ゆるゾン

二コ・タケナカ

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日曜日。スマホの振動する音で目が覚めた。
ブゥー、ブゥー、
手に取ると画面の時計はもうお昼を過ぎていた。
(もうちょっと寝ていたかったのにぃ)
昨晩は遅くまでゲームをしていたので(正確に言えば今日の朝まで)まだ眠い。おかげでニチアサのアニメは見逃してしまったけど、予約録画してあるので後で見ればいい。
それよりも睡眠の邪魔をした相手は誰だろうと、スマホの画面をタップする。
(ん?)
たぶんはなっちだろうと予想していたのに違った。相手はこの前連絡先を交換したばかりのヒメだった。

『今から会えませんか?』

ラ○ンの画面にはそう書かれていた。
「んーーーー、」
寝起きであまり頭が働かない。気の利いた文句も浮かばなかったので、端的に返す。
『明日の部活じゃダメなの?』
ブゥー、ブゥー、
二度寝する間も置かず、直ぐに返事が帰ってきた。
『お休みのところ、すいませんでした。明日、また部活に伺います。』
(なんだったんだろう?)

う~~~~んっ‼
アタシは大きく伸びをして、ベットから這い出た。本当はもう少し寝ていたかったけど、どのみちこのまま寝ていてもかーさんが起こしに来て口うるさく言われただけだろう。
カーテンを開ける。日差しがサンサンと降り注いでまぶしい。
「あっつい」
ブゥー、ブゥー、またスマホが鳴っている。
『おはようございます♪先輩』
順番が逆だぞ?ヒメ。

リビングに行くと、とーさんがソファーに座りテレビの前で陣取っていた。
「仮面ラ○ダー最終回だったぞ?リアタイしなくてよかったのか?」
アタシは横を通り過ぎ、エアコンの前に立ってTシャツをはためかせながら応えた。
「うん。後で見る」
ニチアサの本命はプリ○ュアの方であって、仮面ラ○ダーは必修にしていない。特撮はアニメじゃないし。一応オタクの一ジャンルとして把握しているだけだ。そんなアタシよりとーさんの方が毎週欠かさず仮面ラ○ダーは見ている。

キッチンで洗い物をしていたかーさんが口うるさく言う。
「朝ごはんどうするの?もうお昼だけど。準備していいの?」
「んー、パン食べる」
「そう。勝手に食べて。お昼作らないからね?」
「んー、」
トースターに食パンを乗せ、もったり準備を進めるうちにかーさんが手早くマーガリン、皿、コップと準備していく。そして、ドンっと1リットルの牛乳パックが置かれた。
「ちゃんと飲みなさい」
牛乳。言われなくてもアタシは毎日飲んでいる。飲み続けている。なのに背にも胸にもその効果はまったく現れていない。ナゼだッ⁉
(アタシの第二成長期はちょっと遅れているだけだから)
そう自分に言い聞かせ牛乳を喉へ流し込む。そう。諦めちゃあいけない。
ゴク、ゴク、
『諦めたらそこで試合終了ですよ』偉大なる先生のお言葉が脳裏にこだまする。
(先生・・・・・・アタシも背を伸ばしてバスケがしたいです)
ゴク、ゴク、フッ!
自分で妄想しておいて危うく牛乳を吐いてしまうところだった。アブナイ、アブナイ。吐きでもしたらかーさんにどやされる。

かーさんの気に触らない様に、手早く朝ごはん兼お昼を済ませ部屋に戻った。
(さて、どうしようかな?)
ゲームの続きをするのもいいけど・・・・・・少し気になったので窓を覗き、はなっちの家の方を見る。いつも停めてある車が無い。両親はこの前買ったというボロ家を今日もセルフリフォームしに行っているのだろうか?という事は、はなっちは1人家でお留守番?
(しょうがないなぁ)
彼女の家でゲームでもしながらダラダラしよう。そう思ったけど、
(待てよ?今朝は出かける音がしてなかったな)
リフォームしに行く時はいつも朝早くから道具を車に詰め込む音がアタシの部屋にも聞こえてくる。なので出て行ったかどうか分かる。今朝はそんな音、気付かなかった。
(じゃあ、家族でお出かけか?)
3人で出かけたとは限らないが、もしはなっちが1人で暇を持て余していても、向こうから連絡してくるだろう。

ブゥー、ブゥー、
そんな事を考えているところへスマホが鳴った。はなっちかと思って取ったら、またヒメだった。
『関先輩ならさっき家族揃って出かけて行きましたよ』
(そうなんだ・・・・・・?)
アタシは一瞬、頭が真っ白になった。
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