上 下
39 / 42

モモ 9

しおりを挟む
シュタっちが疑問を投げかけます。
「玉匣(たまくしげ)にしても、玉手箱にしても、なぜ人を試すようなことをするのでしょう?」
モモはため息をつきました。
「ズルい人だったのかなぁ、、、」
『ズルい女』だと言った亀姫の言葉を思い出し、しま子は恐る恐る聞きました。
「それは、、、どういう意味ですか?」
「玉手箱はお土産だったんだよ?なのに開けるなと言って持たせた。なぜ?」
しま子が首を振ります。
「それは浦島さんが開ける様にと仕向けたからなんじゃないかな?元いた時代じゃない、誰も頼る人もいない、そんな状況で帰る手掛かりは持っている箱しかない。誰だって取り乱して開けると思うよ。乙姫は開けるなと忠告はした、でもそれって嘘はついていないにしろ、だましているようなものだよ。浦島さんはハメられた。すべては乙姫が自分を守るための欺瞞(ぎまん)に感じるんだよ」

しま子には信じられませんでした。
「だって、、、そんなはずは、、、」
「この玉匣だって同じかもしれない。あーしファッション得意だから知ってるんだけど、櫛を送るって特別な意味があるんだよ」
モモは言うかどうかためらっているようです。
しま子は聞きました。
「一体どんな?」
「、、、クシは苦しむのクに死ぬのシ、苦死とも言われてて、それを送るというのは別れを意味するの」
「そんなはずない!」
しま子は興奮して立ち上がりました。

みながしま子の顔を見ました。怒りの表情がみるみるうちに苦悶の表情へと変わっていきます。
モモが改めて聞きました。
「やっぱり竜宮城へ戻りたい?」
「、、、はい」
「しま子さんにその気があるのなら、ここで暮らしてもいいんだよ?」
「、、、ありがとうございます。けど、、、私は竜宮城へ戻りたいです。戻って直接、亀姫の気持ちを確かめたいです」
「そっか。じゃあ私達も帰れるように協力するね」
モモが確認すると、皆はそれぞれ頷き返してくれました。

ディが言います。
「しょうがねぇなー、アタシが修行してその蓬莱山に連れて行ってやるか」
ゆきぽが聞きました。
「向こうは時間の進み方が違うんですよ?いいんですか?」
「なにも帰ってこれない訳じゃないだろ?ここに、行って帰ってきた奴がいるんだし。送り届けたらすぐに戻ればいい」
きじこも聞きます。
「どうやって行く?」
「そんなのはアレだ、觔斗雲(きんとうん)を呼べばいいんじゃないか?」
「きんとうん?」
「今度、西遊記を読み聞かせてやるよ」
シュタっちが言いました。
「物語の中の記述ですから、確信が持てませんね。何か現実の世界にあるモノとかないでしょうか?」
モモは閃きました。
「天人さま、探せばいいっしょ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件

楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。 ※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。

魔法少女になれたなら【完結済み】

M・A・J・O
ファンタジー
【第5回カクヨムWeb小説コンテスト、中間選考突破!】 【第2回ファミ通文庫大賞、中間選考突破!】 【第9回ネット小説大賞、一次選考突破!】 とある普通の女子小学生――“椎名結衣”はある日一冊の本と出会う。 そこから少女の生活は一変する。 なんとその本は魔法のステッキで? 魔法のステッキにより、強引に魔法少女にされてしまった結衣。 異能力の戦いに戸惑いながらも、何とか着実に勝利を重ねて行く。 これは人間の願いの物語。 愉快痛快なステッキに振り回される憐れな少女の“願い”やいかに―― 謎に包まれた魔法少女劇が今――始まる。 ・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。

棚から牡丹

すずねこ脚本リスト
青春
とある女の子2人のお話。 だと思う。 というのも、メモを昔のから見てったらなんかあった。しかも中途半端。とりあえず、供養のために上げる←

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...