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「ちょっと写真、見せてもらっていい?」
「いいよ。」とアタシはふーみんにスマホを渡した。
しばらくスワイプしていた彼女がうめくように声を漏らした。
「アンタ、コレ何よ・・・・・・」
見せてきたのはアタシとはなっちが自撮りしている写真だ。
「良く撮れてるでしょ?」
「いや、そうだけど、問題は撮り方よ」
自撮りなのだから腕をめいいっぱい伸ばして撮っているだけだ。ただアタシは小柄なので腕も長くはない。だから画面に入りきる様にと、はなっちとピッタリくっ付いている。聖地巡礼と分かる目印の建物も写っているので完璧じゃないか。
「もっと、こう・・・・・・なんで、」ふーみんは自分の方が恥ずかしくなってしまったのか言葉を濁した。
何か言いたげで、言うのをためらうから口がぐにゃりと変に曲がっている。
代わりに言ってあげた。
「エロい?」
「そうよ!なんでこんな撮り方してるのよっ」
それは狙っているからなんだけどね。エロく見せるポイントは手で目を隠す事。それだけでいやらしさが3割増しになる。更にマスクもしているので素顔はほとんど見えないのだけど、見えないからこそ想像が膨らむ。しかも、はなっちにはアタシの腰に手を回してもらって、抱き寄せるようにピッタリくっ付いているのだ。これは完璧にエロい!
「顔を隠すならスタンプでいいじゃない」
「そんなのはただの写真だよ。これはウケを狙ってやっているのさ」
「はぁ?この髪型も?」
アタシはいつも髪は後ろで二つに分けて肩の前に垂らし、軽くヘアゴムで結んでいるだけ。それを写真に撮る時はツインテールにしている。はなっちはボブカットなのでこの時は髪の上半分だけ後ろで結んだハーフアップだ。
こうやって髪を上の方でまとめるだけで、実年齢よりだいぶ若く見られる。アタシなんて小柄だから余計にだ。
「カワイイでしょ?」
「いや、だってコレ、カワイイけど」
「エロい?」
「エロいわよっ!エロい!私に言わせたいだけでしょ!」
出すところは出さないでこれだけ想像を掻き立てる写真が撮れるなんて、我ながらその才能が恐ろしい。
ふーみんがはなっちへ詰め寄る。
「花!幼馴染だからって、やりたくなければ付き合わなくてもいいんだからね?」
「私はお昼ご飯の為に、欲望の為に心を売ったのです。」
目をつむり、無心でポッ○ーをかじるはなっち。前歯で小刻みにかじられていくポッ○ーがカリカリカリと乾いた音を立てる。
「本当は垢バレしたくないんだけど、もう写真見せちゃったし、ふーみんには教えてあげよう」
アタシはスマホを返してもらい、ツ○ッターを開いた。
「聖地巡礼してきた時の写真はツ○ッターに載せてるんだよ」ほら。と画面を向ける。
「げっ、なによコレ!フォロワー1万超えてるじゃない⁉」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、すごいじゃろ?誰にも言ってはならぬぞ」
実演もしてあげよう。
「その写真も今、上げてみようか?」
『聖地巡礼行ってきたよー 何のアニメか分かるひとー』
適当な文章を打ち込んで、さっきの写真と共にツ○ートする。と、ものの数秒で返信やいいねが付き始めた。
「通知が止まらなーい♪」ワザと憎たらしい感じに言ってみせたら、ふーみんが睨んできた。
「アンタ何か、いかがわしい事してるんじゃ・・・・・・」
「してないよ。ただ自撮り写真載せてるだけだから。承認欲求を満たしているだけさ。まあ、いかがわしいDMはしょっちゅう送られてくるけど。そんなの全部無視してるし、フォロバやいいね返しだってしてないんだから」
「だって、こんなにも・・・・・・本当に大丈夫なの?」ふーみんは心配になってしまったらしい。喋っている間もずっと通知が止まらないんだから、経験した事のない人には驚きだろう。
「大丈夫だよ。顔は隠しているし、身元がバレそうな物は身に着けていないから。アタシなんて高校生じゃなく小学生と思われているんじゃない?何なら、はなっちとは姉妹に見えているかもね」
「お姉ちゃんです」カリカリカリとお姉ちゃんはまだポッ○ーをかじっている。
「岐阜の聖地ばかり載せているから、岐阜県に住んでいるんだろうな?とは思われているかもしれないけど」
「変な事に巻き込まれない様に注意しなさいよ」
ふーみんは心配性だなぁ。
「私にも見せてもらっていいですか?」こういうのに疎そうなかいちょが覗き込んでくる。
「いいよ。」
「あら、可愛らしい。フフッ」
笑っていた顔が驚きの表情へと変わる。
「まあ!いいねが増え続けていますけど、壊れてます?」
「壊れちゃいないよ」壊れているってナニ?
「実は私もツ○ッターやっているのですが、いいね押してもらえるのなんて数件ですし、フォロワーも増えなくて、」
「かいちょがツ○ッターやってたなんて意外」
「あ、私個人のものではないんです。学校非公認の生徒会公式アカウントなんです」
「どこかのゆるキャラみたいな立ち位置だね」
「生徒会のアカウントなんてあったんだねぇ。知らなかったよ」と、はなっち。
「そうですよね・・・・・・生徒会長に就任した際に前会長から引き継いだのですが、生徒にもほとんど知られていませんし、どうしたものかと悩んでいるんです」
アタシは早速、ツ○ッターから高校名で検索をかけてみた。探すまでも無く見つかる。
「あぁ、これは・・・・・・」一目見ただけで持て余していることが分かる内容だ。投稿される頻度が少なすぎて、数カ月に1回になってしまっている。
「いいねを増やすだけならカンタンだよ?」
「本当ですか?」
戦闘力1万のアタシが少しレッスンしてあげようではないか。
「ちょっと写真、見せてもらっていい?」
「いいよ。」とアタシはふーみんにスマホを渡した。
しばらくスワイプしていた彼女がうめくように声を漏らした。
「アンタ、コレ何よ・・・・・・」
見せてきたのはアタシとはなっちが自撮りしている写真だ。
「良く撮れてるでしょ?」
「いや、そうだけど、問題は撮り方よ」
自撮りなのだから腕をめいいっぱい伸ばして撮っているだけだ。ただアタシは小柄なので腕も長くはない。だから画面に入りきる様にと、はなっちとピッタリくっ付いている。聖地巡礼と分かる目印の建物も写っているので完璧じゃないか。
「もっと、こう・・・・・・なんで、」ふーみんは自分の方が恥ずかしくなってしまったのか言葉を濁した。
何か言いたげで、言うのをためらうから口がぐにゃりと変に曲がっている。
代わりに言ってあげた。
「エロい?」
「そうよ!なんでこんな撮り方してるのよっ」
それは狙っているからなんだけどね。エロく見せるポイントは手で目を隠す事。それだけでいやらしさが3割増しになる。更にマスクもしているので素顔はほとんど見えないのだけど、見えないからこそ想像が膨らむ。しかも、はなっちにはアタシの腰に手を回してもらって、抱き寄せるようにピッタリくっ付いているのだ。これは完璧にエロい!
「顔を隠すならスタンプでいいじゃない」
「そんなのはただの写真だよ。これはウケを狙ってやっているのさ」
「はぁ?この髪型も?」
アタシはいつも髪は後ろで二つに分けて肩の前に垂らし、軽くヘアゴムで結んでいるだけ。それを写真に撮る時はツインテールにしている。はなっちはボブカットなのでこの時は髪の上半分だけ後ろで結んだハーフアップだ。
こうやって髪を上の方でまとめるだけで、実年齢よりだいぶ若く見られる。アタシなんて小柄だから余計にだ。
「カワイイでしょ?」
「いや、だってコレ、カワイイけど」
「エロい?」
「エロいわよっ!エロい!私に言わせたいだけでしょ!」
出すところは出さないでこれだけ想像を掻き立てる写真が撮れるなんて、我ながらその才能が恐ろしい。
ふーみんがはなっちへ詰め寄る。
「花!幼馴染だからって、やりたくなければ付き合わなくてもいいんだからね?」
「私はお昼ご飯の為に、欲望の為に心を売ったのです。」
目をつむり、無心でポッ○ーをかじるはなっち。前歯で小刻みにかじられていくポッ○ーがカリカリカリと乾いた音を立てる。
「本当は垢バレしたくないんだけど、もう写真見せちゃったし、ふーみんには教えてあげよう」
アタシはスマホを返してもらい、ツ○ッターを開いた。
「聖地巡礼してきた時の写真はツ○ッターに載せてるんだよ」ほら。と画面を向ける。
「げっ、なによコレ!フォロワー1万超えてるじゃない⁉」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、すごいじゃろ?誰にも言ってはならぬぞ」
実演もしてあげよう。
「その写真も今、上げてみようか?」
『聖地巡礼行ってきたよー 何のアニメか分かるひとー』
適当な文章を打ち込んで、さっきの写真と共にツ○ートする。と、ものの数秒で返信やいいねが付き始めた。
「通知が止まらなーい♪」ワザと憎たらしい感じに言ってみせたら、ふーみんが睨んできた。
「アンタ何か、いかがわしい事してるんじゃ・・・・・・」
「してないよ。ただ自撮り写真載せてるだけだから。承認欲求を満たしているだけさ。まあ、いかがわしいDMはしょっちゅう送られてくるけど。そんなの全部無視してるし、フォロバやいいね返しだってしてないんだから」
「だって、こんなにも・・・・・・本当に大丈夫なの?」ふーみんは心配になってしまったらしい。喋っている間もずっと通知が止まらないんだから、経験した事のない人には驚きだろう。
「大丈夫だよ。顔は隠しているし、身元がバレそうな物は身に着けていないから。アタシなんて高校生じゃなく小学生と思われているんじゃない?何なら、はなっちとは姉妹に見えているかもね」
「お姉ちゃんです」カリカリカリとお姉ちゃんはまだポッ○ーをかじっている。
「岐阜の聖地ばかり載せているから、岐阜県に住んでいるんだろうな?とは思われているかもしれないけど」
「変な事に巻き込まれない様に注意しなさいよ」
ふーみんは心配性だなぁ。
「私にも見せてもらっていいですか?」こういうのに疎そうなかいちょが覗き込んでくる。
「いいよ。」
「あら、可愛らしい。フフッ」
笑っていた顔が驚きの表情へと変わる。
「まあ!いいねが増え続けていますけど、壊れてます?」
「壊れちゃいないよ」壊れているってナニ?
「実は私もツ○ッターやっているのですが、いいね押してもらえるのなんて数件ですし、フォロワーも増えなくて、」
「かいちょがツ○ッターやってたなんて意外」
「あ、私個人のものではないんです。学校非公認の生徒会公式アカウントなんです」
「どこかのゆるキャラみたいな立ち位置だね」
「生徒会のアカウントなんてあったんだねぇ。知らなかったよ」と、はなっち。
「そうですよね・・・・・・生徒会長に就任した際に前会長から引き継いだのですが、生徒にもほとんど知られていませんし、どうしたものかと悩んでいるんです」
アタシは早速、ツ○ッターから高校名で検索をかけてみた。探すまでも無く見つかる。
「あぁ、これは・・・・・・」一目見ただけで持て余していることが分かる内容だ。投稿される頻度が少なすぎて、数カ月に1回になってしまっている。
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