上 下
38 / 50
曽根川君と加賀さん

10.再会リフレクソロジー ※

しおりを挟む
「ほら、痛くないでしょう…?このくらい濡らしておかないと、最初のうちはちゃんと気持ちよくなれないから。──ほら、見つけた。ここですね、加賀さんの一番好きなところ」
「…は──ァ、…あぁ…、ン──ッ……!」

 くちゅ、と粘り付く音を立てながら、加賀の体内に沈んだ曽根川の指が動き、外からの刺激だけで疼いて堪らなかったポイントを正確に捉える。まずは軽く、やわやわと指の腹で揉みしだくように、二つの指が動き始めた。びり、と静電気にも似た快感が突き抜け、それは疼きとなって、腰の中にじわりじわりと積もっていく。
 力を込めて曽根川の指を締め込んでいなければ、注ぎ込まれたローションが溢れ出してしまう。眉根を寄せ、熱く息をしながら下腹に力を込めると、前立腺のしこりをすりすりと擦り始める曽根川の指の動きをより一層露骨に感じることになり、全身にふるりと不規則な震えが走った。

 二週間前の加賀ならば、この感覚を素直に受け止められなかったかもしれない。流れが滞った下丹田を解すマッサージを受けて、性的な快感を覚えている自分自身をそんなものだと素直に認めるには、あまりに歳を取り過ぎて、常識が凝り固まっているのだ。
 しかし、そんな加賀の認識や心をも揉み解したのは、神業を駆使し、体温の高い熱い指先を持つセラピスト曽根川の、甘い言葉や態度のひとつひとつでもある。

 離婚という苦い体験をし、男としてのプライドを無くして孤独に生きてきた自分のパーソナルスペースに、これほどまでにあっさりと入り込んで、時に頼もしく、時に半ば甘ったれてくる仕草を使い分けるのは、曽根川の天性の人たらしの才能なのではないかと思わずにはいられない。ただ性欲を満たすためだけではない、毎日のメッセージや言葉、そして仕草は、加賀にとってまだ少々戸惑いを覚えるものでこそあったが、見えない未来への期待と同時に、新鮮な刺激を与えてくれるものだった。

 つまるところ、その手腕に心の中まですっかり蕩かされてしまった、ということなのだろう。

「──ぁ、…そこ……、ッ……!」

 長い指が内側をグイグイと押し込み、同時に、親指が会陰に宛がわれ、巧みに押し込んでくる。中と外から挟み撃ちで、前立腺という器官を直接揉みしだかれているような強烈な快感に、思わずビクリと腰が浮いた。上半身を乗せた大きなクッションをぎゅっと抱き締め、力の抜けた声を張り上げてしまう。力を入れていてもやはり中から溢れ出してしまうローションが、指の動きに合わせてちゅくちゅくと濡れた音を立てるのが酷く恥ずかしかった。

「…ん、いい具合ですね──。前、ちゃんと勃ってます。…前は中途半端でしたけど、こっちでも、ちゃんと感じるようにしてあげたいなぁ…」
「ひ…ぁ──っ、…同時…に…は……、ア…あ…ぁ……ッ…!」

 熱い片手が、加賀の太腿に流れた温かなローションを掬い上げて、手のひらと指先全体に塗す。その手が触れた加賀の男の部分は、確かに緩やかな芯が通っていて、十五年も不能であったことが嘘のようだった。

 じゅく、ぐちゅ、と音を立てて、勃ち上がった茎をゆっくりとしごく、曽根川の手付き。それだけではまだ淡い快感だったが、ゆっくり引き抜かれた二本の指に、さらに一本の指が添えられて割り込んできた瞬間、息苦しさに全身がびくびくと跳ね上がる。
 そこに大きなものが入ってくるのは、やはりまだ怖かったのだが、歯を食い縛る加賀の全身が強張りそうになった瞬間を見計らって、前を握り締めた手が巧みに上下に動いて男としての快楽を刺激してきた。
 加賀の気を巧みに紛らわせながら、宥めすかすように慎重に指を送り込んでいた曽根川が、息を零して小さく笑う。

