4人の乙女ゲーサイコパス従者と逃げたい悪役令息の俺

りゅの

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7話

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「し、失礼します。」
「どうぞ。」

そーっと扉を開けて入ってきたのは今朝約束を取り付けたレイクだった。

「ハンスに用意してもらった塗り薬だ。間違いなく逸品だろう。…んー、あそこでも適当に座ってくれ。」
「っ、床で十分です!!」

その辺にあった椅子を指差すと、それだけは譲れないと首を振りその場に跪いた。しばらく視線の攻防が続いたが先に折れたのは俺だった。

「仮面を外すぞ?」

その言葉にピクっと反応したが、大丈夫そうなのでロックを解除し取り外す。

顔から取り外した途端、ずっしりと重みを感じ「こんなクソ重いの付けてたのかよ。」とゾッとする。少年に耐えれるような重量ではない。

仮面をつけるよう命じたのは嫌がらせも含まれているのでは?と自分の身体に嫌悪せざるを得なかった。

棚から取り出した塗り薬を少量指につけ、そっと塗り込む。

跡が治りはできないが、痒み止めくらいにはなるだろう。

死者の復活はダメでも、聖女の力があればこの程度の傷跡など簡単に消えてしまうらしい。

多分もう少し先の未来の妹が治すはずなので、それまでの辛抱といったところだろうか。

「よし、これで終わりだ。もう部屋に戻ってくれていい。」
「うえ!?……あの、対価は…。」
「…対価?朝も言ったけど、今日は俺の善意だ。いつも頑張ってくれているからな。これからもよろしく頼む。」
「あ、あ、ありがとうございます……地下の世話も頑張ります!」

……地下の世話?

なんの話だとユースの記憶を探るが、肝心な情報が1つも出てこない。発言から推測するに、この屋敷には地下があって何かを飼っているのだろうか。

まあ、間違いなく碌でもないモノだろうが。

「ではおやすみなさい、ご主人様。」
「ああ。」

足音1つなくスッと部屋を出ていった彼を見送った後、踵を返し「さて……かなり遅い時間帯だし俺も寝ないとな。」とボヤいた時だった。

「イヤだもう!まーたワタシ以外の男を部屋に入れてる~~!」

完璧に防音な筈だが、レイクが出ていくとき閉まりきっておらず、扉が若干空いていたせいで廊下から野太い男の声が聞こえてくる。

扉が完全に閉まる前にガッと指が入ってきたかと思うと、普通に開けて堂々と入ってきた。

……誰だお前。

敵意は感じられないが、まず家の使用人だと夜に部屋に入ってくることはまずないので、攻略対象者ではないか?と思い、図鑑を開いた。


ーーーーーーー


『アルレア・コンゼット』
元大魔法使い

幼馴染であり、今は秘書としてまつりごとを手伝っている。
オネエ口調にしているのはそれが面白いと思っているだけであり、真面目なときは全然普通に話す。逆にオネエ口調の時は真剣に思ってない。(例外としてユースにはオネエ口調。なんか楽しいから。)

楽しいことが大好き。


ーー詳細不明 


ーー詳細不明 


ご奉仕は一切させていない。キモいから。



ーーーーーー



攻略対象者という予想は見事的中したわけだが、おうおう色んな意味で情報量がすごいな。

こんなやつが元大魔法使いだあ?世の中外面だけでは判断できないというのはこういうことを言うんだろう。

「ハンスとかいう悪い男だけじゃなく、ワタシが出かけている間に今度は一体誰よ!!」
「塗り薬を渡しただけだし。それにもう最近そういうことに興味がなくなったんだ。」
「………使いすぎて枯れたの?」
「っ!馬鹿!!んなわけないだろ!!」

そういや、こいつの好感度はいくらくらいだろうか。記録からして普通に高そうだが。しかしハンスの件がある。油断はできない。

待てよ、そういや好感度を見るスキルは数日に一回と言っていたな。………1人あたりだとしたら?レイクだって、アルレアも確認できるんじゃないのか?

(アルレアの現在の好感度は?)



〈アルレア・コンゼットの只今の好感度 : 96%〉



よっしゃビンゴ!!もっと早くに気がついてレイクも確認すれば良かったかもしれない。

…それにしても96%って……ほぼ攻略してるようなもんじゃないか。

「なら君も自室に帰ってもらおうか。部屋がないとは言わせないぞ。俺は今日はもう寝るんだ。」
「えー!?報告聞いてかないの?あんなに欲しがってた情報なのに?ワタシちょー頑張ったのに?」
「明日でいい。なんか、、睡魔がすごくて。」

緊張が解けたせいかレイクが出ていってからずっと、フラフラして強烈な睡魔が襲う。昨夜はしっかり寝たはずなのに。

「やっぱり?だってあそこに暗殺者雑魚がいるもんね。」
「え?」

アルレアが手を動かしたと思ったら、ボッという音と共に悲鳴が聞こえてきた。

「どうしたのよ。普段そんなヘマしないでしょ?」
「……えっと、ハハ。…別のことに気とられててな。」
「……?」

普段って…俺そんなに命狙われる存在なのか?さっきの明るい表情から一転、アルレアは訝しげな表情をする。

この96%の好感度を持つユースのことをよく知しっているこいつが1番厄介かもしれない。
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