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「ぃ…さん……いぬ、さん…犬塚さん…!」

「は…っ」

犬塚は玉木の掠れた叫び声で目を覚ました。
障子から射す光で、もう朝なのだとわかる。

身体が異常にダルい。
しかも、寝ていたはずなのに、視界の位置が高い。
どうやら犬塚は膝立ちしているようだ。
そして何だか気持ちがいい。

「ァ…ァあっ、い、ぬづかさん…もう抜いてぇ…」

「ん…っ、うん…??」

犬塚は玉木の濡れた声に驚き、急速に覚醒すると慌てて辺りを見回す。

「え!!!?ご、ごごご、ごめんなさい?!!」

何と犬塚は、玉木をバックで犯していた。
全く記憶が無い。
慌てて玉木の尻からペニスを抜くと、ドロッと白濁した精液が後から後から流れてくる。

「?!!!」

絶対に1回分で済まないその量に、犬塚は驚くと同時に異常な身体のダルさに合点がいった。

「す、すみません!すみません!玉木さん大丈夫ですか?!」

「…うっぅ…は、はぃ…」

玉木からは、今にも消え入りそうな声で返事が返ってきた。

犬塚自身、今にも倒れそうな程の状態だったが、玉木を介抱しなくてはと何とか体を動かす。

辺りを見渡し、机の上にティッシュを見つけるとヨロヨロと立ち上がり取りに行き、玉木の尻や股間を簡単に拭いてやる。

「す、すみません…ティッシュ引っ付くんで、休んだ後でいいんで、風呂入ってくださいね。」

「ありがとう、ございます…」

今にも眠りに落ちそうな玉木をみて、自身も今すぐ横になりたかったが、この家で寝て、また取り憑かれでもしたら大変だと、気力を振り絞って部屋を出る。

犬塚は身なりを簡単に整えると、この家から少しでも離れたくて車に移動した。
車内に入りエンジンをかけ冷房をつけると、事切れたように深い眠りに落ちた。



犬塚が目を覚ました時、既に5時間が経っていた。
体感的には、ほんの30分程度の昼寝のつもりだったが、予想以上に寝てしまったことに犬塚は慌てて家の中に戻った。

「あ、犬塚さん…。起きられたんですね。」

家の中に入ると、玉木はさっぱり綺麗な格好になって、犬塚の荷物をまとめてくれていた。
玉木の少し気まづそうな声音と表情に、先程の出来事を思い出し、犬塚も再び外に出たくなる程の気まづさを感じた。

「あー…。に、荷物ありがとうございます…。すみません、長い事鍵も開けたまま勝手に出ちゃって…」

「いえ…。こちらこそ申し訳ありませんでした。こんな事に巻き込んでしまって…。」

玉木は、話してる間ずっと犬塚と目が会わないようにしていたが、
荷物をまとめ終えると、静かに犬塚の目を見て口を開いた。

「あの、僕の頭がおかしいんじゃないですよね…?心霊現象…でしたよね…?」

玉木は何処か祈る様な目をしている。
確かに、自分では無理な衣服の脱がれ方や不自然な身体の動き方をしていた。
犬塚自身、金縛りにあって気づいたら朝まで玉木を犯していた。

絶対に本物じゃないと犬塚も困るのだ。

「あ…そうですね。ガチモンでしたね。」

犬塚がそう言うと、玉木はホッとしたような顔をした。

「ですよね…。信じてもらえるか分かりませんが、もう一度お寺や神社に相談してみます。」

「それがいいと思います。一応、俺のツテに霊能者の方が居て、お祓いまでできるか分かりませんが俺からもお願いしてみますよ。」


それから二言三言交わし、犬塚はお礼を言うと玉木家を出て帰路に着いた。

まだ疲れの残る身体に鞭を打ち、何時間もかけて漸く自宅に着く。


その日は疲れてそのまま寝てしまったが、翌日、録画を見直した犬塚は驚愕した。

 「な、何だこれ?!!」

確かに、あの日確かに玉木の服は霊的な力で脱がされ、見えない何かに犯されていた。
絶対にこの目で見た。
玉木がイッた後に犬塚は合流し、その後犬塚も霊の仕業としか思えない状態で玉木とセックスをした。

しかし、録画には最初から最後まで、玉木を犯している犬塚の姿しか映っていなかった。

「そんなはずない…!そんなわけ…!」

これでは、いくら犬塚が体験した現象を説こうが、ただのレイプ動画だ。

関わってはいけないものだった。

「っ………」

犬塚は、玉木にツテの霊能者に相談して連絡すると約束したが、即刻着信拒否に設定し連絡先も消した。
メールも受信拒否に設定し、SNSからも連絡が取れないように玉木をブロックし、完全に玉木との連絡を遮断した。


しかし、何故か録画を消す気になれず。
かといって見返す気にも勿論なれず、データを目の届かない所に隠し封印した。


後日、自身のチャンネルには別の心霊スポットの動画を上げた。
その動画についたコメントで、
『やはりアレはお蔵入りですよね』
とあったが、
犬塚は見なかったことにして配信活動を続けた。



心霊系You●uberのお蔵入り動画の話 ‐完‐

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