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7話 ただ、僕は原因を知りたいだけだ!本当に!

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「こう?」
『もう少し肩の力を抜け』

ポンポンと肩を叩けばさらに手に力が加わる。

「どうやってこんな重いもの持つの?」
『そうだな…まだ早かったかもしれないな。』
「嘘!全然重くない!いけるもん!!」

あれから稽古と言っていいのか怪しいが、決まった時間にここを訪れ、他愛もない話をしたり、指導をしたりしていた。身を守る力はあったことに越したことはないので惜しみなく使えそうなものは伝える。

「大剣はまだ無理そう……。」

僕が枝から荒削りした木刀擬きに不満そうな顔をしているのは知っているが、力が足りないことは自分がよく理解しているせいか、木刀で我慢しているようだった。

「それにしてもお兄さんの剣かっこいいなあー!」

キラキラとした眼差しに当てられているのか知らないが、目が合わせられなくなる。記憶にはないがこんなにも子供というのは純粋で影がないのか。

「あ、そうだ!はい!これ今日の夕御飯!」
『!ありがとう。』
「えっへん!今日は俺の手作りだからね!」
『は?』

大人になっても料理という次元ではなく炭のような見た目に変える天才が、自分で作っただと?

これは僕があの世行き確定演出かもしれないと、身体全身が嬉しくもない決意を固めはじめる。もしかしたら魔王よりもこいつの飯が世界を陥れる最大の敵だった気がしなくもなくもない。

恐る恐るゆっくりと蓋を開ければ、あれ?

普通にしっかりと一般家庭にあるような美味しそうな弁当だった。

『………誰か知り合いにでも手伝って貰ったのか?』
「え?なっ、なんで分っ、、あ!違う違う!!俺一人で作ったんだよ!ほんとだよ!!」
『ハハハッ』
「っ~~!今絶対笑ってるでしょ!!違うから!!」

何故ならば僕はこの年ぐらいに

「料理手伝ってくれない?アルノア上手でしょ!」
「は?急になんで?」

という会話をしたのを今丁度思い出したからだ。なるほど、未来の自分にあげるためだったのかと納得するものの、嬉しいような複雑なような正直なんという感想をあげるべきか。

まあロノが作ってくれたことに変わりはないからな。有り難く頂くとして……そういや初の手作り弁当で怪我をしていなかったか?主に包丁で。

『手をかせ』
「え、、?え?なんで?」
『怪我してるだろ。』
「……?あ!こ、これは転んだだけで!」
『嘘だな』

「本当になんで分かるの…。」と半分諦めた顔をしたロノはおずおずと手を差し出してくれた。

幼い頃はロノが平気そうな顔をするので僕も分からなかったが、結構深く刺さっていたようで、血は止まっているものの傷跡が残りそうだった。

確か空間に収納できるタイプの袋に万能ポーションが入っていたはず………と目的のものを取り出し、丁寧に塗っていく。

ゆっくり治癒するので副作用はないし塗って損はない。

「お兄さん、これ何?ぞ、ぞわぞわする……」
『ぞっ!?』

声帯が消えてて良かったと思う。出なければ思いっきり叫んでいたに違いない。治癒する力がどうやら変な感じがするらしい。僕は使い慣れ過ぎて分からないが…

「んっ、」
『うわぁぁぁぁぁぁ!変な声出すなよ!』

これも声には出ないので心の中で叫んでおく。弁明させて欲しい。僕は下心あって過去に来たが、それはもちろん性的なものではない。本当にだ。そもそもロノを恋愛対象として見ていない、それだけは断言できるが絵面が大変よろしくない。

あまりにも僕が変な顔をするもので、おかしな空気にしたのが分かったのかよく見るとロノの顔は真っ赤で爆発しそうなくらいだ。

いや……気が付かなかっただけでまさか本当に熱があるのか?

「!、お兄さん、、近い!!!」
『あ』

ピギャっと醜い悲鳴をあげた彼は「きょ、今日はありがとう!また来る!」とまだ入っている弁当箱はそのままに走り去っていってしまった。
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