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5話 初めまして再会しました
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チラッと物陰からロノと過去の僕の家の様子を伺う様子は間違いなく不審人物であり、思わずため息をつきたくなるほどには残念な姿をしていた。未来の英雄の姿がこうだと自分でもなんとも情けないと思う。
『魔物でも狩るか……。』
ストーカー…こほん。観察してから半日が過ぎた。流石に人間はこのあたりから限界がくるもので、毎夜襲いにくる活発な魔物を倒したって未来に影響などないだろう。多分。
村の力自慢大会に出る者や、武力に少々精通している者が中心となってこいつらを倒すが、やはりどうしても怪我人はつきものだ。
せっかくストーカーとして(勝手に)居させてもらっているのだから、良いこともしておいてあげなければ。
単に暇つぶしであるが、自分を正当化させ大剣を握る。そうでもしないと家に飛び込んでしまいそうだった。間違いなく未来を変えることなのだから木っ端微塵?になるのか知らないが即死案件だろう。これも憶測にすぎないのでとりあえず様子見だが。
「うわーー!だ、だれか!助けて!!!」
「!!」
聞き覚えのある声……それは間違えるはずもないロノの悲鳴だった。
こんな時間に家から出ているのか!
慌てて駆けつけようとするも、ピタリと足を止める。これは未来を変えてしまう出来事なのではないかと。ロノはまだ生きていたし、この時期に大きな怪我をしていた覚えもない。しかしそれなら何故周りに助けてくれるような人の気配がないのか。
一瞬で頭をフル回転させ、今守るべきかを考える。
ーーそれで後悔するのはお前じゃないのか?
もう1人の自分が僕に囁いたと思った瞬間には身体が動いていた。巨大な斧持ちのゴブリンを大剣で打ちのめし、幼いロノの視界に入らないよう前に立ち塞がる。
「ぁ、、、ぁ、」『大丈夫か?』
「……?」
そうだった、声、出ないんだった。
ジェスチャーで伝えると辛うじて理解してくれた彼は手をグッドの形をして、歯を見せた笑顔でニカッと笑った。「ありがとうございます!」と目をキラキラさせて言うのだから眩しい。記憶が飛んでいるだけで昔はこんなにも可愛いやつだったか。
言動はああだが、ロノはかなり聡い子だ。僕が言葉が発せないことを瞬時に理解したのだろう。
「っ、ぐぅ、」
「お、お兄さん!どうしたの?」
急に左目にきた痛みに耐えるように、目を覆う。異常を察したロノは慌てて駆けつけてくれたが、僕が別の意味で暴走しそうになったので距離をとったら、もうそれ以上近づこうとしなかった。
『なんでもない。それより早くお家に帰りなさい。』
口パクで伝えると少しは読み取れたのか、彼は渋々頷いて走り去っていく。途中振り返ってお礼をするのだからなんと愛らしいことだ。
「うっ、、っ、会いたかったよ、、ロノ。」
足元から崩れ落ちると同時に急に涙が溢れ、はやり来るべきではなかったのかもしれないと後悔が勝つくらいには胸が苦しかった。………でも助けられた。僕が助けた。
魔王の忠告通り反動で左目を視力を少し失ったようだが、右目がしっかり生きていれば問題ない。
『魔物でも狩るか……。』
ストーカー…こほん。観察してから半日が過ぎた。流石に人間はこのあたりから限界がくるもので、毎夜襲いにくる活発な魔物を倒したって未来に影響などないだろう。多分。
村の力自慢大会に出る者や、武力に少々精通している者が中心となってこいつらを倒すが、やはりどうしても怪我人はつきものだ。
せっかくストーカーとして(勝手に)居させてもらっているのだから、良いこともしておいてあげなければ。
単に暇つぶしであるが、自分を正当化させ大剣を握る。そうでもしないと家に飛び込んでしまいそうだった。間違いなく未来を変えることなのだから木っ端微塵?になるのか知らないが即死案件だろう。これも憶測にすぎないのでとりあえず様子見だが。
「うわーー!だ、だれか!助けて!!!」
「!!」
聞き覚えのある声……それは間違えるはずもないロノの悲鳴だった。
こんな時間に家から出ているのか!
慌てて駆けつけようとするも、ピタリと足を止める。これは未来を変えてしまう出来事なのではないかと。ロノはまだ生きていたし、この時期に大きな怪我をしていた覚えもない。しかしそれなら何故周りに助けてくれるような人の気配がないのか。
一瞬で頭をフル回転させ、今守るべきかを考える。
ーーそれで後悔するのはお前じゃないのか?
もう1人の自分が僕に囁いたと思った瞬間には身体が動いていた。巨大な斧持ちのゴブリンを大剣で打ちのめし、幼いロノの視界に入らないよう前に立ち塞がる。
「ぁ、、、ぁ、」『大丈夫か?』
「……?」
そうだった、声、出ないんだった。
ジェスチャーで伝えると辛うじて理解してくれた彼は手をグッドの形をして、歯を見せた笑顔でニカッと笑った。「ありがとうございます!」と目をキラキラさせて言うのだから眩しい。記憶が飛んでいるだけで昔はこんなにも可愛いやつだったか。
言動はああだが、ロノはかなり聡い子だ。僕が言葉が発せないことを瞬時に理解したのだろう。
「っ、ぐぅ、」
「お、お兄さん!どうしたの?」
急に左目にきた痛みに耐えるように、目を覆う。異常を察したロノは慌てて駆けつけてくれたが、僕が別の意味で暴走しそうになったので距離をとったら、もうそれ以上近づこうとしなかった。
『なんでもない。それより早くお家に帰りなさい。』
口パクで伝えると少しは読み取れたのか、彼は渋々頷いて走り去っていく。途中振り返ってお礼をするのだからなんと愛らしいことだ。
「うっ、、っ、会いたかったよ、、ロノ。」
足元から崩れ落ちると同時に急に涙が溢れ、はやり来るべきではなかったのかもしれないと後悔が勝つくらいには胸が苦しかった。………でも助けられた。僕が助けた。
魔王の忠告通り反動で左目を視力を少し失ったようだが、右目がしっかり生きていれば問題ない。
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