24 / 35
何者なのか
しおりを挟む
「流華ちょっと待って!」
「健一叔父さんに言って、全部警察に届けてもらいましょう。篠田が自白してる動画もあるから、証拠になるはずよ。」
「良いけど、どうやって篠田さんを自白させたの。」
いくら簡単に流華が篠田さんを締め上げたとしても、そう簡単には自白しないだろう。
「私に知られても良いと思ったんじゃない?最終的にあのラガーマンが私をどうにか始末してくれると思ったんじゃないかしら。あのラガーマン、悪い組織のお兄さんみたいだし。」
「え?そうなの?じゃあ本当に殺されてもおかしくなかったのかよ。」
俺は今更ながら身体が震えてくる。
「まあ、恭弥だけだったら殺されてたかもね。私は簡単には殺されないけど。」
確かにそうなんだけど。結局俺は流華について行ったはいいが、何もせず流華に守られ、酷くダサい結果におわっったのだった。
「あーあ、なんか結局俺かっこ悪いまま終わったな。」
「恭弥の1番の魅力はかっこ悪いところよ。」
と流華が喜んでいいのかわからない事を言ってくる。
多分またからかわれてるてるだけだろうけど、悪い気はしなかった。
その後、俺は叔父さんに連絡して、警察を呼んでもらった、面倒なあと処理はこっちでするからと言って、俺と流華は一先ず自宅に帰る事にした。
叔父さんは、俺たちが、犯人まで見つけて、更に自供した証拠の動画まで持っている事に驚いていた。
「お前達一体、何なの?警察にでもなろうとしてるの?」
と感心していたが、もちろん俺も流華もそのつもりはない。
黒猫のルナだが、凛ちゃんになついて、あのビルにいたようだが、ちゃんと飼い主に返す事になって、そちらの事件も無事解決した。
とりあえず、事件は解決したが、まさかあの篠田さんがこんな事をするなんてと、大学関係者や、ソーラン節サークルの人達は落ち込んでいるようだった。
特に、須羽は憧れの先輩が自分の彼女を騙して売春させてたのだと知って、がらにもなくとても落ち込んでいた。
凛ちゃんは大学を辞めて実家に帰る事になった。
俺は傷心の須羽を慰める為に、渋谷の居酒屋で飲んでいた。
「あれから、凛と2人で話したんだけどやっぱり俺じゃだめみたいなんだよね。」
須羽はめったに酔っ払う事はないが、この日は凛ちゃんと正式に別れたと言う事もあり、かなり酔いがまわっているようだった。
「まあ、仕方ないんじゃない?女の子をちゃんと安心させてあげれるような包容力?って言うの?そんなの俺らにはないもん。全くない。」
俺がそう言うと、須羽は怒って言ってくる。
「なんだよ!お前と一緒にすんなよ!俺はちゃんとあるよ。心も広いし。優しいし。」
「その何となく優しいのがだめなんじゃないの?須羽は結局彼女だけじゃなくて、他の子にも優しいじゃん。それだとモテるかもしれないけど、彼女からしたら不安要素しかないんじゃないの?」
須羽がまた、ビールを飲みながら俺に向かって言う。
「恭弥のくせに生意気だな!そうだよ!どうせ俺は、篠田さんみたく、凛の悩みをちゃんと理解してわかってあげれる包容力はありませんよ。」
珍しく拗ねている。
「お前は良いよな。結局流華ちゃんは篠田さんの事好きだったわけじゃないし。なんだかんだで仲良く一緒に住んで、同じバイト先で働いて楽しそうだし。」
「まあ、俺はずっと振られてるんだけどね。振り回されてるって言うかさ。」
「何嬉しそうに言ってるんだよ。うざいな。失恋してそんなに嬉しそうなの、お前くらいだぞ。気持ち悪い。」
確かにそうかもしれない。
どんなに気持ちを伝えて振られても、俺は何回でもチャレンジできそうだ。
そう思ってビールを流しこんでいると
、流華から電話がきた。
俺はすぐさま電話に出る。
1秒足りとも、流華を待たしてはいけないルールが俺のなかにある。
「もしもし流華?」
俺が出ると流華が怒った声で言う。
「恭弥。今何処?」
「え?渋谷だけど。」
「報告書!この間の迷いフェレットのやつ今日まででしょ!」
忘れてた。そういや叔父さんに言われてた。
「忘れてた!俺今、須羽と呑んじゃってる!」
「いいから、早くきなさい。」
「はい!行きます!」
電話を切ると、須羽がこちらを睨みつける。
「行きますじゃねーよ。お前は下僕かなんかか。傷心の友達を捨ててお前は女の所へ行くのか。」
