね……」
「なるほど……」
ジェイは、二尾のロブスターをお腹を下にして網に置いた。軍手を外して赤ワインを飲みながら、野菜を焼く。
その隣でジェイの口に、焼き上がったものに色々なソースやバターを付けながら、せっせと運ぶ。
ジェイは、美味しそうにパクパクと食べてくれる。
俺も一緒に食べながら、他愛もない話をした。
ジェイは、ワインを飲みながら上機嫌だ。
楽しそうにしているジェイを見ているだけで、嬉しくなる。
そうこうしている内にロブスターがこんがりと焼けて、軍手を嵌めたジェイが頭としっぽを捩じるようにバキリッ、と捩じ切った。
バキボキと爪や脚を折っていく。
頭をロブスタークラッカーで挟み込み力を入れると、力が強すぎて殻と身がメキャリと潰れてしまった。
「「あ……」」
二人、残念な声が揃った。
「……すまん、雪乃……」
ジェイが、ガックリと肩を落とした。
「ふふっ、殻を取れば大丈夫だよ」
俺は苦笑して、潰れたロブスターの頭を引き寄せて、持ち手の長いフォークを使って砕けた殻を弾いていく。
「雪乃……。それは、食べなくてもいい……」
俺の隣に座って項垂れたジェイが、ボソリと呟いた。
落ち込んだジェイの顎を人差し指でクイッと俺の方へ向けて、笑う。
「そんなに落ち込まなくても大丈夫だよ。ジェイが俺のために焼いてくれたから、ちゃんと食べるよ」
そう言って、ジェイの唇にチュッとキスをした。
「雪乃……」
「ほら、もう一つも焦げちゃうよ?」
ジェイは、慌ててもう一つのロブスターを取り上げて、バキボキと折り始めた。
砕けた殻を弾いていると、今度はジェイが俺にロブスターを食べさせてくれる。
「ん、美味しい。焼き加減もいい感じ!」
ジェイは苦笑しながら、白ワインを飲んでいた。
「今度、父さん達がこっちに来たら、その時は皆でバーベキューパーティーをしようよ。二人でするのも良いけど、人が多いのも楽しいよ?」
「ホームパーティーだな……? そうだな、それも楽しそうだ」
そんな感じで、バーベキューを楽しんだ。
バーベキューを終えて部屋に戻った俺達は、煙たくなってしまったのでお風呂に入った。
その後は、部屋のソファで寛ぐ。
俺の隣に座ったジェイが、珍しく、うつらうつらとしていた。
「ジェイ……? 眠いの? ベッドに行く?」
俺の問い掛けに、彼はコクリと頷いた。
ジェイは、俺の手を握って立ち上がり寝室へと向かった。どうやら俺も一緒に連れて行かれるみたいだ。俺は苦笑しつつ、手を引かれるままに付いて行く。
俺を先にベットへ寝かせ、覆い被さる様にして俺の胸に顔をくっ付けて抱き着いてきた。
俺の胸に頬擦りしてくるジェイの頭を撫でる。
「雪乃……好きだ……」
「ふふっ……俺も好き」
ジェイは、俺の胸に押し付けていた頭を上げて、身体をずらして俺に深く口付けてきた。
今日のキスは、ジェイの味以外にお酒の味がした。
何度も角度を変えて、ゆっくりと貪られる。
「雪乃が想う以上に……俺は、雪乃が好きだ……」
「ふ…ぅ……」
ジェイが熱っぽく囁いて、俺の口を塞ぐ。
俺だって、ジェイが想う以上にジェイが好き。
そう言い返したいのに、ジェイの唇が話す隙を与えてくれない。
「……雪乃……雪乃……」
熱に浮かされた様に、恋し気に俺の名を呼びながら深いキスを繰り返すジェイ。
ゆっくりと優しいキスに見せかけて、じっくりと余すことなく貪ってくるキス……。
脳が……蕩けそうになる……。
漸く唇が離れて、熱に蕩けて潤んだエメラルドが俺を一心に見詰めてくる。
「……はぁ……。急に……どうしたの……?」
ジェイは、俺の問には答えず俺の胸に頭を擦り付けた。
……もしかして……甘えてる……?
