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出席番号23
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今日は高校の卒業式。
長かったようで短い高校生活もこれで終わり。この3年間、特に不満などは無く、それなりに楽しく過ごせた・・・・・・けど。
「先輩っ!ずっと好きでした!私と付き合ってください」
式も終わり名残惜しみつつ校舎を出ようとした時、ちょうど告白の真っ最中の場面に出くわしてしまった。
「おっと、」
私は気付かれない様、静かにその場を離れた。
(わたしには無かったなぁ、ああいうの)
周りなんて見えなくなるほど青春真っ盛りで甘酸っぱい思い出。私の高校生活にはそれが欠けていた気がする。
さっきの告白の場面に自分を当てはめてみるけど、ときめきが起きない。
(ないわー)
憧れが無い訳ではない。後で思い返した時、自分でも恥ずかしくなる様な、まさしく今のカップルと同じ体験をしてみたかった気はする。
しかし、憧れは憧れのままで終わってしまった。
私は”恋”というより大人の”恋愛”がしたいのかもしれない。
友達にもよく言われる。「大人っぽいよね」と。大人っぽいというのは当たり障りのない言い方をしているだけで、裏を返せば冷めている様に見えるのだろうか?
実際、高校では周りの男子をどうしても恋愛対象には思えなかった。
(まだ、これからよね。わたしの人生)
気持ちを新たに1歩を踏み出した時、背後から呼び止める声がした。
「待ってください!先輩!」
その声に振り向くと、男子が小走りにかけて来る。
(あたし?)
声をかけたであろうその子とは面識はなさそうだ。別の人に呼びかけたのかと、周囲を見ても私以外にそれらしい人はいない。
目の前で立ち止まったのは1年生の後輩だ。
「なに?」
声をかけてきたにもかかわらず、その子は頭を掻いてもじもじとしている。
(なんだろう?)
不思議に思っていると、その子が意を決した様に私の目を見て言った。
「ずっと好きでした!お、オレと付き合ってください!」
「は?」
思わず漏れた声と共に、鼻水が出かけた。
後輩から告白されるなんて頭の片隅にも思ってなど無く、完全なる不意打ち。しかもそのセリフは私が憧れていたものだ。
(え?ちょっと待って!?それ、私が言ってみたかったやつ!!)
目の前に立ったその子は小柄だ。私は女子にしては大きい方だがその私と比べてやや低いくらい。それに1年生だとしても高校生にしてはあどけなさの残る顔立ちで、言っては悪いがまだ子供。とてもではないが恋や恋愛だとか大それたことを口にする様には見えない。
(あぁ・・・・・・そういうことか、)
観察しているうちに冷静になった私は察した。
「罰ゲームか何かなの?これ」
誰かが悪ふざけでこの子に無茶振りしたのだろう。きっと隠れてこちらの様子をうかがっている奴がいるに違いない。
周りを見回し、校舎の隅や、教室の窓、生垣の影を注意深く探す。しかし、それらしい人影はいない。
「違います!ぼく、あ、おっ!オレは本気なんです!」
(言い間違えた!?)
その子は無理して普段は使わない言葉を使っているらしい。
「プッ」
背伸びをしているその姿が可愛らしくて、思わず吹いてしまった。どうやら嘘をついていない事は分かった。
「うっ・・・・・・」
その子の体が微かに震えている。
よく見ると胸をめいいっぱい張って体を大きく見せようとしている様だ。背伸びまではしていないがピンと体を伸ばしているから、こわばっているのだろう。小さい事を気にしているらしい。
(なに、この子カワイイ///)
「ふふっ」
「笑わないでください!おっ、オレ必ず先輩にふさわしい男になってみせます!だからっ」
「フフッ、気持ちは嬉しいわ。でも私、今日で卒業するのよ?」
「構いません!休みの日は毎週会いに行きます」
「私が行く大学、気軽に来れる様な距離じゃないわ」
「え?・・・・・・っと、じゃあ、オレも先輩と同じ大学に入ります!」
「プッ!私、短大に行くの。あなたが入る時にはまた卒業よ。フフッ」
「え!?あ、その・・・・・・うぅ」
その子は明らかに困り顔になった。守ってあげたくなるようなその姿はまるで生まれたばかりの子犬。
(ああ!だめっ!可愛い過ぎる!!え?待って、私ってそっち系だったの!?)
からかうつもりなんて無かったのだけれど、その子の背伸びしている様子が可愛くてしょうがない。
だから思わず言ってしまった。
「フフフッ・・・・・・いいわ。付き合ってあげる」
-2年後-
今日は短大の卒業式。
2年なんてあっという間だった。本当にまばたきしている内に終わってしまった感覚だ。大学生活の事なんてほとんど思い出に残っていない。それもこれも彼のせいだ。
ブゥーーーーン!!
キッ!
校門の前で待っていると1台の外車が目の前に停まった。中から降りてきたのは私の彼だった。
「ちょっと!こんな車買って!」
怒る私のことは気にも留めず笑っている顔が少し憎たらしい。
「キミの為にずっとバイトしてきたんだから。いいだろコレ?はい、どうぞ。」
彼が私の為にドアを開けてくれる。
「背伸びなんてしなくても普通でいいのよ。外車なんて、高校生のくせに」
「もう高校生じゃないよ。」
彼が私の腰に手を回し、車に乗るように促してくる。
「それに背伸びなんてしてないし、さあ。」
エスコートしてくれる彼は、とうに私の背なんか越していい大人の男性に成長してしまった。
「まったく・・・・・・ナ・マ・イ・キ」
長かったようで短い高校生活もこれで終わり。この3年間、特に不満などは無く、それなりに楽しく過ごせた・・・・・・けど。
「先輩っ!ずっと好きでした!私と付き合ってください」
式も終わり名残惜しみつつ校舎を出ようとした時、ちょうど告白の真っ最中の場面に出くわしてしまった。
「おっと、」
私は気付かれない様、静かにその場を離れた。
(わたしには無かったなぁ、ああいうの)
周りなんて見えなくなるほど青春真っ盛りで甘酸っぱい思い出。私の高校生活にはそれが欠けていた気がする。
さっきの告白の場面に自分を当てはめてみるけど、ときめきが起きない。
(ないわー)
憧れが無い訳ではない。後で思い返した時、自分でも恥ずかしくなる様な、まさしく今のカップルと同じ体験をしてみたかった気はする。
しかし、憧れは憧れのままで終わってしまった。
私は”恋”というより大人の”恋愛”がしたいのかもしれない。
友達にもよく言われる。「大人っぽいよね」と。大人っぽいというのは当たり障りのない言い方をしているだけで、裏を返せば冷めている様に見えるのだろうか?
実際、高校では周りの男子をどうしても恋愛対象には思えなかった。
(まだ、これからよね。わたしの人生)
気持ちを新たに1歩を踏み出した時、背後から呼び止める声がした。
「待ってください!先輩!」
その声に振り向くと、男子が小走りにかけて来る。
(あたし?)
声をかけたであろうその子とは面識はなさそうだ。別の人に呼びかけたのかと、周囲を見ても私以外にそれらしい人はいない。
目の前で立ち止まったのは1年生の後輩だ。
「なに?」
声をかけてきたにもかかわらず、その子は頭を掻いてもじもじとしている。
(なんだろう?)
不思議に思っていると、その子が意を決した様に私の目を見て言った。
「ずっと好きでした!お、オレと付き合ってください!」
「は?」
思わず漏れた声と共に、鼻水が出かけた。
後輩から告白されるなんて頭の片隅にも思ってなど無く、完全なる不意打ち。しかもそのセリフは私が憧れていたものだ。
(え?ちょっと待って!?それ、私が言ってみたかったやつ!!)
目の前に立ったその子は小柄だ。私は女子にしては大きい方だがその私と比べてやや低いくらい。それに1年生だとしても高校生にしてはあどけなさの残る顔立ちで、言っては悪いがまだ子供。とてもではないが恋や恋愛だとか大それたことを口にする様には見えない。
(あぁ・・・・・・そういうことか、)
観察しているうちに冷静になった私は察した。
「罰ゲームか何かなの?これ」
誰かが悪ふざけでこの子に無茶振りしたのだろう。きっと隠れてこちらの様子をうかがっている奴がいるに違いない。
周りを見回し、校舎の隅や、教室の窓、生垣の影を注意深く探す。しかし、それらしい人影はいない。
「違います!ぼく、あ、おっ!オレは本気なんです!」
(言い間違えた!?)
その子は無理して普段は使わない言葉を使っているらしい。
「プッ」
背伸びをしているその姿が可愛らしくて、思わず吹いてしまった。どうやら嘘をついていない事は分かった。
「うっ・・・・・・」
その子の体が微かに震えている。
よく見ると胸をめいいっぱい張って体を大きく見せようとしている様だ。背伸びまではしていないがピンと体を伸ばしているから、こわばっているのだろう。小さい事を気にしているらしい。
(なに、この子カワイイ///)
「ふふっ」
「笑わないでください!おっ、オレ必ず先輩にふさわしい男になってみせます!だからっ」
「フフッ、気持ちは嬉しいわ。でも私、今日で卒業するのよ?」
「構いません!休みの日は毎週会いに行きます」
「私が行く大学、気軽に来れる様な距離じゃないわ」
「え?・・・・・・っと、じゃあ、オレも先輩と同じ大学に入ります!」
「プッ!私、短大に行くの。あなたが入る時にはまた卒業よ。フフッ」
「え!?あ、その・・・・・・うぅ」
その子は明らかに困り顔になった。守ってあげたくなるようなその姿はまるで生まれたばかりの子犬。
(ああ!だめっ!可愛い過ぎる!!え?待って、私ってそっち系だったの!?)
からかうつもりなんて無かったのだけれど、その子の背伸びしている様子が可愛くてしょうがない。
だから思わず言ってしまった。
「フフフッ・・・・・・いいわ。付き合ってあげる」
-2年後-
今日は短大の卒業式。
2年なんてあっという間だった。本当にまばたきしている内に終わってしまった感覚だ。大学生活の事なんてほとんど思い出に残っていない。それもこれも彼のせいだ。
ブゥーーーーン!!
キッ!
校門の前で待っていると1台の外車が目の前に停まった。中から降りてきたのは私の彼だった。
「ちょっと!こんな車買って!」
怒る私のことは気にも留めず笑っている顔が少し憎たらしい。
「キミの為にずっとバイトしてきたんだから。いいだろコレ?はい、どうぞ。」
彼が私の為にドアを開けてくれる。
「背伸びなんてしなくても普通でいいのよ。外車なんて、高校生のくせに」
「もう高校生じゃないよ。」
彼が私の腰に手を回し、車に乗るように促してくる。
「それに背伸びなんてしてないし、さあ。」
エスコートしてくれる彼は、とうに私の背なんか越していい大人の男性に成長してしまった。
「まったく・・・・・・ナ・マ・イ・キ」
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