「どんな事情があろうとも、流華に言われたら絶対だから。じゃあな須羽!」
そう言って俺は走って渋谷の居酒屋を飛び出す。
どこもかしこも人が多いぜ。
俺は人混みを縫う様にして、駅まで行く。
生まれてからずっと新宿で育ち、人の避け方だけはプロ級だと言い切れる自信がある。
迷いフェレットの報告書なんて別にどうでも良かった。
まあ、どうでも良くはないか、フェレットは見つけるのが大変だった。小さいし、細いし、暗がりが好きだし。猫探しより、難航したが、ちゃんとマンションの排水溝の下にいて無事解決した。
とにかく流華に会えるのならば俺はほいほいと何処でも行くだろう。
そこがアフリカだろうがアラスカだろうが、地獄だろうが落ちるとこまで落ちていく。
事務所に着くと流華が1人でパソコンと睨めっこしていた。
長い髪をおだんごにして、それもまた可愛いかった。
にこにこして入っていくと、
「何気持ち悪い。早く終わらして。」
と怒られる。
そんな事でめげる俺ではないので、自分のデスクに座って、報告書を作る。
「あれ?叔父さんはいないの?」
俺が聞くと、流華はキーボードを打つ手を止めず俺に言う。
「警察の元同僚に会いに行ったわ。今日はそのままその同僚と飲んで帰るって。」
成る程。じゃあ流華と2人きりか。
1人でガッツポーズを決める。
その後も俺は真面目に報告書を作ったが、流華がこれも、これもと仕事をおしつけてきて、気づいたら23時だった。
流石に疲れたし、ビールしか飲んでないから腹も減った。
「流華、もうそろそろあがろうぜ。腹減った!何か食っていこう!」
そう言って2人で事務所のビルを出る。
「西新宿の小田急のデパートの前に屋台のラーメン屋が出てるんだよ。美味しいから行こう!」
よく考えたら、せっかく流華と2人で外食なんだから、もっとおしゃれなお店に行けば良かったんだけど、俺はそこの屋台のラーメンが大好きだった。
昔、父さんが母さんに内緒で連れて行ってくれた思い出の味だ。
なんてことはない、醤油ラーメンだが屋台で食べるから美味いのか小さい時から慣れ親しんだ味だった。
流華と、屋台のラーメン。
ミスマッチにもほどがあるが、流華は気にいって美味しそうに食べていた。
俺と流華は歩きながら家に帰る。
自宅周辺は静かだが、遠くに新宿の煌びやかな光が見える。
「恭弥美味しかったわね。あのラーメン。」
流華が歩きながら俺に言う。
「気にいった?昔ながらのあの味がなんか良いんだよね~!懐かしいっていうかさ。」
「里さんの料理と一緒よね。何故か安心する味。」
里さんの料理か、そういえばそうなのかも、小さい時から食べ慣れていた味だからよくわからなかったのかもしれない。
「私には出せない味だわ。」
「でも上手になってたじゃん。だし巻き卵!あれ、里さんのと変わりなかったよ?」
俺が言うと流華が首を振る。
「恭弥、味音痴よ。全然違ったわよ。
あれは一生かけても私にはつくれないわ。私はだし巻き卵とかけ離れた世界にいるから。」
流華が変な事を言うので俺は笑ってしまう。
「どんな世界だよ。」
「私といると、安心感より緊張感しかないでしょ?恭弥は里さんみたいな人と一緒になるのが1番いいのよ。」
「なんで?嫌だよ俺。里さんって俺にとったらおばあさんだろ。」
「里さんじゃなくて。里さんみたいな人よ。恭弥を癒してくれるような人。」
なんで流華がそんな事言うのかわからない。今更そんな事言ったってもう遅い。
「俺は、流華が俺を癒してくれなくても、流華が全然俺を好きじゃなくても流華が好きだよ。」
流華の綺麗な目が俺を見る。
「恭弥じゃだめよ。」
「知ってる。」
それでも、もう遅い。俺は完全に落ちてしまったんだ、行き着く先が何なのか、わからなくても、後はただひたすらに落ちるだけだ。
携帯に電話がかかってきた。
叔父さんからだった。
もう家の前にきていたので、流華に先に家に入るように言う。
「どうしたの?」
俺はため息をついて電話に出る。
何回振られても、傷つくもんは傷つく。
「恭弥か?今1人か?」
「うん。今事務所の帰り、流華は先に家に帰った。」
俺がそう言うと叔父さんは少し黙った。
「そうか、それなら良かった。」
なんだ?いつもと違う叔父さんの態度に妙な不安を覚える。
「なあ、恭弥、この間の事件の事だけど。」
この間の事件ってsweepの事件の事か?
