運命の番に為る

夢線香

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12. 開幕

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 息が詰まるような沈黙の中、観覧車を降りる。

 あれからジェイは、ずっと黙り込んでしまった。

 折角、楽しい一日だったのだから、気不味い感じで終わりたくはなかった。

「ジェイ。夜のショーまで時間があるから、何か、軽く食べようか」

 なるべく明るい声を出して言うと、ジェイは黙って頷いた。

 とは言っても、ちょいちょい買い食いをしていたので、そんなにお腹は減っていない。

「ジェイは、何が食べたい?」

 ジェイは、困ったように首を傾げた。

「腹はそんなに空いていない。飲み物が欲しいな」

 やっぱり、そうだよね。俺も頷いた。

 歩いていると、色取り取りのキャンディやチョコレート、クッキーが大きな瓶に入って並べられているショプがあった。ビーフジャーキーやナッツなんかも置かれていた。

 その店で、人気があるらしいレモンとグレープフルーツのグミキャンディと、チョコレート、ビーフジャーキー、ピーカンナッツとマカデミアナッツを買った。

 更に、歩いていくと、トルティーヤの店があって具材を選べる店があった。野菜を中心にすれば、あっさりしているからいいかも。

 後は飲み物を買って、父さんが取ってくれていたボックス席に行くことにした。

 ボックス席は、五階建てのローマのコロシアムを半分にしたような建物だ。広場を挟んで百メートル程の高さがある外壁と繋がっている。この壁を背に、3Dプロジェクションマッピングが映し出される。

 今日は、ケルト神話の『ティル・ナ・ノーグ妖精の国』が見られるらしい。

 ショーが始まるまでまだ時間があるけれど、流石に、他のアトラクションに行く元気はなかった。
 
 据え付けられたテーブルに買ってきたものを置いて、柔らかい人工皮革製のゆったりとしたソファに座りながら、適当に摘む。

 観覧車を降りてから、ずっとジェイが静かだ。

 考えてみれば、告白して断られた相手と一緒に居なきゃいけないのは、キツイよな。

 でも、離れるわけにも行かないし……困ったな……

「雪乃。頼みがある」

 ジェイが改まって、俺を真剣な眼で見詰めて来た。

「――何?」

「この旅行中だけでいい。雪乃がこの国に居る間は、俺の恋人でいて欲しい」

「…………」

 この国に居る間だけ? それは……駄目な気がする。

 旅行が終われば、終わる関係……

 確かに、思い出にはなるけれど……益々、ジェイに惹かれてしまう。そうしたら、終わりが辛くなる。

 だから、駄目……

「……恋人じゃなくて、友達としてなら良いよ?」

 そう言ってから、既に腕を組んで恋人のようなことをしているのに、一体、何が変わるんだろうと考える。

「雪乃」

 エメラルドの眼に、真剣な光を宿したジェイの顔が近づいて来る。


 え……キスを……しようとしてる?


 思わず、仰け反るように後ろに頭を引いてしまった。それなのに、ジェイの動きは止まらない。……止まらないから、俺は、どんどん後ろに身体を反らせて行く。じっと見詰めてくるエメラルドの眼から、視線を逸らせない……このままでは、後ろに倒れてしまう。

 腰を引こうとしたら、ジェイに片腕で腰を抱き込まれた。

「ジェ、ジェイっ……」

 ジェイは止まらず、彼の端正な顔が近付いて来る。

 結果、俺はソファに倒れ込んだ。と、いうか、倒れる瞬間、ジェイに俺の後頭部を掴まれ抱き締められてソファに寝ることになった。

「雪乃……」

 俺の唇に、ジェイの吐息が掛かる。一センチもない距離……でも、触れては来なかった。

「ジェイ……離して……」

「雪乃……俺に触れられるのは、嫌か?」


 その質問は……ずるい。


 ジェイに触られるのは、嫌じゃない。……キスだって、嫌じゃない。だけど、このまま流されるのは駄目だ。

「ジェイ、駄目。離して」

 顔を逸らして、何とか言葉にする。

 俺の頬に、ジェイの唇がそっと触れた。

「雪乃、逃げるな……俺を拒絶しないでくれ……」

 ジェイの弱々しい声に思わず顔を戻すと、唇と唇が当たった。柔らかいジェイの唇と、くっ付いているだけの俺の唇……

「教えてくれ、雪乃……俺がアルファだから駄目だというのなら、俺は……どうすればいい……?」

 弱々しい声でジェイが囁く度に、触れているだけの唇が一緒に動く。

 まるで、吐息を飲み込ませるように……お互いの吐息が混ざり合う。

 俺を手に入れられなくても、ジェイが苦しいのは一時いっときのこと。運命の番に逢えば、あっと言う間に忘れる感情。

 だから、ジェイが遣ることは……


「――ジェイの……運命の番を探して……」


 ……必ず、何処かに居るはずだから。

 何故か、胸が……ぎゅうっと傷んだ……

 唇にジェイの唇の柔らかさを感じながら、キュッと引き結ぶ。

「雪乃……運命よりも……雪乃が欲しいんだ……」


 だから……それは……運命の番に出逢えば変わるんだよ……ジェイ……


 アルファに執着があるように、オメガにだって愛欲がある。アルファに愛されたい欲望がある。

 俺がジェイに惹かれるのは、目の前に居るアルファが強者で、護ってもらえるという安心感があるから。オメガの根幹ともいえる本能だ。

 でも、本当にそれだけなんだろうか……? 強いアルファなら、父さんや兄さん達にも同じように感じるはず。家族と居るのは安心する。だけど、ジェイに感じるのとは、ちょっと違う。

 父さんや兄さん達の腕の中よりも……ずっと、心地が良い……


「雪乃の為なら、ガラクタアルファになっても良い。ガラクタになる覚悟は、とっくに出来ている。だから、雪乃……俺を選んで……」


 ジェイは、こちらが切なくなるほどの声で訴え掛けてくる。

 中に押し入りたいのを必死に我慢して、唇と唇を撫でるように擦り合わせてくる。


 ガラクタアルファ……


 ベータに執着して狂って行くアルファ。目の前に居るのに、いつまでも番にすることが出来ないベータ、いつまでも孕まないベータに苛立ち……最後は、酷い結末を迎えるという。

 そんな狂人になってもいいと、目の前のアルファがいう。壊れてもいいのだと……

 俺はベータじゃないけど、偽ベータのようなもの。ジェイのアルファの執着は、かなり深まって来ている。

『気になる子がいるなら、付き合ってみたら良いじゃないか』

 偽ベータになって、告白されるようになってから家族に言われた言葉が頭を過ぎる。


 そう、なのかな……良いのかな?


 ベータ達は、恋をして失恋したり成就したり、成就しても別れたりして、次の恋に進んで行く。心に決める一人と巡り合うまで、宙ぶらりんなまま彷徨う。

 ベータ達のように別れが来ても、時間を掛けて呑み下して……また、探せば良いのかな? どうせ、今のまま生きていても、どのアルファとだって同じことだ。他に心を惹かれる存在も居ない。

 ――そうだ、何でこんな簡単なことに、気が付かなかったんだろう。


 運命の番を切り捨てた時ほどの、別れの痛みなどないということを。


 その時、オーケストラが奏でる軽快な音楽が大音量で鳴り響いた。


 ショーが、始まる。


 ――そうだな……俺も、ジェイに惹かれている。ジェイを欲しいと思っている。だったら……


 期間限定、バッドエンド確定の、本気の茶番劇ショーを始めよう。


 腹を括ってしまえば、もう、迷いはない。

 ジェイの首に腕を回して、彼の頭を引き寄せる。触れるだけだった唇を更に押し当て、舌でジェイの柔らかい唇を割り、中に潜んでいた舌に絡める。

 俺を抱き締めるジェイの腕に力が込められ、俺の舌を迎え入れるように絡め返してくる。

 軽快な大音量の音楽の中、互いが互いを求めるような、深い、深い、口付けを交わした。

「ん……ぁ……ァ……」

 荒くなる息遣い、絡み付く舌、なぞるように口内を舐め回し、吸われ、吸い返す……お互いに飲み下す、お互いの体液……息が苦しくなって、頭がぼうっとしても、やめようとは思わなかった。

 腕の中に抱き締めるジェイが……とても愛おしい者に感じた。

 昨日の今日で、好きになっているなんて……

 やっぱり、機能は眠っていても自分はオメガなのだと実感した。最高のアルファを前に、惹かれない訳がないんだ……

 その最高のアルファが、ガラクタになっても俺を欲しいという。


 ――――良いよ。


 だったら俺も……ガラクタオメガだ。


 それでも、ほんの短い間……俺のアルファでいてよ……


 ジェイ……


 呼吸困難におちいりそうな口付けのなか、壮大な音楽に合わせて、視界の端を緑色の妖精が軽やかに飛んで行った。

 俺を掻き抱いて離さない、ジェイ。

 繰り返される深い口付けに、意識が朦朧もうろうとして、疲れていたせいもあり……眠るように意識が落ちていく。


 身体の奥深くで、チリッと灼けるような、小さな火がともったような感じがした。





 ぼんやりと目を覚ます。すっきりとしない目覚めだった。

 辺りは暗くて、何処に居るのか分からなかったけど、この国独特の聖域のような空気のせいか、不安は感じなかった。

 喉が渇いた……シャワーも浴びたい……

 身体は汗でベト付くし、髪の毛もゴワゴワして気持ち悪い。

 やけに重く感じる上半身を起こすと、頭が重くなったみたいに支えることが出来ず、ぼふりと布団の上に前のめりに倒れた。

 あれ……身体が上手く動かせない……

「――雪乃……?」

 ジェイの声がした。同時に、部屋にほんのりと明かりが点いた。

「のど……渇いた……」

 布団に突っ伏したまま言うと、ジェイは、ベッド脇の小さな冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して、差し出してくれた。

「ほら」

 受け取りたいのに、身体が重くて動かない。

「……動けない……」

 ジェイは俺の後ろに回り、俺の上半身を起こしてジェイの身体に寄り掛からせてくれた。

「熱いな……」

 ジェイの大きな手が俺の額に置かれる。ひんやりとして気持ち良かった。

 キャップを外したペットボトルが口に当てられて、ゆっくりと飲ませてくれる。

「シャワー……浴びたい……」

 ジェイに、ぐったりと凭れながら強請る。

「身体を拭いてやる」

「やだ……シャワーがいい……」

 子供に返ったみたいに、舌っ足らずな口調になって甘える。

「仕方ないな、直ぐに終わらせるぞ」

 ぼうっとしている間にその場で服を脱がされ、ジェイも服を脱いで俺を縦抱っこした。

 羞恥心なんてものは、ごっそりと抜けてしまっていた。小さい子が親に服を脱がされ、抱き上げられて風呂場に向かう感覚だった。

 ジェイの身体がひんやりとしていて、気持ちが良い……


 ぼうっとして、意識が……途切れ、途切れのような気がする……


 ジェイは、バスルームに行くと俺を抱っこしたまま椅子に腰掛けて、髪や身体を手早く洗ってくれた。歯を磨きながら、股間をのろのろと自分で洗った。

 バスルームを出るとジェイが身体を拭いて、下着とスウェットの上下に着替えさせてくれた。縦抱っこのままだ。髪も乾かして貰えて、至れり尽くせりだ。俺は、ぐったりとジェイに寄り掛かったまま。


 ジェイは、ずっと何かを耐えるように無言だった。


「雪乃、ベッドのシーツを替えて来るから、ここで待っててくれ」

 ソファに下ろされて横たわる。

 ここ……ジェイの部屋だ……

 ぼんやりした頭で、漸く、気が付いた。

 テーマパークから、どうやって帰って来たんだろう。ジェイが抱えて来てくれたのかな……?

 何で、宿泊しているホテルじゃなくて、ジェイの部屋に居るんだろう……

 離れて行った温もりが恋しい……身体が寒く感じる。ジェイは……何処に行ったの……?


「ジェイ……どこ……? ジェイ……ジェイ……」


 急に、親とはぐれた子供のように不安になって、ジェイの名を呼ぶ。

 俺のアルファになると言ったくせに、何処に行ったんだ……あれ……言われたっけ……?


「……ジェイ……ジェイ…………どこ……?」


 ジェイが消えた……何だか、凄く、寂しくて、哀しくて、涙が零れた。


「……ジェイ……」


「雪乃? 何で、泣いてるんだ?」

 ジェイが戻って来て、慌てて俺を抱っこしてくれた。

「……ジェイ……どこに行ってたの……?」

 ジェイに擦り寄って、咎める。

「ククっ……シーツを替えて来るって、言っただろ?」

 そんなこと、言われたっけ……? 頭が回らない。でも……

「ジェイは、俺のアルファなんでしょう?」

「ああ、雪乃のアルファだ」

 優しい声で即答された。

「じゃあ、ちゃんと傍にいて……」

 ジェイの首筋に、ぐりぐりと頭を押し付ける。

「ああ……悪かった。ちゃんと傍にいるよ」

 愛おしい者に向けられる、優しく甘い声が耳元に落とされた。


 ちゃんと、知っているよ。

 その言葉が……嘘だって……

 ……ああ……違うか……

 今は本気でも、何れ嘘になるって……知っているよ……


 いつの間にかベッドに運ばれて、ジェイも一緒に寝てくれる。頭を撫でられながら顔中に触れるだけのキスを落とされている内に、意識が途切れた。
 
 



 



 
 
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