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45話
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監禁生活n日目
「もう………限界だ………………。」
脱出は試みた。なんなら監禁してる本人が外に連れ出してくれたくらいにはこの地下から逃げることには成功してる。しかしいとも簡単にレウォラが外へ出してくれた理由はすぐにわかった。
どれだけ歩いてもこの冬の森から出ることは不可能だったからだ。
体力にそこそこ自信がある身体だったが、残念ながらへとへとになるくらいに進んでも景色は一向に変わらない。ムカつくことに俺が体力を失ったあたりでどこからかアイツが現れ、「散歩満足しタ?楽しかった?」と嬉しそうに問いただしてあっという間に地下に連れ戻されるのだからもうそこから出ようとする意思は消え去った。
辛い………感情を前に出すのも億劫になるほど。一体何百時間経過したのだろうか。1年くらい、もしかしたら3年?体感はその程度経っているが案外数カ月くらいかもしれない。
家はどうなっているのだろうかと深く考えるのもやめた。もしかしたら死んだ扱いになってるかもしれない。ヒロインの妹とその他の優秀な奴らがいるんだ、心配することはないだろうが。
………最後にレウォラ以外と会話した人って誰だっけ。と最近は過去の思い出に浸るようになった。
一時期舌を噛んで死んでやろうなどと考えたことしかないが、カンのいいレウォラはいつも実行するまでには戻ってくる。目の前で死んでやろうと思った暁のことは……………正直今もあまり思い出したくない。
ガタッと奥の部屋から物音がした。うん、あいつが帰ってきたらしい。
同じルーティンに慣れた俺は音の方に顔を向けるのを少し前からやめた。
さて話を戻しまして、最後に話したのは誰だったっけ……だったか。
「いた、い、、……うっ、」
……やっぱり思い出すこともできないようだ。これは自然に忘れたというより何らかの魔法が使われているに違いない。レウォラの力は膨大だ。まるで魔王……まあその息子なんだから強ち間違ってはないーー
「、、、っ、、たい、、」
「……?」
そこで帰ってきてすぐにただいまのハグを要求してくるレウォラはおらず、すぐそばの冷たい床に苦しみ倒れ込んでいるのに1拍遅れながらも気がついた。遠目からでもわかるくらい顔面蒼白で最近頻繁に彼に起きている頭痛とは比べ物にならないくらい。ましてや本当に死んでしまいそうなーーー
「おっ、おい!しっかりしろ。」
「……………」
こんな訳もわからない所で野垂れ死なれても困るのはこっちだ。俺の知らないどこからか調達してくる食料は全部彼であり、動けなくなれば餓死は間違いない。
…………いや、待てよ、俺はなんでこんなにも焦ってる。彼がいなくなったら死ぬことだって可能になる。ここの生活も終えることができるじゃないか。
自分でも頭がおかしくなってる自信はある。しかし人は72時間以上何もないとこで閉じ込められると気が狂ってしまうらしい。軟禁そして魔族がいたとはいえ、俺はとっくに心が折れてしまっていた。
「…………えっ……」
と、その時だった。ピタリともがくような動きを終えたと思ったら頭を抑えたまま、魔族の象徴であり弱点でもある羽や尻尾を晒し上げ彼がみるみるうちに別人へと変わっていく。
「……ち、ちょっと待ってくれよ。」
恐ろしい光景に腰が抜けへなりとその場に座り込んだまま半歩後ろへと引きずるように下がった。映画で例えるなら何者かに寄生されるワンシーンのような。そんな気味悪い状況に久しぶりにぶるりと震えた。
見事、中途半端に見覚えのある別人へと変わり果てた彼はのっそり起き上がると、そっと俺に手を伸ばした。
そう、その人物は最後に言葉を交わした………
「……遅くなりました、ご主人様。助けに参りました。」
「…ハ…ンス?」
