24 / 117
本編
24 あれ?そこのお二人最強説教コンビになったり…?
しおりを挟む
「おーい!クリス!」
「!?!?殿下!」
慌てて戻ってくると、テラスから僕のことを探しているクリスに声をかけた。彼は見つけるなりすぐ、高いところから飛び降りてきて、僕を抱えてヒョイっとテラスに戻った。
「ふう、助かったよありがとう。」
「助かったよじゃありませんよ!一体何があったのですか!?」
パンとクリスが手を叩くと背後からポチが現れる。
「殿下!?急にいなくなるので探しておりました。」
ガッと両肩を掴むと近距離で怒鳴られた。痛い痛い!ちょ、僕一応王子だからね!?
「そうですよ!ポチと心配していたんです。無事だったから良かったものの。」
勢いのあるポチにクリスまで加わってきた。
ん?二人ともいつの間に顔見知りになったんだ?
そして今かなり長い間二人からお説教を食らっている。こういうのは右から左に聞き流す。うんそういうの大事だから。
「ヒロインに誘拐されました。」なんて言われるはずもなく勝手に転移していた旨を伝えた。もちろんクリスのせいじゃないことも伝えて。
「まあ大騒ぎにしたくないし、ちょっとした事故だったからさ、ポチもクリスも内緒にしててね?」
二人から逃げるようにホールに向かって歩んでから、少し振り返って笑ってやった。真面目くんたちめ!王子命令だぞ!!
僕の笑顔が気に入らなかったのか真顔で固まっている二人を焦ったく思い、クリスにファーストダンスを誘った。『めんどくせーので有耶無耶作戦』だ!
「ほら、始まってしまう。行くよクリス。」
「っ、まだ話は終わってませんからー!!」
そう言いつつも大人しく着いてくる彼に苦笑いしつつ、腰を抱き寄せた。
「で、でん、か、近いです。」
「?今から踊るのだから当然じゃないか。」
ホールに着くと全ての視線は僕たちに向かっていた。悪目立ちしているようでこれはこれでソワソワする。
ファーストダンスと言えど、二人で踊るのはこれが初めてなので色んな意味でファーストだった。
でも、クリスと僕ならいける気がする。分からないが直感がそう言っていた。
「緊張しないで、ほら楽しもうよ。」
「だって私のような者が………」
「何言ってんの。僕の立派な婚約者でしょ?」
「は、はぃっ!」
表情はガチゴチだが、ダンスは見事なもので周りは息を呑んで様子を窺っていた。王子妃教育頑張ってるのだろうなと、水の飲み方や、歩き方、仕草から全て伝わってくる。
ああ…どうしよう。きっと僕は彼のことを手放すことができない。
この醜い執着は悟られないよう心の中に厳重にしまっておくのが懸命だろう。緊張が少しずつほぐれて嬉しそうに笑う彼の顔を見てそう思わざるを得なかった。
「!?!?殿下!」
慌てて戻ってくると、テラスから僕のことを探しているクリスに声をかけた。彼は見つけるなりすぐ、高いところから飛び降りてきて、僕を抱えてヒョイっとテラスに戻った。
「ふう、助かったよありがとう。」
「助かったよじゃありませんよ!一体何があったのですか!?」
パンとクリスが手を叩くと背後からポチが現れる。
「殿下!?急にいなくなるので探しておりました。」
ガッと両肩を掴むと近距離で怒鳴られた。痛い痛い!ちょ、僕一応王子だからね!?
「そうですよ!ポチと心配していたんです。無事だったから良かったものの。」
勢いのあるポチにクリスまで加わってきた。
ん?二人ともいつの間に顔見知りになったんだ?
そして今かなり長い間二人からお説教を食らっている。こういうのは右から左に聞き流す。うんそういうの大事だから。
「ヒロインに誘拐されました。」なんて言われるはずもなく勝手に転移していた旨を伝えた。もちろんクリスのせいじゃないことも伝えて。
「まあ大騒ぎにしたくないし、ちょっとした事故だったからさ、ポチもクリスも内緒にしててね?」
二人から逃げるようにホールに向かって歩んでから、少し振り返って笑ってやった。真面目くんたちめ!王子命令だぞ!!
僕の笑顔が気に入らなかったのか真顔で固まっている二人を焦ったく思い、クリスにファーストダンスを誘った。『めんどくせーので有耶無耶作戦』だ!
「ほら、始まってしまう。行くよクリス。」
「っ、まだ話は終わってませんからー!!」
そう言いつつも大人しく着いてくる彼に苦笑いしつつ、腰を抱き寄せた。
「で、でん、か、近いです。」
「?今から踊るのだから当然じゃないか。」
ホールに着くと全ての視線は僕たちに向かっていた。悪目立ちしているようでこれはこれでソワソワする。
ファーストダンスと言えど、二人で踊るのはこれが初めてなので色んな意味でファーストだった。
でも、クリスと僕ならいける気がする。分からないが直感がそう言っていた。
「緊張しないで、ほら楽しもうよ。」
「だって私のような者が………」
「何言ってんの。僕の立派な婚約者でしょ?」
「は、はぃっ!」
表情はガチゴチだが、ダンスは見事なもので周りは息を呑んで様子を窺っていた。王子妃教育頑張ってるのだろうなと、水の飲み方や、歩き方、仕草から全て伝わってくる。
ああ…どうしよう。きっと僕は彼のことを手放すことができない。
この醜い執着は悟られないよう心の中に厳重にしまっておくのが懸命だろう。緊張が少しずつほぐれて嬉しそうに笑う彼の顔を見てそう思わざるを得なかった。
24
お気に入りに追加
1,000
あなたにおすすめの小説
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~
クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。
いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。
本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。
誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる