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第3章
3-2
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3-2「ユウのターン」
「うぅーん・・・・・・ハッ!」
オレは目が覚めると同時に、慌てて上半身を起こした。
(やべぇ、寝過ごした!)
感覚的に寝すぎている事が目覚めと同時に分かった。今、何時頃なのか太陽を見ようと、ベットから出て窓に近づく。
しかし、この部屋は1階にあり、隣の建物がすぐ側にせまっていて窓からのぞいても太陽は確認できなかった。日の明るさからして、早朝という訳ではなさそうだ。
(昨日もだいぶ寝過ごしたよな)
いつもの朝と違って携帯のアラームが起こしてくれないため、寝たいだけ寝てしまっていたのかもしれない。
それとも今まで会社に酷使されてきた反動だろうか?寝ても寝ても寝続けられる気がする。
だが、寝ている場合ではない!今日はスライムを沢山倒さないと色々ヤバイ。
急いで用意をしようと、荷物を探して部屋を見回していると、
コン、コン、コン。
誰かがドアをノックした。
(あー、急いでんのに!)
寝起きそのままで扉を開けると、そこにはチェアリーが立っていた。
「おはよう」
「ああ、ごめんっ!寝すぎた。今準備するからっ」
「ううん、いいの。慌てなくても大丈夫だよ」
チェアリーには昨日から迷惑かけっぱなしだ。そのうえ今日も朝っぱらから待たせて、また迷惑をかけてしまった。
急いで仕度を整え、床に放り出してあった防具を付け始めると、
「防具は付けなくてもいいよ。まず、朝ごはん食べに行こ」
待たせてしまっているというのに、彼女は優しい口調でそう言ってくれた。
(そうだ、朝飯)
昨日はスライムのせいで食欲は湧かず夕飯を食べる気になれなかったが、今は朝ごはんと聞き急にお腹が減ってきた。もう腹の中はすっからかんだ。
(夕方からずっと寝てたのか、オレどんだけ寝てんだよ)
スライムを狩ることも出来ず迷惑をかけるし、寝坊したうえに部屋は散らかしっぱなし。恥ずかしくなったオレは散らかった防具だけでもひとまとめにしようと片づけ始めた。それを見てチェアリーも手伝おうとしてくれたのか部屋に入ってきた。
気を使わなくてもいいからと言おうとした矢先、彼女は散らばっている防具につまづいたのか、
「あっ、」
よろけてこちらに倒れ掛かってきた。
腕でなんとか支えたが、もう少しで二人してベットに倒れ込んでしまうところだった。
「大丈夫?」
外で待ってて、と言おうとすると、
コンッ!コンッ!コンッ!
またしても扉を叩く音がした。
見ると部屋の前に昨日、チェアリーと話していた恰幅の良い女性が立っている。
(たぶん、おかみさんだよな?)
「ハイ!ハイ!ベットメイキングの時間だよ!」
そう言いながら遠慮なく部屋の中に入ってくる。
オレは慌ててチェアリーの肩から手を離した。
(変なところ見られたな・・・・・・勘違いしてなきゃいいけど)
チェアリーはこの宿の顔なじみだと言っていた。変なウワサが広まっては彼女も嫌だろう。これ以上彼女に迷惑などかけられない。
「朝ごはん食べないから、フラフラしちまうんだよ!シャキッとおし!」
チェアリーに向けて言ったその口調からすると、彼女がよろけたところをちょうど見ていたらしい。誤解はされてなさそうだ。
おかみさんは慣れた様子でオレが散らかした荷物を片付けていく。
(ベットメイキングって、お客が居てもやるものなのか?)