半分レウォラと混ざったような姿をしたハンスが目を合わせず複雑そうな顔で俺の手を握った。
「もう………限界だ………………。」
脱出は試みた。なんなら監禁してる本人が外に連れ出してくれたくらいにはこの地下から逃げることには成功してる。しかしいとも簡単にレウォラが外へ出してくれた理由はすぐにわかった。
どれだけ歩いてもこの冬の森から出ることは不可能だったからだ。
体力にそこそこ自信がある身体だったが、残念ながらへとへとになるくらいに進んでも景色は一向に変わらない。ムカつくことに俺が体力を失ったあたりでどこからかアイツが現れ、「散歩満足しタ?楽しかった?」と嬉しそうに問いただしてあっという間に地下に連れ戻されるのだからもうそこから出ようとする意思は消え去った。
辛い………感情を前に出すのも億劫になるほど。一体何百時間経過したのだろうか。1年くらい、もしかしたら3年?体感はその程度経っているが案外数カ月くらいかもしれない。
家はどうなっているのだろうかと深く考えるのもやめた。もしかしたら死んだ扱いになってるかもしれない。ヒロインの妹とその他の優秀な奴らがいるんだ、心配することはないだろうが。
………最後にレウォラ以外と会話した人って誰だっけ。と最近は過去の思い出に浸るようになった。
一時期舌を噛んで死んでやろうなどと考えたことしかないが、カンのいいレウォラはいつも実行するまでには戻ってくる。目の前で死んでやろうと思った暁のことは……………正直今もあまり思い出したくない。
ガタッと奥の部屋から物音がした。うん、あいつが帰ってきたらしい。
同じルーティンに慣れた俺は音の方に顔を向けるのを少し前からやめた。
さて話を戻しまして、最後に話したのは誰だったっけ……だったか。
「いた、い、、……うっ、」
……やっぱり思い出すこともできないようだ。これは自然に忘れたというより何らかの魔法が使われているに違いない。レウォラの力は膨大だ。まるで魔王……まあその息子なんだから強ち間違ってはないーー
「、、、っ、、たい、、」
「……?」
そこで帰ってきてすぐにただいまのハグを要求してくるレウォラはおらず、すぐそばの冷たい床に苦しみ倒れ込んでいるのに1拍遅れながらも気がついた。遠目からでもわかるくらい顔面蒼白で最近頻繁に彼に起きている頭痛とは比べ物にならないくらい。ましてや本当に死んでしまいそうなーーー
「おっ、おい!しっかりしろ。」
「……………」
こんな訳もわからない所で野垂れ死なれても困るのはこっちだ。俺の知らないどこからか調達してくる食料は全部彼であり、動けなくなれば餓死は間違いない。
…………いや、待てよ、俺はなんでこんなにも焦ってる。彼がいなくなったら死ぬことだって可能になる。ここの生活も終えることができるじゃないか。
自分でも頭がおかしくなってる自信はある。しかし人は72時間以上何もないとこで閉じ込められると気が狂ってしまうらしい。軟禁そして魔族がいたとはいえ、俺はとっくに心が折れてしまっていた。
「…………えっ……」
と、その時だった。ピタリともがくような動きを終えたと思ったら頭を抑えたまま、魔族の象徴であり弱点でもある羽や尻尾を晒し上げ彼がみるみるうちに別人へと変わっていく。
「……ち、ちょっと待ってくれよ。」
恐ろしい光景に腰が抜けへなりとその場に座り込んだまま半歩後ろへと引きずるように下がった。映画で例えるなら何者かに寄生されるワンシーンのような。そんな気味悪い状況に久しぶりにぶるりと震えた。
見事、中途半端に見覚えのある別人へと変わり果てた彼はのっそり起き上がると、そっと俺に手を伸ばした。
そう、その人物は最後に言葉を交わした………
「……遅くなりました、ご主人様。助けに参りました。」
「…ハ…ンス?」
半分レウォラと混ざったような姿をしたハンスが目を合わせず複雑そうな顔で俺の手を握った。
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