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第2章
2-1「勇者のターン」
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2-1「勇者のターン」
「すぅー、すぅー、すぅー・・・・・・うぅ~ん!!」
オレは大きく伸びをして、寝ている間にこわばった筋肉を伸ばした。
数秒間、全身にこれでもかというほど力を込めてからその力を一気に抜く。
「ハァー・・・・・・」
体中に勢いよく血が巡っていくのを感じる。
(あぁ、気持ちいい・・・・・・)
朝だ。
とてもよく眠れた。昨日の疲れなど一切残っておらず、すこぶる体調がいいのがすぐに分かった。
(よし!)
気合いを入れたオレはパッと目を開け、軽快に上半身を起こした。
目を覚ましたそこは、質素な作りの一室だ。
板張りの床に白い塗り壁、その壁の一方に小さな窓が1つだけの飾り気などほとんどない部屋だ。置いてあるものは小さな机にイスが一脚。後は小ぶりのタンスとオレが寝ていたベットくらい。
部屋は8畳間くらいの広さだろうか?必要最小限の物しか置いてないため、とても広く感じる。
ベットから出て、新鮮な空気を入れるため窓を開けた。爽やかな朝の風が部屋を吹き抜けていく。
「すーーーーっ、はーーーーーぁ」
深呼吸が気持ちいい。
「異世界生活2日目だ!」
思わず顔がにやけてしまう。
今の気分を言い表すと、会社をずる休みして昼近くまで二度寝してから起き抜けに缶酎ハイをあおりつつ、普段見ることのないワイドショーを見て「今頃みんなあくせく働いているのか」なんてほくそ笑む。そんな後ろめたさと同時に味わう開放感といったところか。
そんな事したこともないが・・・・・・
(さてと、今日は)
清々しい気分で窓の外を眺めながら今日の予定を立てようとした時だった。
コン、コン、コン
ドアをノックする音が聞こえた。
扉を開け入ってきたのはライリーさんだった。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「はい、おかげさまで」
彼女はオレが宿も無く困っているところを声をかけ助けてくれたシスターだ。
「それはよかった。朝食の用意が出来ていますので、準備ができたら食堂までいらしてください。それでは」
「ありがとうございます」
彼女はいい人だ。
と言うより、教会は親切だった。困っている人がいたら進んで手を差し伸べる。その精神を地で行っているようだ。
(教会ってこういうものなのかな?)
昨日はこの修道院の一室を貸してくれるだけでなく、夕食までごちそうになってしまった。
活動の拠点が出来たのはありがたい。この世界で生きていくめどが立つまで食事の心配をする必要が無いのだから。
受けた恩は出世払いという事で後で返すことにして、とにかく今は早くこの世界に慣れることが先決だ。
身の振り方は朝食でも食べながら考えることにしよう。オレは身支度を済ませることにした。
とはいえ、仕度するようなモノは持ち合わせていない。椅子の背にかけておいた帽子をかぶり、机の引き出しにしまっておいたコインを取り出す。
(以上!)
あまりに素っ気ないので気になっていたタンスも開けてみる。
(こういうのはお約束だよな。勇者の特権だし)
オレが着ている粗末な布の服一枚の格好からすると勇者などではなく村人Aといったところなのは目をつむってほしい。
(まだ誰にも言っていないけど、オレ転生者ですから!)
ガッ!
転生者だからといって勇者とは限らないけれども、そこはお約束だ。何のためらいも無くひとんち(教会)のタンスを勝手に開けた。
が、その引き出しは空っぽだった。
「なにもなかった」
ゲームのセリフをそのまま口にしたら、なんだか笑えてきた。あぁ、楽しい!
(薬草ぐらいは入れておいてほしかったな)
誰かに見られていたら「何やってるのコイツ?」とか思われるに違いない。しかしオレは今まさにゲーム様な異世界にいるのだ。
会社に行く憂鬱さも無く、これから通勤ではなく冒険が待っている。そう考えるとまた顔が緩んでにやけてしまう。
オレは軽やかな気分でドアを開け、食堂へ向かった。
食堂へ来てみるとまだ他のシスターは誰も来ておらず、シンとしていた。席へついたオレの元へ、ライリーさんが食事を運んできてくれた。
「あの、皆さんは?オレだけ先に頂いていいんですか?」
「シスター達はもう朝食を済ませて、各自担当の教会へ向かいましたよ」
(マジか!オレ、どんだけ寝てたんだ)
窓の外を見てみる。ここからでは太陽は確認できず今何時ぐらいなのか知ることは出来ない。
(時計が無いと困るものだな)
いつもの朝なら携帯のアラームが正確な時間を知らせてくれたはずだ。寝坊なんてしない。
「すいません。オレだけいつまでも寝ていたみたいで」
「構いませんよ。貴方はお客様なのですから、ゆっくりなさってください」
そう言いながら、彼女は目の前に朝食を並べてゆく。
今朝の献立はオレンジジュースにパンとポテトサラダというシンプルな物だった。ごちそうになっているのだから文句などない。
並べられた朝食を前に胸の前で手を合わせる。
「いただきます」
その言葉を聞いて彼女は奥に下がっていった。
一人取り残された食堂はとても静かだ。昨日の夕食時が思い出される。
昨日の夕飯もとても静かなものだった。
食堂にはシスター達がいたのだ。しかし誰一人喋ることなく静かに黙々と食事のみをしていた。
最初はオレに気を使っているのかと思ったが、どうやら食事中は喋ってはいけないというような修道院のマナーがあるのかもしれない。
無言の中、食器とスプーンが打ち突く「ガチャガチャ」という音だけが響いている空間にオレは軽いカルチャーショックを受けつつ、異質なものを感じていたのだった。
(一人で食べていた方がまだ落ち着く)
パンを手に取り添えてあったバターを塗り広げる。分けて食べるのも面倒だと、そのパンの上に付け合わせのポテトサラダを全部乗せサンドイッチにしてかぶりついた。
パンの炭水化物にジャガイモの炭水化物をサンドしたダブル炭水化物サンドだ。
(後はチーズでも乗せて、少し焼いたら最高なんだけど)
そう考えたのは、このポテトサラダに物足りなさを感じていた為だった。このポテサラ、刻んだバジルが入っていて香りが良く美味しい・・・・・・美味しいのだけれど、ポテサラなのにマヨネーズが入っていないのだ。言い換えるのならマッシュポテトのバジル添え。
昨日の夕飯でもこのマヨ無しポテサラが出たので、隣に座っていたシスターに聞いてみた「マヨネーズは入れないんですか?」と。そしたらシスターに「まよねーずって?」と逆に聞き返されてしまった。この世界にはどうやらマヨネーズが無いらしい。
(これじゃあマヨラーは狂い死ぬかもしれないな)
マヨネーズはジャガイモと出会うために生まれてきたと言ってもいい。それが無いなんて!オレはマヨラーと言うほどではないが、やっぱりポテサラにはマヨネーズは欠かせないと思う。あの相性の良さを知っているからこそ無いと分かると余計に欲しくなってしまう。
そこで思いついたのが自分で作る事だ。異世界に来たら自分の知識を活かして活躍するのはラノベのお約束だろう。
そんなお約束の展開がオレにも訪れたと気が付いた時、昨晩はワクワクして妄想が止まらなかった。自分だけが知っている知識で簡単に活躍できるチャンスがある!
オレは料理を作るのが好きだ。時間があれば自炊をするようにしてきた。
まぁ、一人暮らしだから作ってくれる人がいないという悲しい見方もできるが・・・・・・それは置いておくとして、誰かに食べさせるわけでもない料理の腕が活かされる時が来たのだ!
マヨネーズ作りも何回か挑戦した事がある。卵黄に酢を混ぜ、そこに少しずつ油を入れながらかき混ぜれば完成する。
このマヨネーズ、使う材料もシンプルで作り方を言うだけなら簡単なのだが、上手くクリーム状にするにはコツと根気が必要なのだ。
もし味で使われている中身の材料がバレたとしても簡単には真似できないだろうから、オレだけが優位に立てる可能性がある所がいい。
やりたいことが1つ見つかった。
(いつかポテマヨサラダを食べる)
何か小さなことでもいいからやりたいことを見つけておくというのは大切だと思う。この世界で何もする事が無い何も出来ないと思ってしまうと、そこで何かに飲まれてしまう。そんな気がしていた。
そ・れ・に・だ。
小さなこととは言ったが、もし本当にマヨネーズを誰も食べたことがないというのなら、これを売り出せばヒットするんじゃないのか!?オレは昨晩から一旗揚げるのを夢見てニヤニヤしていた。
(いずれは会社を作って、ひと儲け・・・・・・そうだな会社名はエンジェルマヨネーズとか?)
「あの」
「ぶっ!!ゴホッ!ゴホッ!」
金銭欲にまみれた妄想をしているところへ、いきなり話しかけられたオレはむせてしまった。
「大丈夫ですかっ!?」
「ええ、ゴホッ・・・・・・大丈夫です、」
ライリーさんが心配そうにオレンジジュースを差し出してくれる。
オレはカップを受け取り一気に飲み干した。
(こんな女神様の様なシスターの前で、オレはなんと欲望にまみれた妄想をしてたんだ)
落ち着いたところで彼女に聞いた。
「あの、なにか?」
「食事が済んだら少しお時間よろしいですか?」
「ええ、いいですけど・・・・・・?」
「じゃあ、教会の裏で待ってます」
彼女は場所だけ伝えると何をするのかは言わず食堂を出ていってしまった。去り際に意味深な微笑みを残して。
「へっ?」
教会の裏でなにを?
(ゴクリ・・・・・・)
オレの金銭欲ではない、別の欲望がムクムクと湧いてくる。
「すぅー、すぅー、すぅー・・・・・・うぅ~ん!!」
オレは大きく伸びをして、寝ている間にこわばった筋肉を伸ばした。
数秒間、全身にこれでもかというほど力を込めてからその力を一気に抜く。
「ハァー・・・・・・」
体中に勢いよく血が巡っていくのを感じる。
(あぁ、気持ちいい・・・・・・)
朝だ。
とてもよく眠れた。昨日の疲れなど一切残っておらず、すこぶる体調がいいのがすぐに分かった。
(よし!)
気合いを入れたオレはパッと目を開け、軽快に上半身を起こした。
目を覚ましたそこは、質素な作りの一室だ。
板張りの床に白い塗り壁、その壁の一方に小さな窓が1つだけの飾り気などほとんどない部屋だ。置いてあるものは小さな机にイスが一脚。後は小ぶりのタンスとオレが寝ていたベットくらい。
部屋は8畳間くらいの広さだろうか?必要最小限の物しか置いてないため、とても広く感じる。
ベットから出て、新鮮な空気を入れるため窓を開けた。爽やかな朝の風が部屋を吹き抜けていく。
「すーーーーっ、はーーーーーぁ」
深呼吸が気持ちいい。
「異世界生活2日目だ!」
思わず顔がにやけてしまう。
今の気分を言い表すと、会社をずる休みして昼近くまで二度寝してから起き抜けに缶酎ハイをあおりつつ、普段見ることのないワイドショーを見て「今頃みんなあくせく働いているのか」なんてほくそ笑む。そんな後ろめたさと同時に味わう開放感といったところか。
そんな事したこともないが・・・・・・
(さてと、今日は)
清々しい気分で窓の外を眺めながら今日の予定を立てようとした時だった。
コン、コン、コン
ドアをノックする音が聞こえた。
扉を開け入ってきたのはライリーさんだった。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「はい、おかげさまで」
彼女はオレが宿も無く困っているところを声をかけ助けてくれたシスターだ。
「それはよかった。朝食の用意が出来ていますので、準備ができたら食堂までいらしてください。それでは」
「ありがとうございます」
彼女はいい人だ。
と言うより、教会は親切だった。困っている人がいたら進んで手を差し伸べる。その精神を地で行っているようだ。
(教会ってこういうものなのかな?)
昨日はこの修道院の一室を貸してくれるだけでなく、夕食までごちそうになってしまった。
活動の拠点が出来たのはありがたい。この世界で生きていくめどが立つまで食事の心配をする必要が無いのだから。
受けた恩は出世払いという事で後で返すことにして、とにかく今は早くこの世界に慣れることが先決だ。
身の振り方は朝食でも食べながら考えることにしよう。オレは身支度を済ませることにした。
とはいえ、仕度するようなモノは持ち合わせていない。椅子の背にかけておいた帽子をかぶり、机の引き出しにしまっておいたコインを取り出す。
(以上!)
あまりに素っ気ないので気になっていたタンスも開けてみる。
(こういうのはお約束だよな。勇者の特権だし)
オレが着ている粗末な布の服一枚の格好からすると勇者などではなく村人Aといったところなのは目をつむってほしい。
(まだ誰にも言っていないけど、オレ転生者ですから!)
ガッ!
転生者だからといって勇者とは限らないけれども、そこはお約束だ。何のためらいも無くひとんち(教会)のタンスを勝手に開けた。
が、その引き出しは空っぽだった。
「なにもなかった」
ゲームのセリフをそのまま口にしたら、なんだか笑えてきた。あぁ、楽しい!
(薬草ぐらいは入れておいてほしかったな)
誰かに見られていたら「何やってるのコイツ?」とか思われるに違いない。しかしオレは今まさにゲーム様な異世界にいるのだ。
会社に行く憂鬱さも無く、これから通勤ではなく冒険が待っている。そう考えるとまた顔が緩んでにやけてしまう。
オレは軽やかな気分でドアを開け、食堂へ向かった。
食堂へ来てみるとまだ他のシスターは誰も来ておらず、シンとしていた。席へついたオレの元へ、ライリーさんが食事を運んできてくれた。
「あの、皆さんは?オレだけ先に頂いていいんですか?」
「シスター達はもう朝食を済ませて、各自担当の教会へ向かいましたよ」
(マジか!オレ、どんだけ寝てたんだ)
窓の外を見てみる。ここからでは太陽は確認できず今何時ぐらいなのか知ることは出来ない。
(時計が無いと困るものだな)
いつもの朝なら携帯のアラームが正確な時間を知らせてくれたはずだ。寝坊なんてしない。
「すいません。オレだけいつまでも寝ていたみたいで」
「構いませんよ。貴方はお客様なのですから、ゆっくりなさってください」
そう言いながら、彼女は目の前に朝食を並べてゆく。
今朝の献立はオレンジジュースにパンとポテトサラダというシンプルな物だった。ごちそうになっているのだから文句などない。
並べられた朝食を前に胸の前で手を合わせる。
「いただきます」
その言葉を聞いて彼女は奥に下がっていった。
一人取り残された食堂はとても静かだ。昨日の夕食時が思い出される。
昨日の夕飯もとても静かなものだった。
食堂にはシスター達がいたのだ。しかし誰一人喋ることなく静かに黙々と食事のみをしていた。
最初はオレに気を使っているのかと思ったが、どうやら食事中は喋ってはいけないというような修道院のマナーがあるのかもしれない。
無言の中、食器とスプーンが打ち突く「ガチャガチャ」という音だけが響いている空間にオレは軽いカルチャーショックを受けつつ、異質なものを感じていたのだった。
(一人で食べていた方がまだ落ち着く)
パンを手に取り添えてあったバターを塗り広げる。分けて食べるのも面倒だと、そのパンの上に付け合わせのポテトサラダを全部乗せサンドイッチにしてかぶりついた。
パンの炭水化物にジャガイモの炭水化物をサンドしたダブル炭水化物サンドだ。
(後はチーズでも乗せて、少し焼いたら最高なんだけど)
そう考えたのは、このポテトサラダに物足りなさを感じていた為だった。このポテサラ、刻んだバジルが入っていて香りが良く美味しい・・・・・・美味しいのだけれど、ポテサラなのにマヨネーズが入っていないのだ。言い換えるのならマッシュポテトのバジル添え。
昨日の夕飯でもこのマヨ無しポテサラが出たので、隣に座っていたシスターに聞いてみた「マヨネーズは入れないんですか?」と。そしたらシスターに「まよねーずって?」と逆に聞き返されてしまった。この世界にはどうやらマヨネーズが無いらしい。
(これじゃあマヨラーは狂い死ぬかもしれないな)
マヨネーズはジャガイモと出会うために生まれてきたと言ってもいい。それが無いなんて!オレはマヨラーと言うほどではないが、やっぱりポテサラにはマヨネーズは欠かせないと思う。あの相性の良さを知っているからこそ無いと分かると余計に欲しくなってしまう。
そこで思いついたのが自分で作る事だ。異世界に来たら自分の知識を活かして活躍するのはラノベのお約束だろう。
そんなお約束の展開がオレにも訪れたと気が付いた時、昨晩はワクワクして妄想が止まらなかった。自分だけが知っている知識で簡単に活躍できるチャンスがある!
オレは料理を作るのが好きだ。時間があれば自炊をするようにしてきた。
まぁ、一人暮らしだから作ってくれる人がいないという悲しい見方もできるが・・・・・・それは置いておくとして、誰かに食べさせるわけでもない料理の腕が活かされる時が来たのだ!
マヨネーズ作りも何回か挑戦した事がある。卵黄に酢を混ぜ、そこに少しずつ油を入れながらかき混ぜれば完成する。
このマヨネーズ、使う材料もシンプルで作り方を言うだけなら簡単なのだが、上手くクリーム状にするにはコツと根気が必要なのだ。
もし味で使われている中身の材料がバレたとしても簡単には真似できないだろうから、オレだけが優位に立てる可能性がある所がいい。
やりたいことが1つ見つかった。
(いつかポテマヨサラダを食べる)
何か小さなことでもいいからやりたいことを見つけておくというのは大切だと思う。この世界で何もする事が無い何も出来ないと思ってしまうと、そこで何かに飲まれてしまう。そんな気がしていた。
そ・れ・に・だ。
小さなこととは言ったが、もし本当にマヨネーズを誰も食べたことがないというのなら、これを売り出せばヒットするんじゃないのか!?オレは昨晩から一旗揚げるのを夢見てニヤニヤしていた。
(いずれは会社を作って、ひと儲け・・・・・・そうだな会社名はエンジェルマヨネーズとか?)
「あの」
「ぶっ!!ゴホッ!ゴホッ!」
金銭欲にまみれた妄想をしているところへ、いきなり話しかけられたオレはむせてしまった。
「大丈夫ですかっ!?」
「ええ、ゴホッ・・・・・・大丈夫です、」
ライリーさんが心配そうにオレンジジュースを差し出してくれる。
オレはカップを受け取り一気に飲み干した。
(こんな女神様の様なシスターの前で、オレはなんと欲望にまみれた妄想をしてたんだ)
落ち着いたところで彼女に聞いた。
「あの、なにか?」
「食事が済んだら少しお時間よろしいですか?」
「ええ、いいですけど・・・・・・?」
「じゃあ、教会の裏で待ってます」
彼女は場所だけ伝えると何をするのかは言わず食堂を出ていってしまった。去り際に意味深な微笑みを残して。
「へっ?」
教会の裏でなにを?
(ゴクリ・・・・・・)
オレの金銭欲ではない、別の欲望がムクムクと湧いてくる。
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