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豪雨
5(!)
しおりを挟む「え……?」
智は耳を疑った。
消してくれないなら今までのは何だったのか。
「け、消してくれると思ったから、あんなっ、あんな事したのに…!」
智は尻の痛みも忘れて綾野につかみかかったが、綾野に押されて再びベッドへと倒れ込んだ。
なおも起き上がろうとする智の腹を、綾野が踏むように押さえつけた。
「まぁまぁ聞いてよ。」
お腹に容赦なく体重をかけられて苦しい。
綾野の話を聞くしか、選択肢がなかった。
「智くんがぁ~、一生俺の言う事何でも聞いてくれるって約束するなら~、動画消してあげるし、多田達にも消すように言ってあげる♡」
「い、一生って…」
そんな小学生みたいな単位、冗談だろと思いつつ、今までの綾野の異常さを思い返し身震いする。
でも、でも、
ネットに晒されたら、それこそ一生デジタルタトゥーとして残るだろう。
きっと綾野は人をイジるのが楽しい時期なだけだ、いつか絶対、そう遠くないうちに飽きてくれる日が来る。
と信じるしかない。
男の性器を舐めシャブって、尻にも入れられてしまった今となっては、もう二度としたくない行為ではあるけれど、まだどうにか諦めがついた。
それに、動画が完全に消して貰えたことを確認出来えすれば、後はどうにか逃げ切れるかもしれない。
智が悶々と考え込んでいると、綾野が智を覗き込むようにして口を開いた。
「智くん?どうするの??」
綾野の問いかけに、智は項垂れていた頭をあげた。
「…一生、言うこと聞きます。」
「ほんとっ?うれしぃ~!」
綾野の満足気な笑顔をみて、そろそろ解放してもらえそうな予感に智も内心ホッとした。
のもつかの間、綾野の笑顔が消えた。
「でもさ。口では何とでも言えるんだよね。ね?」
「………っえ?」
綾野の不穏な様子に、再び恐怖が顔を覗かせる。
「どうせ智くんも、動画消した貰ったら逃げればいいやって思ってるでしょ?」
「っ…!……ぉ…思ってない…よ」
図星を突かれ、しどろもどろに答える。
「だからぁ~口ではどうとでも言えるじゃんって。」
「……」
そう言われると、もう何も返せなくて智は黙り込んだ。
「だからね、今日は、ぜ~~~ったい。裏切ろうって思わないように、智くんを調教してから帰るね?」
「へ…?ちょ、ちょうきょう?」
不穏すぎるワードに頭がついて行かない。
でも、綾野は待ってはくれない。
「んじゃ、いくよ?ごめんね?」
そう言って綾野は智の髪を掴むと、一切の手加減なく智の頬をグーで殴った。
ガンッ
と骨に当たる音が響き、智は床に投げ出されるように倒れ込んだ。
痛みに悶える智に、起き上がる間も与えず、綾野は智の頭を数度踏みつける。
「い゛っ、ひぃ…う゛ぅ!あ゛っ!!」
智は綾野の暴力から逃れようと亀のように丸まるが、今度は背中を強く蹴飛ばされる。
起き上がって逃げ出したいのに、いつ来るか分からない暴力が怖くて動けない。
綾野の暴行が止んでも、智はその場で丸まったままガクガクと体を震わせていた。
綾野は動く様子のない智の頭髪をギュッと掴みあげると、智を強制的に立ち上がらせた。
「ヒっい?! う゛、うぅ~っ…ご、ごめ…ごめん、なさぃっ…」
また頬を殴り倒されると思い、ガチガチと歯の根が合わない中、必死で謝った。
「ん?…謝るって事は、動画が消えたら逃げようとしてたってこと??」
「ち、ちがっま、ちがいま…す、な、殴らなぃで…くださ、い……ごめんなさ」
智は、また殴られると思ったが、綾野は震えながら懇願する智の唇に優しくキスをすると、掴んでいた髪を離した。
「本当は暴力で従わせたくないよ。智くんが俺の事ちゃんと好きになってくれたら、こんな事もうしないからね。約束。」
「うぅ…う、は、はい…。」
好きなる事なんてあるんだろうか。
でも、綾野を肯定しなければ酷いことをされるのは分かり切っている。
はい。と言うしかない。
智の返事に満足したのか、綾野は身支度を整えると「じゃあまた明日ね~」と一方的に部屋を出ていった。
ようやく解放された安堵から、智は体の力が抜け床にへたり込む。
恐怖で忘れていた痛みも戻ってきた。
顔を顰めていると、ふと姿見に映っている自身が目に入る。
顔は鼻血と涙でグチャグチャで、尻からは綾野の精液を垂れ太ももに伝っているという、地獄のような状態を視覚的に思い知らされ再び涙が出てきた。
「もぅ…。なんだ…これ……。」
こんな姿、誰にも見られたくない。やがて帰ってくる母親のことを思い出し、智は痛む体を無理やり立ち上がらせると風呂場に向かったのだった。
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