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世界の終わりでキスをして
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俺は、叔父さんのそのノートを読んで、まるでその中の話しに引きずり込まれる感覚に陥った。
「恭弥。」
流華の声で俺は現実に引き戻された。
「俺、まさか叔父さんがこんな思いで今までいたなんて、全然気付かなかった、、、。母さんの事をこんなに思ってたなんて、、、。」
いつも、おちゃらけて、飄々として生きてるように見えた叔父さんが、こんなに辛い思いを抱えて生きてたなんて知る事もなかった。
「でも、恭一さんも辛かったと思う。
好きだった、尚美さんと結婚はできたけど、尚美さんは健一さんが好きだったんだから。もしかしたら、尚美さんが亡くなる時、最後の時を健一さんと過ごして欲しいから、研究に没頭していたのかもしれないわね。」
そうなのか、、、?
このノートを読むと、叔父さんが父さんを憎んでも確かに仕方ないないように思えてくる。
「流華、俺叔父さんを何とかして止めるよ。だから、叔父さんの事、、、。」
俺がそう言うと、流華は首を振る。
「恭弥、ごめんね。無理なの。高倉恭一を殺す可能性があるなら、私は殺害するしかない。」
流華が俺を真っ直ぐに見て言う。
「だから言ったでしょ?本当の私を知ったら、恭弥は私を憎むって。」
そうだ、、、。
幻滅させてくれるなら、とことん俺を幻滅させて欲しい。
それでこの不毛な片思いに終止符を打てるなら、俺はどんなに嬉しいだろう。
流華が俺の前から去ろうとする。
俺に背中を向けて歩き出す。
出会った時からいつも強い流華だった。
隙なんて見せない完璧な彼女。
その流華に俺は惚れたんだ。
けど今は違う。
俺は流華を追いかけて後ろから抱きしめる。
流華の身体が少しびくっと動いた。
「恭弥、何?」
「俺はどんな流華でも好きなんだよ。ずっと伝え続けてるよね。」
俺は、料理が苦手だったり、俺をからかったり、流華の完璧じゃない部分の方が好きなんだ。
俺の願いは流華の弱さを見して欲しい。
流華が俺の身体を振り払って言う。
「私が、あなたの大好きな叔父さんを殺してもそんな事言えるの?」
流華が見た事もないような辛そうな顔で言う。
「これ以上私を揺るがさないで。」
そのまま、流華は俺の前を立ち去っていく。
俺は、その場に座りこむ。
真夏の太陽の様な、暑い日差しが容赦なく俺に降り注ぐ。
俺はもう、うつ手がなく何をどうしたらいいかわからなくなる。
携帯を取り出して時間をみる。
14時。
後、6時間で父さんが殺される。
俺は先回りして止める事くらいしか出来ない。
でも、その前に流華が叔父さんを見つけてしまったら、、、。
叔父さんを止められるのは俺しかいないのかもしれない。
俺は母さんの子だ。
叔父さんは、半分母さんの血が通っている俺だから、今まで優しく面倒みてくれたんじゃないか?
母さんの分身は、この世にもう俺しかいないんだから。
俺はまた歩き出す。
気づけば、朝から何も食べていなかった。
流石に腹がへってきた。俺は霊園を後にして、新宿へ戻る。
新宿へ戻って、適当にコンビニに入り、ご飯を買って事務所へ戻る。
事務所の前に行くと、隣の韓国語学校の韓国人の子と鉢合わせた。
「こんにちは」
可愛らしい笑顔で彼女が挨拶してくる。
「こんにちは」
俺が挨拶を返すと、彼女は俺の肩を軽く叩いていう。
「健一は、いないの?最近会ってない。」
俺は驚いた。
韓国人の彼女が、叔父さんとそんなに親しくしてると思わなかったからだ。
「ああ、最近忙しいみたいで、あんまり事務所に戻ってないかもしれないです。」
俺がそう話すと彼女がまた話しかけてくる。
「あなたは、健一の甥?」
「そうですけど、、、。」
俺がそう答えると彼女は嬉しそうに言う。
「健一に伝えておいて、帰ってきたら韓国料理を食べに行きましょうって。」
「は、はい。」
彼女は俺にウィンクして言う。
「私、健一に恋してるのよ。健一が隣りに越してきてからずっと。」
と言うので、俺はびっくりした。彼女は俺とそんなに年齢が変わらない気がしたからだ。
叔父さん、やるなぁ、、、。
と俺は妙に感心してしまった。
「健一には何度も振られているの。若い子に興味ないって。」
叔父さん、なんて勿体無い事を言ってるんだ。
「でも、私は勝手にずっと健一を好きでいるの」
そんな健気な彼女の恋心が自分と重なってじーんっとくる。
叔父さん、こんなに叔父さんを思ってくれる可愛い子がいるのに、何故自ら幸せになろうとしないのか。
愛情は時に人を悪魔にしてしまう。
残酷なまでに。
「恭弥。」
流華の声で俺は現実に引き戻された。
「俺、まさか叔父さんがこんな思いで今までいたなんて、全然気付かなかった、、、。母さんの事をこんなに思ってたなんて、、、。」
いつも、おちゃらけて、飄々として生きてるように見えた叔父さんが、こんなに辛い思いを抱えて生きてたなんて知る事もなかった。
「でも、恭一さんも辛かったと思う。
好きだった、尚美さんと結婚はできたけど、尚美さんは健一さんが好きだったんだから。もしかしたら、尚美さんが亡くなる時、最後の時を健一さんと過ごして欲しいから、研究に没頭していたのかもしれないわね。」
そうなのか、、、?
このノートを読むと、叔父さんが父さんを憎んでも確かに仕方ないないように思えてくる。
「流華、俺叔父さんを何とかして止めるよ。だから、叔父さんの事、、、。」
俺がそう言うと、流華は首を振る。
「恭弥、ごめんね。無理なの。高倉恭一を殺す可能性があるなら、私は殺害するしかない。」
流華が俺を真っ直ぐに見て言う。
「だから言ったでしょ?本当の私を知ったら、恭弥は私を憎むって。」
そうだ、、、。
幻滅させてくれるなら、とことん俺を幻滅させて欲しい。
それでこの不毛な片思いに終止符を打てるなら、俺はどんなに嬉しいだろう。
流華が俺の前から去ろうとする。
俺に背中を向けて歩き出す。
出会った時からいつも強い流華だった。
隙なんて見せない完璧な彼女。
その流華に俺は惚れたんだ。
けど今は違う。
俺は流華を追いかけて後ろから抱きしめる。
流華の身体が少しびくっと動いた。
「恭弥、何?」
「俺はどんな流華でも好きなんだよ。ずっと伝え続けてるよね。」
俺は、料理が苦手だったり、俺をからかったり、流華の完璧じゃない部分の方が好きなんだ。
俺の願いは流華の弱さを見して欲しい。
流華が俺の身体を振り払って言う。
「私が、あなたの大好きな叔父さんを殺してもそんな事言えるの?」
流華が見た事もないような辛そうな顔で言う。
「これ以上私を揺るがさないで。」
そのまま、流華は俺の前を立ち去っていく。
俺は、その場に座りこむ。
真夏の太陽の様な、暑い日差しが容赦なく俺に降り注ぐ。
俺はもう、うつ手がなく何をどうしたらいいかわからなくなる。
携帯を取り出して時間をみる。
14時。
後、6時間で父さんが殺される。
俺は先回りして止める事くらいしか出来ない。
でも、その前に流華が叔父さんを見つけてしまったら、、、。
叔父さんを止められるのは俺しかいないのかもしれない。
俺は母さんの子だ。
叔父さんは、半分母さんの血が通っている俺だから、今まで優しく面倒みてくれたんじゃないか?
母さんの分身は、この世にもう俺しかいないんだから。
俺はまた歩き出す。
気づけば、朝から何も食べていなかった。
流石に腹がへってきた。俺は霊園を後にして、新宿へ戻る。
新宿へ戻って、適当にコンビニに入り、ご飯を買って事務所へ戻る。
事務所の前に行くと、隣の韓国語学校の韓国人の子と鉢合わせた。
「こんにちは」
可愛らしい笑顔で彼女が挨拶してくる。
「こんにちは」
俺が挨拶を返すと、彼女は俺の肩を軽く叩いていう。
「健一は、いないの?最近会ってない。」
俺は驚いた。
韓国人の彼女が、叔父さんとそんなに親しくしてると思わなかったからだ。
「ああ、最近忙しいみたいで、あんまり事務所に戻ってないかもしれないです。」
俺がそう話すと彼女がまた話しかけてくる。
「あなたは、健一の甥?」
「そうですけど、、、。」
俺がそう答えると彼女は嬉しそうに言う。
「健一に伝えておいて、帰ってきたら韓国料理を食べに行きましょうって。」
「は、はい。」
彼女は俺にウィンクして言う。
「私、健一に恋してるのよ。健一が隣りに越してきてからずっと。」
と言うので、俺はびっくりした。彼女は俺とそんなに年齢が変わらない気がしたからだ。
叔父さん、やるなぁ、、、。
と俺は妙に感心してしまった。
「健一には何度も振られているの。若い子に興味ないって。」
叔父さん、なんて勿体無い事を言ってるんだ。
「でも、私は勝手にずっと健一を好きでいるの」
そんな健気な彼女の恋心が自分と重なってじーんっとくる。
叔父さん、こんなに叔父さんを思ってくれる可愛い子がいるのに、何故自ら幸せになろうとしないのか。
愛情は時に人を悪魔にしてしまう。
残酷なまでに。
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