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番外編ストーリー要素強めなR-18
12 本能だとは分かってるよ?分かってるけど………
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あの後僕は一睡もできず朝が来てしまった。クリスが犯人だというのか、、?動機は?もし犯人じゃないとしてもどうして知らないふりをしたのだろう。わかりやすい所に落ちていたので気が付かないはずがない……。
「…巣作りでもしている、とか?」
発情期前のオメガの習性をと考えたら合点はいく。しかし彼から一切誘うようなフェロモンが漏れてはいない上、何故黙って物を持っていってしまうのか。
現行犯逮捕をして問い詰めたい所だ。クリスが楽になるならいくらでもあげる所存だが、僕の知らない間に取られては実際困るので一言欲しいものだ。
朝食を一緒にホールで食べている間、作戦を実行することにした。
「クリス。」
「はい、何でしょうか?」
「今日は用事で外出しなくてはいけなくてね。夜には帰ってくるよ。」
「…!そうなんですか。どうかお気をつけてください。」
祖父にあたる人物に挨拶に行くので、出かけるのは事実だが帰ってくるのは昼頃だと見込んでいる。最近は僕の部屋から物がなくなることが多いのでそこで待ち伏せし、その場で問いただそうという魂胆だ。
「ふう。」
祖母は穏やかで好ましいが、祖父はいつまで経っても厳しくて息を吸うのも楽じゃなかった。
さて今は城まで戻ってきており、従者たちも下がらせてるので使い捨ての転移用魔道具を使う。これは元々特定の場所にしか移動できないが、事前に座標を設置していたので簡単に自室に戻ってくることができた。
中は特に誰もおらず、まず一息つく。
僕が帰ってくる前までクリスは色んな人間に引っ張りだこなもので、回収し終わってる可能性はないとは言い切れないが大きいこともない。
待つこと数十分。
知ってる気配が入ってきたので、さらに奥の部屋で待機する。あくまで偶然を装うつもりだ。
カツカツと靴を鳴らしながらとあるところで止まる。それをしっかり耳で聞いてから10秒くらい待つ。
次に扉を開け………
「………クリス、何してるの?」
「!!!」
そこには僕の下着を漁る妻の姿があった。
「い、いつお帰りになられたのですか?」
「魔道具使ったら予定より早く着いちゃってね。」
「………。」
気まずそうに彼は目線を逸らすので、僕はしゃがんで視線を合わせ「理由を教えてくれる?」と請えば、彼はおずおず「すみませんでした。色々困ってらっしゃるのは存じてたのですが…。」と始めに入れてから語り出した。
最初は無意識だったのです。執務室で机の上に転がっていた殿下が愛用していた羽ペンを気がついたら私の部屋まで持ってきてしまって。……謝って返そうと思ったのに、また別の日はペンを手に取ったまま違うものを持ってきてしまい……そのままお話しする勇気もなくダラダラと…………
「でもないと落ち着かないのです、返したくもありません……本当に己が悪人とは理解してます。私どうしてしまったのでしょうか……」
項垂れるクリスをそっと抱きしめる。聞いてる限りは巣作りで間違いないだろう。ただ本人が自覚してないのが驚きだが。
「巣作りなんだろう。ほら、下着は恥ずかしいから困るけどそれ以外ならいくらでも持っていってくれていいよ。」
パッ!と目を輝かせたかと思ったら、
「最初はそうだと思ってたのですけど、発情期に入る気配がなくて、、、」
また顔を下げてしまった。それで余計に言いづらかったとも付け足して。
この世界のオメガバースの発情期は番成立してから発情期が来るという設定になっている。学園モノBLからしたら発情期が第二性発現と共に出たら色々都合が悪かったのだろう。
「うーん、一応医者に見てもらおうか。……それとはい。」
正装とのこともあり重ね着していたので、それをカッターシャツのようなもの以外脱ぎ全て渡す。正装は使い捨てなのでシワシワになっても特に問題ないだろう。
「いいんですか!?」
まるで宝物かのように抱きしめ顔をうずめている彼に「本人ここにいるのに衣類の方がいいのか」と苦笑いをした。
「とにかく何も言わずに取るのはなし。欲しいものはあげるから遠慮なく言ってね。」
「………なら、どうしてもあれが欲しいです!!」