「あの事件の後処理をしてて思ったんだ。お前流華ちゃんが全部1人で篠田を締めて自白させたと言ったな?」
「そうだけど。」
なんでそんな事を言うのかわからなかった。
「いくらなんでもおかしいと思うんだ。女の子1人でだいの男を締め上げるって。篠田にもきちんとロープが結ばれていたが、あまりにも手慣れたロープの結び方だ。」
俺は自分の心臓が高鳴るのがわかる。
どういう事だ?叔父さんは何が言いたい。
「彼女は普通の女の子じゃないと思う。
特別な訓練を積んだプロだ。あれはプロの仕事だ。」
プロ、、、?
「気になって調べたんだ。お前と同じ大学と言っていたが、加々美流華という人間はあの大学にはいない。」
えっー?
「他にも警察の同僚を使って調べてみたが東北でも東京でも加々美流華と言う人間の住民票はなかった。加々美流華って名前は偽名かもしれない。」
俺は頭がついていかなくなった。
流華は、同じ大学じゃない?
加々美流華自体が偽名の可能性がある?
じゃあ一体流華は誰なんだ?
「お前、流華ちゃんに騙されてるんだよ。」
俺が流華に、、、、?
「健一叔父さんに言って、全部警察に届けてもらいましょう。篠田が自白してる動画もあるから、証拠になるはずよ。」
「良いけど、どうやって篠田さんを自白させたの。」
いくら簡単に流華が篠田さんを締め上げたとしても、そう簡単には自白しないだろう。
「私に知られても良いと思ったんじゃない?最終的にあのラガーマンが私をどうにか始末してくれると思ったんじゃないかしら。あのラガーマン、悪い組織のお兄さんみたいだし。」
「え?そうなの?じゃあ本当に殺されてもおかしくなかったのかよ。」
俺は今更ながら身体が震えてくる。
「まあ、恭弥だけだったら殺されてたかもね。私は簡単には殺されないけど。」
確かにそうなんだけど。結局俺は流華について行ったはいいが、何もせず流華に守られ、酷くダサい結果におわっったのだった。
「あーあ、なんか結局俺かっこ悪いまま終わったな。」
「恭弥の1番の魅力はかっこ悪いところよ。」
と流華が喜んでいいのかわからない事を言ってくる。
多分またからかわれてるてるだけだろうけど、悪い気はしなかった。
その後、俺は叔父さんに連絡して、警察を呼んでもらった、面倒なあと処理はこっちでするからと言って、俺と流華は一先ず自宅に帰る事にした。
叔父さんは、俺たちが、犯人まで見つけて、更に自供した証拠の動画まで持っている事に驚いていた。
「お前達一体、何なの?警察にでもなろうとしてるの?」
と感心していたが、もちろん俺も流華もそのつもりはない。
黒猫のルナだが、凛ちゃんになついて、あのビルにいたようだが、ちゃんと飼い主に返す事になって、そちらの事件も無事解決した。
とりあえず、事件は解決したが、まさかあの篠田さんがこんな事をするなんてと、大学関係者や、ソーラン節サークルの人達は落ち込んでいるようだった。
特に、須羽は憧れの先輩が自分の彼女を騙して売春させてたのだと知って、がらにもなくとても落ち込んでいた。
凛ちゃんは大学を辞めて実家に帰る事になった。
俺は傷心の須羽を慰める為に、渋谷の居酒屋で飲んでいた。
「あれから、凛と2人で話したんだけどやっぱり俺じゃだめみたいなんだよね。」
須羽はめったに酔っ払う事はないが、この日は凛ちゃんと正式に別れたと言う事もあり、かなり酔いがまわっているようだった。
「まあ、仕方ないんじゃない?女の子をちゃんと安心させてあげれるような包容力?って言うの?そんなの俺らにはないもん。全くない。」
俺がそう言うと、須羽は怒って言ってくる。
「なんだよ!お前と一緒にすんなよ!俺はちゃんとあるよ。心も広いし。優しいし。」
