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(なんで知ってるんだよ⁉)
一気に目が覚めて完全覚醒した。
(どうゆうこと?なんでヒメが・・・・・・)
あらゆる可能性と推測が頭を巡る。
落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせる。こういう時の思い込みは危険だ。まず確実に分かっていることを確認しないと。
アタシはスマホを見返した。
『関先輩ならさっき家族揃って出かけて行きましたよ』
この文章から分かるのはヒメがはなっち家族の出ていくところを見ていたという事だ。時間はアタシが目を覚ます前。”さっき”という表現からそれほど時間は経っていない。せいぜい1時間前後といったところか。
(ヒメはさっきまでこの家の側まで来ていた?)
それだと『今から会えませんか?』という文章に違和感を覚える。了承を得る前に、もう来ているのだから。いきなり彼氏の家に押しかけて「来ちゃった」とか言っちゃうラブコメじゃあるまいし。
その次の文章もよく思い出すと引っ掛かる。
『おはようございます♪先輩』
なぜ会話の後に挨拶したのだろう?ヒメが挨拶を忘れて付け足しただけと思って流したけど、もしかしたらアタシが起きたばかりだという事を知っていたからなのでは?現にメッセージが送られてきたのはベットから這い出した直後だった・・・・・・いや!それどころか、どのメッセージもタイミングが良すぎて怖い!
(見られてるッ⁉)
アタシは思わず後ろを振り返った!
誰もいない。いるはずがない。この部屋にはアタシ一人きりだ。
ブゥー、ブゥー、
「ひっ!」
急に鳴ったスマホに驚き、持っていたそれをベットに放り出してしまった。
恐る恐る画面を覗く。どうやらラ○ンのメッセージを受け取ったらしい。相手はまたヒメだ。
『どうかされました?』
ゾワゾワゾワ!まるでこちらの動きを把握している様な言葉に鳥肌が立つ。
(もしかして!)
アタシはインカメラを指で押さえて隠した。考えられるのはスマホの乗っ取りだ。乗っ取られたスマホは気付かないうちにインカメラから覗かれるとテレビで聞いた。
「つきかー!」
階下からかーさんの呼ぶ声がする。
「これから父さんと出かけるんだけど、一緒に行くー?」
「今、手が離せないからいいー」
本当は指が離せない。
「どうせゲームしてるんでしょ?いい加減にしないとダメよ!」
そう言い残して玄関ドアの開く音がする。
(しまった。アタシ一人じゃないか)
はなっちを呼ぶ?そう思ったけど、彼女は今出かけているらしい。ヒメの言葉が本当なら。つい今しがたの記憶があやふやになる程、今のアタシは動揺しているようだ。
ブゥー、ブゥー、
インカメラを押さえている指が震える。
空いている方の手で画面をタッチする。またヒメだ。
『ご両親はお出かけですか?先輩、いま家に一人ですね』
(カメラじゃない⁉もしかして!)
アタシはスマホの下部分、マイクの穴を塞ぐように手のひらで覆い隠した。さっきのかーさんとのやり取りが乗っ取られて聞かれていたのかもしれない。そう思った。
ブゥー、ブゥー、
また鳴っている。手が塞がってしまったので、空いていた小指で操作する。指がツリそうになりながら確認すると、やっぱりヒメだ。
『お昼はどうするんですか?よければ私が行って何か作ってあげましょうか?』
アタシ1人しかいない事を分かったうえで言っている!許可してしまったら終わりだ!アタシは急いで返信した。
『もうパンたべた』
ブゥー、ブゥー、
『そうですか。朝ご飯がお昼ご飯になっちゃいましたね。牛乳をちゃんと飲まないと、背は伸びませんよ♪』
文字を追うごとに背中に冷や汗が流れていく。
なんで牛乳の事まで分かったんだろう?アタシはスマホを部屋に置いたままにしていた。キッチンには持って行っていない。それはつまりスマホの乗っ取りなんかじゃなく、全て見られているという事だ。家の中、全てが。
(なんで知ってるんだよ⁉)
一気に目が覚めて完全覚醒した。
(どうゆうこと?なんでヒメが・・・・・・)
あらゆる可能性と推測が頭を巡る。
落ち着け、落ち着け、と自分に言い聞かせる。こういう時の思い込みは危険だ。まず確実に分かっていることを確認しないと。
アタシはスマホを見返した。
『関先輩ならさっき家族揃って出かけて行きましたよ』
この文章から分かるのはヒメがはなっち家族の出ていくところを見ていたという事だ。時間はアタシが目を覚ます前。”さっき”という表現からそれほど時間は経っていない。せいぜい1時間前後といったところか。
(ヒメはさっきまでこの家の側まで来ていた?)
それだと『今から会えませんか?』という文章に違和感を覚える。了承を得る前に、もう来ているのだから。いきなり彼氏の家に押しかけて「来ちゃった」とか言っちゃうラブコメじゃあるまいし。
その次の文章もよく思い出すと引っ掛かる。
『おはようございます♪先輩』
なぜ会話の後に挨拶したのだろう?ヒメが挨拶を忘れて付け足しただけと思って流したけど、もしかしたらアタシが起きたばかりだという事を知っていたからなのでは?現にメッセージが送られてきたのはベットから這い出した直後だった・・・・・・いや!それどころか、どのメッセージもタイミングが良すぎて怖い!
(見られてるッ⁉)
アタシは思わず後ろを振り返った!
誰もいない。いるはずがない。この部屋にはアタシ一人きりだ。
ブゥー、ブゥー、
「ひっ!」
急に鳴ったスマホに驚き、持っていたそれをベットに放り出してしまった。
恐る恐る画面を覗く。どうやらラ○ンのメッセージを受け取ったらしい。相手はまたヒメだ。
『どうかされました?』
ゾワゾワゾワ!まるでこちらの動きを把握している様な言葉に鳥肌が立つ。
(もしかして!)
アタシはインカメラを指で押さえて隠した。考えられるのはスマホの乗っ取りだ。乗っ取られたスマホは気付かないうちにインカメラから覗かれるとテレビで聞いた。
「つきかー!」
階下からかーさんの呼ぶ声がする。
「これから父さんと出かけるんだけど、一緒に行くー?」
「今、手が離せないからいいー」
本当は指が離せない。
「どうせゲームしてるんでしょ?いい加減にしないとダメよ!」
そう言い残して玄関ドアの開く音がする。
(しまった。アタシ一人じゃないか)
はなっちを呼ぶ?そう思ったけど、彼女は今出かけているらしい。ヒメの言葉が本当なら。つい今しがたの記憶があやふやになる程、今のアタシは動揺しているようだ。
ブゥー、ブゥー、
インカメラを押さえている指が震える。
空いている方の手で画面をタッチする。またヒメだ。
『ご両親はお出かけですか?先輩、いま家に一人ですね』
(カメラじゃない⁉もしかして!)
アタシはスマホの下部分、マイクの穴を塞ぐように手のひらで覆い隠した。さっきのかーさんとのやり取りが乗っ取られて聞かれていたのかもしれない。そう思った。
ブゥー、ブゥー、
また鳴っている。手が塞がってしまったので、空いていた小指で操作する。指がツリそうになりながら確認すると、やっぱりヒメだ。
『お昼はどうするんですか?よければ私が行って何か作ってあげましょうか?』
アタシ1人しかいない事を分かったうえで言っている!許可してしまったら終わりだ!アタシは急いで返信した。
『もうパンたべた』
ブゥー、ブゥー、
『そうですか。朝ご飯がお昼ご飯になっちゃいましたね。牛乳をちゃんと飲まないと、背は伸びませんよ♪』
文字を追うごとに背中に冷や汗が流れていく。
なんで牛乳の事まで分かったんだろう?アタシはスマホを部屋に置いたままにしていた。キッチンには持って行っていない。それはつまりスマホの乗っ取りなんかじゃなく、全て見られているという事だ。家の中、全てが。
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