ビシッと指さしたのはやはり僕の下着で。さっきから釘付けになっていたのは気がついていた。結局僕が折れてしぶしぶ渡せばそれはもう嬉しそうに抱えて、さっそくクリスは己の部屋へ向かっていった。……正直複雑だ。
「…巣作りでもしている、とか?」
発情期前のオメガの習性をと考えたら合点はいく。しかし彼から一切誘うようなフェロモンが漏れてはいない上、何故黙って物を持っていってしまうのか。
現行犯逮捕をして問い詰めたい所だ。クリスが楽になるならいくらでもあげる所存だが、僕の知らない間に取られては実際困るので一言欲しいものだ。
朝食を一緒にホールで食べている間、作戦を実行することにした。
「クリス。」
「はい、何でしょうか?」
「今日は用事で外出しなくてはいけなくてね。夜には帰ってくるよ。」
「…!そうなんですか。どうかお気をつけてください。」
祖父にあたる人物に挨拶に行くので、出かけるのは事実だが帰ってくるのは昼頃だと見込んでいる。最近は僕の部屋から物がなくなることが多いのでそこで待ち伏せし、その場で問いただそうという魂胆だ。
「ふう。」
祖母は穏やかで好ましいが、祖父はいつまで経っても厳しくて息を吸うのも楽じゃなかった。
さて今は城まで戻ってきており、従者たちも下がらせてるので使い捨ての転移用魔道具を使う。これは元々特定の場所にしか移動できないが、事前に座標を設置していたので簡単に自室に戻ってくることができた。
中は特に誰もおらず、まず一息つく。
僕が帰ってくる前までクリスは色んな人間に引っ張りだこなもので、回収し終わってる可能性はないとは言い切れないが大きいこともない。
待つこと数十分。
知ってる気配が入ってきたので、さらに奥の部屋で待機する。あくまで偶然を装うつもりだ。
カツカツと靴を鳴らしながらとあるところで止まる。それをしっかり耳で聞いてから10秒くらい待つ。
次に扉を開け………
「………クリス、何してるの?」
「!!!」
そこには僕の下着を漁る妻の姿があった。
「い、いつお帰りになられたのですか?」
「魔道具使ったら予定より早く着いちゃってね。」
「………。」
気まずそうに彼は目線を逸らすので、僕はしゃがんで視線を合わせ「理由を教えてくれる?」と請えば、彼はおずおず「すみませんでした。色々困ってらっしゃるのは存じてたのですが…。」と始めに入れてから語り出した。
最初は無意識だったのです。執務室で机の上に転がっていた殿下が愛用していた羽ペンを気がついたら私の部屋まで持ってきてしまって。……謝って返そうと思ったのに、また別の日はペンを手に取ったまま違うものを持ってきてしまい……そのままお話しする勇気もなくダラダラと…………
「でもないと落ち着かないのです、返したくもありません……本当に己が悪人とは理解してます。私どうしてしまったのでしょうか……」
項垂れるクリスをそっと抱きしめる。聞いてる限りは巣作りで間違いないだろう。ただ本人が自覚してないのが驚きだが。
「巣作りなんだろう。ほら、下着は恥ずかしいから困るけどそれ以外ならいくらでも持っていってくれていいよ。」
パッ!と目を輝かせたかと思ったら、
「最初はそうだと思ってたのですけど、発情期に入る気配がなくて、、、」
また顔を下げてしまった。それで余計に言いづらかったとも付け足して。
この世界のオメガバースの発情期は番成立してから発情期が来るという設定になっている。学園モノBLからしたら発情期が第二性発現と共に出たら色々都合が悪かったのだろう。
「うーん、一応医者に見てもらおうか。……それとはい。」
正装とのこともあり重ね着していたので、それをカッターシャツのようなもの以外脱ぎ全て渡す。正装は使い捨てなのでシワシワになっても特に問題ないだろう。
「いいんですか!?」
まるで宝物かのように抱きしめ顔をうずめている彼に「本人ここにいるのに衣類の方がいいのか」と苦笑いをした。
「とにかく何も言わずに取るのはなし。欲しいものはあげるから遠慮なく言ってね。」
「………なら、どうしてもあれが欲しいです!!」
ビシッと指さしたのはやはり僕の下着で。さっきから釘付けになっていたのは気がついていた。結局僕が折れてしぶしぶ渡せばそれはもう嬉しそうに抱えて、さっそくクリスは己の部屋へ向かっていった。……正直複雑だ。
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