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パイセンが立ちあがり腕を組むと、仁王立ちになって言った。
「1年も上手くやっていけそうだし、これで生徒会も安泰だな」
大きく頷いた彼女はとても満足げだ。
そのパイセンへ申し訳なさそうにヒメが言う。
「あの~、私やっぱり海津先輩が作ったこの部活に入りたいのですが、」
「ア?」
満足げだった顔が仁王像の様に歪む。
「ゾン研にか?確かコレ、部活じゃなく同好会じゃなかったか?ただの遊びだろ?だったら生徒会しながら遊びにくればいいじゃないか。会長みたいに」
(遊びって・・・・・・確かにそうだけど)
今のパイセンは鬼の様で、怖くて口を挟めない。ヒメはよく意見できるもんだ。
またヒメがおずおずと口を開く。
「でも、」
「なにか?お前は一度引き受けたことを途中で投げ出すというのか?」パイセンの凄みがさらに増す。
なおもヒメは食い下がる。
「なら、生徒会をしつつゾン研に入るというのは、」
「ダメだ。生徒会は部活に入るのを禁止されている」
「でもぉ・・・・・・」
後ろに控えて立っていたヒメの方へとパイセンが振り返った。
(あ、マズイ)
そう思うより早くパイセンがヒメの手を取った。
キュキュッ‼
床と上履きが擦れて鳴く音が部室に響く。その音に気を取られて、アタシには何が起こったのか分からなかった。
「は?」
おもわず声が漏れた。目の前ではヒメの長い黒髪とスカートが円を描いてスローモーションで舞っている。それはまるで黒いアゲハ蝶がふわりと舞い降りた姿を思わせた。
パイセンがこちらに振り返ってニヤリと笑う。
「な?伊吹山。世の中には強い奴が沢山いるんだ」
ヒメが慌てて否定する。
「私は強くなんてありませんっ!少し合気道を習っているだけで、」
「なに?今の動き⁉」
驚くアタシに手を振って否定するヒメ。
「違うんですっ!今のは合気道というほどでもない護身術の様なもので、自然と体が動いてしまったというか、」
「自然と動ける程、鍛錬を積んでるって事だろ?アタシが技をかける事も出来なかったのは美濃だけだぞ」
ヒメがこちらに駆け寄ってきてアタシの後ろに隠れた。
「この人、いきなり技をかけてくるから怖いんです」
あぁ~ぁ、
パイセン以外みんな深々と頷いた。
「なんだよ。アタシは可愛い後輩達とスキンシップとってるだけだろ?」
「そういうのいいですから。」かいちょがピシャリと言い放つ。
「うちの生徒会は戦える生徒会だからな。こんな逸材そうは見つからないぞ。ハハハッ!」
かいちょの言葉など気にせず豪快に笑うパイセン。
「生徒会に入れたって事はチカも何か武術習ってたりするの?」
ふーみんの質問に何か思い出したのか無言で首を振るチカ丸。代わりにパイセンが答えた。
「コイツは根性があるんだ。アナコンダ極められても、ずっともがいてたからな」
「それって、かいちょみたいにタップを知らなかっただけじゃ・・・・・・」
「いや、タップの代わりにアタシの腹へパンチ打ち込んできたんだ。打撃技は反則だぞ?ハハハッ!」
「ヒジャブ取られると思って必死だった」
チカ丸がフードを深くかぶり直した。
かいちょが改まって言う。
「千鹿さんも、もし怖くて言えないだけなら生徒会へ無理に入らなくてもいいんですよ?」
彼女は首を振った。
「女が権力を握れる。スゴイ」
「な?コイツ意外に根性あるんだよ」
ふーみんが呆れつつ言う。
「いいんですか?先輩。確か前に説明してくれた時、生徒達の上に立ちたがる人は生徒会に入るのを断るとか言ってませんでしたっけ?」
「そんな事、言ったか?」
あっけらかんと答えるパイセン。とぼけているのか、大雑把なだけなのかよく分からない。
にこやかだったパイセンの顔がまた鋭くなった。
「生徒会に入りたくないってんなら、アタシを倒してから言うんだな」
今度は顔の前に両手を持ってきて、腰をわずかに落とす。完全に戦闘モードの構えだ。
「次は本気で行くぞ?」
後ろに隠れていたヒメが肩をギュッと掴んできた。小さなアタシを盾にして。
「この人、話が通じないんです。先輩、何とかしてください。」
「えぇ、、、」
目の前には獲物を狙う猛獣がいる。アタシなんて相手にもなりはしない。でも!
(ここで逃げたらヒメに格好がつかない)
アタシはイスから立ちあがり、体を大きく見せる為に椅子に登って更に腕をめいいっぱい広げ言った。
「ここはアタシに任せて、お前達は先に行けっ!」
現実世界でこのセリフを言う日が来ようとは!
アタシにはとてもではないがパイセンと渡り合えるだけの力はない。ここで足止めをして皆を逃がすくらいがいいところだ・・・・・・そんなつもり更々ないけど。
今できる事と言えば、茶化して場の空気を変えるくらい。最初からそのつもりだったのに、
ガタガタガタッ!
一斉にみんながその場から逃げ出した。
「うぉい‼本当に逃げる奴があるかッ!ここは『アンタ1人置いていけるわけないでしょ?』とか、お決まりのセリフを言って皆でボスに挑む場面だろーーーっ!」
息巻くアタシに猛獣が近寄る。
「海津、アタシに挑もうとはイイ度胸じゃないか」パイセンがニヤリと笑う。
「イヤだ―ーーーッ!」
二人だけの部室に悲痛な叫び声が響き渡った。
パイセンが立ちあがり腕を組むと、仁王立ちになって言った。
「1年も上手くやっていけそうだし、これで生徒会も安泰だな」
大きく頷いた彼女はとても満足げだ。
そのパイセンへ申し訳なさそうにヒメが言う。
「あの~、私やっぱり海津先輩が作ったこの部活に入りたいのですが、」
「ア?」
満足げだった顔が仁王像の様に歪む。
「ゾン研にか?確かコレ、部活じゃなく同好会じゃなかったか?ただの遊びだろ?だったら生徒会しながら遊びにくればいいじゃないか。会長みたいに」
(遊びって・・・・・・確かにそうだけど)
今のパイセンは鬼の様で、怖くて口を挟めない。ヒメはよく意見できるもんだ。
またヒメがおずおずと口を開く。
「でも、」
「なにか?お前は一度引き受けたことを途中で投げ出すというのか?」パイセンの凄みがさらに増す。
なおもヒメは食い下がる。
「なら、生徒会をしつつゾン研に入るというのは、」
「ダメだ。生徒会は部活に入るのを禁止されている」
「でもぉ・・・・・・」
後ろに控えて立っていたヒメの方へとパイセンが振り返った。
(あ、マズイ)
そう思うより早くパイセンがヒメの手を取った。
キュキュッ‼
床と上履きが擦れて鳴く音が部室に響く。その音に気を取られて、アタシには何が起こったのか分からなかった。
「は?」
おもわず声が漏れた。目の前ではヒメの長い黒髪とスカートが円を描いてスローモーションで舞っている。それはまるで黒いアゲハ蝶がふわりと舞い降りた姿を思わせた。
パイセンがこちらに振り返ってニヤリと笑う。
「な?伊吹山。世の中には強い奴が沢山いるんだ」
ヒメが慌てて否定する。
「私は強くなんてありませんっ!少し合気道を習っているだけで、」
「なに?今の動き⁉」
驚くアタシに手を振って否定するヒメ。
「違うんですっ!今のは合気道というほどでもない護身術の様なもので、自然と体が動いてしまったというか、」
「自然と動ける程、鍛錬を積んでるって事だろ?アタシが技をかける事も出来なかったのは美濃だけだぞ」
ヒメがこちらに駆け寄ってきてアタシの後ろに隠れた。
「この人、いきなり技をかけてくるから怖いんです」
あぁ~ぁ、
パイセン以外みんな深々と頷いた。
「なんだよ。アタシは可愛い後輩達とスキンシップとってるだけだろ?」
「そういうのいいですから。」かいちょがピシャリと言い放つ。
「うちの生徒会は戦える生徒会だからな。こんな逸材そうは見つからないぞ。ハハハッ!」
かいちょの言葉など気にせず豪快に笑うパイセン。
「生徒会に入れたって事はチカも何か武術習ってたりするの?」
ふーみんの質問に何か思い出したのか無言で首を振るチカ丸。代わりにパイセンが答えた。
「コイツは根性があるんだ。アナコンダ極められても、ずっともがいてたからな」
「それって、かいちょみたいにタップを知らなかっただけじゃ・・・・・・」
「いや、タップの代わりにアタシの腹へパンチ打ち込んできたんだ。打撃技は反則だぞ?ハハハッ!」
「ヒジャブ取られると思って必死だった」
チカ丸がフードを深くかぶり直した。
かいちょが改まって言う。
「千鹿さんも、もし怖くて言えないだけなら生徒会へ無理に入らなくてもいいんですよ?」
彼女は首を振った。
「女が権力を握れる。スゴイ」
「な?コイツ意外に根性あるんだよ」
ふーみんが呆れつつ言う。
「いいんですか?先輩。確か前に説明してくれた時、生徒達の上に立ちたがる人は生徒会に入るのを断るとか言ってませんでしたっけ?」
「そんな事、言ったか?」
あっけらかんと答えるパイセン。とぼけているのか、大雑把なだけなのかよく分からない。
にこやかだったパイセンの顔がまた鋭くなった。
「生徒会に入りたくないってんなら、アタシを倒してから言うんだな」
今度は顔の前に両手を持ってきて、腰をわずかに落とす。完全に戦闘モードの構えだ。
「次は本気で行くぞ?」
後ろに隠れていたヒメが肩をギュッと掴んできた。小さなアタシを盾にして。
「この人、話が通じないんです。先輩、何とかしてください。」
「えぇ、、、」
目の前には獲物を狙う猛獣がいる。アタシなんて相手にもなりはしない。でも!
(ここで逃げたらヒメに格好がつかない)
アタシはイスから立ちあがり、体を大きく見せる為に椅子に登って更に腕をめいいっぱい広げ言った。
「ここはアタシに任せて、お前達は先に行けっ!」
現実世界でこのセリフを言う日が来ようとは!
アタシにはとてもではないがパイセンと渡り合えるだけの力はない。ここで足止めをして皆を逃がすくらいがいいところだ・・・・・・そんなつもり更々ないけど。
今できる事と言えば、茶化して場の空気を変えるくらい。最初からそのつもりだったのに、
ガタガタガタッ!
一斉にみんながその場から逃げ出した。
「うぉい‼本当に逃げる奴があるかッ!ここは『アンタ1人置いていけるわけないでしょ?』とか、お決まりのセリフを言って皆でボスに挑む場面だろーーーっ!」
息巻くアタシに猛獣が近寄る。
「海津、アタシに挑もうとはイイ度胸じゃないか」パイセンがニヤリと笑う。
「イヤだ―ーーーッ!」
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