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第5章
5-21
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5-21「チェアリーのターン」
私達は昼食を摂るため教会を後にした。
「ねぇ、何食べたい?」
正直お金の持ち合わせは少なかったが、おかみさんのお使いで余ったおつりをお駄賃として貰ったので今日の昼食と夕飯くらいはどうにかなる。
おかみさんはおつりはほとんど余らないだろうと言っていたけど、私達の昼食分に最初から色を付けて代金を渡してくれていたらしい。
(また何かお礼したいなぁ)
「うーん、そうだな・・・・・・」
私の問いに、ユウは悩んでいた。
「何でも言って」
「あの、ブリトーが美味しかったな」
「ブリトーでいいの?」
「ああ、今度は他の味も食べてみたい」
「うん、分かった。じゃあ、買いに行こ」
ブリトーは安くておいしい。手軽に食べられていいのだけれど・・・・・・
(やっぱり、気を遣ってくれてるのかな)
自分一人なら食事を抜くぐらい構わないけど、彼にも無理させているのではないかとそれだけが心苦しい。
坂を下り、ブリトーの屋台が出ている場所に着いた。門が閉まっているせいか、暇を持て余した人たちが集まって広場は賑わっている。
人混みの中を屋台目指して進んでいくと、ブリトーを買い求める人で行列が出来ていた。
「混んでるね。他のにする?」
「いや、結構早く回ってきそうだよ」
屋台には今日は店員が二人いて、一人がブリトーを焼き、一人が注文や代金のやり取りをしているようで、流れるようにお客を捌いている。
彼にすすめられ列に並ぶと、そんなに待つことなく順番が回ってきた。
「チキンください。ユウは?」
「ハムチーズで」
「はいよ」
店員は素早く焼き置きしてあるブリトーを包み、あっという間に目の前に出してきた。
「チキンにハムチーズね!」
(はやっ!)
いつもなら注文が入ってから焼いてくれるのだが、今日は大勢のお客さんに合わせ次々に焼いている。
きっと門が閉まることを見越してお客が詰めかけると予想してきたのだろう。いつも売り切れてしまうことの多いプルケも瓶に幾つも用意されているのが見えた。
「ねぇ、プルケ頼む?」
「オレはいいよ」
(あ、しまった・・・・・・)
彼はプルケで酔いつぶれてしまった事を思い出したのか苦笑いしている。
「うん、私もいいかな」
ブリトーだけを手にして私達は屋台を後にした。
「どこで食べようか?」
広場には簡素なテーブルやイスが用意されているが、人で溢れかえっていて座れそうもない。
「この先を行った階段にいいところがあるよ。踊り場にベンチが置いてあって見晴らしがいいから、そこで食べようか」
ユウが言っているのは、初めて出会った日にリンゴを食べていた場所の事のようだった。
「うん、そうだね」
ベンチまでやってくると、そこは人通りも少なくて静かだった。お昼を食べるには丁度いい。
「フフッ」
「どうしたの?」
「ううん、何でもない」
数日前にはここで彼から隠れるようにしてリンゴをかじっていたのに、今は隣に座って一緒にお昼を食べられることが嬉しい。
「はい、どうぞ」
ユウにブリトーを渡し、私も一緒にかぶりつく。
「ん?」
隣でユウがくぐもった声を上げた。私もブリトーを噛んだ瞬間、彼が不思議そうにした理由がすぐに分かった。
「んっ、んんー」
チキンだと思っていた中身からチーズが垂れてきた。ブリトーを取り違えてしまったのだ。
私はとろーりと垂れてくるチーズを慌てて手で受けてすすり、口周りに付いてしまったチーズも拭きとった。
「ごめん、間違えちゃった。取り換える?」
「いいよ。オレはチキンを食べるから」
「でも、他の味が良かったんじゃ・・・・・・」
彼がチキンブリトーにまたかぶりつき始めたので、私もしょうがなくチーズブリトーを食べ進めた。
(別に交換してもよかったのに)
風が心地いい。日差しはサンサンと降り注ぎ少し汗ばむくらい天気はいいけど、丘の下から吹き上げてくる風が体を撫でていき気持ちが良かった。穏やかな午後だ。
ユウはブリトーをほおばりながら、遠くを見つめて言った。
「この街道を真っ直ぐ行ったら、どこに行けるんだろう?」
眼下にはオレンジ色の瓦屋根を乗せる家々が立ち並び、その先に南門が見える。そこからは街道が南へ真っ直ぐに伸びている。
「え?どこってコウの町だよ。その先はエルフの住むシエルボだし・・・・・・知ってるでしょ?」
彼が誰でも知っていそうなことを聞くので私は少し驚いた。
「いや、ちがう、違う。どこまで続いているのかなって話だよ」
「なんだ・・・・・・私もどこまで続いているのかは知らないわ」
「海まで行けるのかな?」
「それは難しいんじゃない。山を越えないといけないから」
「あぁ、そういえばエルフの住むところから山を越えた先が海なのか」
「そうだよ。たぶん街道も山の手前で終わってるんじゃないかな」
「なら、チェアリーの村まではそんなに遠くないの?」
「私の村はシエルボからもう少し奥に行ったところだから、ここから馬車で半日かかるかな」
「半日か・・・・・・割と気軽にいけそうだな」
「うん、そのうち行こうね」
ユウも私が生まれ育った村へ行くことを考えてくれているようだ。
(ふふふっ)
彼と一緒に村で暮らすことを想像するとニヤケてしまう。
(お父さんとも共通点があるし、いつ帰ってもいいけど・・・・・・)
ユウには冒険者より父に弟子入りして革職人になってもらった方が合っている気がする。
彼も村に行くことを考えてくれているみたいだし、後は私次第かもしれない。
(でも、まだ村に帰る前に。)
またよこしまな考えが浮かんできた。
「そろそろ、宿に行く?」
「ひッえ?」
ユウと結ばれる妄想をしている最中に声をかけられたものだから変な声が出た。
(宿に行くってことはこの後・・・・・・あわわわぁ!)
いざその時が来ると分かってしまうと躊躇してしまう。
「もうちょっと待って!・・・・・・そうだ!ユウ、何か欲しいもの無い?」
もう少し心の準備が欲しかった私はお金も無いのに、苦し紛れにそんな事を口走ってしまった。
「気を遣ってくれなくてもいいよ。まだスライムも狩れてないしね」
「うん。でも、少しだけど毛皮のお金もあるし、遠慮しなくてもいいよ」
「うーん、そうだな・・・・・・じゃあ、歯ブラシが欲しいかな」
「歯ブラシ?いいよそれくらいなら、買ってきてあげる」
私はベンチを立つと足早に雑貨屋へと向かった。
(歯ブラシ、歯ブラシ??・・・・・・ああ、そうゆうことだよね!)
私達は昼食を摂るため教会を後にした。
「ねぇ、何食べたい?」
正直お金の持ち合わせは少なかったが、おかみさんのお使いで余ったおつりをお駄賃として貰ったので今日の昼食と夕飯くらいはどうにかなる。
おかみさんはおつりはほとんど余らないだろうと言っていたけど、私達の昼食分に最初から色を付けて代金を渡してくれていたらしい。
(また何かお礼したいなぁ)
「うーん、そうだな・・・・・・」
私の問いに、ユウは悩んでいた。
「何でも言って」
「あの、ブリトーが美味しかったな」
「ブリトーでいいの?」
「ああ、今度は他の味も食べてみたい」
「うん、分かった。じゃあ、買いに行こ」
ブリトーは安くておいしい。手軽に食べられていいのだけれど・・・・・・
(やっぱり、気を遣ってくれてるのかな)
自分一人なら食事を抜くぐらい構わないけど、彼にも無理させているのではないかとそれだけが心苦しい。
坂を下り、ブリトーの屋台が出ている場所に着いた。門が閉まっているせいか、暇を持て余した人たちが集まって広場は賑わっている。
人混みの中を屋台目指して進んでいくと、ブリトーを買い求める人で行列が出来ていた。
「混んでるね。他のにする?」
「いや、結構早く回ってきそうだよ」
屋台には今日は店員が二人いて、一人がブリトーを焼き、一人が注文や代金のやり取りをしているようで、流れるようにお客を捌いている。
彼にすすめられ列に並ぶと、そんなに待つことなく順番が回ってきた。
「チキンください。ユウは?」
「ハムチーズで」
「はいよ」
店員は素早く焼き置きしてあるブリトーを包み、あっという間に目の前に出してきた。
「チキンにハムチーズね!」
(はやっ!)
いつもなら注文が入ってから焼いてくれるのだが、今日は大勢のお客さんに合わせ次々に焼いている。
きっと門が閉まることを見越してお客が詰めかけると予想してきたのだろう。いつも売り切れてしまうことの多いプルケも瓶に幾つも用意されているのが見えた。
「ねぇ、プルケ頼む?」
「オレはいいよ」
(あ、しまった・・・・・・)
彼はプルケで酔いつぶれてしまった事を思い出したのか苦笑いしている。
「うん、私もいいかな」
ブリトーだけを手にして私達は屋台を後にした。
「どこで食べようか?」
広場には簡素なテーブルやイスが用意されているが、人で溢れかえっていて座れそうもない。
「この先を行った階段にいいところがあるよ。踊り場にベンチが置いてあって見晴らしがいいから、そこで食べようか」
ユウが言っているのは、初めて出会った日にリンゴを食べていた場所の事のようだった。
「うん、そうだね」
ベンチまでやってくると、そこは人通りも少なくて静かだった。お昼を食べるには丁度いい。
「フフッ」
「どうしたの?」
「ううん、何でもない」
数日前にはここで彼から隠れるようにしてリンゴをかじっていたのに、今は隣に座って一緒にお昼を食べられることが嬉しい。
「はい、どうぞ」
ユウにブリトーを渡し、私も一緒にかぶりつく。
「ん?」
隣でユウがくぐもった声を上げた。私もブリトーを噛んだ瞬間、彼が不思議そうにした理由がすぐに分かった。
「んっ、んんー」
チキンだと思っていた中身からチーズが垂れてきた。ブリトーを取り違えてしまったのだ。
私はとろーりと垂れてくるチーズを慌てて手で受けてすすり、口周りに付いてしまったチーズも拭きとった。
「ごめん、間違えちゃった。取り換える?」
「いいよ。オレはチキンを食べるから」
「でも、他の味が良かったんじゃ・・・・・・」
彼がチキンブリトーにまたかぶりつき始めたので、私もしょうがなくチーズブリトーを食べ進めた。
(別に交換してもよかったのに)
風が心地いい。日差しはサンサンと降り注ぎ少し汗ばむくらい天気はいいけど、丘の下から吹き上げてくる風が体を撫でていき気持ちが良かった。穏やかな午後だ。
ユウはブリトーをほおばりながら、遠くを見つめて言った。
「この街道を真っ直ぐ行ったら、どこに行けるんだろう?」
眼下にはオレンジ色の瓦屋根を乗せる家々が立ち並び、その先に南門が見える。そこからは街道が南へ真っ直ぐに伸びている。
「え?どこってコウの町だよ。その先はエルフの住むシエルボだし・・・・・・知ってるでしょ?」
彼が誰でも知っていそうなことを聞くので私は少し驚いた。
「いや、ちがう、違う。どこまで続いているのかなって話だよ」
「なんだ・・・・・・私もどこまで続いているのかは知らないわ」
「海まで行けるのかな?」
「それは難しいんじゃない。山を越えないといけないから」
「あぁ、そういえばエルフの住むところから山を越えた先が海なのか」
「そうだよ。たぶん街道も山の手前で終わってるんじゃないかな」
「なら、チェアリーの村まではそんなに遠くないの?」
「私の村はシエルボからもう少し奥に行ったところだから、ここから馬車で半日かかるかな」
「半日か・・・・・・割と気軽にいけそうだな」
「うん、そのうち行こうね」
ユウも私が生まれ育った村へ行くことを考えてくれているようだ。
(ふふふっ)
彼と一緒に村で暮らすことを想像するとニヤケてしまう。
(お父さんとも共通点があるし、いつ帰ってもいいけど・・・・・・)
ユウには冒険者より父に弟子入りして革職人になってもらった方が合っている気がする。
彼も村に行くことを考えてくれているみたいだし、後は私次第かもしれない。
(でも、まだ村に帰る前に。)
またよこしまな考えが浮かんできた。
「そろそろ、宿に行く?」
「ひッえ?」
ユウと結ばれる妄想をしている最中に声をかけられたものだから変な声が出た。
(宿に行くってことはこの後・・・・・・あわわわぁ!)
いざその時が来ると分かってしまうと躊躇してしまう。
「もうちょっと待って!・・・・・・そうだ!ユウ、何か欲しいもの無い?」
もう少し心の準備が欲しかった私はお金も無いのに、苦し紛れにそんな事を口走ってしまった。
「気を遣ってくれなくてもいいよ。まだスライムも狩れてないしね」
「うん。でも、少しだけど毛皮のお金もあるし、遠慮しなくてもいいよ」
「うーん、そうだな・・・・・・じゃあ、歯ブラシが欲しいかな」
「歯ブラシ?いいよそれくらいなら、買ってきてあげる」
私はベンチを立つと足早に雑貨屋へと向かった。
(歯ブラシ、歯ブラシ??・・・・・・ああ、そうゆうことだよね!)
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