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王太子編
ランドラーク・パラバーデ (終) ★
しおりを挟むシュザークに慰められながら、何日かが過ぎた。
この頃には、色々な悩みがあったが、シュザークの手によって官能に落とされて、碌に悩む事が出来なかった。
悩まずに済んで良かったのか悪かったのか…ちょっと判断が付かない。
ノルフェント殿は、ハーシャと伴侶となった。キディリガン辺境伯爵家に戻るらしい。
ハーシャが戻るなら、シュザークも戻ってしまうのだろうか……? 今、戻られると…心も……身体も……とても拙いことになりそうなんだが……。
ぢゅくぢゅくと疼く下腹をそっと撫でる。熱く甘い吐息が溢れる。
この疼きは、一体、いつになったら治まるのだろうか…。どんどん、疼きが強くなって来ている気がするが…。しかも、下腹だけじゃない…。胸の頂きも…おかしい…。シャツに擦れる感触が、妙にはっきりと感じられて、痒いような…疼くような…妙な感じだ…。
シュザークに尋ねると、準備が整って来た証拠だと笑っていた。
そうか、此れもシュザークを受け容れる為に必要な事だったのか、と改めて知った。
「準備も整ったし、そろそろ良い頃合いだね」
一昨日、いつものように散々、極めさせられた後にシュザークが言った。くたくただった私は、何のことか聞くこともなく眠りに落ちた。
シュザークに、二、三日は逢いに来れないと言われて、頷いた。
ずっと、私に付いていてくれたのだ、頷くしかない。シュザークは綺麗に微笑んで部屋を後にした。
今はまだ、シュザークは婚約者のままだ。まだ、解消されてはいない。でも、何れ…解消になる…。シュザークは秘薬を探す気でいるようだが、そんなに簡単に見付かる筈がない。
だが…、こんなに疼く身体になってしまって…大丈夫なんだろうか…? 何日か触れないでいれば、治まるのだろうか…? でも…こうならないと、シュザークには抱いてもらえないのだから、仕方が無い…の…だろう…。
ずっと、シュザークが傍に居てくれて、嬉しかったな…。抱き締めてくれるようになったし、口付けだってしてくれたし、身体だって嫌がらずに触ってくれた。あんな処まで…全部。偶に、…か…可愛いって…言ってくれる。正直、私の何処が可愛いのか分からないが…。シュザークよりも小さいからだろうか…?
私も、其処まで小さい訳ではないのだが……シュザークが大きいだけだ。
はあ…。この先、私はどうなってしまうのだろうな? シュザークと伴侶になれない私は、誰を伴侶にしなければならないんだろう? もう、誰でも同じだな…。
シュザークに抱いて貰ったら、私は、国の為だけに生きよう…。この国には、シュザークが居るのだ。国が善い国なら、シュザークの為にもなるだろう。
また、溜め息しか出なくなるな……。
シュザークが来なくなって三日が経った。身体の疼きは増すばかりだ…。気を抜くと、直ぐにシュザークを思い出す。私に触れるシュザークを…。私は、好色だったのだろうか…? シュザークにだけだから違うだろう? 違うよな…?
夕餉を済ませた後に、突然、シュザークが訪れた。随分遅い時間だったが、シュザークに逢えるのならば問題無い。自室に招き入れると、今日は泊まっていくと伝えられた。
泊まる? ──もしかして、今日…抱いてくれるのか…? そう謂えば、準備も整ったと言っていたな…。
其の考えに至ると、急に心臓がどきどきと早鐘を打ち始めた。
シュザークは、私の手を引いて寝室へと向かう。
やっぱり、そうなのだな…? 今日、私とシュザークは身体を繋げるのだな…?
全身が心臓になったようにドクドクと脈打つ。
シュザークは、私をベッドの淵に座らせて、私の前に立った。
胸を高鳴らせて、シュザークを見詰める。
シュザークは、収納空間から小瓶を一つ取り出した。見覚えのある小瓶に、全身が固まる。
まさかっ……! 本当にっ…手に入れたのかっ……!?
「これが、欲しかったんだよね?」
「ああっ…!! 此れさえあれば、シュザークと伴侶になれるっ…!!」
喜びの余り、叫びながら震える両手で緻密な飾りの小瓶をそっと握り締める。
「凄いっ…! 何処で手に入れたのだっ…!!? いやっ…!! 其れよりもっ…! 早くっ…!!!」
今度こそ、誰にも奪われないように、直ぐに飲んでしまおうっ…!!
私が瓶の蓋を開けようとすると、スッと小瓶を取り上げられた。
「あっ…!? 何故っ…!?」
小瓶を追い掛けて、シュザークの腕に取り付く。
シュザークは、小瓶を収納空間に戻してしまった。
「まだ、駄目だよ」
シュザークの腕に取り縋ったまま、恨めし気に彼を見る。
「何故だ……。やはり、私と伴侶になるのが嫌なのか…?」
シュザークは笑いながら、私の服に手を掛ける。その瞬間、転移魔法で服だけを取り払った。
「わっ…!?」
服を脱がすだけの為に、転移魔法を使う者などいないっ…! 魔力を多く使うからだ。其れなのにっ…。
「伴侶になる為の最終確認が終わったら、ちゃんとあげるよ?」
「? ……最終…確認……? 其れは、何だ…? 何を確認するのだ…?」
さり気なく、股間を腕で隠しながら尋ねる。
「私の身体に、傷痕があることは知っているかい? 最初に申告しておいた筈だよ?」
シュザークが首を傾げる。
「ああ、勿論、知っている。──複数あると、聞いているが……」
婚約者に据える前の身辺調査の一貫で、体の病気や障害がないか、侍医達が確認した。その報告を受けているので、身体に複数の傷痕がある事は知っている。何故、付いたかまでは知らないが…。
シュザークは頷いて、自らの服を転移魔法で取り去った。始めてみるシュザークの裸体に、色んな意味で眼が釘付けになる。
肌は白いけれど、逞しい身体だ…。引き締まって、筋肉も綺麗について男らしい身体。其の白い肌に奔る幾本もの傷痕……。思わず、手を伸ばして傷痕に触れる。
「──今も…痛むのか…?」
傷痕を撫でながら、シュザークの身体を確認していく。
「時々、疼く傷痕もあるかな…」
背中側に回れば其処にも多くの傷痕がある、太ももの裏や…脹ら脛まで……。
「──何の傷なんだ…? どうして、こんな事に?」
余りの痛ましさに、背中の傷痕に唇を寄せて舐めた。
「っ…」
シュザークの身体がピクリと反応した。
「義理の父親による、虐待の跡だよ…」
背中の傷痕を一つ一つ舐めて、眉を顰める。
「──いつの事だ…?」
脇腹まで続く傷痕を舐めながら尋ねる。
「っ…六歳から始まって、九歳…までかな…」
シュザークが始めて茶会に参加したのは八歳の時…暗い顔をして…じっとテーブルを見ていたのは、虐待されていたからなのか……。私が、あの時…気付く事が出来ていたなら…何かが変わっていただろうか…?
「──酷いな……」
シュザークの脇腹の傷痕を舐めながら呟く。そのまま、腹の傷痕を舐める。
「──此れでも、私はまだましな方だよ…。ハーシャは、もっと酷いからね……」
シュザークは苦々し気に顔を顰めた。
──此れよりも…? そんなに、酷い環境だったのか……。
腹や胸の傷痕を丹念に舐める。今更、こんな事をしても何にもならないだろうけれど……こうせずにはいられなかった。
そして、さっきから気になっている、シュザークの陰茎…。白金色の下生えに埋もれた陰茎は、まだ、兆してはいない。だが…色が……。
「ピンク色じゃないんだな……」
思わず、シュザークの陰茎をちょんっと指で突付く。
「っ! ──何だって…?」
シュザークにまじまじと、顔を覗き込まれる。
「あっ…いや、その……何でもない……」
誤魔化そうとしたが、顎を持ち上げられて出来なかった。
「その……夢の中のシュザークのコレは、閨の道具と同じ、紅色の強いピンク色だったから……」
眼を逸らしながら、ボソボソと答えた。
「……ランドラーク殿下……貴方は……」
「こんな時くらい、ラルクと呼んでくれ」
シュザークの言葉を遮って、懇願する。シュザークは、大きく溜め息を吐いた。
「──ラルク。まだ、私の夢を見ているのかい?」
「毎日、見る」
私が断言すると、シュザークは一瞬目を見張り、其れからふっと眼を和らげた。
「そう…そこまでなんだ…」
何が、そこまでなのだろう?
