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11話 僕はただのしがない未来の英雄です

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それから数週間後。こんどは子供ではなかったけど意識のない大怪我をした人までが何故か運ばれていた。

うん、僕は治療師でもなんでもねえわクソが。

しかしいくら身内から性根が腐っていると言われても、人間の良心というものはちゃんとあるようで、ポーションを惜しいと思いながらもかけ、その後すぐ村の気が付きやすい所に捨て…………いや置いておいた。もう持ってくるなよと願いを込めて。

「アルノアさん。これであってますか?」
『……あー、少し似てはいるがこの薬草じゃない。茎が若干の赤色になっているやつだ。』
「なるほど、勉強になります。」

この前僕の仮住居で弱っていた子供はというと、数日ですっかり元気になり、なんとエルフとかいう生態だったらしく僕よりも長生きらしい。

特に理由は聞いてないがエルフの村から追い出され、あの村で人間として変装して暮らしていたのに、エルフ村から離れ過ぎたせいで気味悪がられる病気にかかってしまったとのことだ。

それで、もう村を頼りにしないで1人生きる術を僕から学びたいらしい。5年契約で薬剤を調達してくれるからかなり良い手駒……こほん、仲間だ。

英雄時代なんて思い返せば、協力なんてクソくらえ。僕1人で倒せますが?精神で(ロノがいないせいでヤケクソだった)魔王を討伐してしまったのだから、こうした冒険者らしいことは初めてだ。まあ僕は相変わらず森に引きこもっているのだけど。

『その見た目なんとかならないのか?まるで僕がショ●コンみたいだ。』
「あ、そういうこと気にされるんですね。では……」

と人間でいう20代くらいの美男になったのだが、あまりの顔の整っていること。見てて良い気はしないので、30代くらいになってもらう…………それでも味のあるダンディーぷりで諦めた。絶対僕で遊んでるだろこいつ。

「幼い見た目の方が都合がいいんですよ、都合が。」とメタい話を言ってきたがとりあえず意味がよく分からない振りをした。

『……それであの病気になったのはエルフの森?にいなかったせいなんだよな。ここにいたらまた再発するんじゃないか?』
「その心配には及びません!助けてもらった薬であと300年ほどは持ちそうなんです。」
『…ふーん、300年……300年!?』

お前の年齢どうなってんだと聞きたいが、とんでもない数字が口から出てきそうで怖くて聞けなかった。



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