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6話 少しは話を聞け

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「やっぱりお兄さんここにいた!!」
「!?」

森で仮眠を取っていると、気がついたらお昼になっていたようで、すっかり辺りは明るくなっていた。

『何しにきたんだ…。』と目で訴えれば、「遊びに来た!」と笑顔で答える。ふむ、知らないおじさんに会いに行ったりしては行けないと学ばなかったのか。

『……親や知り合いに心配されないのか?』
「アルノアのこと?それなら大丈夫!俺よりも本が好きらしいから置いてきた。」
『あー、、』

確かにこの頃は本の虫になっていた記憶はあるし、話しかけまくるロノを少し面倒と思っていた節はある。今思えば勿体無いなとは思うが。

「それよりもお兄さん!俺に剣術教えてよ!カッコよかったんだ!!」
『げ、』

まさか昔ロノが急に勇者元位騎士になりたいと言い出したのは未来の自分のせいだったりするのだろうか。お年頃というやつかと思っていたが、なんとなく自分が関わってる気がすると今の状況を見て思う。

『駄目だ………ッ!?』
「お兄さん!?」

なるほど、剣術を教えることを断ることもどうやら未来に反することらしい。判定があまりよく分からないが関わっても問題なさそうだ。

「あー、やっぱりいいよ。…お兄さん体調悪そうだもん。」
『…これは気にしないでくれ。昔からだ。』
「ううんよくないよ!……そうだ!お兄さん俺の村へおいでよ!」
『は?』

まだ会って2回目のやつを村に招き込んでどうする。警戒心が少なすぎて、いくら辺境でも用心したことに越したことはないはずだ。

しかしお腹が空いているのも事実で。まあ野宿にも狩にも慣れているから問題はないのだけど。

『魅力的な提案だけど僕はここに居ないといけないんだ。』
「そ、そっか、」
『村の者にも秘密にしてくれないか。僕は襲うつもりはないが不審に思われるかもしれない。』
「うん!わかった!約束する!!」

複雑なことは地面に文字を書き伝える。純粋な彼はそれを簡単に肯定した。

「じゃあ俺今からご飯持ってくるよ!お腹空いてるでしょ?」
『いや、結構……って!おい!』

すばしっこい彼は村へ走っていくとすぐにみるみる小さくなっていく。声が出ないため心の中で叫ぶが当然聞こえるはずもなかった。






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