「その何となく優しいのがだめなんじゃないの?須羽は結局彼女だけじゃなくて、他の子にも優しいじゃん。それだとモテるかもしれないけど、彼女からしたら不安要素しかないんじゃないの?」
須羽がまた、ビールを飲みながら俺に向かって言う。
「恭弥のくせに生意気だな!そうだよ!どうせ俺は、篠田さんみたく、凛の悩みをちゃんと理解してわかってあげれる包容力はありませんよ。」
珍しく拗ねている。
「お前は良いよな。結局流華ちゃんは篠田さんの事好きだったわけじゃないし。なんだかんだで仲良く一緒に住んで、同じバイト先で働いて楽しそうだし。」
「まあ、俺はずっと振られてるんだけどね。振り回されてるって言うかさ。」
「何嬉しそうに言ってるんだよ。うざいな。失恋してそんなに嬉しそうなの、お前くらいだぞ。気持ち悪い。」
確かにそうかもしれない。
どんなに気持ちを伝えて振られても、俺は何回でもチャレンジできそうだ。
そう思ってビールを流しこんでいると
、流華から電話がきた。
俺はすぐさま電話に出る。
1秒足りとも、流華を待たしてはいけないルールが俺のなかにある。
「もしもし流華?」
俺が出ると流華が怒った声で言う。
「恭弥。今何処?」
「え?渋谷だけど。」
「報告書!この間の迷いフェレットのやつ今日まででしょ!」
忘れてた。そういや叔父さんに言われてた。
「忘れてた!俺今、須羽と呑んじゃってる!」
「いいから、早くきなさい。」
「はい!行きます!」
電話を切ると、須羽がこちらを睨みつける。
「行きますじゃねーよ。お前は下僕かなんかか。傷心の友達を捨ててお前は女の所へ行くのか。」
「どんな事情があろうとも、流華に言われたら絶対だから。じゃあな須羽!」
そう言って俺は走って渋谷の居酒屋を飛び出す。
どこもかしこも人が多いぜ。
俺は人混みを縫う様にして、駅まで行く。
生まれてからずっと新宿で育ち、人の避け方だけはプロ級だと言い切れる自信がある。
迷いフェレットの報告書なんて別にどうでも良かった。
まあ、どうでも良くはないか、フェレットは見つけるのが大変だった。小さいし、細いし、暗がりが好きだし。猫探しより、難航したが、ちゃんとマンションの排水溝の下にいて無事解決した。
とにかく流華に会えるのならば俺はほいほいと何処でも行くだろう。
そこがアフリカだろうがアラスカだろうが、地獄だろうが落ちるとこまで落ちていく。
事務所に着くと流華が1人でパソコンと睨めっこしていた。
長い髪をおだんごにして、それもまた可愛いかった。
にこにこして入っていくと、
「何気持ち悪い。早く終わらして。」
と怒られる。
そんな事でめげる俺ではないので、自分のデスクに座って、報告書を作る。
「あれ?叔父さんはいないの?」
俺が聞くと、流華はキーボードを打つ手を止めず俺に言う。
「警察の元同僚に会いに行ったわ。今日はそのままその同僚と飲んで帰るって。」
成る程。じゃあ流華と2人きりか。
1人でガッツポーズを決める。
その後も俺は真面目に報告書を作ったが、流華がこれも、これもと仕事をおしつけてきて、気づいたら23時だった。
流石に疲れたし、ビールしか飲んでないから腹も減った。
「流華、もうそろそろあがろうぜ。腹減った!何か食っていこう!」
そう言って2人で事務所のビルを出る。
「西新宿の小田急のデパートの前に屋台のラーメン屋が出てるんだよ。美味しいから行こう!」
よく考えたら、せっかく流華と2人で外食なんだから、もっとおしゃれなお店に行けば良かったんだけど、俺はそこの屋台のラーメンが大好きだった。
昔、父さんが母さんに内緒で連れて行ってくれた思い出の味だ。
