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7日目

銀色のハサミ

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 「さーて、と。じゃ、始めるか…。」
 今日は、調教台でも調教用の拘束ベッドの上でもなく、背もたれも何もないただの丸椅子の上に座らされていた。
 一体どんな調教を受けるのかと思っていると、ザラキアが、調教用具の中からギラリと銀色に光るハサミを取り出して近づいてくる。明らかに切れ味のよさそうなそれをシャキシャキと鳴らす姿に、さっと怯えが走った。顔色を変えてビクン!と身体を竦ませるシンジが何を考えているのか察したのだろう。彼は肩をすくめ、フンと鼻を鳴らす。
 「バーカ、性奴隷セクシズの身体に傷はつけねぇって言っただろうが。髪だ、その髪。妙に長くて野暮ったく見えらぁ。──このザラキア様は芸術家アーティストだからな、晴れの舞台に相応ふさわしいようにしてやる。いいか、絶対に動くんじゃねぇぞ。」
 「…あ、──は、はい…っ。」

 ザラキアは神妙な顔つきで銀色のハサミを構え、あれこれ思案しながらシンジの黒い髪をジョキッ、ジョキッ、と少しずつ切り整えていく。時々、顔の上を払う羽箒はねぼうきが妙にくすぐったい。身なりにあまりこだわりがなく、美容院というものとも縁遠かったシンジにとって、人の手で丁寧に調整されながら髪を切られる、というのは初めてに近い体験だった。

 だいぶ長い時間を掛け、時々くしで整えながらシンジの髪を切り揃えていたザラキアは、やがて出来栄えに満足したのか、満足げに腰を上げる。
 「よーし、こんなもんだろ。どうだ、俺様の腕、なかなかじゃねえか?」
 手鏡を渡され、その中に映っていた自分の顔に、シンジはただただ溜息を吐くことしかできなかった。中途半端に伸びていた髪は綺麗にかれ、目を隠すように伸びた前髪は切り整えられて、額の真ん中で左右に分けるセンターパートのショートにされている。今まで、こんな髪型にしようと考えたことはないし、それどころか、似合う髪型を探そうという発想そのものがなかった。しかし、童顔のシンジの顔立ちにはとてもよく合っている。
 「お前は、歳の割に見た目幼いからな。あと、こうして分けた髪は、ヤッてる最中に汗で崩れて乱れ掛かってくるところがポイント高い。ソドムの人間には珍しい、貴重な黒髪をあまり短くしすぎても勿体ないだろ。」
 得意げに目を細めて笑うザラキアの芸術家としての腕は確かなようだった。しばらく、信じられないようなものを見る目つきで鏡に見入っていたシンジの全身から切られた髪を羽箒はねぼうきでサッサッと払い落し、手首を掴んでベッドの上に連れて行く。

 「──あ…っ…。」
 仰向けに、トサリとベッドの上に沈められ、シンジはぱちぱちと瞬きしながら覆い被さってくるザラキアの顔を見上げた。長い藍色の髪を掻き上げながら覆い被さってくるザラキアは、しかしその服を脱ごうとはしない。
 「今日は、徹底的に寸止めだ。明日のショーで、より一層淫乱になるように…満足は一切させねえからな。ただ、感じ切れ。」
 そして、手にしたままだった、鳥の風切り羽根を束ねて作った羽箒で、ツンと尖り立ったシンジの乳首を片方、こしょこしょと軽くくすぐってくる。
 「──あ…あぁ、…んっ…!」
 たったそれだけの刺激で、全身がビクンと跳ね上がった。そこだけでイけるようになるまで仕込まれた乳首への刺激は、ダイレクトに腰の真ん中を疼かせてくる。ざわ、と牡の器官に血が集まるのを感じた。もっと強い刺激が欲しくて必死で背筋を反らせるのに、羽根でできた箒はただそこを軽やかに擦り付けてくるだけで、もどかしいばかりの快感が神経を磨き立て、感覚を尖らせてくるばかりだ。

 『乳首も…前も、もっと触られたい──。もっと強くされたいのに…。』

 眉尻を下げ、切なげに腰を振っても、ザラキアがそれ以上の刺激を与えてくることはなかった。硬く立ち上がった乳首の上をぞりぞりと柔らかく擦るだけの羽根の先は、時折左右の位置を入れ替えながら、弄られるだけのシンジの息を熱く上げていく。
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