「……ほら、指、三本も入っちゃいました。上手に快感を掴めていますよ…?もうちょっと奥、トントンするの、スキでしたよね──?」
「…は……ぁ、──それ…ッ、──き……もち、……いい、──ッ…!」

 束になった三つの指が、たっぷりと流し込まれたローションの滑りを借りてグチュグチュと奥の方をノックしてくる。体内の性感帯を掠め、より奥の、もどかしい気持ちよさを掻き立てる場所を、曽根川は見事に探り当てて押し込んできた。
 たった一度教えられたきりの快楽を、身体はしっかりと覚えていて、前をしごく手の中に自ら雄の部分を擦り付けるように自然に腰が動くのを、加賀はもう止めることができなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

SODOM7日間─異世界性奴隷快楽調教─

槇木 五泉(Maki Izumi)
BL
冴えないサラリーマンが、異世界最高の愛玩奴隷として幸せを掴む話。 第11回BL小説大賞51位を頂きました!! お礼の「番外編」スタートいたしました。今しばらくお付き合いくださいませ。(本編シナリオは完結済みです) 上司に無視され、後輩たちにいじめられながら、毎日終電までのブラック労働に明け暮れる気弱な会社員・真治32歳。とある寒い夜、思い余ってプラットホームから回送電車に飛び込んだ真治は、大昔に人間界から切り離された堕落と退廃の街、ソドムへと転送されてしまう。 魔族が支配し、全ての人間は魔族に管理される奴隷であるというソドムの街で偶然にも真治を拾ったのは、絶世の美貌を持つ淫魔の青年・ザラキアだった。 異世界からの貴重な迷い人(ワンダラー)である真治は、最高位性奴隷調教師のザラキアに淫乱の素質を見出され、ソドム最高の『最高級愛玩奴隷・シンジ』になるため、調教されることになる。 7日間で性感帯の全てを開発され、立派な性奴隷(セクシズ)として生まれ変わることになった冴えないサラリーマンは、果たしてこの退廃した異世界で、最高の地位と愛と幸福を掴めるのか…? 美貌攻め×平凡受け。調教・異種姦・前立腺責め・尿道責め・ドライオーガズム多イキ等で最後は溺愛イチャラブ含むハピエン。(ラストにほんの軽度の流血描写あり。) 【キャラ設定】 ●シンジ 165/56/32 人間。お人好しで出世コースから外れ、童顔と気弱な性格から、後輩からも「新人さん」と陰口を叩かれている。押し付けられた仕事を断れないせいで社畜労働に明け暮れ、思い余って回送電車に身を投げたところソドムに異世界転移した。彼女ナシ童貞。 ●ザラキア 195/80/外見年齢25才程度 淫魔。褐色肌で、横に突き出た15センチ位の長い耳と、山羊のようゆるくにカーブした象牙色の角を持ち、藍色の眼に藍色の長髪を後ろで一つに縛っている。絶世の美貌の持ち主。ソドムの街で一番の奴隷調教師。飴と鞭を使い分ける、陽気な性格。

マッサージはお好きですか?

浅上秀
BL
マッサージ師×サラリーマン ※R18 仕事に疲れたサラリーマンの佐藤が同僚の女性社員におすすめされ癒しを求めて訪れたマッサージ店。 そこでマッサージ師の渡辺に出会い、気持ちよくさせられてしまうお話。 本編 四話 番外編 更新中 完結済み … 短編 BL  なお作者には専門知識等はございません。全てフィクションです。

少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。 ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。 だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

無理やりお仕置きされちゃうsubの話(短編集)

みたらし団子
BL
Dom/subユニバース ★が多くなるほどえろ重視の作品になっていきます。 ぼちぼち更新

処理中です...