4人の乙女ゲーサイコパス従者と逃げたい悪役令息の俺

4話

「今日は一言断りを入れたほうが良いということでしたので、今から脱がせますが大丈夫でしょうか？」
「……ん？」

マイナスにカンストした好感度に衝撃を受けたせいで、こいつがどういう目的で入ってきたのかを知るのをすっかり忘れていた。

脱がせる？完全に寝巻きなので着替えさせる必要性はないし、その上彼は先程なんと言っただろうか。

『本日のご奉仕は私が担当となっております。』

これが性的な意味だとしたら今の状況にすべて辻褄があってしまう。

横目で持ってきたトレーを確認すると、そこには潤滑剤やタオルなどが用意されており、存在しないはずの記憶も相まって確信に変わる。

おいおいユースは男色気があるのか！？どんな乙女ゲームだよと悪態をつく。実は俺は喫煙者なので手持ち無沙汰なものも含めてイライラしてきた。

俺はノーマルということだけでなく、相手は仕事で奉仕してこようとしている。それなら死んだほうがマシだ。

非常にまずい状況に冷や汗が背中を伝う。なんとか怪しまれないように断りを入れる方法はないのか？……そうだ！

「ハンス、俺は今日疲れているんだ。マッサージしてくれないか。」

その発言に一瞬キョトンとした表情を見せた後、すぐにいつもの読めない顔に戻り「…マッサージですか？具体的に何をすれば良いのでしょう。」と質問してきた。

「肩揉んでくれ。痛くて寝れそうにもない。」
「…かしこまりました。では失礼いたします。」

記憶を探る限り大事なケツは無事処女だが、主にハンスにこうして高頻度で抜いてもらうことが多いらしい。やっぱりヒロインにユースが殺されて正解だったのではないかという考えがよぎってきた。あくまで俺が入ってない身体の持ち主のことだが。

まあ乙女ゲーで兄がぶち殺されるんだ。相当嫌な設定を盛られまくっているに違いない。

ハンスはいつもと違うであろう反応に戸惑ってはいるだろうが、それを微塵も感じさせないまま、そっと革手袋のままサイドに置かれたかと思うと、それはもう最高の加減で施された。

やばい、想像よりも気持ち良すぎる。

「いかがですか？」
「丁度いい。」
「それはそれは……光栄です。」

「これくらいなら肩は破壊されないのですね。」とボソり人間とは思えない発言をした彼だったが、そこからは黙々と俺が寝落ちしてしまうまで続けてくれた。