6 / 7
6話 2人ともぶっ飛んでる
しおりを挟む
「ここは僕の奢りだから気兼ねなく食べてくれ。」
「……まじで?」
「美味しいからたくさん食べてほしいんだ。」
どこまでお財布事情が素晴らしいものかと、1時間前の銀行ダッシュの自分を憐れむ。
つまりタダで高級料理を食えてしまうのだ。そんなの遠慮なくいただくにきまっている。
とりあえず、サラダでも注文しようとした俺に、ハヤトは「出来たものから持ってきてほしい」とメニューの3分の1くらいの量を一気に頼んだ。
「待て、俺はそんなに入らないぞ。」
「?……僕はたべれるよ。」
もう色々ぶっ飛んでるこいつにツッコむのはやめた。今後付き合いが続くのならまたこのような特例が増えるのかと思い大人しく正座する。どうやら何キロとあるような量くらいは一人で食べれるらしい。
大食いのくせに……俺より細い彼。まあ魔術でいくらでも見た目は変えれるからそこまで羨んではいないが、「食べても別に太らない。」は全女人の敵と聞いたことがあるぞ。
「そうだ…これ、持ってきたよ。」
「あれか!!」
「うん……でもちょっとお願いがあって。」
ああ…やっぱりそう安安と貰えないよな。と心の片隅で分かっていたがどこか落胆する。……金か?いやボンボンと判明した今それはないとして……身体……とか?
俺は下級の淫魔でもないが見た目はそこそこいいと自覚している。だからこそしっかりプライドのある悪魔なんだが、簡単に『レドのプレミアDVD』と己の身体が天秤に乗ってしまうくらいに推し盲目だった。あと言うまでもなくブツの方に偏った。
「僕と友達になってほしい」
「……え?」
思いもよらない言葉に静かになったテーブルと瞬きを数回。理解するのに数秒を催した。
「オトモダチ?」
「どうだろうか、なかなか釣り合っていると思うのだけど。」
そんな簡単なことでいいのかと言いそうになった自分の口を慌てて紡いで、少し考える。はて、友人とはモノで釣るモノなのか?間違ってないかと知識を絞り出すが、この悪魔の人間付き合いは碌なものがないのでもちろん常識などは持ち合わせていない。
「……俺は安くないぜ?その願いは『これ』とかも必要になってくるかもなあ。」
下品に人差し指と親指を繋げて丸くすると、「お金」のマークを表示した。……一応お願いしている身はこちらなのでブラックよりのジョークだ。そのオトモダチとはどういうものなのか知識でしか知らないがまあそこはなんとかなるだろう。
これは一種の悪魔契約でもある。願いを叶える代わりに魂を戴く的なあれだ。まあ今はモノなんだけど。
「はは、なんてな。冗談……」
「そうか。これくらいでどうだろう。」
少し考えるそぶりをしていた彼は、懐から何かを取り出すとぼんっと机の上に分厚い財布を置いた。
「ご飯代を抜いたら手持ちがこれしかなくてね。一回会うごとに払えばいいかな。電子マネーの方ならまだもう少しあるよ。」
「待て、とりあえず落ち着いてくれ。違う、違うんだ。」
最初は揶揄われているのかと思った「願い」がハヤトは本気だったようで大金をいとも簡単に叩き落とす。これでは上級レベルのパ〇活ではないか。
彼には絶対に洒落にならない嘘はつかないと心に刻み、今更「ジョークのつもりだったんだ。」なんて言えるはずがなくとりあえず鞄にしまった。このお金をハヤトのために使えば受け取ったことにはならないだろう多分。
「もう金はこれで十分だ。……さてこれで俺たちは晴れてトモダチ?だ。」
「ありがとう。それと名前は……」
「ああ、そういや言ってなかったな。……ユウトって言うんだ。」
「ユウト君……素敵な名前だね。」
こうして2人の歪な関係は始まった。もちろんユウトなんて今作ったデタラメの名前だ。簡単に悪魔が真名を明かすはずがない。
「……まじで?」
「美味しいからたくさん食べてほしいんだ。」
どこまでお財布事情が素晴らしいものかと、1時間前の銀行ダッシュの自分を憐れむ。
つまりタダで高級料理を食えてしまうのだ。そんなの遠慮なくいただくにきまっている。
とりあえず、サラダでも注文しようとした俺に、ハヤトは「出来たものから持ってきてほしい」とメニューの3分の1くらいの量を一気に頼んだ。
「待て、俺はそんなに入らないぞ。」
「?……僕はたべれるよ。」
もう色々ぶっ飛んでるこいつにツッコむのはやめた。今後付き合いが続くのならまたこのような特例が増えるのかと思い大人しく正座する。どうやら何キロとあるような量くらいは一人で食べれるらしい。
大食いのくせに……俺より細い彼。まあ魔術でいくらでも見た目は変えれるからそこまで羨んではいないが、「食べても別に太らない。」は全女人の敵と聞いたことがあるぞ。
「そうだ…これ、持ってきたよ。」
「あれか!!」
「うん……でもちょっとお願いがあって。」
ああ…やっぱりそう安安と貰えないよな。と心の片隅で分かっていたがどこか落胆する。……金か?いやボンボンと判明した今それはないとして……身体……とか?
俺は下級の淫魔でもないが見た目はそこそこいいと自覚している。だからこそしっかりプライドのある悪魔なんだが、簡単に『レドのプレミアDVD』と己の身体が天秤に乗ってしまうくらいに推し盲目だった。あと言うまでもなくブツの方に偏った。
「僕と友達になってほしい」
「……え?」
思いもよらない言葉に静かになったテーブルと瞬きを数回。理解するのに数秒を催した。
「オトモダチ?」
「どうだろうか、なかなか釣り合っていると思うのだけど。」
そんな簡単なことでいいのかと言いそうになった自分の口を慌てて紡いで、少し考える。はて、友人とはモノで釣るモノなのか?間違ってないかと知識を絞り出すが、この悪魔の人間付き合いは碌なものがないのでもちろん常識などは持ち合わせていない。
「……俺は安くないぜ?その願いは『これ』とかも必要になってくるかもなあ。」
下品に人差し指と親指を繋げて丸くすると、「お金」のマークを表示した。……一応お願いしている身はこちらなのでブラックよりのジョークだ。そのオトモダチとはどういうものなのか知識でしか知らないがまあそこはなんとかなるだろう。
これは一種の悪魔契約でもある。願いを叶える代わりに魂を戴く的なあれだ。まあ今はモノなんだけど。
「はは、なんてな。冗談……」
「そうか。これくらいでどうだろう。」
少し考えるそぶりをしていた彼は、懐から何かを取り出すとぼんっと机の上に分厚い財布を置いた。
「ご飯代を抜いたら手持ちがこれしかなくてね。一回会うごとに払えばいいかな。電子マネーの方ならまだもう少しあるよ。」
「待て、とりあえず落ち着いてくれ。違う、違うんだ。」
最初は揶揄われているのかと思った「願い」がハヤトは本気だったようで大金をいとも簡単に叩き落とす。これでは上級レベルのパ〇活ではないか。
彼には絶対に洒落にならない嘘はつかないと心に刻み、今更「ジョークのつもりだったんだ。」なんて言えるはずがなくとりあえず鞄にしまった。このお金をハヤトのために使えば受け取ったことにはならないだろう多分。
「もう金はこれで十分だ。……さてこれで俺たちは晴れてトモダチ?だ。」
「ありがとう。それと名前は……」
「ああ、そういや言ってなかったな。……ユウトって言うんだ。」
「ユウト君……素敵な名前だね。」
こうして2人の歪な関係は始まった。もちろんユウトなんて今作ったデタラメの名前だ。簡単に悪魔が真名を明かすはずがない。
1
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
ガテンの処理事情
雄
BL
高校中退で鳶の道に進まざるを得なかった近藤翔は先輩に揉まれながらものしあがり部下を5人抱える親方になった。
ある日までは部下からも信頼される家族から頼られる男だと信じていた。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる