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曽根川君と加賀さん

11.再会リフレクソロジー ※

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「……あ…ッ…!…ん、…あ…ァ──ッ…。曽根…川…君……ッ……!」
「なぁに?…もう、イキそうですか?……一回、楽になっちゃいます?」

 ぐちゃぐちゃといやらしい音を響かせ、束になった曽根川の指が、中を優しく、撫でるように掻き回してくる。そこを押されると目の前にパチパチと白い火花が飛び、腰が砕けそうになる箇所を狙い澄まして集中的に擦られ、同時にすっかり勃ち上がったモノを上下に大きく扱かれて、息を詰めて背中を丸めた。気を抜くと、本当に手技だけで絶頂させられてしまいそうで、大きく息を喘がせながら、ゆっくりとかぶりを振った。

 左目尻に泣き黒子のある眦にはじわりと涙が浮かんでいる。肩越しに後ろを振り返って、滲んで上手く焦点が合わない視界の中に曽根川の姿を映した。
 本当のところを言えば、身体的不能が原因で長年すっかりと御無沙汰だった性的な絶頂に、早く昇り詰めたいという欲求はある。しかし、曽根川が指で巧みに突いてくれる場所は、まだ、浅い。

 視線が合えば、恥ずかしさと気まずさで溶けてしまいたくなった。渾身の勇気を振り絞り、唇を震わせて、途切れ途切れに想いを口にする。一緒に気持ちよくなりたい、という曽根川の言葉は、きっと嘘ではないのだろう。ならば。

「──そんなに…、…何度も…出来ないよ。……もう、若くないんだから…。……だから、…その、……するなら……っ……」

 薄く涙の膜が掛かった視界の中で、曽根川の朱い唇がニィっと嬉しそうに弧を描いた。

「そんなに可愛くおねだりされちゃったら、ねぇ…。…何度でもイかせる自信はありますけど、でも、そんなことしたら、加賀さんの足腰が立たなくなっちゃうかな。──ね、思いっきり深イキさせてあげるから、俺、もう加賀さんの中に入っていい…?」

 すりすりと内側の弱点を撫でて昂ぶらせながら、顔を寄せて低く甘い声で囁く曽根川の求めを、今更どうすれば断れるというのだろう。
 腰の奥深くで脈打つ行き場のない快感を持て余し、焼き切れかかった理性に顔を歪めて、加賀は掠れた悲鳴のような声で叫んだ。こんな風に指だけで絶頂させられても、きっと不完全燃焼に終わるということは、もうとっくに分かり切っていたのだから。

「──もう、来て…。……ぁ、…曽根川…くん……っ…。俺ばっかり…気持ちがよくって…。…一緒って…そう、言ってた…じゃないか……っ」
「……あー、もう。……どうしてそんなに、健気で可愛いことばっかり言うかなぁ…」

 加賀の言葉に、曽根川は目を細めてほうっと溜息を吐き出した。そして、一度手を止めると、体内に埋めていた三本の指をゆっくりと引き抜いてくる。
 ぐぷり、と鈍い衝動があり、思っていたよりもずっと大きな喪失感が加賀を襲った。潤滑液にまみれた両手をホットタオルで丹念に拭き取ると、クッションを抱えて腰を突き出した加賀の後ろから静かに、抱き締めるように覆い被さってくる。触れられるだけで心地のいい、体温の高い逞しい身体だった。

「…全部、脱がせちゃっていいですか?俺も脱ぐから…」
「──うん…」

 返事を待つまでもなく、バスローブの腰紐をするりと引かれ、中途半端に絡んでいた布は全て脱がされてしまった。こんなに乱れては最早今更だが、肌に触れる外気は決して冷たくはないはずなのに、火照った身体を少しばかり冷やしてくれる。

 背後で、服を脱ぎ捨てる衣擦れの音がした。軽く肩越しに振り返ると、均整の取れた裸体を晒して膝立ちになった曽根川は、口に正方形のパッケージを咥え、ピ、と引きながら破って中身を取り出そうとしていた。その下腹で、大きく反り返って勃ち上がった男性器に、パッケージの中身を宛がって、引き下ろすように手早く装着する。

 曽根川もまた、今夜加賀とこうなるつもりが十二分にあったのだろう。普段は持ち歩かないと言っていたコンドームを着ける仕草は、目に映ると妙に生々しく、今から曽根川の体格相応に立派なそれで貫かれるのだと意識してしまえば、身体の中を駆け巡る血がざわりと騒ぎ出して、おかしいくらいに熱が高まっていった。
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