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8日目:饗宴─サバト─

初物証明

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 小刻みに震えるシンジの白い太腿を、つぅっ…と細く伝う生温かいものがある。

 「どうだ、この破瓜はかの血こそが、コイツが正真正銘の処女だった証拠だ。この鳴き声を聞いて解っただろ、俺はコイツを、処女を破られながら絶頂する身体に仕込んでやった──!」


 「…ひとつよろしいかな、ザラキア殿。」
 不意に、最前の椅子の上から、優雅に立ち上がる長い金髪の魔族の男がいる。濃い緋色の上等な貴族の装いに身を包んだ、先の尖った耳を持つ壮年の美しい男は、ザラキアと、そして観衆を順繰りに眺めながら低い声を響かせた。
 「その三十二年ものの迷い人ワンダラーが本当に処女だったのかどうか、吸血鬼の私に証明させては貰えないだろうか?もし本物であれば、その足を流れる貴重な血潮の一滴、金貨十枚で買い取ろうではないか。」
 背後のザラキアが息を漏らして軽やかに笑ったのを、気配で感じ取る。
 「──へぇ、飛び入りショーかい。そいつぁ妙案だ、カルヴァイン伯爵。そういう味見なら、伯爵の右に出る者はいねぇだろうからな…。よし、売った!では、ご登壇を。そして、本物の処女の血、とくと味わって頂こうじゃねぇか。」
 優雅な仕草で壇上に上がった、カルヴァイン伯爵と呼ばれた吸血鬼は、そっと屈み込んでシンジの太腿の上に流れたたった一滴の血を指先で掬い取る。そして長く赤い舌を覗かせ、ほんの僅かな血を、じっくり確かめて味わうようにペロリと舐め取った。

 誰もが固唾を飲んで、沈黙と共に伯爵の答えを待ち望んでいる。
 
 やがて、カルヴァイン伯爵は、恍惚とした表情と共に深い溜息を吐き、口許から白い牙を覗かせてうっとりと微笑する。極上のワインを飲んだ後のような陶酔の溜息。
 「私にはわかるぞ、この人間は、男どころか女の肌さえ知らない。…実に三十二年もの間、清らかな身体だった人間の血。ソドムのどんな高級な供血奴隷でも、ここまでの味わいには到底ならないだろう。一生のうちに一度でもこれを味わえたのなら、金貨十枚…いや、二十枚出しても惜しくはない。──皆の者、高位吸血鬼のこの私が断言しよう。この性奴隷は間違いなく完璧な処女…いや、たった今まで処女『だった』人間だ…!」


 伯爵の言葉を聞くや否や、大広間の天井がビリビリと震えるほどの大歓声が立ち昇った。伯爵は満足げに、しかし名残惜しげに眉尻を下げると、ステージから軽やかに飛び降りざま、懐から金貨の詰まったずっしりと重たい袋を取り出してザラキアの足許に投げ出していく。
 「これは仕方のないことだが、その人間が非処女になったのが心から惜しいよ。三十二年物の処女の生き血は、どんな美酒にも勝る極上品だった…。」
 「──毎度あり、伯爵。何せ信じられねぇ確率で発生した貴重品だ、いい買い物をしたと思うぜ。だが、これで終わりだと思わないでくれよ…?今からコイツは、腹の奥まで串刺しにされて理性ブッ飛ばされるんだ。イイ声で鳴くぞ…。」

 ザラキアが、不意にシンジの耳朶にしゃぶり付いてきた。ねっとりと耳朶の複雑な形をなぞって舐め回す舌先の動きだけで、絶頂したばかりの身体がヒクンと大きく跳ね上がる。
 低く囁くような声が、至近距離で直接頭の奥に吹き込まれた。

 「ほら、結腸開け。お待ちかねだろ。お前のこのスケベな身体が望んでた通り、俺のデケェのを奥の奥までずっぽりハメ込んでやる──。」

 下から軽やかに腰を突き上げられ、まだ口を開いていない奥地への侵入が始まった。
 腹の奥の窄まりをコツコツと突かれる度、電流のような快感がシンジを滅多打ちにする。身体の奥にある狭い第二の入口は、牡の切っ先でノックされると少しずつ綻んで、咥え込んだこともない大きな質量を喜んで受け容れようとしている。

 ばち、ばちん!と目の前に散る火花。

 「イあぁ…、は…あぁアぅ、──むり…ぃッ──!…こんな…熱くておおきい、の、──知らない…ぃ…っ…!」
 こんなに長く太いモノでこじ開けられて、その上奥までハメられてしまったら、快感のあまり本当に壊れて狂ってしまうのではないかという恐怖がシンジを襲う。だが、理性に反して、調教用の玩具など比べ物にならない焼けた鉄のような塊をみっちりと締め込んだ柔い肉襞は、じわりじわりと喜んで最奥への入口を拡げつつあった。
 それどころか、初めて受け容れるザラキアの膨張しきった牡に絡み付いて、みっともないほどに浅ましくザワザワうごめきながら、奥へ奥へと引き込もうとしているのだ。
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