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33話
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「気がついたかしら?」
「あっ、………っ、」
「ふふ、本物のユースちゃんなら絶対に見せない醜い顔よねえ。」
……まずい、このアルレアは俺の正体に気がついている。
好感度96%はユースに向けられているもので、俺ではない。つまり先程の0%は完全に俺に対しての好感度だ!
「……いつから気がついてたんだ?」
「ん~貴方の首を噛んだ時からよ。ワタシ、血液を媒体として魂を見ることができるの。」
行動が怪しいと思ったからついうっかり噛んじゃったわ。と付け足してニコニコと微笑んでいる。
最初からバレていた……しかし、何故もっと早くそのことを言わなかったのだろう。
「そんなに怯えないでちょうだい。ダーリンの肉体を勝手に殺したりしないわ。ただ貴方は本当につまらないの。ワタシはもっと刺激的なことがしてくれるダーリンが好きなのよ?だから………
ユース・クロレビアを返せ。」
「ぐうっ、っう……っ!」
ギリギリ呼気が入る程の加減で首を締めつけられる。
生き伸びているのが辛い拷問にかけられたような心地で、何が起きているのかなど考えられない。
しかしその状態で数分泳がされると、もういっそのこともっと力を込めてひと思いに手折ってほしいと思うくらいに苦しく、だけど意識は残った。
「あれから色々考えたわ。どうやったら魂を戻せるのかとか、貴方の魂を追い出せるのかとか。ワタシ天才だからそこまで考えられちゃうの。」
「うっ……ぐ、ぎぃ、ぃ」
「ふふ、金魚ちゃんみたいで可愛いわ。ユースちゃんになら絶対できない遊びだもの。」
身体が無様にも生きようとするので口がはくはくと空気をなんとか吸い込もうとし、それをとても愛しいような瞳で見てくるものだから、恐怖という感情が全身を覆った。
早く終われ、死んでもいいから終われと願うが、絶妙な力加減でそれは叶わない。そんな時だった。
「その手を離せ。」
「あら、」
突如と首を締め付けられていた手が離れたおかげで、倒れそうになったが、その前に現れた派手なピンクの長髪が受け止めてくれた。
「ご主人様、申し訳ございません、結界が張られていたせいで遅くなりました。」
「と、とーあ、。」
お姫様だっこされて恥ずかしいなど考えていられないほど、ぼっーとした頭で彼に縋る。死にたかったけど、やっぱり生きたかったみたいで、今まで止まっていたかと疑うほど心臓がバクバクとうるさい。
「……ワタシなんだか悪者みたいね?」
「冗談はおやめください。ご主人様に危害を加えた奴らはたとえ王であれ死罪です。」
「ほんと、セヴィレス家の忠誠心怖いのよ。」
やられちゃ~うとぶりっ子をキメるアルレアに元々感情のないトーアは氷のように冷たい表情できゃっきゃっとこの状況を楽しんでいる彼を見下ろしていた。
「トーア、降ろしてくれ。」
「はい?ですが…」
「いいから。」
たちくらみのようなものが襲うがそれを振り切って、からかい真っ最中のアルレアの元へと歩みを進める。
流石の彼も不信に思ったらしく、ゆっくりと立ち上がると俺に構えた。
「あっ、………っ、」
「ふふ、本物のユースちゃんなら絶対に見せない醜い顔よねえ。」
……まずい、このアルレアは俺の正体に気がついている。
好感度96%はユースに向けられているもので、俺ではない。つまり先程の0%は完全に俺に対しての好感度だ!
「……いつから気がついてたんだ?」
「ん~貴方の首を噛んだ時からよ。ワタシ、血液を媒体として魂を見ることができるの。」
行動が怪しいと思ったからついうっかり噛んじゃったわ。と付け足してニコニコと微笑んでいる。
最初からバレていた……しかし、何故もっと早くそのことを言わなかったのだろう。
「そんなに怯えないでちょうだい。ダーリンの肉体を勝手に殺したりしないわ。ただ貴方は本当につまらないの。ワタシはもっと刺激的なことがしてくれるダーリンが好きなのよ?だから………
ユース・クロレビアを返せ。」
「ぐうっ、っう……っ!」
ギリギリ呼気が入る程の加減で首を締めつけられる。
生き伸びているのが辛い拷問にかけられたような心地で、何が起きているのかなど考えられない。
しかしその状態で数分泳がされると、もういっそのこともっと力を込めてひと思いに手折ってほしいと思うくらいに苦しく、だけど意識は残った。
「あれから色々考えたわ。どうやったら魂を戻せるのかとか、貴方の魂を追い出せるのかとか。ワタシ天才だからそこまで考えられちゃうの。」
「うっ……ぐ、ぎぃ、ぃ」
「ふふ、金魚ちゃんみたいで可愛いわ。ユースちゃんになら絶対できない遊びだもの。」
身体が無様にも生きようとするので口がはくはくと空気をなんとか吸い込もうとし、それをとても愛しいような瞳で見てくるものだから、恐怖という感情が全身を覆った。
早く終われ、死んでもいいから終われと願うが、絶妙な力加減でそれは叶わない。そんな時だった。
「その手を離せ。」
「あら、」
突如と首を締め付けられていた手が離れたおかげで、倒れそうになったが、その前に現れた派手なピンクの長髪が受け止めてくれた。
「ご主人様、申し訳ございません、結界が張られていたせいで遅くなりました。」
「と、とーあ、。」
お姫様だっこされて恥ずかしいなど考えていられないほど、ぼっーとした頭で彼に縋る。死にたかったけど、やっぱり生きたかったみたいで、今まで止まっていたかと疑うほど心臓がバクバクとうるさい。
「……ワタシなんだか悪者みたいね?」
「冗談はおやめください。ご主人様に危害を加えた奴らはたとえ王であれ死罪です。」
「ほんと、セヴィレス家の忠誠心怖いのよ。」
やられちゃ~うとぶりっ子をキメるアルレアに元々感情のないトーアは氷のように冷たい表情できゃっきゃっとこの状況を楽しんでいる彼を見下ろしていた。
「トーア、降ろしてくれ。」
「はい?ですが…」
「いいから。」
たちくらみのようなものが襲うがそれを振り切って、からかい真っ最中のアルレアの元へと歩みを進める。
流石の彼も不信に思ったらしく、ゆっくりと立ち上がると俺に構えた。
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