運命の番に為る

夢線香

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03. 運命の崩壊

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 僕の運命の番。――僕のアルファ。僕だけの特別。

 心も身体も、唯一を求めている。この番の匂いが教えてくれる。相手も同じ気持ちだと。

 だから、早く傍に行きたい。腕の中に抱き締められたい。声が聞きたい。肌を触れ合わせて、僕の番の匂いに包まれたい。

 自分でも……狂っているんじゃないかと思う程の衝動と焦燥が、全身を駆け巡る。まだ、顔すら見てもいないのに、堪らなく愛おしいものだと解る。無条件に欲しくて堪らない……

 心も身体も、脳が焼き切れるんじゃないかと思う程に渇望する。番の元に行くことを阻む家族に、憎悪すら湧いて来る。番の事だけで頭が一杯で、思考回路が一つしかなくなったみたいだ。

「――北青院、止まれ。それ以上、近付くな」

 禅乃兄さんの冷やかな声が、威圧と共に放たれる。都乃姉さんの威圧も重なる。

「っ!……俺の……番だっ!!」

 初めて聞く番の声。姉さんと兄さんに阻まれて、苛立ちを隠しもしない。邪魔をするなと言わんばかりだ。

「っ……父さんっ……! 離してっ……!」

 父さんの腕の中で暴れる。


 身体が熱いんだっ……! これを鎮められるのは、番しかいないっ! だからっ……離してよっ……!!


「っ~~! 都乃姉さんっ……! 禅乃兄さんっ……!」

 どうやっても父さんの腕から逃れられない。苛立ちまぎれに僕が叫ぶと、二人は牽制しながらも僕を振り返った。その先に、漸く僕の番を見付ける。

 禅乃兄さんと同じ位の高身長に、スラリとした逞しい身体。さらさらの短い黒髪。前髪を軽く横に流している。高い鼻梁に薄めの唇。形の良いキリッとした眉は、ぎゅっと寄せられ、鋭い眼は……喰い入るように僕を捉えて離さない。

 姉さん達の威圧に、それ以上、近付けなくて、右に左にウロウロとしている。

「どうしてっ……!? どうしてっ……邪魔するのっ……!? 皆、運命の番を持っているくせにっ……!」

 叫びながら涙が零れた。

「「……雪乃……」」

 都乃姉さんと禅乃兄さんは、哀しそうに顔を顰めた。

「――俺の番を……番を、渡して下さいっ!」

 彼は、僕の方へ両腕を広げて渡せとせがむ。僕も彼に向かって必死に手を伸ばした。

「――駄目だ。日を改めなさい」

 父さんが静かに、きっぱりと言い放つ。

「っ!? 父さんっ……!?」

「もう、ヒートになり掛けているっ……! 運命の番である、俺の傍に居た方が良いでしょうっ!?」

「――それは、どうかな」

 噛み付かんばかりの彼に、父さんは冷やかに言った。

「父さんっ! 父さんっ! どうしてっ……!? 何で駄目なのっ……!?…………ヒッ!?」

 初めて、父さんに威圧を浴びせられた。

 まるで、窘められるような威圧だった。全身が強張って、ピクリとも動けなくなる。少しでも動いたら、仕留められそうな感覚に冷や汗が滲む。血の気が一気に下がって、勝手に涙が溢れて頬を伝い落ちた。

「や、やめて下さいっ! 俺の番にっ……! 酷いことをしないで下さいっ!!」

 彼が蒼い顔で父さんに懇願する。

 彼では、希少種の父さんには敵わない。ただ、懇願することしか出来ない。じりじりと躙り寄っては、冷や汗を流している。


「――聴いて、雪乃。……彼には既に、番が居るわ……」


 ガチりと固まっていた僕の耳に、都乃姉さんの信じられない言葉が投げ掛けられる。

 番が居るわ……? 

 言葉の意味が全く分からない……

 頭が理解することを拒む。

 ……だって……彼の番は、僕でしょう……?

「…………」

「っ……確かにっ……! ……番は……居る……だがっ! 他に番が居ることが嫌なのならっ、俺はっ……!!」


「「北青院っ……!!」」


 都乃姉さんと禅乃兄さんの恫喝と共に、強烈な威圧が彼に叩き付けられた。

「ぐうぅ……っ!!」

 彼は、跪きそうになるのを両膝に手を突いて、どうにか耐えた。苦痛に歪み顔面蒼白になった彼の口からは、荒い息が吐き出される。

「――それ以上は、言うなっ……!!」

 禅乃兄さんの押し殺した声が、投げ付けられた。

 唇をぐっと噛み締めた彼の後ろから、ふらふらと一人の女生徒が脚を震わせながら近付いて来た。

 高校の制服である濃紺の膝下までのスカート。ライトグレーの長袖のブラウス。薄いクリーム色のニットのベストにワインレッドのリボンタイ。黒のハイソックスに焦げ茶のローファー。在校生だと一目で分かる。腰まで伸ばした滝のような黒髪。知性的な綺麗な女性だった。

 ――でも、今は……顔面蒼白で、人形のように表情が無い。

 それに、彼女からは……僕の番の匂いがする……

 俺のオメガだから手を出すな、彼女が纏う番の匂いは、そう強く主張していた。それ程までに強く濃い、執着を孕んだマーキングだった……

 どうしてっ……!? 何で、あのオメガが僕の番の匂いを纏っているのっ……!?


 その匂いはっ……! 僕の為の匂いだっ!!


 嫉妬で……足の爪先から頭の天辺まで、どす黒く染まるようだった。運命の番を前にして、視野の狭まった僕では、感情を制御することが出来ないっ!

 人を憎悪したことも、妬んだこともなかったのにっ……これ程の醜い感情が、自分の中にあっただなんてっ……!

「……政親まさちか……私を……捨てるの……?」

「っっ……!!」

 彼女は震える手で彼の袖を掴んで、全ての感情を失くしたように、抑揚のない言葉を零した。その言葉に彼が息を呑む。


「……政親に項を噛まれた私は……どうなるの……?」


 嫉妬に狂って、どす黒く染まっていた僕は、その言葉に頭を殴られたような衝撃を受けた。


 ――項を噛まれて捨てられたオメガは、新たに番を得ることは出来ない……番のいないヒートの苦しみと、番が傍にいない喪失感で心を蝕まれ、精神を壊して狂って死んでしまう……

 もし……彼女と番を共有すれば、このどす黒い嫉妬が死ぬまで続く。姿は見えなくても、匂いは消せない。

 きっと僕は……嫉妬に狂って精神を壊すと思う。唯一を求めるのは、大神一族の根幹だといえるから。番の共有なんて、有り得ないんだ。

 ――でも、もし、彼が彼女を捨てて僕を選んだとしたら? 項を噛まれた彼女は、悲惨な未来しかない。彼女を犠牲にして、僕は、幸せだと思えるのだろうか……

 彼は、彼女をそこまで足蹴に出来るのだろうか……あれ程の執着を孕んだマーキングをしている彼女を……

 ……今なら……僕が噛まれていない、今ならば……

 僕が運命の番を手放せば……誰も、壊れない……?

 これ程の衝動を抱かせる運命の番を諦めて……僕は、狂わずにいられるの……?

 今迄と変わらない日常を……送れるの……?


 ――――幸せになれるの……?


 結局、どちらを選んでも……僕は、幸せにはなれないんだ……

 運命の番に逢いたいなんて、願うんじゃなかった。

 こんな運命なら、出逢わなければ良かった……運命なんて……要らなかった……

 父さんに後ろから抱き込まれたまま、俯いた僕の目から、涙がポタポタと落ちて……乾いた赤茶色の敷石を濡らしていく。落ちて行く涙の水滴まで見える……


 ポタポタ……ポタポタ……


 赤茶色の敷石に、濡れて濃くなった茶色の水玉模様が出来て行く。

 緊急用の抑制剤と父さんの威圧で、大分、理性が戻って来た。

 どうして都乃姉さんや禅乃兄さん、そして、父さんが、僕が番の元に駆け寄ることを阻んだのか、今なら解る。

 ヒートを起こし掛けている身体は、運命の番の子を孕みたいと、じんじんと疼いている。理性が戻っている今も、番に駆け寄って抱き着きたい。番の匂いに包まっていたい……

 運命の番と出逢う。この狂わんばかりの衝動さえ知らなければ……この先運命の番と出会えなかったとしても、激しい喜びを、衝動を、焦燥を、嫉妬を、憎悪を、哀惜を、喪失を、知らずに済んだ。

 この激しい感情を知ってしまった僕が、この先、他のアルファと番うことが出来るんだろうか……?


 運命の番に向ける、この感情の全てが……消えてなくなる日は来るの……?


「――北青院。一旦、引けよ。お前の番も、お前のフェロモンに当てられてヒートを起こしかけているぞ」

 禅乃兄さんが、苦々しく言う。

 彼は顔を歪めて、僕と彼女を交互に見ながら迷っている。その戸惑いに、彼女の表情は……益々、硬くなっていった。


 ――そう……彼女と肌を合わせるんだね……今迄、そうして来たように……


 僕の番にも、彼女の匂いが付いている。彼女が来たから、それが解った。

 僕は、僕だけのアルファが欲しい。僕と番だけの匂いじゃないと嫌なんだ。きっと、この先、番に付く彼女の匂いに狂いそうになる。きっと、彼女も同じだ。


 ――――言わなきゃ……


 でも、本能が邪魔をする。アレは、自分のモノだと叫んでいる。何故、自分のものを手放さないとならないんだと、荒れ狂う。

 ……じゃあ、彼女の不幸を犠牲にして、彼と番えるの? 彼女の存在を知ってしまった今、平然として番と幸せになれるの? 共有することを許せない僕は、彼女を不幸にしても幸せに浸れるくらい、図太い神経を持っているの?……無理だよね? 僕には、無理だ……


 だから、今、言わなきゃ。


 もう、二度と逢わなくて済むように。今、言うんだ。

「――貴方はっ……」

 どうにか声を出したけど、続く言葉が出て来ない。

 喉につっかえて、本能が言わせまいとする。

 口だけが、はくはくと何度も空を切る。

 言葉を発しようとしている僕に、彼が、ハッとして僕を見詰める。

 その目は、愛おしい者を見る目だった。

 やめて……そんな目で見ないで……益々、言えなくなってしまうから……

 涙腺が壊れてしまったように、涙が止まらない。何度も何度も唾を呑み込み、口を開いては、また呑み込む。胸がキリキリと絞り上げられるように、キュ~~っと痛む。

 それを幾度となく繰り返す。そんな僕を彼はじっと見守った。


「……貴方はっ……もう………僕の………アルファじゃ………ないっ……」


 漸く、どうにか言葉を絞り出す。言った途端に胸が引き裂かれそうに痛んだ。

 彼の目が大きく見開かれ、愕然となる。

「――僕の運命はっ…………もう…………いないっ……!」

 涙が、次から次へと流れ出る。

 ……胸が痛い……イタイ……

「っ!? ……ま、待ってくれ……ちゃんとっ……話しをっ……!」

 慌てたように引き止める彼に、首を横に振る。


「もう……逢わない……僕に……運命の番は……いない……」


 僕は、父さんの腕の中で向きを変えて、父さんのお腹に抱き着いた。父さんは、僕の頭を一撫ですると、お尻の下に腕を回して抱っこしてくれた。改めて、父さんの首にしがみ付く。

「待てっ! 待ってくれっ……! 俺はっ、君の番だっ……!!」

 背中の向こうで、彼が騒いでいる。

「……帰りたい……」

 彼の焦燥と絶望が滲む声を……これ以上、聴きたくない。

「――分かった」

 父さんは、スマホで畑野さんに連絡を入れた。

「君の望み通りにするからっ……! もう、逢わないなんて言わないでくれっ……!!」

「北青院、諦めろ。大神一族が一人しか番を持たないのは、お前だって知っているだろう? 他に番を持っているお前では、駄目なんだ。例え、彼女を切り捨てても……雪乃は、幸せになれない。――自分の番を大事にしろ」

 禅乃兄さんが彼を説き伏せている。もう、何も聴きたくない。早く、此処から離れないと彼の言葉に頷いてしまいそうだった。

 父さんが、歩き出す振動が伝わって来た。片耳を自分の腕で塞ぎ、もう片方の耳は父さんの首筋に押し付けて、父さんの脈動を聴く。


 何も、聴きたくない。

 何も、見たくない。

 何も、考えたくない。

 運命の番なんて、何処にも居ない。居なかった。

 僕には……いなかった。

 運命の番の匂いなんて、嗅ぎたくない。

 
 それなのに……身体が引き裂かれるように……イタイ。

 番を求める本能が暴れまわる。彼から遠ざかることが堪らなく寂しくて、引き裂かれるように、切ない。辛い。まだ、見えない何かで彼と繋がっている。

 ブチブチと引き千切らなければ……心と身体がどれ程の血を流そうとも、運命を引き剥がさなければ……

 僕は、ずっと、恵まれた幸福なオメガだと思っていた。……でも、違った。

 運命の番を手に入れられなかった僕は、どうなるんだろう。知ってしまった運命の番の強烈な存在を、忘れることが出来るのかな。他のアルファと番うことなんて、出来るのかな。そのアルファにも、僕とは別に運命の番がいるのに……

「――父さん。僕だけ……運命の番がいないっ……」

 涙は、止めどなく流れ落ちる。

「…………」

 父さんは、無言で背中を撫でて来る。


「ぅ……ぅぁぁあああ゙あ゙ぁ゙ぁ゙っ……あ゙あ゙あ゙あ゙ァ゙ァ゙っッ!!」


 泣く、なんて言葉では言い足りない。思い通りにならない癇癪でもない。

 ――――慟哭。

 抑えきれないほどの嘆き。そして、哀しみ。

 僕は、喉の痛みも無視して、有りっ丈の声で慟哭した。そうしないと、僕の中の哀しみや喪失感が消えないから……

 僕の中の本能が泣き叫び、荒れ狂う。

 頭が割れそうに痛む。眼の奥が、ズクンズクンと脈打つように痛む。鼻の奥がズキリとして、生臭い鉄の臭いがする。裂けた喉が痛んで、口の中に鉄の味が拡がった。

「っ!? 雪乃っ……!?」

 焦ったような父さんの声が遠い。耳は父さんの首筋にくっ付いているのに、凄く遠い。

 僕の名前を呼ぶ父さんの声が、どんどん遠ざかって……



 ――――何も、聴こえなくなった。











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