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「私、沖縄のお茶を買ってきたんです。ちょっと、休憩にしません?」
かいちょがカバンから『さんぴん茶』を取り出した。
「いいねぇ。アタシもパイセンにお土産返そうと思って『ちんすこう』買ってきたよ。沢山あるから今、食べよう」
取り出したちんすこうの箱を見てふーみんが呟く。
「なんでソレ選ぶかなぁ?」
「ソレとはなんだよ。沖縄の伝統的なお菓子なんだぞ」
「そうかもだけど、アンタの場合、絶対ネタとして選んだでしょ」
「ふむ。否定はしない」
ちんすこう。卑猥な音の響きによってアニメや漫画でも取り上げられることの多い沖縄土産だ。アニメとのコラボ商品も多く発売されている(主に女性向けに)
もちろんアタシも知っていたからツ○ッターに上げる為のネタとして買った。既にそのネタ写真はつぶやき済みだけど、いつも以上の反応があって少し戸惑っている。みんな下ネタ好きだなぁ。
はなっちが穢れの無い澄み切った声で言う。
「ちんすこう」
「プッ!」期待を裏切らない反応だな、かいちょ。
「さんぴんちゃ」
「プッツ!」さんぴん茶は卑猥さなんてありませんけど?大丈夫、かいちょ?
「沖縄の言葉って独特よね。なんでこんな名前なのかしら?」
ふーみんの視線がこちらに向いた。「分かるの?」と、その視線は挑発的だ。いいだろう!その挑発受けて立つ!
「ちんは珍しいという意味の珍。これは分かりやすいでしょ?すこうは、ほろほろと崩れるお菓子の事を言うみたいだよ。元々は琉球王朝の王族が食べていた物で、一般人は口にできない珍しいお菓子という意味なんだ。使われる材料は小麦粉と砂糖とラードのみのシンプルなお菓子で、これってラードをバターに変えるとクッキーになるんだよ。だから沖縄風クッキーとも呼ばれているね。なぜラードを使うのかというと、沖縄では豚肉をよく食べるよね。あれって調理の前に油を落とす目的で茹でてあるらしいんだ。その茹でた後に残るラードを有効利用したお菓子なんだよ」
「ぐぅ、」ふーみんが悔しそうに何も言えないでいる。フッフッフッ、勝ったな。
かいちょもお茶の準備をしながら語りだした。
「さんぴん茶は中国でよく飲まれているジャスミン茶の一種のようですよ。漢字で書くと香りの香に破片の片と茶で香片茶(シャンピェンチャ)と呼ばれているそうです。沖縄に伝わった時に訛ってさんぴん茶になったんだとか。ジャスミン茶がなぜ中国で飲まれるようになったかというと、古くなって風味の落ちてしまった茶葉を美味しく飲むために、香りのよいジャスミンの花の香りをまとわせたのが始まりなんだそうです。だから、さんぴん茶は香りを楽しむフレーバーティーなんですよ」
ポットにさんぴん茶が入れられ、グラグラと湧いたお湯が注がれると爽やかな花の香りが漂ってきた。今日の空は曇っているけど、香りだけでも晴れやかな気分にさせてくれる。
センスのいいお土産のチョイスだな。流石かいちょ。アタシが下ネタ狙いでちんすこうを選んだのが子供っぽく見えてしまう。
かいちょがスマホを取り出した。
「じゃあ、しょうがないので、あの人呼びます?」
(あの人って、)かいちょにしては随分と冷たい言い方じゃないか。そんなに嫌ってるの?
「月光さん、お土産渡すんですよね?」
「うん。生徒会がある時にでもって、思ってたんだけど」
「わざわざ持って行く必要ありませんよ。喜んでしまうので」彼女はカップを5つ用意した。
「喜ばせようと思ってるんですけど?」
「いいんです。あの人は持ち上げると、つけあがるんですから。少し冷たくするくらいの方がいいですよ」そんな怖い事アタシには出来ないよ。隣ではなっちも震えている。人を扱うのが上手いかいちょだけだよ?猛獣使いみたいなマネできるのは。
茶葉を蒸らしている間にかいちょがスマホを操作する。どうやらラ○ンで連絡したようだ。
「パイセンまだ学校にいるの?」
「いるんじゃないですか?確か筋トレしているはずです」
「直接電話して確認した方がよかったんじゃない?」
「あの人、返信が異常に早いんですよ。かまってもらえるのが嬉しいみたいで、いつもスマホを肌身離さす持ち歩いているんじゃないですかね。返信が帰ってこないという事は、たぶんもうこの部室まで一直線に走って来ているんじゃないですか」
構わず5つのカップにお茶を注ぎだしたかいちょ。
丁度、注ぎ終わった時だ、
「よっ!」
パイセンが部室の入り口から顔を出した。
「私、沖縄のお茶を買ってきたんです。ちょっと、休憩にしません?」
かいちょがカバンから『さんぴん茶』を取り出した。
「いいねぇ。アタシもパイセンにお土産返そうと思って『ちんすこう』買ってきたよ。沢山あるから今、食べよう」
取り出したちんすこうの箱を見てふーみんが呟く。
「なんでソレ選ぶかなぁ?」
「ソレとはなんだよ。沖縄の伝統的なお菓子なんだぞ」
「そうかもだけど、アンタの場合、絶対ネタとして選んだでしょ」
「ふむ。否定はしない」
ちんすこう。卑猥な音の響きによってアニメや漫画でも取り上げられることの多い沖縄土産だ。アニメとのコラボ商品も多く発売されている(主に女性向けに)
もちろんアタシも知っていたからツ○ッターに上げる為のネタとして買った。既にそのネタ写真はつぶやき済みだけど、いつも以上の反応があって少し戸惑っている。みんな下ネタ好きだなぁ。
はなっちが穢れの無い澄み切った声で言う。
「ちんすこう」
「プッ!」期待を裏切らない反応だな、かいちょ。
「さんぴんちゃ」
「プッツ!」さんぴん茶は卑猥さなんてありませんけど?大丈夫、かいちょ?
「沖縄の言葉って独特よね。なんでこんな名前なのかしら?」
ふーみんの視線がこちらに向いた。「分かるの?」と、その視線は挑発的だ。いいだろう!その挑発受けて立つ!
「ちんは珍しいという意味の珍。これは分かりやすいでしょ?すこうは、ほろほろと崩れるお菓子の事を言うみたいだよ。元々は琉球王朝の王族が食べていた物で、一般人は口にできない珍しいお菓子という意味なんだ。使われる材料は小麦粉と砂糖とラードのみのシンプルなお菓子で、これってラードをバターに変えるとクッキーになるんだよ。だから沖縄風クッキーとも呼ばれているね。なぜラードを使うのかというと、沖縄では豚肉をよく食べるよね。あれって調理の前に油を落とす目的で茹でてあるらしいんだ。その茹でた後に残るラードを有効利用したお菓子なんだよ」
「ぐぅ、」ふーみんが悔しそうに何も言えないでいる。フッフッフッ、勝ったな。
かいちょもお茶の準備をしながら語りだした。
「さんぴん茶は中国でよく飲まれているジャスミン茶の一種のようですよ。漢字で書くと香りの香に破片の片と茶で香片茶(シャンピェンチャ)と呼ばれているそうです。沖縄に伝わった時に訛ってさんぴん茶になったんだとか。ジャスミン茶がなぜ中国で飲まれるようになったかというと、古くなって風味の落ちてしまった茶葉を美味しく飲むために、香りのよいジャスミンの花の香りをまとわせたのが始まりなんだそうです。だから、さんぴん茶は香りを楽しむフレーバーティーなんですよ」
ポットにさんぴん茶が入れられ、グラグラと湧いたお湯が注がれると爽やかな花の香りが漂ってきた。今日の空は曇っているけど、香りだけでも晴れやかな気分にさせてくれる。
センスのいいお土産のチョイスだな。流石かいちょ。アタシが下ネタ狙いでちんすこうを選んだのが子供っぽく見えてしまう。
かいちょがスマホを取り出した。
「じゃあ、しょうがないので、あの人呼びます?」
(あの人って、)かいちょにしては随分と冷たい言い方じゃないか。そんなに嫌ってるの?
「月光さん、お土産渡すんですよね?」
「うん。生徒会がある時にでもって、思ってたんだけど」
「わざわざ持って行く必要ありませんよ。喜んでしまうので」彼女はカップを5つ用意した。
「喜ばせようと思ってるんですけど?」
「いいんです。あの人は持ち上げると、つけあがるんですから。少し冷たくするくらいの方がいいですよ」そんな怖い事アタシには出来ないよ。隣ではなっちも震えている。人を扱うのが上手いかいちょだけだよ?猛獣使いみたいなマネできるのは。
茶葉を蒸らしている間にかいちょがスマホを操作する。どうやらラ○ンで連絡したようだ。
「パイセンまだ学校にいるの?」
「いるんじゃないですか?確か筋トレしているはずです」
「直接電話して確認した方がよかったんじゃない?」
「あの人、返信が異常に早いんですよ。かまってもらえるのが嬉しいみたいで、いつもスマホを肌身離さす持ち歩いているんじゃないですかね。返信が帰ってこないという事は、たぶんもうこの部室まで一直線に走って来ているんじゃないですか」
構わず5つのカップにお茶を注ぎだしたかいちょ。
丁度、注ぎ終わった時だ、
「よっ!」
パイセンが部室の入り口から顔を出した。
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