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15話 現実的な子供でも所詮は子供

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「ふふ、お兄さんらしー!」
『それはそれで複雑だけどな。一体どういう人像を描いているんだか。』




突然だが僕の剣術について少し話そう。

ややこしい話になるので分からないなら飛ばしてくれていいが、僕の剣術は元々ロノに教えてもらった。だから今教えている技だって元々はロノのものだ。 

飲み込みが早い上に本人の剣技なのだからあっという間に身にして行く。しかしだ……もし過去に僕ではない僕がここに来ていて剣術をロノに教えていたとしたら………はて、一体これは誰の剣術だろうか。

まあ余談は置いておいて、体格的な問題で安定はしてないが優秀な彼を今日は少し実戦形式として連れ出そう。

ずっとチャンバラなのも面白くないというか…個人的な話、実戦の方が騎士になるのに1番大切だったりする。

『今日は狩りに行くぞ。』
「やったーーー!……あ!でも大人じゃないよ俺?」
『僕がついているから問題ない。』
「あはは!すごい自信だね。でもそういうとこ大好き。」

今の所周りに人の気配はないし、何より昼ということで街にいたりすることが多い。連れさ…………離れても夕方までに帰せばいいだろう。

『そういや、君は夢とかないのか?』
「夢……?あー、将来の夢のこと?」
『そうだ。そういう話を全く聞かないから。』

この頃は「勇者になる!」とか「騎士になりたい!」とか言っていなかったか。うーん、もう少し後の話かもしれないが。

『その頃の年じゃ………そうだな、勇者とかなりたいと思わないのか?ロマンがあるだろう。』
「勇者?…あー、俺別に強くないし無理だよ。それに絵本の勇者様は、はーれむ?ないと駄目らしいし。」
『ごほっ、おっほん、』
「アルノア……じゃなくて友達が言ってたの!」

記憶にはないが………すごく、すごく言いそうだ。

多分馬鹿なことを言い出したと思った過去の僕はハーレムとかいう絶対知らないであろう単語を使い抑制したんだろう。それを大人などに問いただすかはロノ次第だけども。

「何?お兄さんは勇者になりたかったの?」
『………いいや、別になりたいとは思わない。大切な者がなければ、ただ虚しいだけだからな。』
「?………じゃあ大切な人がいるなら勇者になっても大丈夫ってこと!俺いるよ!ならあとは強くなれば勇者になる資格あるかなあ。」
『ふっははは。さあな。』

「まず家族でしょ、アルノアでしょ、おじさんから、それからお兄さん!!」
『!……僕もその中に入れてくれていいのか?』
「何言ってんの!もうとうに友達でしょ!」
『そうか……それは嬉しい。ありがとうロノ。』
「なによりお兄さん独り身ぽいしね。」
『ガキに気遣われてたまるか。余計なお世話だ。』

冗談で返したつもりだが「ガキ」という言葉が気に食わなかったのか、ムッとした顔で突っかかってきた。

「ガキじゃないもん!」
『はは、冗談だって。十分オトナだよ、オトナ。』
「っ、そりゃ背低いし声も高いけど!これから伸びるもん!!」
『見た目だけ大人になってもそれは大人と呼べないんだよ。』
「、?うーーん、どうしたら大人になるかなあ。お兄さん基準は強くなったら?」
『ああ………そうかもしれないな?まずはデカいゴーレムから身を守れるくらいになったら認めてあげるよ。』
「ぜったい無理!!!!」

これで強くなってくれて僕が目を離した間に、消えてしまう……ような未来が無くなって欲しいのだが、「未来が大きく変わるとその分身体に負担がかかる。」魔王の言葉通りなら、何も起きていない今は大して変わってないのだろう。

……この身が朽ちてしまうような大きな未来変化が起きたら、ロノは生きて未来にいける。そう違いないからこそ早く負傷して動けなくなってしまいたかった。






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