そう思っていたら、唇を塞がれた。いつもと違って荒い舌使い。─だけど…求められているようで…嬉しい。それに…何だか…いつもと感じが違う…。痛いほど舌を吸い上げられて悶える。漸く離れていった唇に、ほっとして荒く息を付く。
「ラルク、最終確認をしようか」
「──何を、確認するのだ……?」
「私とラルクの身体の相性」
「っ…!」
シュザークに縦に抱かれて、直ぐ側のベッドに倒れ込む。素肌同士の感触が気持ちいい。シュザークの手が、私の身体をざわめかせながら撫でてくる。唇が塞がれて、いつもの優しい口付けが始まった。その間も、シュザークの手は私の身体を撫で回し、焦れったい刺激を与えてくる。
今までは、触れられなかったシュザークの身体に触れて、傷痕をなぞるように触れていく。呼吸もままならない口付けに、苦しさと気持ち良さが混ざって、頭がぼうっとして来る。
シュザークの距離が近くて嬉しい。ずっと、抱き着きたかった。只管、前立腺を攻められている時も、シュザークに獅噛み付きたかった。
シュザークの手が私の胸の頂きを撫でてきて、ひくりと身体が震える。小さな乳首が刺激を拾ってしまう。前までは、何も感じなかったのに…。
シュザークの柔らかい唇が私の顔をふにふにと啄む。耳朶を口に含まれ、歯で甘噛してきたり、舐めたり吸ったりして来る。耳元で聞こえるクチュ…ぴちゃ…ピチャリ…と鳴る水音が、酷く、厭らしく感じて…ぞくぞくする。舌が耳の中を舐めてきて、耳からぞわぞわと甘い震えが全身に回って、止まらない。
「ンッ…あ…ぁ…」
思わぬ声が漏れて、どうして良いか分からない感覚に、シュザークの首に縋り付いて、頭を頭に擦り付ける。
シュザークが喉奥で笑った。
シュザークの手は私の乳首を優しく撫でながら、時々、弱い力でトントンと指の腹で叩かれる。身体がひくりと跳ねた。トントンされるのは、私の意識をそこに持って来いということ。
私の勃起した陰茎がシュザークの腹の下で潰されて揉まれている。それがまた…気持ちいい……。きっと、シュザークは意識してそうしている…。器用な男だ…。首を彼の唇が這っていく。時折、舐めては吸って軽く歯を立てながら、きつく吸われる。
どこもかしこも、ゾワゾワする処ばかり…。全部、トントンされた事がある場所ばかり…。
「う…ぁ…」
でも、どの刺激も弱くて、悶えさせるものだけだ。
何処にも行き場のない疼きに悶えて、シュザークの身体に脚を擦り付ける…。
胸に降りていくシュザークの頭が遠ざかる。彼の白金髪の尻尾のような髪が、胸を擽る。ちっちゃな乳首に辿り着き、舐められる。
「ふ…っ……ん…」
舌先で、そっと擽られて、濡れた感触と外気に冷やされる感触に、震える。暫くの間、指と舌で、左右の乳首をかわるがわる弄られる。
溜まっていく疼きに、身体をじっとさせて居られない。
「あ…ぁ……シュザークっ……ぅ…ん…」
どうにかして欲しくて、シュザークの名を呼ぶ。
シュザークは笑うだけ。でも、片手が乳首から外れて、腹を撫で下腹を滑り、陰茎の横を通り過ぎて会陰を撫で後孔へ辿り着く。たった其れだけの動きでも、腰をくねらせ、身悶えてしまう。
後孔に添えられた指を呑み込みたくて、ヒク付いてしまう。
「ふふっ…待ち切れないのかい?」
浄化魔法が掛けられて、いつものスライムジェルのぬめりを感じた。
ずっと、疼いていた奥が喉を鳴らすようにきゅむりっと蠢いた。
「ずっと…中が…疼くんだ……」
素直に答えるとシュザークは喉で笑って、ヌルリと指を挿し込んでくれた。
だけど、前立腺は外して拡げる動きしかしてくれない。其れでも、他の場所の弱い刺激だけを引き出してくる。
「ん~~っ…!…シュザー…クっ…!…」
腰をくねらせ、脚をシュザークの身体に擦り付け、強請るように、彼の名を呼ぶ…。
「ん、もうちょっと我慢して? 最高に気持ち良くしてあげるから」
…最高に…? いつも、とんでもなく気持ちいいが…。
シュザークは手を止めず、私は疼きが溜まるばかり…。
後孔の指は二本になり、もう片方の手は乳首を爪で掠めるようにカリカリと動く、口はもう一方の乳首を乳輪ごと吸い上げて、舌先で擽ってくる。どれも、達する程の刺激にはならない。シュザークの腹で擦られる陰茎が自身から滲み出るもので濡れていく…。
極めたい。達したい。
脳天を貫いて、真っ白になって、疼きから解放されたい……。
上り詰めた疼きは、直ぐそこまで来ているのに…もっと上に行くには、刺激が足りない……。
中途半端な刺激は、耐え難いほどに疼いて、焦れて、悶えさせられて、早く欲しいと強請る欲望でいっぱいになる。
「ふ…ン……シュ…ザークぅ…っ……」
鼻に掛かる甘ったれた声が漏れる。涙で滲む潤んだ眼で懇願を込めて、シュザークを一心に見詰める。
「──ラルク…。貴方は本当に、可愛いね……」
シュザークが慈愛に満ちた微笑みを浮かべ、私を見詰めてくる。でも、其れだけじゃない…。強い光も纏った視線だった。
胸を弄っていた手が離れ、脇腹を滑りながら私の陰茎に触れてきた。
「……んっ…アッ……!…」
人差し指の背で裏筋をぐぅぅっ…と根元からゆっくりと撫で上げてきて、身体が震えた。乳首をちゅっと吸われて離れていく。
ちょっとだけ強い刺激だけど、やっぱり…足りない。身を捩らせて、シュザークを急かすように脚を擦り付ける。後孔の指が三本に増えた。だけど…前立腺には触れてくれない…。
余りの焦れったさに、自分の陰茎に手を伸ばす。陰茎に辿り着く前に、伸ばした指先をシュザークの口にぱくりと食べられた。指先を滑る舌が舐めて来て…その感触にゾクリとした。
「や…っ…!…う…ぅ……!…」
指先をねっとりと舐め上げられる度に、ぞわぞわと身体を甘い痺れが奔って、益々、焦れったいっ…!
後、もう少しなのにっ…! もう少し、強い刺激を貰えれば、達する事が出来るのにっ…!
いつもなら、頭がおかしくなりそうな程に極めさせてくれるのにっ……。その、感覚を思い出して…早く…其れが欲しくて、焦れる。
「あ…お…お願いだ……シュザークっ…!…早くっ…!!」
潤む眼で…シュザークを強く見詰めて、懇願して、強請る。もう、達することしか考えられないっ…!
シュザークの口から指先が解放される。開放された指先がピリピリと痺れていた。
「もう、我慢できないの…?」
シュザークは首を傾げて幼子と話すように、優しく問い掛けてくる。
「ぅ゙~~……で、…できな…い……!…」
シュザークに釣られたように、幼い口調になってしまった……。後孔の指を、きゅむきゅむと喰んでしまう。そうしたら、三本の指が抜けて行った。
「あっ……や…やだっ…!」
抜けて行く指を引き留めようと、ぎゅうぅっと締め付けたけれど、ヌルヌルの指は、抵抗虚しく抜けて行ってしまう。
シュザークは、全部の刺激を止めてしまった。焦れったい刺激すら取り上げられてしまって、行き場を失った疼きに灼かれて、涙が零れた。
「シュザークっ…どう…して…だ……?」
恨みがましく聞いてしまう。
シュザークは喉でクツクツ笑いながら、私を抱き締めた。その身体に獅噛み付く。
「よしよし、ちゃんとあげるから、泣かないの」
シュザークは、優しく宥め賺すように言いながら、私の顔に唇を落としていく。頭の後ろを支えられながら、抱き上げられて、大きなクッションの上に降ろされた。
身体に熱が燻って、熱い…。達したいと暴れる疼きは、私の陰茎をがちがちに硬くして、張り詰め過ぎて痛い…。早く、出してしまいたい…。
「シュザーク……お願いだ……早く、いつもみたいにしてくれ……」
身体の熱が下がってしまわない内に、早くっ…!
片脚をシュザークの肩に担がれ、後孔にスライムジェルが押し込まれて、割られた。
やっとっ…、いつもの快楽が貰える。指で前立腺を容赦なく触って貰える。─なのに、指はまた、抜けて行った。
「あ…」
落胆の声が漏れてしまう…。だけど、今度は熱くて肉質なものが、ぴとりと後孔に充てがわれた。シュザークの赤黒い陰茎が……後孔に添えられている…。
「っ…!」
え… あんなに、大きいのか……?
閨の道具よりも…ずっと、………大きい…が……。
え… 其れを…私の中に……容れる…の…か……?
「…シュ…シュザーク……容れるのか…? ソレ、挿いる…のか……?」
ヒクヒクと後孔が怯える。
シュザークが、やんわりと濡れそぼった私の陰茎を撫でる。身体がひくりと跳ねた。
「大丈夫。その為に、身体の準備をしてきただろう? ちゃんと、挿いるようになったから、心配ないよ」
シュザークの硬くて弾力のある切っ先が、後孔をぬるぬると撫でる。
そ、そうか…。そうだな…。その為に準備をして来たのだ。シュザークが挿いると言うのなら、間違いはないのだろう…。
ほっと、胸を撫で下ろす。
私の陰茎を壊れ物のように撫でながら、後孔を熱い切っ先が撫で回す。
シュザークが私の中に押し入って来るのを、今か今かと待っているのに、なかなか、挿いって来てくれない。弱い刺激ばかりが与えられる。
「…シュザークっ…!…早くっ…いつもみたいに極めさせてくれっ……!…なんで…くれないんだっ……!」
もう、我慢の限界で…シュザークを責める。
シュザークは意地の悪い顔で、くつり、と笑って、陰茎を撫でていた手を離し、陰茎の付け根の直ぐ上の腹を濡れた手で…くっと力を入れて…じっとりと撫でてきた。何故か、身体がビクビクと震えた。
「は…ぅ…」
私の口から熱い吐息が漏れる。
「ふふっ…。ちゃんと、あげるって言っているじゃないか。──ここが、疼いて仕方がないんだろう…?」
撫で回す手に軽く押されて、何とも言えない痺れが身体を奔る…。息が上がって、荒くなる。
腹に気を取られていたら、後孔をシュザークの切っ先がトントン、と叩いた。
条件反射のように、後孔に意識が集中する。
「ほら、最高に気持ち良くしてあげるから、ここに集中して」
その言葉に、期待が高まる。いつもの、あの刺激がやっと貰える。早く…早く…欲しい…。
襲って来るだろう快楽に期待して、喉がごくりと鳴った。
「さあ、私と繋がるよ…?」
シュザークの言葉に、期待が更に高まり、胸も高鳴った。
シュザークの切っ先が、ぐぐっと後孔に押し付けられてくる。其れは、じりじりと躙り寄るようにゆっくりで…少しずつ後孔を拡げて行く感覚まで、はっきりと分かる。じわじわと侵蝕されていく…。じりじりと迫ってくる…。今まで…知らなかったものが…這い入ってくる…。
ぐぐぐぐっ…と、後孔がこれ以上ないほど拡がって、ぐ~~ぽり…!とシュザークの先端を呑み込んだ。
「ぅああ~…ぁ~…ぁ~…っっ!」
ゆっくりな動作のせいで、間延びしたような声が漏れた。
今まで感じたことがない、太いものが私の後孔に挿いっている…。その感触にぎゅう~っとシュザークの肉杭を喰い締める…。
「ぐっ……!」
シュザークが歯を食い縛って、顔を歪め何かに耐えている。
下腹に置かれていたシュザークの手の指先が、ある一点をトントンと叩くと、強い刺激が奔って、ビクビクと身体が震えた。
「アアッ…!?…ぅあっ……!?!?」
達しそうになったが、僅かに足りない…。
シュザークの陰茎はじりじりと躙り寄ってくる。強い圧迫感に押し上げられて射精感が込み上げてくる。
何故か、涙まで涙腺から押し上げられるようにして、勝手に溢れる……。
「ぅ…ううぅっ……う…っ……」
じわじわと進んでくるシュザークの…硬い肉の塊が、ゆっくり、ゆっくり、その存在を知らしめるように迫って来る…。それと一緒に、ぞわぞわしたものも押し上げられてきて、じわじわ、ざわざわ、と徐々に強さを増して迫って来る。
なんだ……? なんだか……漏れそう……?
何かが…押し上げられながら…込み上げてくる…。抑えることが出来ないその感覚に、焦りと恐怖を覚える…。身体が、ゆっくりと弓の弦を引くように力が入って張り詰めていく……。ま、まずい……漏れてしまうっ……!
「あ、あぁ~……ぁああ…あ…ぁ…ぁぁ~~…!!!…」
シーツをぎゅうぅっと握り締める。
シュザークの緩慢な動きは止まらない。じりじり、じわじわと進んで来て、ついに、前立腺に辿り着いた。びくびくと身体が震えた。自分では制御出来ない何かが、直ぐ…そこまで込み上げてくるっ……!
ま、待ってっ……! 待ってくれっ……!! このままではっ……そ、粗相してしまうっ……!!!!
「んああァァっ……!?!?」
驚く位、大きな声が出た。身体を強い刺激が襲う。シュザークは、止まらない。前立腺をゆっくり、ゆっくり、押し潰しながら躙り寄ってくる。
「ああっ…あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙~~~…ん゙ん゙ぁ゙あ゙ぁあ゙あ゙~!!!!」
込み上げて来ていたものが、何もかも勝手に開放されて押し出されていく。……まるで、粗相してしまったように……。脳天を突き上げ続け、真っ白に頭を灼き続け、見開いた目からは、涙まで押し上げられて流れ続ける。開いた口から唾液が流れ落ちるのも感じたが、どうにもならない…。
声を出していないと何かが溜まって吐き出せないように感じて、意味のない声を垂れ流す。極めた解放感が長く続き、達しているのに次々と達し続ける……。
止まらない射精に、ガクガク、ガクガクと身体が…激しく痙攣したように震えて、私の陰茎から…ぴゅるぴゅるぴゅるぴゅると子種が漏れ続けた…。
………とんでもない、絶頂だった………。
シュザークの陰茎の先端が、私の中の行き止まりに辿り着くまで…彼は動きを止めなかった……。
漸く、シュザークが止まっても、極みの波は止まらず、ガクガクと痙攣し続ける身体も止まらず、暫くの間、其処から戻って来ることが出来なかった…。
シュザークは、私の身体を抱き締めてゆっくりと撫で続けてくれるが、その、撫でる手にすら強く感じてしまう。シュザークに獅噛み付きたいけれど、強く握り締めたシーツを離せない。
頭が…馬鹿になるかと思った……。今まで覚えてきた知識のすべてが、一瞬で飛び散るような感覚だった。
……凄すぎる……。
漸く、戻って来れたと思ったら、シュザークに聞かれた。
「最高に、気持ちよかったでしょう?」
……度が過ぎているようにも思ったが、有り得ないほどの絶頂だったのは本当だ。
だから、私は素直に頷いた。──頷いてしまった…。
シュザークは、此の上なく美しく笑って、言った。
「じゃあ、次は、私を極めさせてね?」
「え…???」
何のことか分からずにいると、くたくたの腰を引き寄せられて、奥にシュザークの陰茎の切っ先がぐりぐりとあたって、酷く敏感になっている身体に、強い刺激が奔る。
「ん゙ん゙あぁっ…!!!!!」
「ああ、あれだけ極めたから、初めてでも奥が開いているね……」
シュザークは北叟笑んで、揺するようにして奥に先端を押し付けてきて……ぐっぽりっ…!! と、私の奥の奥に嵌まった。
「ん゙ん゙あ゙あ゙あ゙っ゙っ゙っ゙ん゙ん゙ん゙~~…~…~~!?!?!?!!」
漸く、降りて来られたのに、いとも容易く絶頂に投げ込まれ、激しい突き上げに、降りることを許されなかった。