オレが寝過ごしてしまったせいもあるかもしれない。なんだかおかみさんからは怒っている様な印象を受ける。また、体が大きいためその威圧感が凄い。
明日こそは早く起きて鉢合わせないようにしようとオレは誓った。
おかみさんは巨体に似合わずテキパキ動き回るので、こちらが手を出す間もなく眺めているうちに部屋を片付けてしまった。
「さあ、出て、出て!朝ごはん食べに行きな」
(なんだか肝っ玉母さんって感じだな)
口すら出せず、その圧に押されるままオレ達は食堂へと向かった。
食堂に入ってみると、所狭しと並べられたテーブルと椅子にはお客さんがひしめき合い、ほぼ満席状態だった。
「今、街の外に出れないから、みんな仕事にならなくてねぇ。暇を持て余してるんだ、待ってても席は空かないよ」
(え!!街の外に出られない!?)
それはつまり、モンスターを狩りに行けない事を意味する。お金がないオレにとっては死活問題だ。
言葉を失ったオレをよそに、更におかみさんは続ける。
「昨日の福音はアンタ達も聞いただろう?」
(ふくいん?)
耳慣れない言葉だった。
「お客さん達の話によると、コッレの街に居た全員が福音を聞いたようなんだよ。神様からの祝福だって喜んでいる人もいれば、良くない事の前触れじゃないかって心配する人もいてねぇ」
(いや、オレ、なんかそれ聞いてないし、寝てたし・・・・・・)
「それで街の外の安全が確認できるまでって事で、さっき門が閉鎖されたようだよ。朝一で来た行商人は道中変わった様子は無かったって言ってるからすぐ閉鎖も解かれると思うけどねぇ」
(うわぁ、何だろうこの一人だけイベントに乗り遅れた感、)
例えるならオンラインゲームでメンテ明けに期間限定イベントをスタートダッシュ決めようと待機していたのに、メンテ延長を喰らい、待っている間に眠りこけ、気付いた時には出遅れて、もう攻略情報が飛び交っていたみたいな?
(今日は沢山スライムを狩ろうと思っていたのに、)
「さあ、さあ、そういうことだから、朝ご飯食べな。」
オレがこの状況を飲み込めず、呆けているとチェアリーが声をかけてきた。
「中庭のベンチで食べよ」
「ああ、」
彼女に言われるまま中庭に戻り、オレ達はベンチに座って遅い朝食にすることにした。
「うぅーん・・・・・・ハッ!」
オレは目が覚めると同時に、慌てて上半身を起こした。
(やべぇ、寝過ごした!)
感覚的に寝すぎている事が目覚めと同時に分かった。今、何時頃なのか太陽を見ようと、ベットから出て窓に近づく。
しかし、この部屋は1階にあり、隣の建物がすぐ側にせまっていて窓からのぞいても太陽は確認できなかった。日の明るさからして、早朝という訳ではなさそうだ。
(昨日もだいぶ寝過ごしたよな)
いつもの朝と違って携帯のアラームが起こしてくれないため、寝たいだけ寝てしまっていたのかもしれない。
それとも今まで会社に酷使されてきた反動だろうか?寝ても寝ても寝続けられる気がする。
だが、寝ている場合ではない!今日はスライムを沢山倒さないと色々ヤバイ。
急いで用意をしようと、荷物を探して部屋を見回していると、
コン、コン、コン。
誰かがドアをノックした。
(あー、急いでんのに!)
寝起きそのままで扉を開けると、そこにはチェアリーが立っていた。
「おはよう」
「ああ、ごめんっ!寝すぎた。今準備するからっ」
「ううん、いいの。慌てなくても大丈夫だよ」
チェアリーには昨日から迷惑かけっぱなしだ。そのうえ今日も朝っぱらから待たせて、また迷惑をかけてしまった。
急いで仕度を整え、床に放り出してあった防具を付け始めると、
「防具は付けなくてもいいよ。まず、朝ごはん食べに行こ」
待たせてしまっているというのに、彼女は優しい口調でそう言ってくれた。
(そうだ、朝飯)
昨日はスライムのせいで食欲は湧かず夕飯を食べる気になれなかったが、今は朝ごはんと聞き急にお腹が減ってきた。もう腹の中はすっからかんだ。
(夕方からずっと寝てたのか、オレどんだけ寝てんだよ)
スライムを狩ることも出来ず迷惑をかけるし、寝坊したうえに部屋は散らかしっぱなし。恥ずかしくなったオレは散らかった防具だけでもひとまとめにしようと片づけ始めた。それを見てチェアリーも手伝おうとしてくれたのか部屋に入ってきた。
気を使わなくてもいいからと言おうとした矢先、彼女は散らばっている防具につまづいたのか、
「あっ、」
よろけてこちらに倒れ掛かってきた。
腕でなんとか支えたが、もう少しで二人してベットに倒れ込んでしまうところだった。
「大丈夫?」
外で待ってて、と言おうとすると、
コンッ!コンッ!コンッ!
またしても扉を叩く音がした。
見ると部屋の前に昨日、チェアリーと話していた恰幅の良い女性が立っている。
(たぶん、おかみさんだよな?)
「ハイ!ハイ!ベットメイキングの時間だよ!」
そう言いながら遠慮なく部屋の中に入ってくる。
オレは慌ててチェアリーの肩から手を離した。
(変なところ見られたな・・・・・・勘違いしてなきゃいいけど)
チェアリーはこの宿の顔なじみだと言っていた。変なウワサが広まっては彼女も嫌だろう。これ以上彼女に迷惑などかけられない。
「朝ごはん食べないから、フラフラしちまうんだよ!シャキッとおし!」
チェアリーに向けて言ったその口調からすると、彼女がよろけたところをちょうど見ていたらしい。誤解はされてなさそうだ。
おかみさんは慣れた様子でオレが散らかした荷物を片付けていく。
(ベットメイキングって、お客が居てもやるものなのか?)
オレが寝過ごしてしまったせいもあるかもしれない。なんだかおかみさんからは怒っている様な印象を受ける。また、体が大きいためその威圧感が凄い。
明日こそは早く起きて鉢合わせないようにしようとオレは誓った。
おかみさんは巨体に似合わずテキパキ動き回るので、こちらが手を出す間もなく眺めているうちに部屋を片付けてしまった。
「さあ、出て、出て!朝ごはん食べに行きな」
(なんだか肝っ玉母さんって感じだな)
口すら出せず、その圧に押されるままオレ達は食堂へと向かった。
食堂に入ってみると、所狭しと並べられたテーブルと椅子にはお客さんがひしめき合い、ほぼ満席状態だった。
「今、街の外に出れないから、みんな仕事にならなくてねぇ。暇を持て余してるんだ、待ってても席は空かないよ」
(え!!街の外に出られない!?)
それはつまり、モンスターを狩りに行けない事を意味する。お金がないオレにとっては死活問題だ。
言葉を失ったオレをよそに、更におかみさんは続ける。
「昨日の福音はアンタ達も聞いただろう?」
(ふくいん?)
耳慣れない言葉だった。
「お客さん達の話によると、コッレの街に居た全員が福音を聞いたようなんだよ。神様からの祝福だって喜んでいる人もいれば、良くない事の前触れじゃないかって心配する人もいてねぇ」
(いや、オレ、なんかそれ聞いてないし、寝てたし・・・・・・)
「それで街の外の安全が確認できるまでって事で、さっき門が閉鎖されたようだよ。朝一で来た行商人は道中変わった様子は無かったって言ってるからすぐ閉鎖も解かれると思うけどねぇ」
(うわぁ、何だろうこの一人だけイベントに乗り遅れた感、)
例えるならオンラインゲームでメンテ明けに期間限定イベントをスタートダッシュ決めようと待機していたのに、メンテ延長を喰らい、待っている間に眠りこけ、気付いた時には出遅れて、もう攻略情報が飛び交っていたみたいな?
(今日は沢山スライムを狩ろうと思っていたのに、)
「さあ、さあ、そういうことだから、朝ご飯食べな。」
オレがこの状況を飲み込めず、呆けているとチェアリーが声をかけてきた。
「中庭のベンチで食べよ」
「ああ、」
彼女に言われるまま中庭に戻り、オレ達はベンチに座って遅い朝食にすることにした。
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