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5日目

フィニッシュ

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 体中、どこもかしこもぐっしょりと濡れて自慰に溺れるシンジを眺め、ザラキアは、実に満足そうに笑いながら頷いた。
 「自分で結腸を開くことにも慣れたな。…全く、お前は性奴隷の素質がある。どこを犯してもヒィヒィ鳴いてイキ狂えるなんて、幸せな身体の持ち主だなぁ…?──いや、そこは俺様の調教師としても腕もある、か。これくらいの自画自賛はいいだろうよ。」

 肘掛椅子の上で、ゆったりと長い脚を汲み上げ、芸術品を鑑賞するかのようにシンジの痴態を眺めるザラキア。彼は藍色の目を細め、汗にまみれて自分の手で自分自身をイキ狂わせる従順な奴隷に声を掛けるのだ。
 「なぁ、シンジ。──お前、幸せか?ご主人様マスターに見られながらエロい声出して、体中ぐずぐずになって…。お前、俺に見られてるってだけで感度上がってるんじゃねえか?」
 「──ひ…ゔッッ、ご主人様マスター…に…?」
 「そうだ。お前、エロいって褒めてやるたびに、スゲェいい顔するぜ…?そりゃ、生まれついての淫乱の顔だよ。…あぁ、イイぞ。その顔だ。恥ずかしさと気持ちよさで恍惚となって、訳が分からないってツラしてやがる。それが嬉しいんだな、お前は。」
 
 そうだ。そうだった。それが、恐怖以外にシンジがザラキアに逆らえない理由のひとつ。
 魔族であるザラキアは、いつだってシンジを言葉に出来ないほどいやらしい目に遭わせるのに、同じ人間がそうするようにシンジをバカにしたり、嘲笑ったり、貶したりしてくることは絶対にない。要領の悪い、鈍臭いシンジを、彼なりの方法でいつだって『可愛がって』くれる。

 その藍色の視野の中で自慰に溺れながら、シンジは、ザラキアの言葉を否定できない自分がいることに気づいてしまった。涙でびしょ濡れになった黒い瞳を細め、淡く笑いながら、大きく脚を広げてすっかり感じきっている身体の様子を彼の前にさらけ出す。ほんの数日前までは考えられなかった、めまいがする程にはしたなく恥ずかしい、変態的な格好。でも、そこに美しい淫魔のザラキアがいるというだけで、堪らないほど感じてしまう。無我夢中で腕を、腰を使う度に、じゅぶじゅぶと卑猥な音が大きく響いた。

 「──は…ぃ、…僕は…ご主人様マスターに…オナニーを見られて──感じる、変態です……っ…。やらしい…体、──いっぱい…見られて…、でも…腰──、止まり…ません…っ…!…っぁ、また──、イクぅ…っ!」
 「ははっ、よく言えたな。それでこそソドムの立派な淫乱メスイキ性奴隷だぞ──。」

 その答えに、ザラキアは長い耳を震わせて笑った。形のいい唇が開き、楽しげな命令の声が響く。

 「…よし、フィニッシュだ。──さぁ、自分で自分のモノを扱きながら、尿道プラグ引き抜いて派手にイッて見せろ。ご主人様マスターに見ていただいているんだから、お前のご主人様マスターの眼を精一杯楽しませな──!」
 「っく…ふ…、…ぁッ──、自分──で…?」
 ぐちゅ、ぬちゅ、といやらしい音を響かせながら自分自身の手で両穴を責め続けるシンジの思考回路には、もうまともな感覚など残されていなかった。ただ、延々と続く天国のような悪魔の快楽と、それを与える主人の声に、ベルを鳴らされた犬さながらに条件反射で従うことしかできない。
 
 今のシンジは、ザラキアに言われるがままに動く完璧な人形だった。細長い玩具を飲み込んで奮い勃ち、先走りの透明な体液でびっしょりと濡れる牡の器官を右手で握ってぢゅくぢゅくと大きく扱き立てる。
 瞬間的に、今までに見たことのない派手な蛍光色の閃光が脳の裏側で次々と爆発した。結腸の奥までずっぽり咥え込んだビーズをわななく肉壁で締め込み、下半身から全身に広がって四肢をビク、ビクン!と跳ね上げる絶頂感に仰け反りながら、激しく駆け上ってくる本当の吐精感に、鳴き疲れて掠れ切った絶叫する。

 「──…ィ、──、ぁ──、出…る…ぅぅッ…──!」
 その内側まで性器に造り変えられた牡の茎の内側から、今までに吐き出したこともない大量の白濁液がビュクッ!と勢いよく噴き上がった。粘つく重い精液に押し出されるように、尿道ビーズの表面が狭い管の内側をずるんっと容赦なく擦り上げて弾き飛ばされ、濡れたまま床に落ちる。
 射精の快感と、器具を引き抜かれる快感の二つを同時に味わったら、もう元には戻れない。
 前立腺の真上と結腸の奥を同時に虐める玩具の上にずるずるとへたり込み、断続的に続く絶頂感の中で、大きく開きっぱなしになった鈴口から透明な潮をぷしゃっと噴き散らしてしまう。
 
 身体の中が、どこもかしこもズクズクと疼いてたまらなかった。少し動いただけで、即死級の快楽が生じてくる。全身が性感帯に、性器になる、とはこういう感覚のことなのだと、飛びそうになる意識の中で呆然とシンジは思う。薄い胸板の上で勃ちっぱなしになった乳首をそよ風が撫でるだけで、また呆気なく絶頂してしまうだろう。
 ちっぽけな人間の身体に眠っていた性感帯という性感帯を全て掘り起こして調教した、魔族の美しい青年は、一匹の性奴隷がありとあらゆる性感によがり泣く様子を、さも満足そうに柔らかく瞬きしながら見詰めている。
 
 「声も出ないほど気持ちよかったか、シンジ。──お前は、間違いなく俺様が仕上げた最高傑作だ。ヴィンテージの淫乱処女にふさわしい、最高の舞台を用意してあるからな…。あと二日、丹精込めて仕上げてやるよ。」
 
 近づきつつある、七日というタイムリミット。
 だが、余韻と呼ぶにはあまりにキツ過ぎる絶頂感の波に揉まれる今のシンジに、ザラキアが発したその言葉の意味を問い質すことはできなかった。
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