20 / 51
19話
しおりを挟む
連れてこられたのは、厳重に鍵が施されており、周りには鋭い目つきの警備の者はいるが、生きているのかを疑うレベルで石像のようにピクリとも動かないという気味の悪い場所だ。
「ここから機密の場所になります故、他言無用でお願いします。」
金属でできた扉を前にレファルドは暗号キーを入力し終わると自動的に開いた。
それと同時に襲う腐敗臭に思わず眉間に皺を寄せる。
「我々に敗れた魔族はどうなったと思います?」
「急になんの話だ……えっと、奴隷か捨てたんじゃなかったか?」
これも都合よくユースの記憶が残っているおかげで、魔族とかいうファンタジー要素がよく分かるが、改めて説明しよう。
昔から人間と魔族という種族は争いが絶えなかった。力の差は五分五分だったが近年やっと人間はその戦争に終止符を打つことができた。
そして捕虜となった魔族らは……奴隷か遠くの治安の悪い場所に捨てられたときく。それはどの一般人も知っている教養だ。
「私は彼らの優秀な魔力を捨て置くのは勿体無いと思ってしまったのです。」
「それで?」
「こうして彼らの魔力を吸い取り、兵器の糧となってもらう装置を開発しました。」
「なっ……」
次に扉を開けた先は、全身に針のようなものが刺され、痩せ細って骨と皮だけのようになっている魔族と呼ばれる者たちの姿があった。
込み上げる吐き気を必死に耐え、次第に痛くなっていく頭に気が遠くなっていく気がした。
頭に………変なのが流れ込んでくる…………。
幸い魔族の前で熱弁している彼は俺の容体の変化など微塵も気が付いていないようで、これ幸いになんとか我慢しようと奮闘するが………努力も虚しく…………………
『どうか、どうか弟を助けてください。』
(……ハンス?)
気が付いたら明らか重傷を負っていたハンスが俺に縋るように裾を掴んでいた。
(どこだここは………。)
ここは間違いなくさっきの暗闇ではなく、一面雪が積もっており、そしてその雪は赤黒く染まっている。流しているのはハンスのものだろう。
………これは過去のユースの記憶?
「お願いします!私の命などどうでもいいのです。先程連れ去られたのは私の弟です。返してください!!」
「……ふーん、あれはお前の弟さんだったのか。しかしな、連行したのは俺が連れてきたやつじゃないからどこへ行ったのか知らないな。」
「っ……」
全くそんなことを言おうとしていないが、勝手に言葉が紡がれ、勝手に動かれる。どうやら俺には操作不可能みたいで、ただ眺めていることしかできなかった。
「おい、何しようとしてる。」
「弟を探しに行きます。」
「ハっ、残念ながら俺も人間なものでな、魔族を易々と逃すわけにはいかないんだ。」
(や、やめろユース、!?何しようとしてるんだ!?)
そういうと彼は慣れた手つきでハンスの魔族の証であろう、羽を簡単に手折った。
「ぐぅっ、」
(ハンスッ!!)
そこには神経がみっしりと詰まっているだろうに、ハンスは右目から生理的な涙を流して睨みつけるだけでこちらの様子を伺っている。
「……うーーん。」
さっきまでの低い声から急に呑気な声が自分からあがったかと思うと、ニコリと俺は笑い彼の顎を強引に掴んで目を合わさせた。
「良い顔してるな。」
「………は?」
「やっぱりお前の殺すのはやめた。俺に仕えろ。そしたら弟のことを探してやるし、お前が魔族の王子であることを黙っといてやるよ。」
ーーーこれは契約だ。
ハンスの目に反射したユースのニコニコと微笑む顔はそれはもう無邪気な子供のような顔をしていた。
「ここから機密の場所になります故、他言無用でお願いします。」
金属でできた扉を前にレファルドは暗号キーを入力し終わると自動的に開いた。
それと同時に襲う腐敗臭に思わず眉間に皺を寄せる。
「我々に敗れた魔族はどうなったと思います?」
「急になんの話だ……えっと、奴隷か捨てたんじゃなかったか?」
これも都合よくユースの記憶が残っているおかげで、魔族とかいうファンタジー要素がよく分かるが、改めて説明しよう。
昔から人間と魔族という種族は争いが絶えなかった。力の差は五分五分だったが近年やっと人間はその戦争に終止符を打つことができた。
そして捕虜となった魔族らは……奴隷か遠くの治安の悪い場所に捨てられたときく。それはどの一般人も知っている教養だ。
「私は彼らの優秀な魔力を捨て置くのは勿体無いと思ってしまったのです。」
「それで?」
「こうして彼らの魔力を吸い取り、兵器の糧となってもらう装置を開発しました。」
「なっ……」
次に扉を開けた先は、全身に針のようなものが刺され、痩せ細って骨と皮だけのようになっている魔族と呼ばれる者たちの姿があった。
込み上げる吐き気を必死に耐え、次第に痛くなっていく頭に気が遠くなっていく気がした。
頭に………変なのが流れ込んでくる…………。
幸い魔族の前で熱弁している彼は俺の容体の変化など微塵も気が付いていないようで、これ幸いになんとか我慢しようと奮闘するが………努力も虚しく…………………
『どうか、どうか弟を助けてください。』
(……ハンス?)
気が付いたら明らか重傷を負っていたハンスが俺に縋るように裾を掴んでいた。
(どこだここは………。)
ここは間違いなくさっきの暗闇ではなく、一面雪が積もっており、そしてその雪は赤黒く染まっている。流しているのはハンスのものだろう。
………これは過去のユースの記憶?
「お願いします!私の命などどうでもいいのです。先程連れ去られたのは私の弟です。返してください!!」
「……ふーん、あれはお前の弟さんだったのか。しかしな、連行したのは俺が連れてきたやつじゃないからどこへ行ったのか知らないな。」
「っ……」
全くそんなことを言おうとしていないが、勝手に言葉が紡がれ、勝手に動かれる。どうやら俺には操作不可能みたいで、ただ眺めていることしかできなかった。
「おい、何しようとしてる。」
「弟を探しに行きます。」
「ハっ、残念ながら俺も人間なものでな、魔族を易々と逃すわけにはいかないんだ。」
(や、やめろユース、!?何しようとしてるんだ!?)
そういうと彼は慣れた手つきでハンスの魔族の証であろう、羽を簡単に手折った。
「ぐぅっ、」
(ハンスッ!!)
そこには神経がみっしりと詰まっているだろうに、ハンスは右目から生理的な涙を流して睨みつけるだけでこちらの様子を伺っている。
「……うーーん。」
さっきまでの低い声から急に呑気な声が自分からあがったかと思うと、ニコリと俺は笑い彼の顎を強引に掴んで目を合わさせた。
「良い顔してるな。」
「………は?」
「やっぱりお前の殺すのはやめた。俺に仕えろ。そしたら弟のことを探してやるし、お前が魔族の王子であることを黙っといてやるよ。」
ーーーこれは契約だ。
ハンスの目に反射したユースのニコニコと微笑む顔はそれはもう無邪気な子供のような顔をしていた。
92
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。
※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました!
えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。
※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです!
※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる