36 / 108
第36話 イースト奪還スケジュール
しおりを挟む土曜日のチームイーストの間引きは順調に進んだ。
魔法詠唱成功率は8割を超え、装備の整ってきたモモカへの土壁も必要なくなってきたため、歴代最高のエーテルが稼げた。1200オーバーだ。
この調子なら来週中か再来週にはMP200を超えそうだ。
同じく新人のモモカも接敵しない様に立ち回り、敵を釣る事で狩りの効率を高めていた。
中々、良いチーム編成ではないだろうか。
モモカが敵を釣り、鉄壁のガイさんと受け流しの上手いカオルさんがガッチリと敵を抑え込む。一撃の大きいルイさんと手数の多いマスターが敵を削り、俺が魔法で仕留める。
モモカが前衛のHP回復の時間を稼げる様になればもっと安定するだろう。
「「お疲れ(様です)」」
いつもの餃子バーの屋根裏部屋で打ち上げが始まる。未成年はノンアルコールだ。
「ルイの調子も戻ってきたし、界奪還も見えてきたかな?」
マスターが軽い調子で口火を切る。
「もうちょっとHPが欲しいところね。さいとーさんが耐火使ってくれるとしても持続ダメージでHP無くなったら攻撃どころじゃないし⋯⋯。さいとーさんは今MPいくつ?」
「110です。今日の稼ぎで120まで上げられますね」
「170は欲しいわね」
「170なら来週くらいにいけそうですね」
「火精の杖どこかで売ってないかしらぁ?」
ガイさんの言う火精の杖とは何ぞや?
「炎術の杖は火魔法MP1軽減だけど、火精の杖は火魔法MP1割減の杖よぉ。軽減分は四捨五入だからMP18消費の耐火なら2軽減してMP16ね。ちょっとの差だけど長時間戦うと意外と大きいのよねぇ」
なるほど、今使っている炎術の杖の上位互換か。
「売ってたら買うんだけどねー」
「探してみる」
ドロップした装備にも杖はなかった。魔術士のローブがドロップしたので装備したが、ダメージ1軽減とか気休めの防具だ。カオルさんはどこで探すのだろう。
「じゃ主の討伐は再来週で調整しようかしら⋯⋯」
マスクを外したルイさんが腕を組み、皆を見渡す。
「オッケー。助っ人チームの募集しとくー」
「了解よぉ」
「わかった」
「がっ頑張ります!」
ルイさんの視線が俺で止まる。
「さいとーさんはその前に死なないでね」
「⋯⋯了解です」
「モモちゃんはエーテル酔いに気をつけて」
「は、はい」
「じゃ再来週の土曜日にリベンジよ!」
「「おー!」」
「ところで主はどんな敵なのですか?」
「火グマよ」
「ヒグマですか」
⋯⋯北海道らしいな。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
夫が正室の子である妹と浮気していただけで、なんで私が悪者みたいに言われないといけないんですか?
ヘロディア
恋愛
側室の子である主人公は、正室の子である妹に比べ、あまり愛情を受けられなかったまま、高い身分の貴族の男性に嫁がされた。
妹はプライドが高く、自分を見下してばかりだった。
そこで夫を愛することに決めた矢先、夫の浮気現場に立ち会ってしまう。そしてその相手は他ならぬ妹であった…
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
ああ、もういらないのね
志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。
それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。
だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥
たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。
(完結)私の夫は死にました(全3話)
青空一夏
恋愛
夫が新しく始める事業の資金を借りに出かけた直後に行方不明となり、市井の治安が悪い裏通りで夫が乗っていた馬車が発見される。おびただしい血痕があり、盗賊に襲われたのだろうと判断された。1年後に失踪宣告がなされ死んだものと見なされたが、多数の債権者が押し寄せる。
私は莫大な借金を背負い、給料が高いガラス工房の仕事についた。それでも返し切れず夜中は定食屋で調理補助の仕事まで始める。半年後過労で倒れた私に従兄弟が手を差し伸べてくれた。
ところがある日、夫とそっくりな男を見かけてしまい・・・・・・
R15ざまぁ。因果応報。ゆるふわ設定ご都合主義です。全3話。お話しの長さに偏りがあるかもしれません。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる