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第10章 第2節 黒魔法使いの正体~最後の戦い
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あおい「アナン、あの大男……いや、あのドラキュラみたいな化け物は一体……」
アナン「奴は黒魔法の術者です」
メガネと通してよく見ると、五芒星の外周り、奏太がいる場所から直径2mの位置に円状の半透明なバリアの壁が張り巡らされていた。
さっきあおいが弾き飛ばされたのは、きっとこの壁のせいだ……。
あおいはそう思った。
ボルトン「あまえたち、どいてろ!」
ボルトンはバリアの壁にタックルした。
ガン、ガン
鍛え抜かれたボルトンは、あおいのように弾き飛ばされることはなかったが、壁はびくともしなかった。
アナン「部隊長、どいてください!」
アナンは光線銃を放った。しかし光線はバリアの壁の前で、霧のようにかき消されてしまった。
あおいも再びバリアの壁に突進し、中に入ろうとした。
ガン
再びあおいは弾き飛ばされ、床に体を弾き飛ばされた。
あおい「いたたた……、どうして入れないの!」
奏太「あ、あおいちゃん……」
奏太は苦しそうな表情で、どうにか首を曲げてあおいを見た。
そのとき、黒魔法使いは、ギロッとあおいをにらんだ。
「ふふふ。無駄なことを」
あおい「アナン、この壁はなんなの!」
アナン「これは黒魔法の結界です」
あおい「この壁、どうにかならないの? 奏太がとても苦しそうだよ!」
アナン「実はこの光線銃、霊エネルギー体にもダメージを与えられるように調整できるんです。相手が普通レベルの魔術師の結界ならダメージを与えることは可能なんですが……」
するとボルトン部隊長が顔をしかめて二人に話した。
ボルト「あれは普通の術者じゃない! 黒魔法の親玉的な存在だ!」
あおいはさらに青ざめた。
あおい「親玉……何で……そんな奴が奏太を……」
アナン「あおいさん、黒魔術の秘宝の本のこと、知っているよね」
あおい「本の中身まではしらないけど……本のことは知っている。未来の奏太が夢中になって読んでいたから……」
アナン「あの本は、強力な黒魔法の術者を召喚する秘術が書かれていてね。しかしこの本に書かれた術を行った人が数多く命を失ってね。危険のあまり23世紀で、黒魔術の使用は法律でも禁止されたんです」
そのときボルトンは出力パワーを最大にし、光線銃をバリアに向けた。
アナン「部隊長、そこまでパワーを上げたら壁が壊れた時、奏太さんにも当たってケガをしてしまいます!」
ボルトン「標準はずらして撃つから大丈夫だ。ただ少しケガするかもしれないが、いずれにせよ、今のままではあいつはくたばってしまうぞ。ここは少し粗っぽくいくからな」
あおいは生唾を飲んだ。確かにこのままだと奏太は絶命しそうだ。ボルトンの言う通りにするしかなかった。ボルトンは光線銃を撃った。
バシュー!
今度はバリアの壁にひびが入った。エネルギーを蓄えて撃つため、連射はできないが、効果はあったようだ。
アナン「やったー!」
黒魔法使い「ん? なんだこの光線銃は? 物理的な銃弾ではこの壁に傷すらつけられないはず。……おまえら、未来からやってきた者たちか?」
ボルトンが2発目を撃とうと構えた時、黒魔法使いは新たな呪文を唱えた。するとバリアの壁は、さらに薄気味悪く、強く光り出した。
バシュー!
ボルトンは再び、光線銃を放った。しかし今度は、魔法陣のバリアではじき返された。そしてさきほどのひびも元通り直っていた。
ボルトン「ち、だめか!」
アナン「まさか、最大出力の光線銃で傷一つ、つかないなんて」
黒魔法使い「無駄だ、俺を誰だと思ってるんだ。ガルムバード様をあまく見たな」
ボルトン「ち、やはりガルムバードか」
あおい「ガルムバードって?」
ボルトン「ああ、やつは黒魔法の術師で最高位にいるやつでな、いや最下層のゲス野郎といった方がよいか。過去にも未来にも時間を移動できる最も危険な魔術師の一人さ。あのガキ、とんでもないものを呼び出しやがったな」
あおいはさらに青ざめた。
ガルムバード「もうおまえたちの茶番には付き合っていられない。こいつの魂は俺がもらっていくからな」
ぐあー
奏太は激しい悲鳴を上げた。首元をつかまれて苦しそうだが、生気、まるで魂のエネルギーを吸われているようだ。まさに魂を吸い取る吸血鬼だった。
今度は、ボルトンとアナンが同時に同じ場所に光線銃を撃った。しかしバリアの壁はびくともしなかった。
ガルムバード「ふ、バカな真似を。そんなちんけな光線銃で、俺の結界を壊せるわけないだろ!」
今度は、二人で同時に壁に向かってタックルした。しかし壁はびくともしないどころか、二人とも床に弾き飛ばされた。
ボルトン「こいつはまいったぜ」
アナンもボルトンも手を尽くしたとき、あおいが立ち上がった。
あおい「待って!」
あおいは黒魔法使いに向かって大声を出した。
ん?
すると黒魔法使いは、なぜかあおいの声に反応した。黒魔法使いは思った。
(どこかでこの声……聞き覚えがわずかにあるぞ)
黒魔法は奏太をつかみながら、あおいの様子を見ていた。
あおい「奏太、あたし、今からそっちに行くからね!」
ええい!
あおいは声を上げて、壁に体をぶつけた。
ガン
きゃ!
あおいは弾き飛ばされて、床に倒れた。
しかしあおいは立ち上がり、再度、壁に体をぶつけようとしていた。
アナン「あおいさん、無理です。やめてください」
しかしあおいの耳には、アナンの声が聞こえない。
「奏太! 必ずあたしが助けてあげるからね。辛いけどもう少しだから……待っててね」
あおいは、もう一度壁に体をぶつけた。
ガン
しかしあおいの努力もむなしく、再びはじかれて床に飛ばされてしまった。
しかしあおいは立ち上がった。
奏太「あおいちゃん……もういい、やめるんだ……」
黒魔法使い「『奏太、あおい……』そうか、思い出したぞ。こいつら、学校の部室で電話をしていた奴らだな」
あおい「どういうことよ? なんであたしたちのこと」
奏太「お、お前なんて知らないぞ……、ぐ、ぐわー」
あおい「奏太!」
黒魔法使い「ふふふ、お前、そこの女からは何も聞いていなかったようだな。お前は今から3年後の未来でも、俺にやられて命を落としたんだ」
奏太「な、なんだとー」
黒魔法使い「どうやら、そこの女かタイムポリスの影響で歴史が変わったようだな。お前はとことん不幸な奴だな。未来でも過去でも二度も俺にやられるなんてな。いや、俺様にやられることはむしろ光栄なことだ!」
奏太「未来で俺は貴様にやられたというのか! でたらめをいうな!」
黒魔法使い「ふふふ、おろかな人間には何を言っても理解できないようだな」
この会話を聞いてアナンがあおいに声をかけた。
アナン「あおいさん、奏太くんはひょっとして……未来でもあの霊界通信の実験をして奴に消されたんですか?」
あおい「黒魔法使いのことは誰も知らないわ。奏太が亡くなった瞬間は誰も目撃していない。でも奏太が亡くなった場所には、ここの倉庫と同じように、床に逆さ五芒星の模様が敷かれてあったわ」
奏太とアナンとあおいの会話を聞いて、黒魔法使いは応えた。
黒魔法使い「確か3年ほど前、いや3年後の未来かな。こいつがつくった魔方陣の入口から、電話の声が聞こえてな。確か『奏太、あおい』とか呼び合っていたな。これから魂のエネルギーを吸い取られることも知らずに、のんきに電話してたよなあ!」
あおい「そうか、あの電話をしているとき、すでに奏太は、魔方陣を完成させていたのね」
黒魔法使い「馬鹿な男だ。この結界の意味を全く知らず、興味本位で俺様を呼び出すなんてな」
あおい「じゃあ、あんたなのね! 未来で奏太の命を奪った張本人は?」
黒魔法使い「ふふふ、そうだ! 事情は知らんが、霊界通信機の開発は3年早まったようだな。それにしても、二度も俺にやられるなんて、なんて間抜けなコンビなんだ、おまえらは」
ここでボルトンは疑問に思ったことがある。
黒魔法の親玉は、学生の召喚の遊びに通常は出てこない。普段は地獄の最深部に潜んでいることが多く、親玉が現れるときは、常に地上の大物たちを相手にしていたからだ。ボルトンは、奴の行動の矛盾点を感じた。
ボルトン「ガルムバード、なぜおまえほどの親玉が、二度も……たかが学生の研究なんかにやってくるんだ」
「霊界通信機なんていうものが世に出回ったら、困るんだよ! 俺たちは!」
ボルトン「ふっ」
アナン「そういうことですか……」
ボルトンもアナンも何かに気づいたようだ。
あおい「アナン、一体どういうこと?」
アナン「23世紀ではあの世があるということは常識になっています。霊界通信機は本来、21世紀の末に実験が成功してね。霊界があると科学的に証明されてから、死後、迷った世界、いわゆる地獄に行く人口も少なくなりました」
あおい「それってみんなが天国に帰れるってことでしょ。いいことじゃない? それでなぜ、やつは邪魔をするの?」
アナン「さあね、死後に迷う人が少なくなることを嫌がる奴らが、あの世にもいるってことですよ。意図的に地上を混乱させて、迷った人を増やしてね。あの世での自分の勢力を広めようと考えている、どうしようもない霊もいるんでね。その一人の親玉的な存在が奴なんですよ」
あおい「……」
アナン「霊界通信機が目に見える形で証明できれば、地上の誰もがあの世の存在を知り、天国と地獄があるとわかり、死後にあの世で迷う人が少なくなる。だから奴にとって霊界通信機は、自分たちのテリトリー、地獄の勢力を広げるのに、大変、都合が悪いってことですよ」
あおい「でも、ガルムバードってやつ、もう死んでるんでしょ。なんで死んでもそんなことするの?」
アナン「死んでもわからない奴があの世にもいましてね。きっと何億年たってもわからないですよ。奴らはね」
あおい「ただのおバカさんじゃないの?」
すると黒魔法使いは怒りだした。
黒魔法使い「な、なにを言うんだ。この小娘め! こうなったらすぐにでも、こいつの魂の全エネルギーを吸い取ってやる! あと5分経てばこいつのエネルギーはゼロになるぞ!」
奏太「ぐ、ぐわー」
黒魔法使いは、一気に奏太の魂のエネルギーを吸い取りにきたのだ。
アナン「奴は黒魔法の術者です」
メガネと通してよく見ると、五芒星の外周り、奏太がいる場所から直径2mの位置に円状の半透明なバリアの壁が張り巡らされていた。
さっきあおいが弾き飛ばされたのは、きっとこの壁のせいだ……。
あおいはそう思った。
ボルトン「あまえたち、どいてろ!」
ボルトンはバリアの壁にタックルした。
ガン、ガン
鍛え抜かれたボルトンは、あおいのように弾き飛ばされることはなかったが、壁はびくともしなかった。
アナン「部隊長、どいてください!」
アナンは光線銃を放った。しかし光線はバリアの壁の前で、霧のようにかき消されてしまった。
あおいも再びバリアの壁に突進し、中に入ろうとした。
ガン
再びあおいは弾き飛ばされ、床に体を弾き飛ばされた。
あおい「いたたた……、どうして入れないの!」
奏太「あ、あおいちゃん……」
奏太は苦しそうな表情で、どうにか首を曲げてあおいを見た。
そのとき、黒魔法使いは、ギロッとあおいをにらんだ。
「ふふふ。無駄なことを」
あおい「アナン、この壁はなんなの!」
アナン「これは黒魔法の結界です」
あおい「この壁、どうにかならないの? 奏太がとても苦しそうだよ!」
アナン「実はこの光線銃、霊エネルギー体にもダメージを与えられるように調整できるんです。相手が普通レベルの魔術師の結界ならダメージを与えることは可能なんですが……」
するとボルトン部隊長が顔をしかめて二人に話した。
ボルト「あれは普通の術者じゃない! 黒魔法の親玉的な存在だ!」
あおいはさらに青ざめた。
あおい「親玉……何で……そんな奴が奏太を……」
アナン「あおいさん、黒魔術の秘宝の本のこと、知っているよね」
あおい「本の中身まではしらないけど……本のことは知っている。未来の奏太が夢中になって読んでいたから……」
アナン「あの本は、強力な黒魔法の術者を召喚する秘術が書かれていてね。しかしこの本に書かれた術を行った人が数多く命を失ってね。危険のあまり23世紀で、黒魔術の使用は法律でも禁止されたんです」
そのときボルトンは出力パワーを最大にし、光線銃をバリアに向けた。
アナン「部隊長、そこまでパワーを上げたら壁が壊れた時、奏太さんにも当たってケガをしてしまいます!」
ボルトン「標準はずらして撃つから大丈夫だ。ただ少しケガするかもしれないが、いずれにせよ、今のままではあいつはくたばってしまうぞ。ここは少し粗っぽくいくからな」
あおいは生唾を飲んだ。確かにこのままだと奏太は絶命しそうだ。ボルトンの言う通りにするしかなかった。ボルトンは光線銃を撃った。
バシュー!
今度はバリアの壁にひびが入った。エネルギーを蓄えて撃つため、連射はできないが、効果はあったようだ。
アナン「やったー!」
黒魔法使い「ん? なんだこの光線銃は? 物理的な銃弾ではこの壁に傷すらつけられないはず。……おまえら、未来からやってきた者たちか?」
ボルトンが2発目を撃とうと構えた時、黒魔法使いは新たな呪文を唱えた。するとバリアの壁は、さらに薄気味悪く、強く光り出した。
バシュー!
ボルトンは再び、光線銃を放った。しかし今度は、魔法陣のバリアではじき返された。そしてさきほどのひびも元通り直っていた。
ボルトン「ち、だめか!」
アナン「まさか、最大出力の光線銃で傷一つ、つかないなんて」
黒魔法使い「無駄だ、俺を誰だと思ってるんだ。ガルムバード様をあまく見たな」
ボルトン「ち、やはりガルムバードか」
あおい「ガルムバードって?」
ボルトン「ああ、やつは黒魔法の術師で最高位にいるやつでな、いや最下層のゲス野郎といった方がよいか。過去にも未来にも時間を移動できる最も危険な魔術師の一人さ。あのガキ、とんでもないものを呼び出しやがったな」
あおいはさらに青ざめた。
ガルムバード「もうおまえたちの茶番には付き合っていられない。こいつの魂は俺がもらっていくからな」
ぐあー
奏太は激しい悲鳴を上げた。首元をつかまれて苦しそうだが、生気、まるで魂のエネルギーを吸われているようだ。まさに魂を吸い取る吸血鬼だった。
今度は、ボルトンとアナンが同時に同じ場所に光線銃を撃った。しかしバリアの壁はびくともしなかった。
ガルムバード「ふ、バカな真似を。そんなちんけな光線銃で、俺の結界を壊せるわけないだろ!」
今度は、二人で同時に壁に向かってタックルした。しかし壁はびくともしないどころか、二人とも床に弾き飛ばされた。
ボルトン「こいつはまいったぜ」
アナンもボルトンも手を尽くしたとき、あおいが立ち上がった。
あおい「待って!」
あおいは黒魔法使いに向かって大声を出した。
ん?
すると黒魔法使いは、なぜかあおいの声に反応した。黒魔法使いは思った。
(どこかでこの声……聞き覚えがわずかにあるぞ)
黒魔法は奏太をつかみながら、あおいの様子を見ていた。
あおい「奏太、あたし、今からそっちに行くからね!」
ええい!
あおいは声を上げて、壁に体をぶつけた。
ガン
きゃ!
あおいは弾き飛ばされて、床に倒れた。
しかしあおいは立ち上がり、再度、壁に体をぶつけようとしていた。
アナン「あおいさん、無理です。やめてください」
しかしあおいの耳には、アナンの声が聞こえない。
「奏太! 必ずあたしが助けてあげるからね。辛いけどもう少しだから……待っててね」
あおいは、もう一度壁に体をぶつけた。
ガン
しかしあおいの努力もむなしく、再びはじかれて床に飛ばされてしまった。
しかしあおいは立ち上がった。
奏太「あおいちゃん……もういい、やめるんだ……」
黒魔法使い「『奏太、あおい……』そうか、思い出したぞ。こいつら、学校の部室で電話をしていた奴らだな」
あおい「どういうことよ? なんであたしたちのこと」
奏太「お、お前なんて知らないぞ……、ぐ、ぐわー」
あおい「奏太!」
黒魔法使い「ふふふ、お前、そこの女からは何も聞いていなかったようだな。お前は今から3年後の未来でも、俺にやられて命を落としたんだ」
奏太「な、なんだとー」
黒魔法使い「どうやら、そこの女かタイムポリスの影響で歴史が変わったようだな。お前はとことん不幸な奴だな。未来でも過去でも二度も俺にやられるなんてな。いや、俺様にやられることはむしろ光栄なことだ!」
奏太「未来で俺は貴様にやられたというのか! でたらめをいうな!」
黒魔法使い「ふふふ、おろかな人間には何を言っても理解できないようだな」
この会話を聞いてアナンがあおいに声をかけた。
アナン「あおいさん、奏太くんはひょっとして……未来でもあの霊界通信の実験をして奴に消されたんですか?」
あおい「黒魔法使いのことは誰も知らないわ。奏太が亡くなった瞬間は誰も目撃していない。でも奏太が亡くなった場所には、ここの倉庫と同じように、床に逆さ五芒星の模様が敷かれてあったわ」
奏太とアナンとあおいの会話を聞いて、黒魔法使いは応えた。
黒魔法使い「確か3年ほど前、いや3年後の未来かな。こいつがつくった魔方陣の入口から、電話の声が聞こえてな。確か『奏太、あおい』とか呼び合っていたな。これから魂のエネルギーを吸い取られることも知らずに、のんきに電話してたよなあ!」
あおい「そうか、あの電話をしているとき、すでに奏太は、魔方陣を完成させていたのね」
黒魔法使い「馬鹿な男だ。この結界の意味を全く知らず、興味本位で俺様を呼び出すなんてな」
あおい「じゃあ、あんたなのね! 未来で奏太の命を奪った張本人は?」
黒魔法使い「ふふふ、そうだ! 事情は知らんが、霊界通信機の開発は3年早まったようだな。それにしても、二度も俺にやられるなんて、なんて間抜けなコンビなんだ、おまえらは」
ここでボルトンは疑問に思ったことがある。
黒魔法の親玉は、学生の召喚の遊びに通常は出てこない。普段は地獄の最深部に潜んでいることが多く、親玉が現れるときは、常に地上の大物たちを相手にしていたからだ。ボルトンは、奴の行動の矛盾点を感じた。
ボルトン「ガルムバード、なぜおまえほどの親玉が、二度も……たかが学生の研究なんかにやってくるんだ」
「霊界通信機なんていうものが世に出回ったら、困るんだよ! 俺たちは!」
ボルトン「ふっ」
アナン「そういうことですか……」
ボルトンもアナンも何かに気づいたようだ。
あおい「アナン、一体どういうこと?」
アナン「23世紀ではあの世があるということは常識になっています。霊界通信機は本来、21世紀の末に実験が成功してね。霊界があると科学的に証明されてから、死後、迷った世界、いわゆる地獄に行く人口も少なくなりました」
あおい「それってみんなが天国に帰れるってことでしょ。いいことじゃない? それでなぜ、やつは邪魔をするの?」
アナン「さあね、死後に迷う人が少なくなることを嫌がる奴らが、あの世にもいるってことですよ。意図的に地上を混乱させて、迷った人を増やしてね。あの世での自分の勢力を広めようと考えている、どうしようもない霊もいるんでね。その一人の親玉的な存在が奴なんですよ」
あおい「……」
アナン「霊界通信機が目に見える形で証明できれば、地上の誰もがあの世の存在を知り、天国と地獄があるとわかり、死後にあの世で迷う人が少なくなる。だから奴にとって霊界通信機は、自分たちのテリトリー、地獄の勢力を広げるのに、大変、都合が悪いってことですよ」
あおい「でも、ガルムバードってやつ、もう死んでるんでしょ。なんで死んでもそんなことするの?」
アナン「死んでもわからない奴があの世にもいましてね。きっと何億年たってもわからないですよ。奴らはね」
あおい「ただのおバカさんじゃないの?」
すると黒魔法使いは怒りだした。
黒魔法使い「な、なにを言うんだ。この小娘め! こうなったらすぐにでも、こいつの魂の全エネルギーを吸い取ってやる! あと5分経てばこいつのエネルギーはゼロになるぞ!」
奏太「ぐ、ぐわー」
黒魔法使いは、一気に奏太の魂のエネルギーを吸い取りにきたのだ。
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