22 / 117
本編
22 せめても当て馬になれ!
しおりを挟む
「第一王子レオナルド・サーベス及びクリス・イグリエのご入場です。」
ガヤガヤした空気が一瞬で静かになる。と思ったら音楽が流れ始めた。
「行こうか。」
「はい。」
腕を組んでゆっくりと扉へ進む。扉が開いた瞬間ワッ!と歓声と拍手が鳴り響いた。なかなかに気持ちがいいものだ。
手を上げるとピタリと静かになり、僕は一つ深呼吸してから口を開いた。
「今宵は僕が主催するパーティーにご参加いただきありがとう。多少の無礼は目を瞑るつもりだ。どうか最後まで楽しんでくれ。」
ニコッと笑って挨拶を終えると、黄色い雄々しい叫び声が聞こえてきた。人生に一度はこれやってみたかったので清々しい気分だ。
「父上、母上。挨拶に参りました。」
先に来ていた二人に僕がお辞儀すると、少し後ろに下がっているクリスも一緒になって深く頭を下げた。
「頭を上げなさい。なかなかに良いパーティーだ。準備ご苦労だった。」
「気に入っていただき大変嬉しく存じます。」
「その衣装はお互い対になっているのだな。とても素敵だ。」
やはりお互い大好き作戦は有用なようで、ガッツポーズを取りたいところを二人でお礼を言って流した。
父がもう下がれと言わんばかりに手を振るのでお言葉に甘えて挨拶早々、会場の中央へと向かった。
「まあレオナルド様じゃないの。」
嫌な声が背後から聞こえたので無視しようと考えたが、そういうわけにもいかず、恐る恐る振り返る。
「これはこれは…ラレンド様。」
狐のような目のク●BBAの登場でもう帰りたくなった。彼は側室で一番力を持っているBBAだ。
僕の母はイグリエ家出身の王妃だが、王妃だからといって力が強すぎるわけでもなく、アルファの王子がいるかいないかで決まる。
運良く母はアルファの第一王子を手に入れれたが、このBBAは誤差ではあるがアルファの第二王子、つまり弟を持っているから無視できないのだ。
「あら、貴方が例のご婚約者かしら?一見分からなかったわ。」
ブチっとどこかの線がキレそうになるのを耐える。「オメガらしくなく随分と大きいのね。私の息子の婚約者の方がかわいらしいのに」とのことだろう。ぶん殴ってやりたいがこんなところでぶち壊しにするわけにはいかない。
「そうでしょう。僕の唯一の自慢ですよ。」
「ふふ、微笑ましいわ。」
皮肉を込めた「お似合いよ」をお見舞いされたがスルーするしかない。クリスの表情は後ろにいたので読めなかったが良い気はしてないだろう。
「では他の挨拶もあるので僕はこの辺で。」
「そうなの?まだお話していたいのに。」
あーーもうやだもうこのBBA。
ガヤガヤした空気が一瞬で静かになる。と思ったら音楽が流れ始めた。
「行こうか。」
「はい。」
腕を組んでゆっくりと扉へ進む。扉が開いた瞬間ワッ!と歓声と拍手が鳴り響いた。なかなかに気持ちがいいものだ。
手を上げるとピタリと静かになり、僕は一つ深呼吸してから口を開いた。
「今宵は僕が主催するパーティーにご参加いただきありがとう。多少の無礼は目を瞑るつもりだ。どうか最後まで楽しんでくれ。」
ニコッと笑って挨拶を終えると、黄色い雄々しい叫び声が聞こえてきた。人生に一度はこれやってみたかったので清々しい気分だ。
「父上、母上。挨拶に参りました。」
先に来ていた二人に僕がお辞儀すると、少し後ろに下がっているクリスも一緒になって深く頭を下げた。
「頭を上げなさい。なかなかに良いパーティーだ。準備ご苦労だった。」
「気に入っていただき大変嬉しく存じます。」
「その衣装はお互い対になっているのだな。とても素敵だ。」
やはりお互い大好き作戦は有用なようで、ガッツポーズを取りたいところを二人でお礼を言って流した。
父がもう下がれと言わんばかりに手を振るのでお言葉に甘えて挨拶早々、会場の中央へと向かった。
「まあレオナルド様じゃないの。」
嫌な声が背後から聞こえたので無視しようと考えたが、そういうわけにもいかず、恐る恐る振り返る。
「これはこれは…ラレンド様。」
狐のような目のク●BBAの登場でもう帰りたくなった。彼は側室で一番力を持っているBBAだ。
僕の母はイグリエ家出身の王妃だが、王妃だからといって力が強すぎるわけでもなく、アルファの王子がいるかいないかで決まる。
運良く母はアルファの第一王子を手に入れれたが、このBBAは誤差ではあるがアルファの第二王子、つまり弟を持っているから無視できないのだ。
「あら、貴方が例のご婚約者かしら?一見分からなかったわ。」
ブチっとどこかの線がキレそうになるのを耐える。「オメガらしくなく随分と大きいのね。私の息子の婚約者の方がかわいらしいのに」とのことだろう。ぶん殴ってやりたいがこんなところでぶち壊しにするわけにはいかない。
「そうでしょう。僕の唯一の自慢ですよ。」
「ふふ、微笑ましいわ。」
皮肉を込めた「お似合いよ」をお見舞いされたがスルーするしかない。クリスの表情は後ろにいたので読めなかったが良い気はしてないだろう。
「では他の挨拶もあるので僕はこの辺で。」
「そうなの?まだお話していたいのに。」
あーーもうやだもうこのBBA。
24
お気に入りに追加
1,000
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる