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本編

22 せめても当て馬になれ!

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「第一王子レオナルド・サーベス及びクリス・イグリエのご入場です。」

ガヤガヤした空気が一瞬で静かになる。と思ったら音楽が流れ始めた。

「行こうか。」
「はい。」



腕を組んでゆっくりと扉へ進む。扉が開いた瞬間ワッ!と歓声と拍手が鳴り響いた。なかなかに気持ちがいいものだ。

手を上げるとピタリと静かになり、僕は一つ深呼吸してから口を開いた。

「今宵は僕が主催するパーティーにご参加いただきありがとう。多少の無礼は目を瞑るつもりだ。どうか最後まで楽しんでくれ。」

ニコッと笑って挨拶を終えると、黄色い雄々しい叫び声が聞こえてきた。人生に一度はこれやってみたかったので清々しい気分だ。

「父上、母上。挨拶に参りました。」

先に来ていた二人に僕がお辞儀すると、少し後ろに下がっているクリスも一緒になって深く頭を下げた。

「頭を上げなさい。なかなかに良いパーティーだ。準備ご苦労だった。」
「気に入っていただき大変嬉しく存じます。」
「その衣装はお互い対になっているのだな。とても素敵だ。」

やはりお互い大好き作戦は有用なようで、ガッツポーズを取りたいところを二人でお礼を言って流した。

父がもう下がれと言わんばかりに手を振るのでお言葉に甘えて挨拶早々、会場の中央へと向かった。






「まあレオナルド様じゃないの。」

嫌な声が背後から聞こえたので無視しようと考えたが、そういうわけにもいかず、恐る恐る振り返る。

「これはこれは…ラレンド様。」

狐のような目のク●BBAの登場でもう帰りたくなった。彼は側室で一番力を持っているBBAだ。

僕の母はイグリエ家出身の王妃だが、王妃だからといって力が強すぎるわけでもなく、で決まる。

運良く母はアルファの第一王子を手に入れれたが、このBBAは誤差ではあるがアルファの第二王子、つまり弟を持っているから無視できないのだ。

「あら、貴方が例のご婚約者かしら?一見分からなかったわ。」

ブチっとどこかの線がキレそうになるのを耐える。「オメガらしくなく随分と大きいのね。私の息子の婚約者の方がかわいらしいのに」とのことだろう。ぶん殴ってやりたいがこんなところでぶち壊しにするわけにはいかない。

「そうでしょう。僕の唯一の自慢ですよ。」
「ふふ、微笑ましいわ。」

皮肉を込めた「お似合いよ」をお見舞いされたがスルーするしかない。クリスの表情は後ろにいたので読めなかったが良い気はしてないだろう。

「では他の挨拶もあるので僕はこの辺で。」
「そうなの?まだお話していたいのに。」

あーーもうやだもうこのBBA。
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