そう云えば、バーベキューをしている間、ジェイはビールやワインをずっと飲んでいた。
「ジェイ……。酔ってるの?」
「酔ってない」
「……本当に?」
「酔った事は、一度もない」
「でも、酔ってるよね……?」
「酔ってない」
俺の胸に頭を擦り付けながら、“酔ってない”と言い張るジェイ。
その仕草が既に酔っている様に見えるんだけど……。
顔に出なかったから気が付かなかったけれど……。酔ってるね……。コレ……。キスも酒気が凄かったし……。
それなのに、“酔ってない”って……甘えながら言い張るジェイが、堪らなく可愛いんだけどっ……!?
ど、どうしよう……!? すっっっごく! 甘やかしたいっ……!!
俺は、ジェイの雑に結った髪を解き、指で髪を梳きながら撫で回した。
ジェイは、気持ち良さそうに目を細める。
「……ジェイ……可愛い……」
「……?……」
俺がジェイの黄金色のくるくる髪を撫で回していると、彼の手が俺のTシャツを捲り上げながら身体を撫で上げてきた。
「……ジェイ……? 眠いんじゃないの……?」
「ん……」
ジェイは、生返事を返しながら露わになった俺の胸の突起にチュウっと吸い付いてきた。
「ッ……」
片方を舌で味わう様に舐めながら、もう片方を指で摘んでクリクリと弄られる。
どちらも緩慢な刺激で……何だか……物足りない……。
「ジェイ……ッ……」
思わず、強請る様な声音でジェイの名を呼んでしまう……。もどかしくて、ジェイの髪に潜らせた指に力が入った。
それでもジェイは、俺の勃ち上がった小さな突起を舌で押し潰すように舐めあげてくる。もう片方は、そっと触れる様な弱い力の指先で…すりすりと弄られて、身体を捩って悶えてしまう。
「フッ…ぅ…ぅ……ジェ…イ……」
欲情を煽られる……。
暫くの間、ずっとソレを続けられて…すっかり、その気にさせられた頃、緩慢な愛撫を繰り返すジェイの動きが更に遅くなって……チュウゥゥ~っとキツく乳首を吸い上げられて、身体がヒクヒクと震えた。
「ぅンン~~ッ……!」
ジェイは、それっ切り……ぱたりと動きが止まってしまう……。
胸の上の彼を見ると、片頬を俺の胸に付けたまま……眠っていた……。
「………………嘘でしょ………………?」
散々、焦れったい愛撫でその気にさせておいて眠るなんて……。俺の息子も、後ろも……その気なのに……。
「ぅぅ…ぅ…~~~………酷いよ………ジェイ………」
くるくるの猫っ毛をそっと掻き混ぜながら、恨みがましく無防備な顔ですやすやと眠るジェイを見詰める。
……そんな顔で眠られたら……起こせないじゃないか……。
俺は深く溜め息を吐いて、煩悩を鎮めることに専念した……。
だけど……ジェイが眠ったまま、不意打ちで胸の突起を吸ってきて……煩悩を鎮めさせてくれない……。
もう片方も、何故か摘んだまま離してくれなくて……時々、クリっと転がされて身体が跳ねる。
ジェイの重みと甘い刺激に身体に力が入らなくて、彼を押し退けられない。──眠っているジェイが、可愛かった所為もある……。
息を詰めて声を殺しながら、ジェイの身体の下でもじもじと悶えた。
「フッ……ぁうッ……ぅぅぅ~~……!」
ジェイが目覚めるまで、其れはずっと続いた。
余りにも、指や口を器用に動かすから……本当は、起きているんじゃないかと疑いたくなった……。
目覚めたジェイが、中途半端な刺激で軽く息の上がった涙目の俺を見て、宥めながらも嬉しそうに俺を抱くのは、もうちょっと後の事……。
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雪乃も生殺しを体験する……。
読んで頂いて、ありがとうございます。( ꈍᴗꈍ)
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