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14話 聡い君

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「おにいさーん、いる?」
『!』
「!?」

予期していなかった来客にジョセフはすぐに気配を消し、僕は何でもないような風を装った。

『久しぶり、しばらく来れてなかったようだが何かあったのか。』
「……うんあのね、みんなこの森危ないから入っちゃダメって言われて中々行けなかったんだ。でも今日は親の目を盗んで来ましたー!」

ドヤ顔をしているロノに、誇れることではないなと軽く言いつけて、でもやっぱり子供特有の可愛らしさに負けて頭を撫でてしまった。

『君と初めて出会った時も魔物に襲われていたじゃないか。ここが危険に変わりはない。』
「でも今はお兄さんが全部倒してくれてるんでしょ!なら大丈夫!全然怖くないよ!」
『うん、そういうことじゃないよ。』

僕の脅しに全く怯む様子を見せない彼は諦めた。そろそろロノと会うのも未来を大きく変えてしまいそうで……我が身が死んでしまうことに躊躇いはないが、あまりに頻繁に来るものだから、「過去のアルノア」との接点がなくなれば?今の僕の記憶からも消えてしまうのではないかと。

そろそろ僕から離れて過ごした方がいいのじゃないか………いいやこれは建前で、本音はというとからだ。

それはまずい、非常にまずい。

「それとね!村の人達が嘘ついてることを俺は知ってるんだよ!」
『嘘?』
「この村にも神様が現れたんでしょ!酒場のおじさんが言ってた。」
『あー、はは、相変わらず喋りだな。』
「……まあでも神様ってお兄さんのことでしょ?時期的にもそんな感じがする。」

ふと据わった目で確信をつくものだから思わず動揺してしまった。たまにロノは年齢にあわず聡いことを言う。それは予想もつかないあまりにも突然来るからいまだに慣れやしなかった。

『そうだな……その通りだ。でも活気づくならいいかと好きにさせてる。』
「ふふ、お兄さんらしー!」





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