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本 編
J−ⅩⅣ Loneliness and Overwhelmed by Anxiety 【孤独と焦燥】
しおりを挟む雪乃が目覚めない……
雪乃を思う存分抱き潰した後、一緒に寝落ちてから目が覚めたのは夜だった。
二人共、身体の汚れが酷い。雪乃の胎内にスパームを出したままだと思い出し、眠っている雪乃を慌てて抱き上げ、バスルームへと連れて行った。
寝台に乗せて、シャワーのお湯を掛ける。
お互いのスパームが乾いてこびり付き、雪乃のアナルの入口も、俺の乾いたスパームで糊付けでもされたみたいに固くなっている。
無理に指など入れたら、雪乃のアナルが裂けてしまいそうだ。
本当は、体力を消耗しているから湯に浸かるべきではないが、アナルを傷つけるよりはマシだと思い、バスタブに湯を張った。序でに、泡風呂にした。
湯が溜まるまでは、雪乃と俺の髪を先に洗う。
まだ、浴槽の湯は半分も溜まっていなかったが、バスタブに雪乃を抱えながら入る。スポンジで身体を撫でるように洗いながら、乾いた汚れがふやけて来るまで待つ。
雪乃のアナルを指で撫でるように汚れを落として行き、胎内に入った分も丁寧に掻き出す。
散々、出し切った後だったから欲情せずに遣り切ることが出来た。
それからは、雪乃に服を着せて髪を乾かす。一旦、ソファに寝かせ、シーツと毛布、枕も変えて雪乃をベッドへ寝かせる。
雪乃はその間、一度も目覚めることはなかった。
夕食を一人で摂り、雪乃に経口補水液を口移しで飲ませ、その後は雪乃を抱き締めて眠りに落ちた。
次の日の昼を過ぎても、雪乃が目覚めない。
熱を測ってみると、高熱ではないが微熱よりは高かった。
流石にまずい気がして、狼王……コーガに連絡を取る。
コーガは、神田を連れて直ぐに訪ねて来た。
「お前……」
コーガの低い低い声と共に、凍てつきそうな強烈な威圧が浴びせ掛けられる。
「くっ……!……やめろ……同意の上だ」
雪乃にベッタリと着いた俺の匂いで、セックスしたことが分かったんだろう。しかも、何度も雪乃の中に出したから匂いは強烈だ。
「ほう……?」
雪乃が眠っているので、俺だけの言葉では信用がないらしい。
「……雪乃が俺の子を欲しがった……責任は取る」
眼を眇めて睥睨していたコーガは、暫くの間、俺を見据えた後に大きく溜め息を吐いた。
「神田先生、雪乃を診て貰えるか?」
コーガは、神田に視線を逸らした。
漸く、重苦しい本気の威圧から解放される。
「分かりました」
神田が近付いて来て、予め、ベッドの端に移動させていた雪乃を診察し始めた。
「コーガ……雪乃はオメガだろう? 何か、病気なのか? 何故、フェロモンの匂いがしない?」
コーガに近付いて問い質す。
「――雪乃が、オメガだと言ったのか?」
コーガの灰色の目が鋭く、ギラリと光ったような気がした。
その目はまさに、狼王と呼ばれるに相応しいものだった。
「ああ。熱で朦朧としていたけどな。雪乃が運命の番と、番わなかったことも聞いた。そのせいで、眠ったと言っていた。何が眠ったんだ?」
コーガは、俺を無言で見据えてから漸く話し出した。
「雪乃は、運命の番との繋がりを絶ち切って、オメガの機能を全て眠らせたんだよ」
「そんなことが……出来るのか?」
驚いて、コーガの顔をまじまじと見詰めた。
「普通は、出来ないよ」
神田が話に加わってくる。
「自らの意思で、オメガの機能全てを……本脳の塊でもあるヒートまで押さえ込めるオメガなんていないよ。前例もないしね」
神田は、俺達の側に来て苦笑した。
「雪乃の容態は?」
コーガが尋ねると、神田は難しそうな顔をする。
「今は、何とも言えません。――ただ、雪乃くんがオメガ機能を止めた時と似ている気がします……もしかしたら、暫く眠り続けるかも知れません。検査の為にも、病院に入院して貰いたいですね」
神田の言葉に、コーガも難しそうな顔で頷く。
「ならば、直ぐに手配を」
コーガが同意すると神田は、頷いてスマホを取り出し、俺達から離れて行った。
「雪乃を入院させるのか? なら、俺も行くぞ」
雪乃から離れたくない。
コーガは、腕を組んで考え込んだ。
「ジェイデン。お前、雪乃とどうなるつもりなんだ?」
コーガの灰色の眼が銀色に輝いたように見えた。その、強く鋭い眼に見据えられる。
「俺の運命は、雪乃だ」
コーガの目が、スッと細められた。
「どういう意味だ? 自分が雪乃の運命の番だとでも言うつもりか?」
「俺の運命の番など知らん。俺は、雪乃に惹かれているし、惚れている。愛してる。俺は、雪乃と絶対に番う。――よろしくな、Dad」
ニヤリと笑って見せると、コーガの頬が引き攣った。
「……やめろ……まだ、お前のDadじゃない。もし、お前の運命の番が現れたらどうするつもりだ?」
コーガは、顔を顰めて俺を見た。
「俺がもし、雪乃を捨てて運命の番を選びそうになったら、コーガが狼共を引き連れて、俺を雪乃の元に連れ戻してくれ。鎖に繋いででもな。頼むよ……Dad……」
これは、俺の本心だ。万が一、俺が運命の番に心変わりしたのなら、雪乃の元に連れ戻して欲しい。
その後は、雪乃が俺をどうするか決めればいい。
俺は、真剣な目でコーガを見据えた。
「ほう……いいだろう。雪乃がお前と番うことを望むのなら、私は口を出さない。それと……まだ、お前のDadじゃない」
「Cheers ! Daddy!」
満面の笑みで礼を言うと、コーガの蟀谷に青筋が浮き出た。
「だが、今回は同行を認めない」
気を取り直したコーガが、きっぱりと言い放つ。
「……何故だ?」
俺は、笑みを引っ込めてコーガを睨んだ。
「雪乃が最近体調を崩すのは、お前が原因じゃないのかと思うからだ」
「ッ……! それは……」
否定出来なかった……
雪乃が最初に熱を出したのは、俺とキスしてからだ。俺の唾液を飲んだせいかも知れない。
雪乃にペニスをしゃぶられた時、俺のスパームを大量に飲んだ後も高熱が続いた。
雪乃と初めてセックスした時も、その後に高熱を出した。
そして、今回も……
「……手は出さないから、連れて行け」
側に居るだけでいいんだ。
「駄目だ。大人しくここで待て、ジェイデン」
コーガにバッサリと切り捨てられる。
「コーガっ……!」
ギリッと歯を喰いしばって、コーガに強い威圧を放ってしまった。
「チッ……! 威圧をやめろ。くそガキっ……! それを病院でやられたら大迷惑なんだよっ!」
コーガは舌打ちして忌々しそうに顔を歪め、俺に威圧をぶつけ返してくる。
ハッとして、威圧を引っ込めた。
「~~~ッ……!」
俺が何も言い返せずにいると、コーガがデカい溜め息を吐いて鼻を鳴らした。
「退院したら、一度、雪乃を連れて来てやる。それまでは、大人しくここで待っていろ」
コーガは、そう吐き捨てて雪乃を抱え上げようとした。俺は、咄嗟に雪乃とコーガの間に身体を滑り込ませる。
「――何の真似だ?」
銀色に光る目に、鋭く刺すように睨まれた。
「――車までは、俺が運ぶ……」
拒絶されない内に雪乃を抱き抱える。いつも通り縦抱っこだ。
「――いいだろう」
コーガは、俺を一瞥して先に立って歩き出した。
俺は、その後をノロノロと付いて行く。
少しでも長く、雪乃と居る為に……
コーガは遅れがちな俺を何度か振り返ったが、何も言っては来なかった。
雪乃を車に乗せて頬を撫でる。
なかなか離れない俺に、コーガが痺れを切らして威圧をぶつけて来るまで、雪乃の頬を撫で続けた。
遠ざかって行く車をずっと見詰め続け、見えなくなっても……その場を動けなかった。
部屋に戻った俺は、ベッドに倒れ込む。
酷い喪失感が襲って来る。
雪乃と出逢って、九日位か……十日も経っていない。
なのに、ずっと一緒に居たような気さえして来る。
ぼんやりと、自分の隣を眺める。
そこに、雪乃の姿はない……
このベッド、こんなに広かったか……?
雪乃と居た時間は、夢だったような気がして来た。
自由に外の世界に行けないことも、一人でいる時間も、退屈だとは感じていたが、寂しいと感じたことはなかった。
それなのに今は……凄く、寂しい……
ずっと、傍にあった温もりが……今はない……
何もする気が起きなくて、そのまま眠りに落ちた。
それからの毎日は、寂しさと焦燥の日々だった。
何もする気が起きない。焦りのような苛立ちが収まらない。
一日に何度もコーガに連絡して、雪乃の様子を聞いては怒鳴られる。
それでも、しつこく連絡をしていたら、雪乃の幼い頃の写真がスマホに送られてきた。
急いで、パソコンに落としてバックアップを取り、高画質で印刷して写真立てに収め、部屋に飾った。
もっとないのかと、コーガに連絡したら……また怒鳴られた。それでも、しつこく連絡をしたら何枚か送られて来た。全てバックアップを取り、印刷して部屋に飾った。
でも、今の雪乃の写真がない。
雪乃は、まだ目覚めないんだろうか……?
雪乃の容態を知りたくて、やっぱりコーガに連絡する。そして、怒鳴られるの繰り返し。
そうしたら、一つのアカウントとアプリが送られて来た。
アプリにそのアカウントを使って入ってみると、病院のベッドで眠る雪乃の姿が映し出された。
コーガに連絡を入れると、ブロックされた……
Shit……! Wolf Kingめッ……!
まあ、いい……
どうやら、リアルタイムらしい雪乃の映像が見られるのなら、オヤジに用はない。
大画面のテレビにも映せるようにして、眠る雪乃をずっと眺める。
日に三度、点滴を受けているようだ。
二日に一度、女性の看護師が雪乃の身体を拭く。その度にイライラが募る。
コーガにはブロックされたから、今度はジーノに連絡を取る。
雪乃の身体は俺が拭くから病院に連れて行け、と、ゴネた。
『巫山戯るな』
ジーノは、一言だけ言って電話を切った。
そうしたら、ジーノの番からテーマパークで撮ったらしい、俺と雪乃の写真が一枚送られて来た。
ジーノの番、確かフミトだったか……いい奴だな……
俺が狼のパペットにキスをして、雪乃が見惚れている写真だった。当然、バックアップを取って部屋に飾った。
今度はジーノに何度も連絡していると、ジーノにブロックされた。
Shit……! Devil Wolf めッ……!
ミーノとゼーノにも同じことをして、ブロックされた。
ミーノとゼーノは、日本に帰ってしまったから国際電話だった。時差のことを忘れていた……
『何時だと思ってるのよっ……!?』
『夜中に電話してくるなっ……!!』
ミーノとゼーノに怒鳴られた。
だが、あいつ等の番から写真を貰えたのは良かった。ジーノ達はともかく、あいつ等の番……フミト、ランカとセレイアは良いやつらだ。今度、何か贈っておこう。
そうやって気を紛らわせていられたのも、二十日までだった。
雪乃は……目覚めない……
リアルタイムで映し出される雪乃は、ピクリとも動かない……
シャワーを浴びるたびに、雪乃が付けた噛み跡をなぞる。本気で何度も噛み付いてくれたお陰で、薄くはなったが……まだ消えそうもない。
この噛み跡を見るたびに、雪乃の存在を感じられて安心する。
この噛み跡が消えてしまったら…………
…………雪乃に会いたい。
意識がなくてもいい。傍に居て、抱き締めたい。
雪乃に会いたい気持ちが、どんどん膨らんで来る。
雪乃……雪乃……雪乃……
堪らなくなって、感情を抑えられなくなって、急いでバスルームを出て服を身に着けた。
髪も乾かさずに走り出し、玄関に向かった。
外に出て、車を停めているガレージに向かう。
「Hey! Emperor、どこに行く?」
マティーロに声を掛けられた。
「……雪乃に会いに行く」
口早に答えると、マティーロが慌て出した。
「Goddessに……!? 冗談だろッ……!?」
駆け寄って来るマティーロを無視して、足を速める。
「Hey!! Emperor!! 止まれッ……!!」
強い口調で制止してくる、マティーロ。
俺は、無視して先を急ぐ。
邪魔するな。俺は、雪乃に会いに行くんだっ……!
「Shit……! 悪く思うなよ……!? Emperor……!!!!」
マティーロがやけくそ気味に叫んだ後、バシュッ! という、サイレンサー付きの銃声の音がしたと思ったら、背中に針を突き立てられたような痛みが奔り、その場に足元から崩れて倒れ込んだ。
頭がグラグラして、意識が途切れた……
目を覚ますと、悪酔いしたみたいに気分が悪かった。
自分の部屋のベッドに寝ていた。
混濁する頭で記憶を辿る。
確か……雪乃に会いに行こうとしていたはずだ……
「雪乃……」
起き上がろうとしたが、身体が思うように動かない。
そういえば……マティーロに撃たれたんだったな……
麻酔弾か……?
雇い主を撃つとは、いい度胸だ。
「起きたのか? Idiot Emperor」
心底バカにしきった声で話し掛けてきたのは、ジーノだった。
「……何で、お前が居る……?」
ぼんやりとジーノを見上げる。
「お前が単身で病院に乗り込みそうだと、連絡が来た。手術中の患者だっているんだぞ? 生死が危うい患者だっている。お前の威圧で、何人も死者が出たらどうするつもりだ? マティーロに感謝しろ」
ジーノが言うことは、もっともなことだった。だから、言い返せない……
「……雪乃に……会わせてくれ……点滴を打つだけなら、ここでも出来るはずだ……」
ジーノに懇願する。まさか、Devil Wolf に懇願する日が来ようとは……
「……雪乃に……会いたいんだ……頼む……」
涙が出そうになって、目元に腕を乗せて隠した。唇が震えそうになって、噛み締める。
意外にも、ジーノにしては柔らかい声で、ボソリと呟いた言葉が聞こえた。
「――まるで、運命の番を求めているみたいだな……」
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