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本編

42 ゲームって侮っちゃだめ絶対

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夜にみんなで誘拐され、ヤンを調教し、その後クリスが起きたのは朝日が昇ってきたところだった。誠に情報量が多い。

早く戻らないと侍女たちが僕を起こしに来てしまう。

「クリス、巻き込んでしまってすまなかった。僕を送る必要はない。転移魔法がヤンも使えたし……ヤン、運んでくれるよね?「もちろんデス!」ってほらこんな調子だから、早くイグリエ家に戻ってくれ。」
「……分かりました。それと殿下…この件報告は……。」
「黙っていてくれた方が都合がいい。ヤンは使えるから。」
「……………そのように致します。」

不満げな顔でヤンを一瞥してからクリスは転移して消えた。

僕の国は魔族と因縁関係を持つので、クリスが上に全て報告してしまえば魔族の血を持つ?かは分からないが第一王子としては人生の終わりを意味するだろう。

でも仕方がなかった。だって知らなかったんだもん。対策のしようがないもん!!!

悶々と考え込んでいた時、そういやオールしてるんだなと思う。あ、やばいどんどん眠気が………

「あとはお任せください。おやすみなさい殿下。」

そうポチから声が聞こえた。









?どこだここ。真っ白で何もない世界。ここは夢の世界なのか?

「初めまして。」
「!?」

ビックリして振り返ると何故か目の前には自分がいる。…………いやゲームのレオナルドの方が正しいのか。

「僕は本来のレオナルド。まず最初に今更だけどこの世界に巻き込んでごめんね…。」
「えっと、なんのことです?」
「僕の都合で君をこの世界に転生させたことに対して謝らせて欲しい。」

ゲームよりも少し大人びた顔の彼は本当に申し訳なさそうな顔をする。

わーお、まじか。

まさかのゲームのキャラが自我を持っていて、そして僕を憑依させた張本人だと言う。

あんまり転生したの気にも留めていないと言うか、前世は酒カスみたいな生活で特に心残りもないのでその辺りはどうでも良かったりする。

「うーむ、いや推しが目の前にいて最高なのでむしろご褒美っていうか。」
「はは、そうならいいんだけど…。」

なんだか生々しい夢だ。僕は夢を覚えれないタチなのできっとこれも忘れてしまうだろう。

「ここはねすごいんだよ。少し念じてみれば欲しい物がいくらでも出てくる。」

ポンポンポンとお菓子やら、紅茶やら、剣を出して微笑む。ゲームといえど、やはり本物の王子なだけあってはしゃいでいても所作は僕とは全く違った。

「君に会いに来たかったんだけど…どうしてもがあってね。しかもそれはクリスを不幸せにしてしまう………おや、せっかく顔をあわせられたのに、もう時間のようだ。」
「…強制力?何の話をして?」


「いや気にしなくていい。とにかく僕のかわいい婚約者を頼んだよ…。そしてまた会おう。」





 




「……夢覚えてるじゃん。」

必ず人は夢を見る。『夢を見ない』というのは存在せず、ただ覚えてないだけだ。その覚えてないを今回覚えているのだから、現実かの境がわからなかった。

「僕の妄想の夢だろうしかなり恥ずかしいんだけど。それにしても生々しい夢だったなあ。」

夢のことは片隅に置いておいて、昨夜のことを思い出す。

調教し終わる前にヤンが言ってた『先祖返り』という「厨ニ病設定」は一体何だろうか。いやん!黒歴史!黒歴史!!!

ーーコンコン

「おはようございます、殿下。」
「入っていいよ。」

そう声をかけて部屋に入ってきたのは侍女ではなくポチだった。安心感がすごい。

「昨日はありがとう。それとどう?何か変わりない?」
「はい、周りもクリス様も特に変化は見られませんのでバレてはいないでしょう。…そして彼のことですが、一応私の方で預かっています。どうします?」

つまりポチとクリスは昨夜のことと僕のことを黙っていてくれるらしくこのまま王子続行できるらしい!やったー!君たち大好きだぞ!!

「そうか。人に見つからないように連れてきてくれ。聞きたいことが沢山ある。」
「かしこまりました。」
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