なんてことはない、醤油ラーメンだが屋台で食べるから美味いのか小さい時から慣れ親しんだ味だった。
流華と、屋台のラーメン。
ミスマッチにもほどがあるが、流華は気にいって美味しそうに食べていた。
俺と流華は歩きながら家に帰る。
自宅周辺は静かだが、遠くに新宿の煌びやかな光が見える。
「恭弥美味しかったわね。あのラーメン。」
流華が歩きながら俺に言う。
「気にいった?昔ながらのあの味がなんか良いんだよね~!懐かしいっていうかさ。」
「里さんの料理と一緒よね。何故か安心する味。」
里さんの料理か、そういえばそうなのかも、小さい時から食べ慣れていた味だからよくわからなかったのかもしれない。
「私には出せない味だわ。」
「でも上手になってたじゃん。だし巻き卵!あれ、里さんのと変わりなかったよ?」
俺が言うと流華が首を振る。
「恭弥、味音痴よ。全然違ったわよ。
あれは一生かけても私にはつくれないわ。私はだし巻き卵とかけ離れた世界にいるから。」
流華が変な事を言うので俺は笑ってしまう。
「どんな世界だよ。」
「私といると、安心感より緊張感しかないでしょ?恭弥は里さんみたいな人と一緒になるのが1番いいのよ。」
「なんで?嫌だよ俺。里さんって俺にとったらおばあさんだろ。」
「里さんじゃなくて。里さんみたいな人よ。恭弥を癒してくれるような人。」
なんで流華がそんな事言うのかわからない。今更そんな事言ったってもう遅い。
「俺は、流華が俺を癒してくれなくても、流華が全然俺を好きじゃなくても流華が好きだよ。」
流華の綺麗な目が俺を見る。
「恭弥じゃだめよ。」
「知ってる。」
それでも、もう遅い。俺は完全に落ちてしまったんだ、行き着く先が何なのか、わからなくても、後はただひたすらに落ちるだけだ。
携帯に電話がかかってきた。
叔父さんからだった。
もう家の前にきていたので、流華に先に家に入るように言う。
「どうしたの?」
俺はため息をついて電話に出る。
何回振られても、傷つくもんは傷つく。
「恭弥か?今1人か?」
「うん。今事務所の帰り、流華は先に家に帰った。」
俺がそう言うと叔父さんは少し黙った。
「そうか、それなら良かった。」
なんだ?いつもと違う叔父さんの態度に妙な不安を覚える。
「なあ、恭弥、この間の事件の事だけど。」
この間の事件ってsweepの事件の事か?
「あの事件の後処理をしてて思ったんだ。お前流華ちゃんが全部1人で篠田を締めて自白させたと言ったな?」
「そうだけど。」
なんでそんな事を言うのかわからなかった。
「いくらなんでもおかしいと思うんだ。女の子1人でだいの男を締め上げるって。篠田にもきちんとロープが結ばれていたが、あまりにも手慣れたロープの結び方だ。」
俺は自分の心臓が高鳴るのがわかる。
どういう事だ?叔父さんは何が言いたい。
「彼女は普通の女の子じゃないと思う。
特別な訓練を積んだプロだ。あれはプロの仕事だ。」
プロ、、、?
「気になって調べたんだ。お前と同じ大学と言っていたが、加々美流華という人間はあの大学にはいない。」
えっー?
「他にも警察の同僚を使って調べてみたが東北でも東京でも加々美流華と言う人間の住民票はなかった。加々美流華って名前は偽名かもしれない。」
俺は頭がついていかなくなった。
流華は、同じ大学じゃない?
加々美流華自体が偽名の可能性がある?
じゃあ一体流華は誰なんだ?
「お前、流華ちゃんに騙されてるんだよ。」
俺が流華に、、、、?
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
2
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる