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第2話 新天地の様相
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札幌オフィスは大通公園に面したオフィスビルにある。地下鉄にも直結しており便利だ。
一応、まだ開発部所属のはずなのだが、席は営業部のエリアにあった。外出しやすい様に配慮してくれたのだろうが、朝礼からして体育会系なので酷く居心地が悪い。
形式的な上司は関東在住。実質的な指揮命令系統はお客様という、なんちゃって請負形式なので、お客様に進捗報告メールを出す。何が悲しくてゲームの進捗報告をお客様に報告せねばならんのか。
進捗なしメールを送信して、一息つこうと思えば早速返信あり。
どうやら担当の彼もプレイヤーらしい。
仕事でゲームをやれる事に羨ましさを滲ませた長文には、札幌のユーザーが集まるエリア情報が記載されていた。
観光客が比較的少ない大通公園の6丁目にある低レベル帯エリアで一番活発な通称「ドーリ」
広大な敷地を持つ北大構内、中央ローンにある選ばれし者達が集う高レベル帯エリア。通称「ホクダイ」
彼の分析によると手頃な中レベル帯がないのが札幌の特徴で、プレイヤーが育ちにくいらしい。
まずは超高レベルなエーテル暴走エリアではなく、低レベル帯「ドーリ」で仲間を探すなり、成長の方向性を定めてはどうかとのアドバイスと、欲しいレアドロップ一覧が手に入れば出張します!と欲しい物リストもハイテンションで記載されていた。
成長の方向性って言われてもなぁ……。
このゲームは敵を倒して得たエーテル(EP)を所謂、最大HPや最大MP、STRみたいな積載量(Loading capacity略してLC)、そしてスキル獲得に消費して獲得して強くなっていくタイプのRPGだ。エーテルは通貨の役回りも果たしている。
スマホのAR画面に現れるモンスターはリアルタイムで攻撃してくるのだが、それを避けるAGIも器用さのDEXも自前。走って避ける走力や、スマホのモーションセンサーに規定動作を入力して発動させる器用さはリアルな自分自身ものという鬼畜仕様だ。
初心者とりあえず走り込み!は伊達ではない。
―STATUS―
Name: さいとー
HP: 0 / 30 <Return 10:32:01>
MP: 30 / 30
LC: 10
EP: 0
―Skill―
None
俺こと、さいとーはもう本日は出撃できないので紹介されたエリアを見学して、泊っているホテルへと直帰する事にした。
「あ、斎藤さん!週末に歓迎会やるんで空けといて下さいね!ススキノで!」
向かいの名も知らぬ営業マンから声が掛かる。強制参加か。
「……はぁ。分かりました」
思わず生返事を返してしまったが、業務上で接点もないのに金払ってまで飲みに付き合わねばならなぬとは……。なんと不毛な体育会系組織。
ススキノエリアの電波障害状況の確認だと前向きに考える事にして席を立つ。
「お疲れ様です。外回りして直帰します」
何となく営業課長の方を向きながら、控え目に宣言してオフィスを後にした。
一応、まだ開発部所属のはずなのだが、席は営業部のエリアにあった。外出しやすい様に配慮してくれたのだろうが、朝礼からして体育会系なので酷く居心地が悪い。
形式的な上司は関東在住。実質的な指揮命令系統はお客様という、なんちゃって請負形式なので、お客様に進捗報告メールを出す。何が悲しくてゲームの進捗報告をお客様に報告せねばならんのか。
進捗なしメールを送信して、一息つこうと思えば早速返信あり。
どうやら担当の彼もプレイヤーらしい。
仕事でゲームをやれる事に羨ましさを滲ませた長文には、札幌のユーザーが集まるエリア情報が記載されていた。
観光客が比較的少ない大通公園の6丁目にある低レベル帯エリアで一番活発な通称「ドーリ」
広大な敷地を持つ北大構内、中央ローンにある選ばれし者達が集う高レベル帯エリア。通称「ホクダイ」
彼の分析によると手頃な中レベル帯がないのが札幌の特徴で、プレイヤーが育ちにくいらしい。
まずは超高レベルなエーテル暴走エリアではなく、低レベル帯「ドーリ」で仲間を探すなり、成長の方向性を定めてはどうかとのアドバイスと、欲しいレアドロップ一覧が手に入れば出張します!と欲しい物リストもハイテンションで記載されていた。
成長の方向性って言われてもなぁ……。
このゲームは敵を倒して得たエーテル(EP)を所謂、最大HPや最大MP、STRみたいな積載量(Loading capacity略してLC)、そしてスキル獲得に消費して獲得して強くなっていくタイプのRPGだ。エーテルは通貨の役回りも果たしている。
スマホのAR画面に現れるモンスターはリアルタイムで攻撃してくるのだが、それを避けるAGIも器用さのDEXも自前。走って避ける走力や、スマホのモーションセンサーに規定動作を入力して発動させる器用さはリアルな自分自身ものという鬼畜仕様だ。
初心者とりあえず走り込み!は伊達ではない。
―STATUS―
Name: さいとー
HP: 0 / 30 <Return 10:32:01>
MP: 30 / 30
LC: 10
EP: 0
―Skill―
None
俺こと、さいとーはもう本日は出撃できないので紹介されたエリアを見学して、泊っているホテルへと直帰する事にした。
「あ、斎藤さん!週末に歓迎会やるんで空けといて下さいね!ススキノで!」
向かいの名も知らぬ営業マンから声が掛かる。強制参加か。
「……はぁ。分かりました」
思わず生返事を返してしまったが、業務上で接点もないのに金払ってまで飲みに付き合わねばならなぬとは……。なんと不毛な体育会系組織。
ススキノエリアの電波障害状況の確認だと前向きに考える事にして席を立つ。
「お疲れ様です。外回りして直帰します」
何となく営業課長の方を向きながら、控え目に宣言してオフィスを後にした。
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