40 / 117
本編
40【クリス・イグリエ視点】人でなくとも美しい彼。
しおりを挟む
メキメキと先ほどヤンから聞こえた音と同じような音が殿下からなったと思った瞬間。
「触るな!!」と叫びながらヤンを吹き飛ばし、私を何かで覆った。………白い、ふわふわしたものだ。
手足は拘束されて動けないので頑張って顔で触りに行く。やっぱりそれはふわふわしていて暖かい。
不思議と恐怖はなかった。視界がなくて分からないが、二人の会話らしいものは聞こえる。
「アハハ!やっぱり先祖返り!!!ついに見つけっグハッ」
「…………殿下!!!目を覚ましてください!!!!それ以上は殺してしまいます!!!!」
私は何も見えないがポチの訴えでハッとなる。ガッとかいう音、いや声はどうやらヤンから発せられているようだった。つまりレオナルド殿下が彼を殴っているという認識でいいだろうか。
「殿下っ、殿下!!!きっともう彼は動けません!!!!落ち着いてくださいっ、手をお止めに……」
「…………。」
そう声をあげると、真っ白くふわふわしたものがどかされて、視界がクリアになる。
「ヒエッ」と声が出てしまうくらいにこの一瞬でヤンはボコボコにされており、悲惨な状況だった。
白いふわふわの正体は、なんと殿下の身体から生えているもので、
「…羽?」
魔族の特徴をもつようだけどそれとは少し違い、まるで………まるでお伽話に出てくる天使のようだ。
ニコリと彼は美しい見目のまま微笑むとポチと私を一緒に翼で覆いながら抱きしめた。いつのまにかついていた傷が癒えており、ヒールされたことに気がついた。
透明がかった黄金の髪と瞳に、白い肌、ふわふわで大きい真っ白な翼を持つ彼が微笑むと、私とポチは思わず見惚れてしまった。今の状況がどうでもいいと思えるくらいに。
天使のようで悪魔にも見えた。
「は、はは、久しぶりにこんなやられましたネ。」
よろよろと立ち上がった彼は大きな傷はほとんどなくなっている。その声を聞いた殿下はまたゆっくりとヤンと向き合い、私たちに背を向けた。
しかしヤンは己の身体を修復するのに必死なのか動こうとしない。余裕を見せているようだがそんなことないのかもしれない。
「待ってください、殿下!!!」
「殿下、もう彼は戦えません!いつもの殿下に戻られてください!」
私とポチの二人で呼ぶが全く反応を示さない。確かに今の彼は美しいを体現化させたようだ……
だけど私が大好きなのは………ポチも………いつもの彼なのである。
「殿下!!!…………っ、レオ!!!!!!」
「っ!、?クリ、ス……」
驚いたように殿下が振り返ると、そこには正気に戻った彼の姿があった。
「…………え、何今どうなってんの?」
困惑してますというオーラを全力で出すのに対して、二人でほっと一息をつく。
「ああ、いつもの殿下だ。」なんて安心すると同時に緊張で無意識に込めていた力が抜け、同時に瞼が落ちてきた。
「ちょ、クリス!?クリス!!!!」という声を耳にしたが残念ながら起きれそうにない。
「触るな!!」と叫びながらヤンを吹き飛ばし、私を何かで覆った。………白い、ふわふわしたものだ。
手足は拘束されて動けないので頑張って顔で触りに行く。やっぱりそれはふわふわしていて暖かい。
不思議と恐怖はなかった。視界がなくて分からないが、二人の会話らしいものは聞こえる。
「アハハ!やっぱり先祖返り!!!ついに見つけっグハッ」
「…………殿下!!!目を覚ましてください!!!!それ以上は殺してしまいます!!!!」
私は何も見えないがポチの訴えでハッとなる。ガッとかいう音、いや声はどうやらヤンから発せられているようだった。つまりレオナルド殿下が彼を殴っているという認識でいいだろうか。
「殿下っ、殿下!!!きっともう彼は動けません!!!!落ち着いてくださいっ、手をお止めに……」
「…………。」
そう声をあげると、真っ白くふわふわしたものがどかされて、視界がクリアになる。
「ヒエッ」と声が出てしまうくらいにこの一瞬でヤンはボコボコにされており、悲惨な状況だった。
白いふわふわの正体は、なんと殿下の身体から生えているもので、
「…羽?」
魔族の特徴をもつようだけどそれとは少し違い、まるで………まるでお伽話に出てくる天使のようだ。
ニコリと彼は美しい見目のまま微笑むとポチと私を一緒に翼で覆いながら抱きしめた。いつのまにかついていた傷が癒えており、ヒールされたことに気がついた。
透明がかった黄金の髪と瞳に、白い肌、ふわふわで大きい真っ白な翼を持つ彼が微笑むと、私とポチは思わず見惚れてしまった。今の状況がどうでもいいと思えるくらいに。
天使のようで悪魔にも見えた。
「は、はは、久しぶりにこんなやられましたネ。」
よろよろと立ち上がった彼は大きな傷はほとんどなくなっている。その声を聞いた殿下はまたゆっくりとヤンと向き合い、私たちに背を向けた。
しかしヤンは己の身体を修復するのに必死なのか動こうとしない。余裕を見せているようだがそんなことないのかもしれない。
「待ってください、殿下!!!」
「殿下、もう彼は戦えません!いつもの殿下に戻られてください!」
私とポチの二人で呼ぶが全く反応を示さない。確かに今の彼は美しいを体現化させたようだ……
だけど私が大好きなのは………ポチも………いつもの彼なのである。
「殿下!!!…………っ、レオ!!!!!!」
「っ!、?クリ、ス……」
驚いたように殿下が振り返ると、そこには正気に戻った彼の姿があった。
「…………え、何今どうなってんの?」
困惑してますというオーラを全力で出すのに対して、二人でほっと一息をつく。
「ああ、いつもの殿下だ。」なんて安心すると同時に緊張で無意識に込めていた力が抜け、同時に瞼が落ちてきた。
「ちょ、クリス!?クリス!!!!」という声を耳にしたが残念ながら起きれそうにない。
23
お気に入りに追加
1,010
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい
パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け
★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です
X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行
蛍
BL
ある日突然トラックに跳ねられ死んだと思ったら知らない森の中にいた神崎満(かんざきみちる)。異世界への暮らしに心踊らされるも同性から言い寄られるばかりで・・・
主人公チートの総受けストリーです。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

オメガパンダの獣人は麒麟皇帝の運命の番
兎騎かなで
BL
パンダ族の白露は成人を迎え、生まれ育った里を出た。白露は里で唯一のオメガだ。将来は父や母のように、のんびりとした生活を営めるアルファと結ばれたいと思っていたのに、実は白露は皇帝の番だったらしい。
美味しい笹の葉を分けあって二人で食べるような、鳥を見つけて一緒に眺めて楽しむような、そんな穏やかな時を、激務に追われる皇帝と共に過ごすことはできるのか?
さらに白露には、発情期が来たことがないという悩みもあって……理想の番関係に向かって奮闘する物語。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる