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始まり
しおりを挟む犬塚は、今年で3年目になる心霊系You●uberだ。
1年を過ぎたあたりで1本の動画がバズり、一気にチャンネルの登録者が急増した。
そこからバズった動画以外にも、ヤラセなしのリアルな映像を評価され、根強いファンを獲得することが出来た。
そんな犬塚のもとには毎日沢山のDMが届く。
その殆どが動画に関する感想か、或いは『〇〇という心霊スポットに行ってみてください!』『□□の動画が本物か検証して下さい。』といった内容の依頼であったが、
ごく稀に、自身や身内の所有する物件で起こる霊現象を検証してくれと言うような依頼がある。
そういった依頼は100%アポ取りを行い、検証撮影を行った。
当たり外れはあるが、このような依頼に犬塚のチャンネルは支えられていた。
しかし、ここ数ヶ月そのような依頼が入らず、ネットに転がっている心霊スポットの中でも出来るだけマイナーな場所へ赴き、動画を撮影、投稿するというような日々が続いていた。
「はぁ…」
犬塚は1つため息をつくと、パソコンを開き、日課であるDMのチェックを始めた。
祈るような気持ちで、1件1件丁寧かつ迅速に内容をチェックする。
「………今日も無しかぁ。」
犬塚は、長く深いため息をつき、バツ印にマウスカーソルを合わせた。
その瞬間、ピコンっと電子音が響く。
メッセージを受信したようだ。
犬塚はタイミング良く入ったメッセージに、少しドキリとしながら開封する。
「え?!あっあっ、き、来た!!!」
犬塚は思わず素っ頓狂な声を上げる。
件名:霊現象に悩まされている者です。
それは、犬塚が数ヶ月も待ち望んでいた依頼に違いなかった。
内容をまとめると、
1週間ほど前からなんの前触れもなく、毎晩、霊の仕業と思えるイタズラに苦しめられるようになった。
自身が精神を患っているのか、本当に霊現象なのか分からなくなってきた為、犬塚に検証して貰いたいとの事だった。
犬塚はすぐさま依頼主にアポ取りの返信を行った。
数回やり取りを交わし、顔合わせの日時が決まると、犬塚はガッツポーズをし、1人祝杯のビールを呷った。
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