俺の幸せの為に

夢線香

文字の大きさ
上 下
40 / 68
本編

40. 新たなダンジョン

しおりを挟む



 ノルフェントがキディリガン家に来てから、三ヶ月が過ぎた。

 最初は、ノルフェントもキディリガン家の皆も戸惑っていたが、今はもうすっかり馴染んでいる。ノルフェントが身分をひけらかす事がないからだろう。大衆食堂の様な我が家の食卓にも、すっかり馴染んでしまった。

 一応、言っておくけど…偶に、ミーメナが今日はマナーの日、と謂うものを抜き打ちで仕掛けて来る。その時は、ちゃんと貴族のマナーで食事をする。

 マナーがなっていないと…ミーメナやタキートから魔法で小さな水の玉が顔に飛ばされる。

 全く痛くはないけれど顔は濡れるので、其の度に浄化魔法で綺麗にするしかない。

 避けようと思えば避けられるし、結界で弾くことも出来るが……其れをすると、長~い説教と共に矢鱈と水球を飛ばして来て、いつまでも解放されないので甘んじて受けている。

 お陰でキディリガン家の皆は、すっかり切り替えが上手くなった。




 其れと、ダンジョン攻略はワナミリアのダンジョンの魔力値が安定した。ワナミリア領主は、ダンジョンを残すことに決めたらしい。

 その時点で依頼達成となって、キディリガン一家は出入り禁止となった……。

 キディリガンのダンジョンも出禁の儘だし、さてどうしよう? と思っていたらワナミリアのギルマスである、ウディックが別のダンジョンの依頼を勧めてきた。

 初めて会ったときは、草臥れた目茶苦茶背の高い、ヒョロリとした動く木みたいな中年男のウディックだったが、今では満面の笑顔を浮かべている。他の冒険者達が来るようになったからだろうな。

 勧められたのはワナミリア領の隣国、アクアラーク国のオオシャール領主が管理者をしている海底神殿。特級ダンジョンだ。

 俺は、其れを聴いた瞬間に即答した。

「受けますっ!」

 だって、海の中のダンジョンだよ? お魚食材がドロップすると思わない? 

 脱、肉肉料理! いや、肉も大好きだよ? でも、たまには魚も食べたいだろ? そろそろ、魚を食べても良いと思うんだ!

 魚は普通に売っているけどさ、ダンジョンの大量の肉を消費しなきゃいけないだろ? 其れを食べていれば、タダな訳だし。其れがあるのに魚を買うなんて…俺にとっては贅沢だ。食べてる肉は高級肉で、其れはそれで贅沢なんだけどね?

 でもでも、もしかしたら、アレが…アレがドロップするかも知れないじゃないかっ! 人を無口にさせるアレがっ!! 俺の大好きなアレがっ!!

 期待は高まるばかりだ!




 早速、キディリガン一家全員でオオシャールへ。ノルフェントもパーティーに入れたので一緒だ。

 姿変えのペンダントでぽっちゃりに慣れてしまった俺達は、元に戻すのも面倒でぽっちゃりで居ることが多い。

 因みに、ノルフェントは、縮れ髪でぽっちゃりの…眼が開いているか分からない程の糸目にしてみた。

 オオシャールのギルドマスターは、厳つい漁師の様な四十代位のオヤジ。浅黒い肌の四角い顔が特徴的な、サメドールさんです。

 サメドールから話を聴く。オオシャールのダンジョンは、六年前に発見されたダンジョン。発見されたのは六年前だが…ダンジョン自体は、もっとずっと前から存在していたのだと言う。海底の更に奥底にあった為、発見出来ずに魔物が海に溢れている状態なのだとか。

 幸運だったのは、海から出て来る魔物が居なかった事。其のお陰でオオシャール領は、魔物に蹂躙される最悪の事態を間逃れている。

 だが、発見したときには魔物が溢れていた為、ギルドとダンジョンを繋ぐ転移陣が設置出来ずにいた。ダンジョン攻略をしたくても、溢れた魔物が多すぎてダンジョンに入れない状態なのだとか。

 ギルドの依頼としては、転移陣の設置とダンジョン攻略、魔力値を安定値まで下げる事、この三つが依頼内容だ。

 ある意味、未踏のダンジョンだ。

「本当に、頼むぜっ!!」

 サメドールは、力強く俺とシュザークの肩をバンバン叩いた。

 止めて、痛いから……。




 さて、転移陣の無い海底ダンジョンにどうやって行くか? 予め座標を貰って、その上空へ転移。結界魔法を宙に固定しているから、落下する…何て事はない。宙に留まって居る事が出来る。これは、シュザークと天空鳥を狩った時のやり方。

 上空から海を見ると……なんて言うか……黒い。

 海の水が汚れている訳ではなくて…海に溢れた魔物がひしめき合って居るから黒く見えるのだ。

「──あの中に…入るの……?」

 俺の隣に居るノルフェントの顔が引き攣っている。

 ノルフェントは、キディリガン一家のパーティーに入った。俺達とお揃いのキディリガンの家紋が入った黒い騎士服。当然、髪型はキディリガン指定の髪型、ポニーテールもどきだ。ぱっと見、美少年か美少女か分からない。

 傾国の美少年が項を晒すと色気がヤバい。

 キディリガン家の者には、通用しないけどな。

 人の多いギルドに連れて行くときは、傍から離さないようにしている。

 姿変えのペンダントで、ぽっちゃりの糸目にしても…なんて言うか…ぽっちゃりの色気? って謂うの? どうやっても色気が出るみたいだ…。何故……?

 スキルを封じていると謂うのに、色気を振りまくとは……この、傾国の魔王候補は本当に厄介だ。本人に其の気が無いのが不憫だな…。

 全員に結界を張って、上空から海底まで円柱の結界を伸ばした。水も魔物も入ってこれないやつ。其の儘、スーとエレベーターの様に降りていく。

 海の中に入ると……周りは、大量の魚の魔物が身体を擦り合いながら蠢いていて……全く周りが見えない。そもそも、此れって泳げているのか?

 元の世界のデカい漁船が、クレーンで吊り上げた大きな網に、大漁の魚が捕れた状態って言ったら、分かるかな……。兎に角、魚の魔物同士が身動き出来ない程くっ付いて居る。

 ノルフェントが、ぽっちゃりな俺の腕に擦り寄って来た。

「怖い?」

「─気味が悪い……」

 大分、敬語を外すことに慣れてきたノルフェントは、ふるりと身体を震わせた。

 其の頭をぽんぽんすると、頬を染めて俯いた。

 まだ、慣れないのかな?

 鮨詰の魔物に慣れている俺達は、余り驚かないけれど…ノルフェントは初めてだもんな。
 
 海底で真っ暗かと思いきや、デカい岩盤を鳥居の様に積み重ねた入口の周りは、ドームのような結界に覆われていて、光る珊瑚のようなものが地面に生えて? いた。

 ドーム内には魔物が居らず、入口から魔物がポンポンと吐き出されてはドームの外に投げ出されていた。

「此れなら、転移陣が設置出来そうですね?」

「そうだね、思ったより簡単に出来そうだね」

 俺とシュザークは頷き合って、さっさと転移陣を設置した。設置は簡単。地面をならしてから、地上で造ってもらった転移陣の建物を収納空間から出すだけ。

 収納空間って凄いよね。何なら、家一軒持って歩けるんだから、何処でも安心して眠れそう。

 設置が終わったら、入口から洞窟の中に入る。奥にある、直径三メートル程の澄んだ泉がダンジョンの入口らしい。

「多分、此処も…中に入った途端に魔物が襲って来る筈だから、気を付けてね。ノルフェント殿下は俺と一緒な」

 大量の魔物を前に、パニックを起こされると大変だからな。この中では、ノルフェントが一番弱いからね。

 ノルフェントの肩を抱くように掴んで引き寄せる。

「っ…! わ、分かった……」

「?」

 何処か落ち着かないノルフェントを尻目に、反対の手に青白い炎の刀を出す。剣より刀の方が軽いから、俺がよく使う武器だ。

「私達が先に行くよ。ハーシャとノルフェント殿下は、最後に入るといいよ」

 シュザークは、そう言って炎の剣を出しながら泉に身を投げた。其れに続くように、他の皆も武器を手に次々と飛び込んで行く。

「じゃあ、行こうか」

 ノルフェントが頷くのを確認して、一緒に泉に飛び込んだ。 

 中は、やっぱり魔物の鮨詰状態。

 先に入った皆がバンバン魔法を撃っている。

「─こ、こんなに魔物が……」

 ノルフェントは唖然としていた。

「入れ食い状態だね。さ、ノルフェント殿下もバンバン魔法を撃って貰うよ? 仲間に当てないようにね? 限界まで撃ったら寝かせてあげる」

「─うん」

 もう、ダンジョン攻略は…俺だけじゃなく皆もチート級だから、魔物を只管、魔法で殲滅するだけの単純作業と化している。

 良いのか? こんなにチョロくて?

 特級ダンジョンって…かなり強い魔物の筈なんだけど……レベル99の主人公が、始まりの村の外のザコ魔物をあっさり倒すような感じなんだけど……。

 折角、聖女候補であるセララーとセリリーが居ても、俺達は怪我をしないので宝の持ち腐れ状態なんだよね……。

 ここは一つ、戦える聖女になってもらうしかない。

 そんな訳で聖属性の攻撃魔法をバンバン使ってもらっている。

 あっ、一つ試したいことがあったんだった……。

 俺は、聖属性の魔力で、ユリセスが使っているロングソードを創ってみた。結構魔力を注いだから、かなり強力だと思う。

 聖属性の魔力で創ったんだから、此れって聖剣だろ? 違う?

 もうね、ユリセスの剣技を見ていると、剣聖で良いんじゃないの? って思うんだよね。漫画やゲームみたいな、人間離れした動きをしているしさ。 其れでも、まだ剣聖候補なんだよ。おかしくないか? もしかして、聖剣が足りないのかと思ってさ。俺が創ったもので良いのか分からないけれど…試してみても損は無いよな。

「ユリセスーっ! ちょっと、此方に来てくれないっ!?」

 離れた場所に居るユリセスに声を掛ける。

 ユリセスは、眼の前の魔物に斬撃を無数に浴びせ掛けてから、此方に来てくれた。

「何だよ?」

 首を傾げるユリセスに、聖剣もどきを渡す。

「これ、使ってみてよ」

「? 分かった」

 ユリセスは、渡した剣を繁々と眺めながら頷いた。

 光り輝く魔法剣を持って、魔物に斬り掛かる。ザッパザッパ倒しているユリセスを鑑定してみると……。

 剣聖になっていた……。しかも……自護神の剣聖。

 自護神って俺の事じゃないか? ユリセスって、俺の剣聖なの? 俺が創った剣を渡したから…?

「ユリセスーっ! 遂に、剣聖になったぞっ! やったなっ!!」

「──本気まじでっ!?」

 ユリセスは、バッと俺に振り向くと猛然と駆けて来て、がばりと俺に抱き着いた。

本気まじかっ!? 本気まじなのかっ!? ハーシャ様に付いて来て、本当に良かったっ!! ありがとうなっ! 本気まじで、ありがとうっ!!!」

「お…おう…」

 ユリセスの喜びようは、半端じゃなかった。

 お互い抱き合って、背中をばしばし叩きながら喜びを分かち合う。何かの試合で全国優勝した時のノリだ。

 ユリセスは、涙ぐみながら暫くそうしていたが、やがて喜々として魔物を蹂躙しに駆けて行った。

 そんなに、嬉しかったのか……。剣聖になるって、ちゃんと心の支えになっていたんだな……。

 ユリセスがパーティーを追放されて…連れ帰った日のことを思い出す。悔し涙に濡れたユリセスに“剣聖になれる”と言ったっけ……。其れが、たった今…叶ったのだ。

 そう思うと、感慨深いなぁ……。

 沁み沁みと、喜び勇んで魔物を倒すユリセスを眺めていると袖を引っ張られた。

 見ると、ノルフェントが俺の袖を握って俯いていた。

「どうかした?」

 ノルフェントは、唇をきゅっと噛み締めて首を横に振った。
 
「?」

 ノルフェントは、ふいっと顔を背けて離れて行った。

 ? 何だったんだ…?

 不思議に思いながらも魔物討伐に俺も参加する。

 このメンバーで一番魔力の低いノルフェントは、早々に魔力切れを起こしてへたり込んだ。

 へたり込んだノルフェントを担ぎ上げ、収納空間から出したベッドに寝かせる。

「結界でガッチリ護るから、安全だよ。─おやすみ」

 ノルフェントの頭を一撫ですると、気を失うように眠りに就いた。


 眠れるダンジョンの美少年って感じだな。




「そろそろ、休憩にするかい?」

 シュザークが近付いて来て、そう聴いて来たので頷く。

 皆をノルフェントが眠るベッドの近くに集め、結界を張った。収納空間から四角いテーブルと、人数分の椅子を出して座る。このテーブルと椅子は手造り。家具職人を履修して造ったやつ。なかなかいい出来だ。

 丁度、昼食の時間だったから食事を摂ることにした。

 本日のメニューは、ミートソースのスパゲッティ。ミートソースなのに……ミートボールもゴロゴロ入ってます。──肉の消費なのか…? でも、美味しいので問題ない。野菜たっぷりのコンソメスープとサラダ。ソーンにしては薄めのタマゴサンド。デザートはフルーツヨーグルト。勿論、全てダンジョン食材。飲み物は各自、好きなものを勝手に出して飲む。

 何か、貴族辞めてもダンジョンさえあれば、余裕で生きて行けるな。

 皆でこのダンジョンについて話しながら食事を摂り、ユリセスが剣聖になったことを祝福した。

 早速、ドロップアイテムの検証。

 魔石(小)、百グラム程の塩、煮干し、子持ちししゃも。

 おお、子持ちししゃもか!

「ソーン、ソーン。これ、表面カリッと、中はふっくら焼いてくれっ!」

 こんなに難しい注文でも、ソーンは簡単に応えてくれる。網の上にししゃもをからりと並べて、手から火を出して焼いてくれた。

 其の側で、今か今かと待ち構える俺。

「塩とか振ったほうが良いんですか?」

「いや、そのままで。焼けたらレモン汁を掛けよう」

 レモンを取り出し、カットしてスタンバイ。

 懐かしい…、香ばしい匂いが漂ってくる。

「はい、焼けましたよ」

 ソーンが皿の上にししゃもを並べてくれたので、其の上からレモンを絞って掛けた。

 ホークで刺して食べると…目茶苦茶美味かった。

 こういう小魚って、当たり外れがあったりするだろ? 偶に、凄く生臭いのに当たった事ない? でも、流石はダンジョン。鮮度抜群。何より、ソーンの火加減が最高!

 皆も寄って来てホークで刺して、ししゃもを攫っていった。

「美味いな。酒に合いそうだ」

「中のタマゴが何とも……」

 皆でカリカリ食べた。

 ふふっ、此れなら良い魚が沢山手に入りそうだ。

 俺の目当てのアレは、多分もっと深い階層じゃないと出ないんだろうな…。楽しみ。

「此れからは、魚も食べられるようになるんだね…」

 シュザークが沁み沁みと呟いた。

 其れに、全員が頷いた。




 やっぱり、たまには魚も食べたいよな。

 






 







しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

醜さを理由に毒を盛られたけど、何だか綺麗になってない?

京月
恋愛
エリーナは生まれつき体に無数の痣があった。 顔にまで広がった痣のせいで周囲から醜いと蔑まれる日々。 貴族令嬢のため婚約をしたが、婚約者から笑顔を向けられたことなど一度もなかった。 「君はあまりにも醜い。僕の幸せのために死んでくれ」 毒を盛られ、体中に走る激痛。 痛みが引いた後起きてみると…。 「あれ?私綺麗になってない?」 ※前編、中編、後編の3話完結  作成済み。

処理中です...