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本編
21 もう耐えられません。
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「あっ、少し待って頂けますか?」
会場へ向かおうとした僕を呼び止めたのはもう一人の主役であるクリスだ。どうしたのかと思って振り返ると、項を守るための首輪を外している最中だった。
「っな!?」
全員の空気が凍る中、クリスは「この首輪せっかくの衣装と似合いませんので。」なんて呑気に言うから憎たらしい。
「……クリス。流石に人目がつくのに外すってのは…。」
「?魔法で守ってますので安心してください。」
違う。違うそうじゃない。僕が今社会的に死にそうになっているのだ。耐えろ!!僕の息子よ!!!
首輪をつけているときは特に何もなかったのに、犬歯が疼いて彼の項から目が離せない。
目配せでポチに例の物を取ってくるよう言うと、優秀な彼は一瞬で察知して持ってきてくれた。
黒をベースに薄く伸ばされた金で模様が描かれており、控えめな宝石が散りばめられたシックでコンパクト、尚且つ上品な首輪だ。今のクリスの衣装に似合うだろう。
「…殿下、そちらは?」
「かなり渡すのが早くなってしまったのだけど、無防備にされるよりかはマシかなって。それに今の服が前のつけてるのより似合うと思うよ。」
「っ!」
もっと喜んでくれると思ったけど、固まっている彼になんと言っていいか困惑する。自分が選んだ首輪をいつか送りたいなって思った衝動で買ったのでかなり恥ずかしい。詳細はどうか聞かれませんように!
「つけてもらっていいですか?」
「え、あ、ああもちろん。」
しばらく首輪を凝視していた彼が恐る恐る口を開いた。つける時にどうしても手が項に触れてしまってビクッとしてるが気付かないふりをしておこう。
というか首の周りにつけていた魔法を解除してるようなので完全に無防備……………うわわわ黙れ僕の僕!!!!
「…ありがとうございます。一生大切にします。」
すりっと手で首輪を撫でる仕草を見るに、気にっていてくれてるようでオーダーメイドで作って良かったと思った。周囲を確認すると、顔を赤らめている騎士がチラホラいたので、ガンを飛ばすとサッと視線を逸らされた。
チッ、失敗した。人払いするべきだった。
会場へ向かおうとした僕を呼び止めたのはもう一人の主役であるクリスだ。どうしたのかと思って振り返ると、項を守るための首輪を外している最中だった。
「っな!?」
全員の空気が凍る中、クリスは「この首輪せっかくの衣装と似合いませんので。」なんて呑気に言うから憎たらしい。
「……クリス。流石に人目がつくのに外すってのは…。」
「?魔法で守ってますので安心してください。」
違う。違うそうじゃない。僕が今社会的に死にそうになっているのだ。耐えろ!!僕の息子よ!!!
首輪をつけているときは特に何もなかったのに、犬歯が疼いて彼の項から目が離せない。
目配せでポチに例の物を取ってくるよう言うと、優秀な彼は一瞬で察知して持ってきてくれた。
黒をベースに薄く伸ばされた金で模様が描かれており、控えめな宝石が散りばめられたシックでコンパクト、尚且つ上品な首輪だ。今のクリスの衣装に似合うだろう。
「…殿下、そちらは?」
「かなり渡すのが早くなってしまったのだけど、無防備にされるよりかはマシかなって。それに今の服が前のつけてるのより似合うと思うよ。」
「っ!」
もっと喜んでくれると思ったけど、固まっている彼になんと言っていいか困惑する。自分が選んだ首輪をいつか送りたいなって思った衝動で買ったのでかなり恥ずかしい。詳細はどうか聞かれませんように!
「つけてもらっていいですか?」
「え、あ、ああもちろん。」
しばらく首輪を凝視していた彼が恐る恐る口を開いた。つける時にどうしても手が項に触れてしまってビクッとしてるが気付かないふりをしておこう。
というか首の周りにつけていた魔法を解除してるようなので完全に無防備……………うわわわ黙れ僕の僕!!!!
「…ありがとうございます。一生大切にします。」
すりっと手で首輪を撫でる仕草を見るに、気にっていてくれてるようでオーダーメイドで作って良かったと思った。周囲を確認すると、顔を赤らめている騎士がチラホラいたので、ガンを飛ばすとサッと視線を逸らされた。
チッ、失敗した。人払いするべきだった。
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