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八百津先生が行ってしまったのを確認し、アタシは言った。
「では、本題に入ろうか」
テーブルに両肘を付き顔の前で指を組む。アタシの行動を察したはなっちが斜め後ろに立ってくれた。もちろんアニメの場面を意識して背筋を正し、手は腰の後ろで組んでいる。いいね!はなっち分かってるぅ。口がもぐもぐ動いているのは見逃してあげよう。
ふーみんが呆れたようにこちらを見ている。
「なんのよ、」
「決まっているじゃないか。部活の申請についてだよ。老人たちには任せておけん」
「まあ!老人だなんて、八百津先生が聞いたら泣いてしまいますよ?」
違うよ、かいちょ!ただのごっこだからね?真顔でツッコまないで。お願い。
「べつに部活にこだわる必要ないと思うんだけど、」
「分かっていないな。キミは。部活とただの集まりとでは決定的に違うのだよ」
「何が?」
「部費だよ」
「アンタ、ばかぁ?」
ここでそのセリフが飛び出すとは!驚きだよ。さすが天然のツンデレは違うね。いや、もしかして知っててやってる?
かいちょが生徒会長の顔になって言う。
「部活と認められれば確かに部費は支給されます」
「フッ、」アタシは口の端を上げ、ニヒルな笑みを浮かべた。
「しかし、認められればですよ?まずは部として継続的に活動していけると示さなくてはいけません」
「と、いうと?」
「実績です。部としての活動実績。運動部であれば大会に出場するだとか、文化部でもコンクールに参加するだとか、作品を製作したりといった実績を生徒会へ示してください。生徒会で精査した後、学校側へ新設の許可を貰います」
「問題ない。こちらにはエ○ァ・・・・・・部費さえあればな。彼らにはなにもできんよ」
「部費で何でも買える訳ではありませんよ?その部で必要な物をまず生徒会へ申請してもらってそこから各部へ部費が割り当てられるのですから。必要無い物は申請、通りませんからね?」
ふーみんが更に呆れた顔で言う。
「アンタもしかして部費でゲームとか買おうって思ってたんじゃないでしょうね」
「仮に部費で買っても、私の物とならなければ意味はない」
はなっちが後ろから耳元へ顔を近づけて来た。手を口に当て小声で言う。
「お菓子は?」
「分かっている。冬○・・・・・・じゃなかった、はなっち。全ては我々の計画通りだ」
安心したはなっちはまた姿勢を正した。
「聞こえてるわよ花。お菓子も買えるわけないじゃない」
「知らないのだな。運動部では休憩時に支給されているスポーツドリンクが部費から出ているという事を」
「そうなの?」ふーみんの視線がかいちょへ向く。
「ええ、まあ。」
「それは必要と言えるものなのかな?」
「いや、必要でしょ。脱水症状で倒れたらどうするのよ」
「水分補給なら水道水でもいいのでは?もしくは各個人でスポーツドリンクなり、お茶でも用意すればいいのだよ」
「それくらいは部活がんばってるんだから大目に見てあげなさいよ」
「では、こちらの要求も飲んでもらいたいものだな。体を使う運動部に対して文化部は頭を使うのだよ。お菓子による糖分の補給は必要だと言えるのでは?」
「ぐぬぅ、お菓子ぐらい私が買ってきてあげるわよ」
「ぐらいか・・・・・・本来部費というのは生徒全員へ均等に割り振られるべきものだと思わんのかね?帰宅部だったキミは全く気にも止めていないかもしれないが、部活をしない事で得られるはずっだった機会を放棄しているのだよ。その放棄した分がスポーツドリンクへと当てられているのだ」
言い終わったアタシはまた「フッ」とニヒルに笑った。
「月光さん。部活と認められても今期はもう部費は支給されませんよ」
「え~っ!」しまった。驚きでついニヒルキャラを解いちゃったじゃないか。
「前期と後期の2回に分けて支給されるので、前期分の申請は既に終わってます。それに活動実績を作ってから初めて部と認められるんですよ?まずは部費も出ない同好会扱いです」
アタシはもう一度キャラを作り直した。
「今はそれでいい」
「それに部員の数によって額も変わってきますからね?月光さん一人だと、思っているほど支給されないと思いますよ」
アタシは立ちあがった。更に椅子の上に立ってふーみんを見下ろす。
「風香、部活に入れ。でなければ帰れ」
「なんで上から目線で言われなきゃいけないのよっ!アタシだってお願いされれば考えてあげてもいいって思ってたのに!いいわよ!丁度時間だし、帰るわよ!じゃあねっ」ふーみんは逃げる様に帰っていった。
逃げちゃダメだ!シ○ジ。
アタシは椅子の上に立ったまま、片手をポケットに突っ込んだ。空いている方の手でサングラスをクイッと上げるフリをする。
「勝ったな」
「一人負けだと思うよ。月光ちゃん、」
「では、本題に入ろうか」
テーブルに両肘を付き顔の前で指を組む。アタシの行動を察したはなっちが斜め後ろに立ってくれた。もちろんアニメの場面を意識して背筋を正し、手は腰の後ろで組んでいる。いいね!はなっち分かってるぅ。口がもぐもぐ動いているのは見逃してあげよう。
ふーみんが呆れたようにこちらを見ている。
「なんのよ、」
「決まっているじゃないか。部活の申請についてだよ。老人たちには任せておけん」
「まあ!老人だなんて、八百津先生が聞いたら泣いてしまいますよ?」
違うよ、かいちょ!ただのごっこだからね?真顔でツッコまないで。お願い。
「べつに部活にこだわる必要ないと思うんだけど、」
「分かっていないな。キミは。部活とただの集まりとでは決定的に違うのだよ」
「何が?」
「部費だよ」
「アンタ、ばかぁ?」
ここでそのセリフが飛び出すとは!驚きだよ。さすが天然のツンデレは違うね。いや、もしかして知っててやってる?
かいちょが生徒会長の顔になって言う。
「部活と認められれば確かに部費は支給されます」
「フッ、」アタシは口の端を上げ、ニヒルな笑みを浮かべた。
「しかし、認められればですよ?まずは部として継続的に活動していけると示さなくてはいけません」
「と、いうと?」
「実績です。部としての活動実績。運動部であれば大会に出場するだとか、文化部でもコンクールに参加するだとか、作品を製作したりといった実績を生徒会へ示してください。生徒会で精査した後、学校側へ新設の許可を貰います」
「問題ない。こちらにはエ○ァ・・・・・・部費さえあればな。彼らにはなにもできんよ」
「部費で何でも買える訳ではありませんよ?その部で必要な物をまず生徒会へ申請してもらってそこから各部へ部費が割り当てられるのですから。必要無い物は申請、通りませんからね?」
ふーみんが更に呆れた顔で言う。
「アンタもしかして部費でゲームとか買おうって思ってたんじゃないでしょうね」
「仮に部費で買っても、私の物とならなければ意味はない」
はなっちが後ろから耳元へ顔を近づけて来た。手を口に当て小声で言う。
「お菓子は?」
「分かっている。冬○・・・・・・じゃなかった、はなっち。全ては我々の計画通りだ」
安心したはなっちはまた姿勢を正した。
「聞こえてるわよ花。お菓子も買えるわけないじゃない」
「知らないのだな。運動部では休憩時に支給されているスポーツドリンクが部費から出ているという事を」
「そうなの?」ふーみんの視線がかいちょへ向く。
「ええ、まあ。」
「それは必要と言えるものなのかな?」
「いや、必要でしょ。脱水症状で倒れたらどうするのよ」
「水分補給なら水道水でもいいのでは?もしくは各個人でスポーツドリンクなり、お茶でも用意すればいいのだよ」
「それくらいは部活がんばってるんだから大目に見てあげなさいよ」
「では、こちらの要求も飲んでもらいたいものだな。体を使う運動部に対して文化部は頭を使うのだよ。お菓子による糖分の補給は必要だと言えるのでは?」
「ぐぬぅ、お菓子ぐらい私が買ってきてあげるわよ」
「ぐらいか・・・・・・本来部費というのは生徒全員へ均等に割り振られるべきものだと思わんのかね?帰宅部だったキミは全く気にも止めていないかもしれないが、部活をしない事で得られるはずっだった機会を放棄しているのだよ。その放棄した分がスポーツドリンクへと当てられているのだ」
言い終わったアタシはまた「フッ」とニヒルに笑った。
「月光さん。部活と認められても今期はもう部費は支給されませんよ」
「え~っ!」しまった。驚きでついニヒルキャラを解いちゃったじゃないか。
「前期と後期の2回に分けて支給されるので、前期分の申請は既に終わってます。それに活動実績を作ってから初めて部と認められるんですよ?まずは部費も出ない同好会扱いです」
アタシはもう一度キャラを作り直した。
「今はそれでいい」
「それに部員の数によって額も変わってきますからね?月光さん一人だと、思っているほど支給されないと思いますよ」
アタシは立ちあがった。更に椅子の上に立ってふーみんを見下ろす。
「風香、部活に入れ。でなければ帰れ」
「なんで上から目線で言われなきゃいけないのよっ!アタシだってお願いされれば考えてあげてもいいって思ってたのに!いいわよ!丁度時間だし、帰るわよ!じゃあねっ」ふーみんは逃げる様に帰っていった。
逃げちゃダメだ!シ○ジ。
アタシは椅子の上に立ったまま、片手をポケットに突っ込んだ。空いている方の手でサングラスをクイッと上げるフリをする。
「勝ったな」
「一人負けだと思うよ。月光ちゃん、」
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