上 下
50 / 73
エピローグ

花嫁の特権

しおりを挟む
 「っく、──ふぅ…んッ──。…ンンっ──。」
 
 ぴったりと触れ合う唇から感じる、ザラキアの息遣い。口の中で舌を絡ませるのがこれほど気持ちいいことなのだと、生れて初めて知らされる。
 ピチャピチャと口の中を掻き回してくる舌先で、咥内の粘膜をまさぐられると、頭の中がぼうっとしてきた。はしたない、恥ずかしいと思っても、唇の端から混じり合った唾液があふれ、つうっと伝わり落ちてしまうのを止めることはできない。
 頭の中がぼんやりして、気持ちのいいことしか考えられなっていくのは、幾度もこくんと飲み下した淫魔の唾液がそうさせているのだろうか。
 
 『──あぁ…、ディープキスされるの、気持ちイイ…。口の中まで優しく犯されてるみたいで、すごく、熱くて…頭が変になる…。』
 
 一生懸命舌を使っても、何も知らないシンジの未熟でつたないキスのテクニックでは、どうしてもザラキアに全てを任せることになる。口の中で舌を絡め取られて捻じ伏せられ、口の天井までチラチラと小刻みに舌先で擽られると、それだけでザワリと腰の辺りに熱が集まってきて仕方がない。いや、下半身ばかりか、乳首や、身体の内側にあるスポットまで、この先の快感を求めてズクズクと疼き出す。
 そしてそんな反応は、身体を重ねて覆い被さっているザラキアには丸分かりだった。唇が離れ、ぷは、と息継ぎをするシンジの下半身で頭をもたげつつある牡茎を長い指で絡め取り、全体をごしゅごしゅと強く扱き立ててくる。
 
 「ひぁ──ぁんっ…!ご主人様マスターぁッ──!ッ、それ、気持ち…イイです…っ…!」
 「…やっぱり、お前は最高の淫乱奴隷だな。ファースト・キスだったのに、キスしただけでおっ勃てやがって…。さて、契約は完了した。終生奴隷の首輪は、お前が死ぬまで外れない。シンジ、お前の身体には、まだまだ調教の余地が残ってる。この弱いモノも、突っ込まれてイキ狂うエロい肉穴も、すっかり俺様好みの性奴隷に躾してやるからな…!」
 「やぁ──、ううぅん…っ…。恥ずかしい──、けど、嬉しいです、ご主人様マスター…。僕、ちゃんとご奉仕できるように、頑張ります…っ!」

 すっかり勃起した牡茎を弄っていた長い指が、ローションをたっぷりと塗して、まだ窄まったままの後ろの穴にズプリと潜り込んでくる。弱い刺激だというのに、キスで高められた身体には緩い痙攣が走った。それを感じ取ったのだろうザラキアが、クックッと肩を揺らして小さく笑う。
 「このエロ穴も、トロットロの名器に仕立て上げてやる。もっとも、俺のよりデケェのを挿れるつもりはねぇ。ハメた時にキツキツのまま、蕩けるような上等の穴にしてやるよ…。嬉しいか?」
 「ひぃッ──、う、嬉しい…ですっ…!セックス、されるの…大好き…っ──!」
 こりっと硬くなった性感帯のスポットの上を指の腹ですりすりと撫でられ、シンジは仰け反りながらザラキアの首筋に抱きついた。
 
 「あぁ、そうそう。終生奴隷…ソドムの花嫁には、幾つか特権がある。まず、売り物じゃない終生奴隷の身体は他人にそう見せるもんじゃねえから、腰布を身に着けて、出歩く時はサンダルを履いていい。金銀宝石の飾りも、主人の好みに応じて。──そんで、自分の主人を、名前で呼ぶことが許されてるんだ。解るか?」
 「う…ぅうん──ッ…。──名…前──?」
 肉壁に息づくスポットの真上を指先でグリグリと押し込まれ、快楽のあまり軽く目の前を明滅させながら、ザラキアの言葉をぼんやりと反芻する。奥の穴を慣らす指は二本に増やされ、時々くぱりと肉壁を大きく割り広げながら、そこを奉仕のための性器に造り変えようとしていた。
 ザラキアの長い指が、激しく動いて中をグチュグチュとピストンしてくる。息が止まるような快楽にゾクゾクと背筋を震わせるが、そんなに浅い刺激だけではもう満足できない。嫌々と首を横に揺らし、整った黒髪を乱して、ゆるゆると腰をくねらせながら、愛しい主人の背中にしっかりとしがみ付いて大きな声で鳴き喘いだ。
 
 「…ほら、ここを、誰にどうして欲しい?──言えるだろ。」
 「ッあ…うぅっ、ご主人マスター──、…ザラキア様…ぁっ!僕のスケベな穴…、ザラキア様の、おっきくて、太くて…熱いモノで──奥まで突き刺して、ザラキア様だけのメスにして下さい…っ──。」
 「よっしゃ、合格だ。」

 感じるあまりぎゅっと引き締まる熱い粘膜の中から、束になった指がずるんと引き抜かれる。代わりに宛がわれる、熱く、硬く、大きな逸物モノの感触。いやらしくほぐされた奥の窄みはその温度を確かに覚えていて、涙を滲ませた顔をとろんと溶かしながら、ほぅっと歓喜の溜息を零してしまう。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

イケメンの後輩にめちゃめちゃお願いされて、一回だけやってしまったら、大変なことになってしまった話

ゆなな
BL
タイトルどおり熱烈に年下に口説かれるお話。Twitterに載せていたものに加筆しました。Twitter→@yuna_org

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

処理中です...