意識が何度飛んだか、分からない……。意識が戻る度に、絶頂にいて、もう、止めてくれと言う言葉さえ口に出来ない程、極めさせられた。
余りにも強い快楽に、────地獄を見た。
激しい疲労困憊の中、目を覚ます。何もかも出し切って、空っぽの状態だったが、シュザークと遂に一つになれたのだ。
閨を共にすると謂うのは、こんなにも凄いことだったのだな…。
でも、普段は涼し気な様子でいるシュザークに、あんなに激しく求められて…優越感にも似た悦びを感じる。
瞼が腫れ過ぎて、目が開かない。
「ぅ゙…ぁ゙……」
声も潰れて、出なかった。
「おはよう」
シュザークの声がして、顔付近に魔力を感じた。治癒魔法だ。
お陰で、目を開く事が出来た。でも、身体はぴくりとも動かない。
シュザークは私を抱き起こし、背中から抱えるようにして彼の前に座らせてくれた。収納空間から水を取り出し、そのコップを私の唇に当てて、ゆっくりと飲ませてくれた。三杯飲んで、漸く満足する。
暫くの間、シュザークの胸にぐったりと背凭れて、ぼうっとしていると、眼の前に秘薬の小瓶が差し出された。
「お互い、身体の相性は確認出来た事だし。─どうする? 私を知っても、此れを飲むかい?」
何を言っているのだ…? 例え、身体の相性が悪かったとしても、シュザークは手放さない。
「飲む」
本当は小瓶を掴みたかったけれど、腕が全く上がらない。だから、即答した。
「───そう」
シュザークは、くすりと笑って小瓶の蓋を外した。
そして、シュザーク自らの手で私に飲ませてくれた。
此れは、シュザーク自身も私の伴侶となる事を認めたと謂う事だろうか?
「──駄目だと言っても離しはしないが、……良かったのか…?」
思わず、聞いてしまった。
「ふふっ、──私は、とっくに可愛いラルクに堕ちていたようだよ」
「っ…!」
シュザークは、熱を孕んだ眼で私を覗き込み艶然と笑った。その秀麗な顔を、茫然と見詰める。
「──其れは…つまり……私を好きと謂うことか…?」
シュザークの氷のような碧い眼を見詰めながら尋ねる。
まさか……。本当に…? そんな…私に都合よく行くだろうか…?
「つまり、そう謂うことだね。──より、愛しているに近い好きだけど」
するりと答えたシュザークを、まじまじと見詰める。
──愛しているに、近い…好き……。
ならば……もっと頑張れば……愛しているに変わるのか……?
「ならば私は、シュザークに愛して貰えるように…もっと頑張るよ…」
ふわふわとした気持ちで微笑むと、シュザークは深く溜め息を吐いた。
「……もう~~~……。ラルクには、敵わないね…」
シュザークは苦笑しながら、私の唇に触れるだけの口付けをした。
「もう、頑張らなくていいよ…」
「何故だ…?」
私を愛したくはない、と謂うことだろうか……。
眉が下がって情けない顔になったのが、自分でも分かった。
「──たった今、愛しているに変わったから…もう、頑張らなくても大丈夫と謂うことだよ」
シュザークは、もう一度、私に深い口付けをして…ぎゅうぅと抱き締めてくれた。
私が朦朧とした頭で、その言葉を理解するまでに…かなりの時間を要した。
理解したときには、飛び跳ねて走り回りたいほど嬉しかったが……身体が全く動かなくて、心だけが暴れ回ってしまい、興奮のあまり気を失ってしまった。
──父上、初恋は叶わない、なんて嘘でしたよ。
私は、これ迄もこれからも……。
シュザークしか愛さない。
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